2007年のマーケット
2007年は緩やかながらも実質円安の修正が進み、政策金利は引き上げられるものの長期金利は上がりにくく、株価が米国ともども堅調に推移する年と位置付けられるのではないかと思われます。■印象ほどは悪くない2006年の株式市場 今年の東京市場を振り返る時、市場関係者の多くは「停滞・低迷」の年と認識されているのではないかと思われます。しかし、視点を変えて年単位で株式市場を見てみると、違った姿が見えてきます。下記は昨年と今年の日経平均株価の年間の高値・安値・平均値等です。 高値 安値 変動幅(変動率) 平均値 上昇率2005年 16,344 10,825 5,518(44.4%) 12,422 11.12006年 17,563 14,218 3,344(20.8%) 16,055 29.2(注)変動率は変動幅/平均値。上昇率は平均値の前年比。2006年は12月8日まで。 昨年が年末に向かって株価が大きく買われたのに対し、今年は株価の上昇が春で終わり、12月まで高値を更新できなかったことが印象の悪さにつながっていると思われます。実は今年は変動率こそ小さかったものの、年間平均の上昇率は30%近く、前年の上昇率を大きく上回っています。しかも4月高値までの1年の上昇率は10年に一度あるかないかというほどの大幅なものでした。今年の高値をつけた4月の月間平均の前年同月比の上昇率は51.2%と大幅なものでした。この月間平均の1年前比が50%を超えるのは滅多に起こることではなく、過去40年をさかのぼっても1972~3年・1987年・2004年の3例しかありません。滅多に起こらないほどの上昇率ということは相場が過熱したことの証でもあり、その後の直近までの保ち合い相場というものは「宴の後」であることを考えれば、ある意味当然なのかもしれません。■注目したい11月第4週(20日~24日)の動き 11月第4週はすべての投資主体が買い越しました。1996年9月に現在の形態での発表になってからでは初めてのことのようです。これは(その時点で)指数先物と現物が逆ざやになっていたことから裁定の解消売りが進み、この自己の裁定解消売りを全員で買ったというシンプルな構図であります。この週は内部指標は「売られ過ぎ」を示唆しており、日経平均株価は15,700円台、TOPIXは1,530ポイント台でした。 ここでの重要なインプリケーションは国内勢全員が買い越したということです。国内勢が大きく買い越しに転じる時こそ、株式市場は大相場になるというのが経験則です(参考までに相場が長期間低迷していた1991年~2002年の間で外国人が売り越したのはわずかに98年と00年の2年だけです。他の年はすべて買い越しです。外国人が買えば相場が上がると考えている人が多いようですが、必ずしもそうではないのです)。もちろん国内勢に外国人が加わるということになれば、鬼に金棒ですが。 わずかに1週間の出来事を象徴的に捉えるのは行き過ぎかもしれませんが、株価の再スタート時のこの動きは先行きを示唆しているものと考えます。今年11月までの実績で国内勢では事業法人(1兆9,250億円)と投資信託(1兆8,496億円)が大きく買い越しています。これらの投資主体は引き続き来年も期待できると考えられ、鍵を握るのは今年株価下落の痛手から市場内でのプレゼンスを大きく落とした個人投資家の復活だろうと思われます。 4月高値からちょうど9ヶ月が経過しました。足元の景気指標は必ずしも良くありませんが、市場コンセンサスどおり来年後半に復調ということを前提にするならば、日経平均株価は来年の早い時期に今年の高値(17,563円)を更新し、19,000円台をトライする年と考えます。(マーケットアナリスト:貴浩志)