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石川誠壱の「こちら熟女捜索隊」

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2007.08.22
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カテゴリ:ああ編集会議
ポプラ社の【少年探偵・江戸川乱歩全集】は、
かつては全46巻で出ていたんですが、
現行の【少年探偵・江戸川乱歩全集】では全26巻になってしまっている。

今では抹殺されてしまった20巻分というのが、
つまり、それこそが
「オトナ向けの小説を、後輩の作家(主に「氷川瓏」という人)が
 無理に子供向けにリライトしたもの」
なんですね。

『黄金仮面』(原作:『黄金仮面』)
『呪いの指紋』(原作:『悪魔の紋章』)
『魔術師』(原作:『魔術師』)
『大暗室』(原作:『大暗室』)
『赤い妖虫』(原作:『妖虫』)
『地獄の仮面』(原作:『吸血鬼』)
『黒い魔女』(原作:『黒蜥蜴』)
『緑衣の鬼』(原作:『緑衣の鬼』)
『地獄の道化師』(原作:『地獄の道化師』)
『影男』(原作:『影男』)
『暗黒星』(原作:『暗黒星』)
『白い羽根の謎』(原作:『化人幻戯』)
『死の十字路』(原作:『十字路』)
『恐怖の魔人王』(原作:『恐怖王』)
『一寸法師』(原作:『一寸法師』)
『蜘蛛男』(原作:『蜘蛛男』)
『幽鬼の塔』(原作:『幽鬼の塔』)
『人間豹』(原作:『人間豹』)
『時計塔の秘密』(原作:『幽霊塔』)
『三角館の恐怖』(原作:『三角館の恐怖』)

乱歩本人がリライトしているわけじゃないから、
この20冊は乱歩の全集にも収録されておらず、
古いポプラ社版【少年探偵】シリーズを捜してこない限り、
もう読めなくなってしまっている。

そうすると、これからの若い世代には、
「からだに貼り付いた、はだ色のタイツ」に
フェティシズムを感じる者、というのが
現われてこなくなってしまうのだろうか。

それは寂しいなあ。

*

彩野華羅サンが手に持っている本の『白い羽根の謎』が、
「お母さんみたいで懐かしい」と憧れるだけの話、というものですね。

江戸川乱歩:著『少年探偵・江戸川乱歩全集(38) 白い羽根の謎』ポプラ社

原作の「男が人妻と不倫する物語」というのは『化人幻戯』です。

江戸川乱歩:著『化人幻戯』春陽文庫

*

悪党に誘拐された美女が全裸にされている、というのは
言うまでもなく『黒蜥蜴』。

江戸川乱歩:著『黒蜥蜴 他一編』春陽文庫
「黒蜥蜴」
「湖畔亭事件」

オレは本で読むより先に、
ラジオドラマで『黒蜥蜴』を聴いて、興奮したものですよ。
たしか『宵の口ワイド』の『キリン・夜の図書館』。

これが、リライト版の『黒い魔女』になると、
美女は「はだ色の全身タイツ」を着せられてしまうことになる。

江戸川乱歩:著『少年探偵・江戸川乱歩全集(33) 黒い魔女』ポプラ社

乱歩の書いた原作じゃなくて、
そのポプラ社版で『黒蜥蜴』を読んで、もっと興奮したよ。

*

あと、『影男』にも、人魚のような美女軍団が現われて、
岩場の上で男の身体を洗ってくれたりしますよね。

江戸川乱歩:著『影男』春陽文庫

オレは『影男』は、ポプラ社のリライト版でしか読んでいなかったから、
「はだ色の水着を着た人魚たち」というイメージが、
なんとエロいのだろう、なんとフェティッシュなのだろう、と、
ず~っと興奮していた。

江戸川乱歩:著『少年探偵・江戸川乱歩全集(36) 影男』ポプラ社

ごく最近になって、原作の『影男』を読んでみたんですが、
人魚の皆さんは、やっぱり全裸だったんですね。

それに、ちっとも興奮しなかったのは、
オレが無駄に年齢を重ねてしまっただけではないような気がする。

全裸の女体よりも、
肌色の薄い布に包まれた女体のほうにエロスを感じるように、
インプリンティングされてしまっているせいだと思う。
乱歩リライト版の少年探偵小説によって。
主に、「氷川瓏」という人によって。

氷川瓏センセイは、オレのフェティシズムの師匠だ!

姪っ子が、ひかわ玲子だ!

*

【追記】

子供向けの作品だから、全裸の美女を出すのを遠慮して、
肌色の全身タイツを着せた…という消極的なフェティシズム構造なのが、
リライト版の乱歩。

しかし、世の中には、もっと積極的に、
マジでオトナ向けのエログロ猟奇探偵小説として、
全身タイツ美女が登場する作品もあるんですよ。

本当にタイツフェチの、マニアな悪党がいて、
誘拐した美女が眠っているうちに、いったん全裸にしておいてから、
さらに手間をかけて、黒い全身タイツを着せて、目覚めるまで待っている。

ハッと気がついた美女が、
いつの間にか自分が全身タイツを着せられていることを知り、
「ああ、全裸にされるより恥ずかしい…」とガクンと堕ちる。
もう、そこからは悪党の言いなり。

まさにタイツフェチによる、タイツフェチのための小説ですよ!

それが、↓コレです!!

横溝正史:著『三つ首塔』角川文庫

横溝正史は、本当にフェチの心を理解し尽くしていて、
真剣な気持ちでエログロ小説の書ける作家なのだ、と知ってしまったら、
その後輩の才能には、さすがの乱歩も嫉妬するだろうし、
絶望して筆を折りたくもなるんじゃないでしょうか。

(しかも横溝正史は、フェチや美少年モノばかりじゃなくて、百合まで得意なんだから。
 百合小説の適性だけは、まったく乱歩には無いものですからなあ。)





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Last updated  2007.08.22 22:19:49
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