石川誠壱の「こちら熟女捜索隊」

　薬師丸ひろ子『GOLDEN☆BEST』
「セーラー服と機関銃」
「探偵物語」
「すこしだけ やさしく」
「メイン・テーマ」
「Woman」
「あなたを・もっと・知りたくて」
「ステキな恋の忘れ方」
「紳士同盟」
「時代」
「元気を出して」
「語りつぐ愛に」
「天に星. 地に花.」
「ささやきのステップ」
「２×２　Two by two」
「Windy Boy」
「100粒の涙」
「瞳で話して」
「手をつないでいて」
「A LOVER'S CONCERTO」

薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』が、
ややこしいのは「キティ版」と「東芝EMI版」があることなんですね。

歌手・薬師丸ひろ子のデビュー曲である『セーラー服と機関銃』は、
キティレコードからシングルが出て、大ヒットした。
映画も大ヒットした。
伊藤かずえと舞台挨拶にも立った。
で、そのまま薬師丸ひろ子本人は、休業してしまった。

休業明けの『探偵物語』からは、
薬師丸ひろ子は東芝EMIに移籍していて、
そのまま、ずっと東芝の所属。
東芝から出ているベストアルバムにも『セーラー服と機関銃』は入っているけど、
それは新しくアレンジし直されたものなんですよ。

薬師丸ひろ子の休業期間中、
キティは大ヒット曲の余韻が残っているうちに、
まだ続けて商売をしたかったんだけど、
もう本人は、そこにいませんからね。
続けて発売できる音源が何もない。
シングルのＡ・Ｂ面『セーラー服と機関銃／あたりまえの虹』と、
映画のサントラ盤しかない。

だから『セーラー服と機関銃』だけで、売れるだけ売らなきゃいけない。

来生たかおの『夢の途中』とカップリングさせたシングルを出したり、
『翔んだカップル』のサントラ盤と抱き合わせでＬＰを発売してみたり…。

ひょうたん三銃士『センセーショナルHIROKO』というのも、
そうした苦肉の策の一環で、
薬師丸ひろ子本人が映画のプロモーションに動いてくれなかったから、
代わりに宣伝活動を務めてもらった…ということなんですが、
（最近でも、芸人が映画の「宣伝隊長に任命される」みたいなことは
　洋画のほうでは、よくありますよね。そのハシリ。）
これはキティレコードではなく、東芝EMIから出たシングルだった。
その縁で、休養明けの薬師丸ひろ子が東芝に移った…ということではないと思うけど。

　※「ひょうたん三銃士」は柳沢慎吾、光石研、岡竜也（２代目「ケンちゃん」岡浩也の弟）。
　　オレは、柳沢慎吾さんとはお会いしたことはないんですが、
　　光石研さんとは『盗写１/250秒』で御一緒しております。
　　上司の夏木マリや宇崎竜童に怒られてばかりいる、
　　写真週刊誌編集部の若手記者３人が、
　　オレと、光石研と、『たみちゃん』の「かけそば君」（東京ボードヴィルショー・大久保了）。
　　つくづく、トリオに縁がある人なんだなあ。

で、ともかくキティレコードでは、
薬師丸ひろ子の「ベスト盤」というものは製作できないんですよ。
シングルＡ・Ｂ面の２曲しかないから。

薬師丸ひろ子のベストアルバムを作るのは、
それは東芝EMIの仕事で、
そして、東芝EMIには、アレンジし直した『セーラー服と機関銃』があるので、
キティ版の『セーラー服と機関銃』を、わざわざ収録しようとしなくてもいい。
つまり、東芝EMI版の『セーラー服と機関銃』も、
これまで数々のベスト盤に収録されてきたことによって、
すっかり「オリジナル」として流通してしまっているんですね。

だから多くのオムニバスＣＤの中に入っている『セーラー服と機関銃』にしたって、
それがキティ版なのか、東芝EMI版なのか、
実際に聴いてみなくちゃ分からないんですよ。

「映画主題歌」で「原曲」ということに、どうしてもこだわるなら
（こだわりたいね～。）
キティ版こそが『セーラー服と機関銃』のオリジナル。

でも、それが確実に入手できるＣＤというのは、
たぶん今では、↓このＣＤシングルだけなんでしょうね。

　薬師丸ひろ子『セーラー服と機関銃』
「セーラー服と機関銃」
「あたりまえの虹」

*

【追記】

薬師丸ひろ子の休業期間中には、
コロムビアレコードも、こんな便乗アルバムを出していますね。

　薬師丸ひろ子『青春のメモワール』
「プロローグ」
「映画『野性の証明』オーディション」
「　　　　　　　　　シーン18」
「　　　　　　　　　シーン53、77」
「　　　　　　　　　シーン84」
「　　　　　　　　　シーン155」
「ボーイズ」
「守ってあげたい」
「映画『ねらわれた学園』シーン81、99」
「　　　　　　　　　　　シーン104」
「セーラー服と機関銃（夢の途中）」
「モノローグ ～手紙」
「エピローグ」

『翔んだカップル』と『セーラー服と機関銃』のサントラは
キティに押さえられていたけど、
コロムビアは『野性の証明』と『ねらわれた学園』のサントラを確保していたから、
こういうものを作ることができたんでしょう。

もっとも、ここに入っている『セーラー服と機関銃』なんて、
キティ版でも東芝EMI版でもないんでしょうね。
たぶん、おそらく、インスト。