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カテゴリ:こはく文庫
2022年9月刊 こはく文庫 著者:橘柚葉さん 25歳の坂月真宙は、父の再婚相手である継母の沙希と暮らしている。といっても、女社長として精力的に仕事をこなす沙希は、真宙のことを娘というより家政婦のように扱っていた。沙希が突然、夜に部下を家に招くことはよくあることで、真宙はそのたびに来客対応に追われていた。とはいえ真宙にとって突然の来客は嬉しいことでもあった。真宙は沙希の部下の一人、涼成に秘かに心を寄せていたのだ。しかし若く美しく、そして優秀な涼成は沙希にとっても魅力的な男性だったようで、沙希が彼のことを狙っていると知った真宙は、涼成への思いを断ち切ろうと決意する。そんなある日、涼成が沙希の会社を辞め、実家の大手製薬会社を継ぐことになり、「どうせ最期なら」と真宙は匿名のラブレターを涼成へ送る。これでもう二度と会うことはない。そう思い涙する真宙だったが数日後、涼成が真宙の前に現れる。涼成はなぜか、ラブレターの贈り主が真宙だと理解しているようで、「自分も真宙のことが好きだった」と告白してきて……。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用 登場人物 坂月真宙=内科クリニック勤務の栄養管理士。 継母の部下である涼成に想いを寄せる。 久里藤涼成=大手製薬会社の跡取りで、社会勉強で真宙の継母の会社で専務職に就 いていたが、退職が決まり真宙に猛アプローチを始めた。 坂月沙希=真宙の継母。中堅アパレルメーカーの女社長で何かと押しが強い。 涼成に粉を掛けていたがフラれる。 池田=沙希の会社の元社員。沙希に弱みを握られ長らく利用されていた。 継母に都合よく扱われていたヒロインと、彼女にベタ惚れのヒーローが策を巡らせ恋の成就を狙うというお話。 今月の16日発売のお話なので、序盤以降のネタバレは控えめで。 ヒロイン・真宙は同居している継母に頭が上がらない。 彼女の実の両親は既に鬼籍に入っており、継母は父が晩年に後妻にした人物だった。 当時の真宙は北海道の大学に通っており、父が余命わずかだと知ったのは亡くなる直前のこと。どうやら父が心配させまいと敢えて連絡しなかったようだなのだが、なぜもっと頻繁に帰らなかったのだろうと3年経った今でも悔いている。 継母の沙希はそんな父を支え、ずっと看病してくれていた。それを思うと邪険にも出来ず、父が亡くなって以降も坂月の籍を抜かず家に居座り続けている継母と真宙は微妙な関係だ。 沙希は父の遺産でアパレル会社を立ち上げ、女社長として多忙の毎日。真宙は栄養管理士の仕事をしながら彼女に代わり家事一切を引き受けている。 そんなある日、沙希が5人の部下を夕食に招いた。 当然用意したのは真宙なのだが、沙希はそんな彼女にねぎらいの言葉も無い。 わざわざ貶めるかのように料理だけが取り柄の冴えない子だと紹介する沙希を横目に、真宙に気遣いを見せてくれたのは専務だという久里藤だけであった。 彼は真宙に手土産迄用意してくれた上に、背が高くカッコイイ青年だった。 内気で臆病な性格の真宙は恋愛経験も無く、一目で彼に心奪われてしまった。 年末に沙希の会社で大きなイベントがあるらしく、そのミーティングと称して彼らはしょっちゅう坂月家に訪れた。 真宙はその度に料理を振舞い、酒が足りなければ買い足しに出かけ娘と言うより、沙希からは家政婦の様にこき使われていた。 その度に久里藤がさり気なく手を貸してくれており、どんどん彼に惹かれて行く真宙。 でも、彼はイベントが終わったら退社して家業を継ぐのだと聞いた。 社名を聞くと大手製薬会社で、そんな大企業の御曹司である久里藤とは、もう接点が無くなってしまう。 しかも、沙希も彼を狙っているとか。 継母はまだ35歳。父をずっと儚む必要は無いのだし、地味な自分などとは比べ物にならないほどの美人だ。 すっぱり諦めようと、内気な彼女にしては珍しく、手作りのクッキーと「好きでした」と一言添えたメッセージカードを彼の手荷物の紙袋に忍ばせ、これも良い思い出だったと想いを封印することに。 だが、ある日、勤務先の前に久里藤が待っていて、自分も君が好きだよと告げられます。 沙希と付き合うのでは?と思わず尋ねると、大分前に告白されたものの断っていたらしい。 おまけに、久里藤は以前から真宙に想いを寄せていたとまで言っている。 天にも昇るほど嬉しい告白だけれど、沙希にしてみれば冴えない義娘の方を選んだなんてと気分が悪いに違いない。 父の恩義を思うと素直に彼からの告白に答えられない真宙の想いを察した久里藤は、絶対に好きだと言わせてみせると猛アプローチを始めて・・・。 中盤までの展開はこんな感じ。 両想いだったのは良かったけれど、問題は同居中の沙希のこと。 女王様気質の彼女は、とにかく上から目線で、同居してからと言うもの真宙はいつも萎縮していた。 恩義を思うと蔑ろにはしたくない相手なので、彼女に悪いという気持ちがどうしても決心を鈍らせる。 そんな彼女を遺恨なく自分のものにするため、久里藤は外堀をどんどん埋めていきます。 そして、真宙がずっと感じていた負い目と恩義の切欠となった彼女の父親の世話は、実は沙希は一切していない事が判明。 あれだけの遺産を貰い、恩を着せて置きながら、義娘をこき使っていた沙希の本性が久里藤の調査の元、真宙に知らされます。 若い嫁さんだし、亡くなったお父さんもいい様に騙されてたんだろうなぁ。 終盤、沙希の意地悪っぷりが突き抜けててこのヤロウがっと読んでて腹が立ちましたが、久里藤に追い詰められ相応の報いを受け失脚。 こんな女と一緒にいたら一生食い物にされてたろうなと思うと、徹底的にやってくれて良かった。 今作のヒーローは結構容赦ないです。ぶっちゃけ腹黒キャラ。 ヒロインが内気で優しく大人しいだけにバランス取れてるのかもしれない。 継母の企みと言うかヒロインへの嫌がらせや、ヒーローの狡猾さは敢えてぼかしてます。 興味のある方は読んでみてください。 kindle unlimitedの会員なら読み放題で読めます。 評価:★★★★☆ 腹黒ヒーローがお好きな方は是非。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.09.19 19:34:51
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