PTSD(心的外傷後ストレス障害)って何?
ハリウッド映画なんかを観てると、ベトナム戦争帰りの軍人が、PTSDに悩まされるシーンが結構な割合で登場していたり、阪神大震災の被災者の方々や、最近ではJR福知山線脱線事故で被害に遭われた方々がPTSDで悩まされている、といった報道がなされたりもしています。 こういったことで、漠然と感覚的にとらえることはできますが、一体、PTSDとは何か?と質問されると、やはり上手く答えることができませんでした…ということなので、精神科の勉強をちょうど始めているところということもあって、ここに調べたことを書きたいと思います。【PTSD(post‐traumatic stress disorder)の概念】 強い精神的外傷後に生じてくる精神症状をいう。自然災害,戦争体験,事故,あるいは強盗や強姦などの被害後,あるいは目撃後にみられるのが代表的なもので、とくに欧米では、ドイツ・ナチによる強制収容所,ベトナム戦争,湾岸戦争,レイプなど、しばしば治療や研究の対象とされていたが、わが国でも1995年1月に発生した阪神・淡路大震災後,PTSDが多発し、一躍注目されるようになった。 心的外傷の直後に生じる急性反応(急性ストレス反応acute stress reaction;ASR)ではなく、外傷経験から1,2週間ないし数ヵ月たってから発症してくる、いわゆる遷延反応のことをいう。体験した悲惨,残酷な状況が眼前に再現し、悪夢にうなされる。不安,憂うつ感,無欲,無関心,無力感,易怒,罪悪感,絶望感,不眠,錯乱などの症状が出現し、幻覚も生じることがある。心因性健忘をみとめ、事故のことを想起できない。動悸,発汗など自律神経症状もみられることがある。抗不安薬,抗うつ薬など薬物療法のほかに、種々の精神療法が必要である。予後は良好である。【PTSDの具体的な症状】1)侵入(出来事の再体験)苦痛を伴う・自己回避不能、フラッシュバック…など引き金(場所、時刻、同様の事件の報道など)があり、上記の症状を起こすこともあります。2)回避感情や記憶の再体験を恐れるがための回避行動、出来事の記憶の健忘、失感情、離人感(自分の知覚、感情、行為などについて現実感が湧いてこない)、未来の断絶感(早死、事故死を確信、自殺念慮とは異なる)3)覚醒の持続亢進不眠、悪夢、易怒的、神経過敏4)社会的、職業的、または他の重要な領域における機能障害体験を家族に話すことで助けを得る、人的資源を動員するなど、必要な課題を遂行する能力の障害【予防・治療】 心的外傷を負って間もない頃は、初期の治療として身体の治療、生活基盤の支援、安全の確保、社会的なサポート、投薬も考慮した鎮静・静穏、受身的なヒアリング、積極的なデベリーフィングなどがあげられる。また、慢性的なPTSDに関しては、PTSDの同定・受容、治療関係確立、トラウマワーク(心理的・生理的反応のコントロールを行い、トラウマと上手く折り合いをつける)、薬物(抗不安薬,抗うつ薬など)、社会生活のサポート…などがあげられる。…阪神大震災の被災者は、生命の危機を感じたり、友人や家族など親しい人たちの死に直面し、結果としてこれら痛ましい経験が心的外傷となり、PTSD、うつ病、身体化障害、アルコール依存症などを引き起こされてしまわれた方々が多くいたと聞きます。 こうした場面に、"話を聞く"というボランティアの方がいらっしゃったのが報道されていたのを覚えています。今、考えると、PTSDのケアとして、非常に重要なことをされていたのだとわかりました(治療の"受身的なヒアリング"ですね)。突発的な事件事故にみまわれることは、誰しもに起こりうることです。そのような時に、PTSDへの理解が非常に重要なことであるということが、今回調べてみて、非常によくわかりました。[参考文献] Step 精神科非常にわかりやすいです。難解な用語も、身近な例でしっかりと説明してくれます。「ココロのことを知りたい」という方、是非とも読んでみてください。心理学の素養&医学的基礎がなくても(私を含め)も、しっかりと理解できます。