カテゴリ:冒険者たち
「映画原作小説アンソロジー」が非常に作りやすい、
そういう種類の映画にばっかり出ていた女優、という人もいる。 昔のアイドル映画は「文芸路線」と申しまして、 そうした作品であることが、まず基本だったんですから、 それは、べつに珍しい現象ではない。 (考えてみれば角川映画というのは全部が全部「文芸路線」なのだった。) しかし、その中でも山口百恵の映画というのは 「文芸路線」が徹底している。 「百恵ちゃん映画原作小説アンソロジー」なんて、 集めようと思えば、すぐできる。 作品数だけなら、すぐ揃う。 でも今となっては、こんなアンソロジーが実際あっても 絶対に読んでみたくはならないな~。 川端康成:著『伊豆の踊子』新潮文庫(映画『伊豆の踊子』原作) 三島由紀夫:著『潮騒』新潮文庫(映画『潮騒』原作) 大江賢次:著『絶唱』河出文庫(映画『絶唱』原作) 若杉慧:著『エデンの海』角川文庫(映画『エデンの海』原作) 堀辰雄:著『風立ちぬ・美しい村』新潮文庫(映画『風立ちぬ』原作) 谷崎潤一郎:著『春琴抄』新潮文庫(映画『春琴抄』原作) 藤原審爾:著『泥だらけの純情』春陽文庫(映画『泥だらけの純情』原作) 松本清張:著『霧の旗』角川文庫(映画『霧の旗』原作) 加茂菖子:著『執炎』中央公論事業出版(映画『炎の舞』原作) 高橋三千綱:著『天使を誘惑』新潮文庫(映画『天使を誘惑』原作) 川端康成:著『古都』新潮文庫(映画『古都』原作) (註:映画『ふりむけば愛』と『ホワイト・ラブ』には原作はナシ) 『泥だらけの純情』だけは、このあいだ吉祥寺【よみたや】で50円の汚いのを見つけて、 汚いから買わなかったんだけど、 今になると欲しかったなあ、惜しかったなあと思っている。 (それは、たまに現物を見ていると激しい所有欲に襲われる 「古い春陽文庫の魅力」のせいなんだろうがな。 で、実際に買ってみたり、集めてみようかと思ったりすると後悔させられるんだよね) やっぱりアイドル映画の原作本は、 文庫の表紙カバーがスチール写真になっていて、 「映画化!」のオビまで付いている1冊本を、 それ自体を、そういう形のアイドルグッズとして持っているのが嬉しいんだよ。 百恵ちゃん映画の原作には、そこまでしている本は少ない。 なにしろ角川映画ブームよりは、ちょっと前で、 そっちとはズレたところでファン層が存在していたから。 (写真アイテムについては「明星」「平凡」が強かったおかげもあるだろう) オレの知っている限りでは唯一、『春琴抄』の角川文庫版だけが 山口百恵・三浦友和の映画スチール写真を表紙にしていて、 それは古本で見つけて持っていますけどね。 あと、角川文庫の『エデンの海』は、 例の「白い水着で馬に乗る百恵ちゃん」のスチール写真が載った本を ずいぶん前に、早稲田の古本屋で安く見かけたことがあって、 かなり破れていたから買わなかったんだけど、 それが表紙カバーに写真を使っていたものだったのか、 あるいは、その写真がオビに使われていただけだったのか、 けっこう昔のことなので、そのへん曖昧になって、忘れてしまいました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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