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ポプラ社の【少年探偵・江戸川乱歩全集】は、
かつては全46巻で出ていたんですが、 現行の【少年探偵・江戸川乱歩全集】では全26巻になってしまっている。 今では抹殺されてしまった20巻分というのが、 つまり、それこそが 「オトナ向けの小説を、後輩の作家(主に「氷川瓏」という人)が 無理に子供向けにリライトしたもの」 なんですね。 『黄金仮面』(原作:『黄金仮面』) 『呪いの指紋』(原作:『悪魔の紋章』) 『魔術師』(原作:『魔術師』) 『大暗室』(原作:『大暗室』) 『赤い妖虫』(原作:『妖虫』) 『地獄の仮面』(原作:『吸血鬼』) 『黒い魔女』(原作:『黒蜥蜴』) 『緑衣の鬼』(原作:『緑衣の鬼』) 『地獄の道化師』(原作:『地獄の道化師』) 『影男』(原作:『影男』) 『暗黒星』(原作:『暗黒星』) 『白い羽根の謎』(原作:『化人幻戯』) 『死の十字路』(原作:『十字路』) 『恐怖の魔人王』(原作:『恐怖王』) 『一寸法師』(原作:『一寸法師』) 『蜘蛛男』(原作:『蜘蛛男』) 『幽鬼の塔』(原作:『幽鬼の塔』) 『人間豹』(原作:『人間豹』) 『時計塔の秘密』(原作:『幽霊塔』) 『三角館の恐怖』(原作:『三角館の恐怖』) 乱歩本人がリライトしているわけじゃないから、 この20冊は乱歩の全集にも収録されておらず、 古いポプラ社版【少年探偵】シリーズを捜してこない限り、 もう読めなくなってしまっている。 そうすると、これからの若い世代には、 「からだに貼り付いた、はだ色のタイツ」に フェティシズムを感じる者、というのが 現われてこなくなってしまうのだろうか。 それは寂しいなあ。 * 彩野華羅サンが手に持っている本の『白い羽根の謎』が、 「お母さんみたいで懐かしい」と憧れるだけの話、というものですね。 江戸川乱歩:著『少年探偵・江戸川乱歩全集(38) 白い羽根の謎』ポプラ社 原作の「男が人妻と不倫する物語」というのは『化人幻戯』です。 江戸川乱歩:著『化人幻戯』春陽文庫 * 悪党に誘拐された美女が全裸にされている、というのは 言うまでもなく『黒蜥蜴』。 江戸川乱歩:著『黒蜥蜴 他一編』春陽文庫 「黒蜥蜴」 「湖畔亭事件」 オレは本で読むより先に、 ラジオドラマで『黒蜥蜴』を聴いて、興奮したものですよ。 たしか『宵の口ワイド』の『キリン・夜の図書館』。 これが、リライト版の『黒い魔女』になると、 美女は「はだ色の全身タイツ」を着せられてしまうことになる。 江戸川乱歩:著『少年探偵・江戸川乱歩全集(33) 黒い魔女』ポプラ社 乱歩の書いた原作じゃなくて、 そのポプラ社版で『黒蜥蜴』を読んで、もっと興奮したよ。 * あと、『影男』にも、人魚のような美女軍団が現われて、 岩場の上で男の身体を洗ってくれたりしますよね。 江戸川乱歩:著『影男』春陽文庫 オレは『影男』は、ポプラ社のリライト版でしか読んでいなかったから、 「はだ色の水着を着た人魚たち」というイメージが、 なんとエロいのだろう、なんとフェティッシュなのだろう、と、 ず~っと興奮していた。 江戸川乱歩:著『少年探偵・江戸川乱歩全集(36) 影男』ポプラ社 ごく最近になって、原作の『影男』を読んでみたんですが、 人魚の皆さんは、やっぱり全裸だったんですね。 それに、ちっとも興奮しなかったのは、 オレが無駄に年齢を重ねてしまっただけではないような気がする。 全裸の女体よりも、 肌色の薄い布に包まれた女体のほうにエロスを感じるように、 インプリンティングされてしまっているせいだと思う。 乱歩リライト版の少年探偵小説によって。 主に、「氷川瓏」という人によって。 氷川瓏センセイは、オレのフェティシズムの師匠だ! 姪っ子が、ひかわ玲子だ! * 【追記】 子供向けの作品だから、全裸の美女を出すのを遠慮して、 肌色の全身タイツを着せた…という消極的なフェティシズム構造なのが、 リライト版の乱歩。 しかし、世の中には、もっと積極的に、 マジでオトナ向けのエログロ猟奇探偵小説として、 全身タイツ美女が登場する作品もあるんですよ。 本当にタイツフェチの、マニアな悪党がいて、 誘拐した美女が眠っているうちに、いったん全裸にしておいてから、 さらに手間をかけて、黒い全身タイツを着せて、目覚めるまで待っている。 ハッと気がついた美女が、 いつの間にか自分が全身タイツを着せられていることを知り、 「ああ、全裸にされるより恥ずかしい…」とガクンと堕ちる。 もう、そこからは悪党の言いなり。 まさにタイツフェチによる、タイツフェチのための小説ですよ! それが、↓コレです!! 横溝正史:著『三つ首塔』角川文庫 横溝正史は、本当にフェチの心を理解し尽くしていて、 真剣な気持ちでエログロ小説の書ける作家なのだ、と知ってしまったら、 その後輩の才能には、さすがの乱歩も嫉妬するだろうし、 絶望して筆を折りたくもなるんじゃないでしょうか。 (しかも横溝正史は、フェチや美少年モノばかりじゃなくて、百合まで得意なんだから。 百合小説の適性だけは、まったく乱歩には無いものですからなあ。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.08.22 22:19:49
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