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2006年01月01日
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(2)バリュー株(割安株)投資 例)帝国繊維(3302)

 もともと、のんびり分散投資して「気がついたら儲かっていた」という状態を目指していたわけでした。先の、ツムラは情報の解釈と投資が上手く噛み合った例でしたが、投資する時点ではツムラに全額を投資してもいいというほどの自信があったわけではありませんし、ツムラと同程度に有望だと思えるような銘柄を他に何個も同時に見つけていたわけではありません(言い訳すると、仕事もちょっと忙しくなっていました)。分散投資した状態を作るためには、どうしても「そこそこに、いい」という程度の銘柄も探さなければなりません。
 例に挙げる帝国繊維は、主に麻の繊維で消防用のホースなどを作っている、敢えて言えば防災関連にウェイトのある会社ですが、率直に言って、私はどんな会社なのか今でも詳しくは知りません。

第二回 図6

 この会社の株を買ったのは、2003年の夏だったと思いますが、当時の株価350円前後に対して予想一株利益が40円台前半で(1)PERが8倍程度と割安、(2)一応来期は増益見通し、(3)有利子負債が総資産の十数パーセントと財務的にも安定している、出来高が乏しく(4)少なくとも当時市場では注目されていない、といった望ましい属性を備えていました。地味で割安で時価総額の小さな株といった条件で、インフォシークで検索して出てきた何十銘柄かを、会社四季報のCD-ROMとインターネットの情報を見ながら選んでいたら、何となく引っ掛かってきて、素晴らしいとも思えないのだけれども、そこがまた好もしい、といった理由で我がポートフォリオに入れることになりました。
 結局、つい先日、全銘柄を現金化するまでポートフォリオの中に放って置いたのですが、図6を見るとお分かり頂けるように、最高値では売れませんでしたが、495円で売ることができました。達成感はあまりありませんが、投資としては成功でした。
 これらの条件の中で、割安株投資を行う上で私が重視しているのは、主に(1)と(4)です。 活発に取引されていて、多数のアナリストがフォローしているような銘柄にあっては、情報に対する注目度が高く、情報と株価の関係の解釈で他の投資家に対する優位を作るのは骨が折れるように思います。マーケットの注目やトレンドの「逆に張る」というのはかなりのガッツがいりますが、少なくとも「スポットライトを避ける」という感覚、いわば「裏に張る」という感覚が有効なことが多いと思います。
 割安株投資は、比較的ゆったりと投資できるので、資産形成のために株式投資を行いたいアマチュア投資家に向いています。株価の評価の仕方や、銘柄の見つけ方については、いろいろな方法があるので、何れ、このホームページででもご紹介しましょう。


(3) イベント投資 例)三菱商事(8058)

 最後にご紹介するのは、割合最近の事例です。
 名実共に「火の車」というべき三菱自動車の事件はとんでもない話で、三菱商事OBでもある私としては、 三菱グループは、このような会社をなぜ支援するつもりなのかと、大いに腹を立てていました。
 しかし、グループの結束が堅い(ネガティブな堅さだと思いますが)と見えて、三菱自動車への三菱グループ御三家(三菱重工、三菱東京FG、三菱商事)を巻き込んだ支援策が決まりました。 すると案の定、この支援策は、これらの会社の業績の足を引っ張るだろうとして、株価は大幅に下落しました。
 当時、私個人としては、予想どおりという気分に近かったのですが、商品相場が高かったこともあって商社株が気になっており、かつて勤めていた三菱商事の株価を見るうちに、もしかするとこの株価は下げすぎではないか、ということに気が付きました。
 1200円を越えて堅調(「堅調」。漢字で書くともっともらしいのですが、怪しいものをもっともらしく表現する危険な単語です)に推移していた三菱商事の株価は、200円以上下落して、最悪時には1000円を割り込む局面もありました。 この間にも、三菱自動車は、新たに虚偽の事実を糊塗していることが判明したり、車が火を噴いたというニュースが流れたり、散々な状況であったことはまだ記憶に新しいところでしょう。
 ところが、当時の会社四季報を見ると、三菱商事は三菱自動車の約5.1%の株主であり、一連の三菱自動車の株価が大幅に下落する前の時価総額約6000億円に対して評価しても300億円に過ぎません。 たとえば、これがゼロになって、支援した100億円が更にゼロになっても、1000円台前半の三菱商事の時価総額1兆6000億円に対しては、2.5%程度の損害でしかありません。 もちろん、本当に三菱自動車が倒産するようなことになれば、取引に伴う損失や、それまでに更に支援が行われる可能性などもあるのですが、その時点ではそこまで将来を織り込むのはさすがに早過ぎると思いました。
 「時価総額の2.5%程度」ということは、当時の1000円台前半の株価に対しては27円くらい、その他の要因を厚めに見積もっても30円くらいのインパクトしかないわけで、200円以上の下げは下げ過ぎです。 しかも、その間、三菱商事の業績に影響しそうなファクターでネガティブなものは無かったので、「これはチャンスかも知れない」と思って、1029円で1000株買ってみることにしました。
 その後の株価の推移は図8の通りで、結局、12月に入ってから1300円と少々で売却したわけですが、上手く行きました。

第二回 図7

 この例は、イベント投資としてはやや例外的かも知れませんが、合併、分割、大損、大儲け、その他「それ以外のファクターが概ね不変な時に、短期的に変化したイベントの効果を評価する」ことによって、市場のミスプライスを見つけることができることがあります。 企業関連のニュースは「まず時価総額、次に株価に換算して評価するとどうなるか?」という視点で見ると投資のヒントになることがあります。

■ おわりに

後半は、少し具体的な話をしましたが、いかがだったでしょうか。ここで、念のために一言注意を申し上げておきます。まず、ここに取り上げた事例は「過去に良いと思って投資したら、結果的にも良かった」という話を、投資の方法を説明するために紹介したものであって、ツムラ、帝国繊維、三菱商事(もちろん三菱自動車も)などの名前を挙げた個別銘柄について「これからでも買うといいよ」という推奨をしているわけではありません。 この点はくれぐれも誤解の無いようによろしくお願い致します。
 それでは、「今なら何を買えばいいのか?」という話については、私はお答えする積もりはありません。一つには、そこまで教えるに足る報酬を頂いていないということもありますが、もう一つは、現在の日本の株式投資に関する社会的文脈は、まだ個別銘柄の良し悪しを単なる意見として面白くやり取りするところまで成熟していないと思うからです。将来方針を変える事があるかも知れませんが、当面は、我慢して下さい。
 今回ご紹介したテクニックは、何れも基本的なものですが、応用が利く方法なので、是非ご参考にしてみて下さい。





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最終更新日  2006年02月08日 00時12分02秒
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