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自分が担当しているわけじゃない作品は、
素直に一読者として楽しく読めるなあ。 夏目漱石:著『坊っちゃん』角川文庫 オレは昨日の朝、 新宿駅西口の小田急デパートの前で、 配本部隊嬢から一般客として創刊号を受け取って、初めて本誌の現物を目にして、 だから、例のセンセイの完成原稿も、そこで初めて読んだことになるわけですが、 思わずデパート前の地面にヘタリ込んじゃいましたよ。 嬉しくて嬉しくて! 最高ですよセンセイ。 これぞプロ。これぞエンターティナー。 表向きのファンと、「裏向きのファン」と、 その両方から自分が何を期待されているのか、 いちばん分かっている人の素晴らしい仕事ですよ。 まさしく、こういう人のことを「スター」と言うんですよ。 センセイのような大スターが積極的に「矢面に立って」くれて、 本当に有難い。 (御本人、矢面に立つのが好きだから、 積極的に矢面に立っているのだ…というのが、さらに最高!) 新創刊雑誌に、もしかしたらセンセイを呼べるかも…と 予想外の大きい話があった時から、内部では一点に固まっていた意見、 「とにかく他には何も望まない。ぜんぶ引き受ける。ぜんぶ覚悟する。 センセイには、ウチの【新庄】になってくれさえすれば、それでいい」という 当方の希望を、完璧に叶えてくださいましたよ。 やっぱりセンセイには、本当に新庄並みの、新庄のポジションが務められるクラスの、 大スターの器があったんですよ。 ほとほと感服いたしました。 もうブラウン管の中で何やってたって、まったく構いません。 * 「独自の新解釈による『坊っちゃん』」といって オレが思い出すのは、この本ですね。 まだ読んでないんだけど。 読みたいんだけど。 小池滋:著『「坊っちゃん」はなぜ市電の技術者になったか 日本文学の中の鉄道をめぐる8つの謎』早川書房 「『坊っちゃん』はなぜ市電の技術者になったか/夏目漱石『坊っちゃん』」 「電車は東京市の交通をどのように一変させたか/田山花袋『少女病』」 「荷風は市電がお嫌いか/永井荷風『日和下駄』」 「どうして玉ノ井駅が二つもあったのか/永井荷風『シ墨東綺譚』」 「田園を憂鬱にした汽車の音は何か/佐藤春夫『田園の憂鬱』」 「蜜柑はなぜ二等車の窓から投げられたか/芥川龍之介『蜜柑』」 「銀河鉄道は軽便鉄道であったのか/宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」 「なぜ特急列車が国府津に停ったのか/山本有三『波』」 ね、面白そうでしょ? まだ地球上にプロローグしか存在しない「サムライの末裔・坊っちゃん」という新解釈も はなはだ今後が楽しみだけど、 『鉄道をめぐる8つの謎』本での『坊っちゃん』新解釈にも、たいへん興味をそそられる。 オレは、その中の1篇である『田園の憂鬱』新解釈だけを アンソロジーで読んで、それが面白かったから、 その本の全体を早く読んでみたくて、単行本を捜しているんですけどね。 有栖川有栖:編『有栖川有栖の鉄道ミステリ・ライブラリー』角川文庫 「青いスパンコール」オースチン・フリーマン/大久保康雄:訳 「地図にない町」フィリップ・K・ディック/仁賀克雄:訳 「メビウスという名の地下鉄」A・J・ドイッチュ/三浦朱門:訳 「高架殺人」ウィリアム・アイリッシュ/村上博基:訳 「4時15分発急行列車」アメリア・B・エドワーズ/泉川紘雄:訳 「泥棒」雨宮雨彦 「江ノ電沿線殺人事件」西岸良平 「0号車」「臨時列車」「魔法」江坂遊 「田園を憂鬱にした汽車の音は何か」小池滋 「箱の中の殺意」上田信彦+有栖川有栖 ↑この収録ラインナップだったら、光ってるのは小池滋だけだよなあ。 * 逆に、ちっとも興味をそそられない、 読んでみたくならない新解釈『坊っちゃん』の本、というのもあるんですよ。 石原豪人:著『謎とき・坊っちゃん 夏目漱石が本当に伝えたかったこと』飛鳥新社 「第1章 名作の裏側には、男色が息づいている」 「第2章 『越後の笹飴』に隠された隠微な暗示」 「第3章 校長以外、なぜ全員が独身なのか」 「第4章 誰も気づかなかった隠れキャラ」 「第5章 なぜ男3人で釣りにいったのか」 「第6章 土手を逢瀬する男女の意外な正体」 「第7章 三角関係が名作を動かす原動力だった」 「第8章 男の嫉妬が爆発したラスト・シーン!!」 これは、ほんのサワリの部分だけを「クイックジャパン」誌上で読んでいるけど、 もうそれだけで、お腹いっぱいでしたね。 それ以上は、要りません。 石原豪人先生がスターではない、とは思わないけど、 この最晩年に遺した『謎とき・坊っちゃん』だけは、いただけませんでした。 それを読むぐらいなら、 いま現役の大スターであるセンセイの、現在進行形の作品に注目したほうがいいですよ。 (ある程度の覚悟はしてるんだけど。それも引き受けるつもりではいるんだけど。) ちなみに大スターの『坊っちゃん』が、 今回のプロローグの次に掲載されるのは、6週間ぐらい先の号で、 もう今からバラしてしまいますが、それは漫画ではありません。 ↓この人と、大スターとの対談ページになります。 夏目房之介:著『漱石の孫』新潮文庫 その対談を挟んで、その次の号からは、ようやく毎号連載になる…というまでの予定が、 現在のところ決まっております。 (決まっているけど、覚悟もしてますよ。ぜんぶ引き受けますよ。) * 【追記】 小池滋センセイの本は、文庫化されました! 小池滋:著『「坊っちゃん」はなぜ市電の技術者になったか』新潮文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.01 04:14:00
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