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石川誠壱の「こちら熟女捜索隊」

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2006.11.10
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カテゴリ:冒険者たち
「よい子の歌謡曲」増刊『ベスト・オブ・岡田有希子』に収録されている拙文
『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの岡田有希子』は、
1987年の1月に書いたものなんですね。

その前年まで、オレは「オリコン・ウィークリー」に
「かわいきゃ許す!」というコラムを月イチで連載していて、
その連載の延長線上にあるもの、として、
オレは『ベスト・オブ・岡田有希子』の原稿を書きました。

1986年11月に発表した「かわいきゃ許す!」の第13回は、
松本典子についての話で、
タイトルが『典ちゃん迄ハ何哩』としてあった。

『極楽迄ハ何哩』のモジリです。

橋本治:著『極楽迄ハ何哩』徳間文庫

先に松本典子のことを書いたら、
岡田有希子のことを書いて受けるのが万古不滅の係り結びの法則なので、
『典ちゃん迄ハ何哩』とあわせて、その岡田有希子についての原稿は
『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの岡田有希子』というタイトルになった。

『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』のモジリで。

『極楽迄ハ何哩』のモジリを受けるなら、
むしろ『よくない文章ドク本』のモジリにするべきだったのかも知れない。

岡田有希子事件の性格を考えれば、
『とうに涅槃をすぎて』をモジッたほうが、もっとシックリきますね。

もっとも、オレは、その文中でも「事件」のことには一切触れていない。
そういう種類の回想録だったから。
(だから、オレが、あの「事件」を『殺人事件』であると断じている、
 その視点から『ふしぎとぼくらは』のモジリをタイトルにした…というわけでは、とくにない。)

このタイトルを使おうとオレが決めたのは、
1987年の正月に、『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』を読んでいたからですよ。

もう何度目かの再読。

1983年に単行本が刊行されてから、オレは何度となく通読してきた。
(公式な発売日は「1983年8月31日」となっているが、
 オレは書店に出た当日に急いで買ってきて、そのまま夜更けまで夢中になって読んで、
 おかげでビートたけし主演の「大久保清」ドラマを観逃してしまった…という記憶があるから、
 その日というのは8月29日、ということになる。
 なるほど、オレはフラゲしていたわけか!)

こんなに面白い、複雑巧妙な仕掛けが仕組まれていて、
四方八方あらゆる方向に雑学知識が詰め込まれていて、
天地がひっくり返ったかのような狂論理で成立しているような
怪奇面妖な推理小説は他にはない! と思っていた。

で、そもそも、その1987年の正月には、
まずオレは元日から数日間、休みをベッタリ潰して、
中井英夫の『虚無への供物』を読んでいたんですよ。
講談社文庫の「黒背」で。1巻本で。

虚無への供物
中井英夫:著『虚無への供物』講談社文庫

べつに意図があって、この時期に、この本を読むことを選択したわけじゃないんだけど、
TVで毎週木曜日に『スケバン刑事III』が放映されていて、
「梵字? 不動明王? コンガラ童子にセイタカ童子? 何それ??」と
毎週オレが首を傾げ続けていた、ちょうどその頃に、
たまたま…とは言え『虚無への供物』を読めたのは、
実にナイスなタイミングであったと、今にして思う。

つまり、オレは『虚無への供物』を
「不動明王おもしろハンドブック」として読んでいたわけなんですけどね。
だとすると、これは非常に有用な資料であった。
『スケバン刑事III』の、不動明王の部分について抱いていた謎が、
『虚無への供物』を読むことによって次々と氷解していくのだから。

(だいたい、『スケバン刑事III』そのものも、
 スタッフが『虚無への供物』を参考にして、製作を進めていたのでは…と思えるフシもあった。
 なにしろ、途中に「ケン玉小僧」という少年のキャラクターが登場するのだが、
 脚本の段階で決められていた彼の本名は「ナカイ・ヒデオくん」である。)

もちろん、『スケバン刑事III』のサブテキストとしての価値以上に、
オレは『虚無への供物』という小説に夢中になりましたよ。

こんなに面白い、複雑巧妙な仕掛けが仕組まれていて、
四方八方あらゆる方向に雑学知識が詰め込まれていて、
天地がひっくり返ったかのような狂論理で成立しているような
怪奇面妖な推理小説は他にはない! と思いましたね。

それで、読み終えた後に、
「そういえば、こういう小説は以前にも読んだなあ」と思い出して
ハードカバー単行本の『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』を持ち出してきたんですが
(まだ文庫化される前だった)
これが、もう読めないの! 以前は、あんなに面白く、繰り返し読んでいたのに、
『虚無への供物』を読んでしまった直後には、もう読めなくなっていた。
物足りなくて!!

まあ、「本物には、かなわない」ということなんでしょうかねえ。

そんなことをやっていた、その頃に書いた原稿だから、
『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの岡田有希子』というタイトルが、
自然と出てきたのでしょうな。

だから、そのへんの経緯を何も知らない編集人・加藤秀樹(現・宝泉薫)センセイに、
『ベスト・オブ・岡田有希子』の目次で、オレの原稿のタイトルを

            _
   『ふしぎとぼくらは何をしたらよいかの岡田有希子』

と誤植されてしまっていることも、文句は言えません。

*

『虚無への供物』現行の1巻本はコレ。

中井英夫:著『中井英夫全集(1) 虚無への供物』東京創元社:創元ライブラリ

2巻本はコレ。

虚無への供物(上)新装版
中井英夫:著『虚無への供物(上)』講談社文庫

虚無への供物(下)新装版
中井英夫:著『虚無への供物(下)』講談社文庫





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Last updated  2006.11.10 04:28:05
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