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2006年01月01日
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2005年3月18日

■金投資・外貨預金・プライベートバンクなどの問題点

 生活も海外に移すことを想定するなら話は多少変わりますが、日本国内で日本の法律に従って生活する場合、運用上有利かどうかは別として、元本と利息の安全性に関しては、国債ないし国が保証する債務に勝るものはありません。
 たとえば国際的に活動する超優良企業の社債であっても、国内の居住者が保有して、将来これを換金して使うことを考えると、その時点での通貨としての円や円預金などの信頼性に依存するので、国債よりも安全ということは考えられません。また、海外の資産を将来日本国内で使おうとすると、やはり日本の法律の支配下に入るので、たとえば日本国内で資産を引き出した時に課税の対象になる可能性があります。  
 日本の財政赤字は大きいし、政府も頼りなく見えるし、という点はもっともなのですが、法律も言語もよく分からない外国のプライベートバンクなどを紹介者経由の情報だけでどうして信用できるのかは不思議です。外国(人)に対する劣等感の表れのような感じがして些か情けなく思います。
 さて、経済危機の不安に対する対策を謳った商品には多くのバリエーションがありますが、主なものの難点を指摘します。

(1)金投資:
・保有していても、これは資本の提供ではないから金利も配当もないので、長期運用には不向きです。
・大きな価格リスクがあり、売り買いの際に手数料や売買値差がコストとして掛かります。
・しかも、盗難のリスクがあり、保管のコストが掛かります。

(2)外貨預金:
・為替リスクが大きな問題です。
・為替の手数料もあれば、預金金利は市中金利よりもかなり低いといった実質手数料の大きさも問題です。
・国内にある銀行(外銀を含む)の外貨預金は日本の法律に従うので、資産課税の対象になり得ますし、しかも預金保険の対象にはなりません。
・外国の銀行口座にある預金は国内での大口引き出しが困難です。
・名目上の金利が高いからといって期待リターンが高いとは限りません。

(3)プライベートバンク(国内・海外とも):
・何といっても手数料が高い(表面の手数料の他に、紹介する投資商品のマージンがおしなべて大きいと思います)。
・顧客の側でもあれやこれやと手間が掛かります(信用させるテクニックの一つのようですが)。
・外国語かつ海外の法律に基づく契約書について自信を持って判断することが難しい(紹介業者任せでは心配になりませんか?)
・プライベートバンクの信用度をどのように確かめればいいのかが難しいことも問題です(自信を持てる根拠はありますか?)。
・紹介する商品(たとえば海外籍ファンド)は多くが、複雑な仕組みで(実質的な手数料を隠すために)、高手数料です。

(4)海外籍のファンド(ヘッジファンドなど):
・ファンドの手数料が高く且つ多くの場合不透明です(特に「成功報酬」と「ファンド・オブ・ファンズ」に注意してください)。
・ファンドの仕組みが複雑です。
・ファンド資産の保管に関する複雑さも問題(配当が入金しない場合などに、自分で解決できますか?)。
・運用者の信用度の確認が難しい。
・解約換金の手続きが時に難しい。
・営業担当者の信頼度確認の難しさもあります(担当者が居なくなってもファンド資産は守られて、自由に換金できるでしょうか)。

(5)内外の不動産投資:
・不動産自体に大きなリスクがあります。
・業者の大きな手数料があり、これは大きなマイナスリターンです(マンション投資の場合、一般的な物件で仕入れ価格に対して3割程度の粗利が乗っていると言われています)。
・将来の管理の難しさ。
・将来の建物の老朽化と修繕のコスト。
・将来の家賃収入が確実にあるかどうかも問題です。
・換金の際に流動性が乏しい点も欠点です。

 どの商品も、一般的な運用として手数料等を評価するとかなり不利であり、これを資産防衛に対するコストと考えても、経済危機の確率を考えると割に合いません。

■対策の王道は個人向け国債&株式投資

 もちろん、日本(政府)が破綻しそうだとか、ハイパーインフレになりそうだ、とかいった事態には、金融的選択の損得が大きく変わるでしょうが、これらは、今のところ起こる確率が小さいし、起こるとしてもいきなり起こるわけではありません。
 巨額の個人資産(たとえば100億円以上)をお持ちの方が、損を承知でより強度の安全(将来、日本が無くなっても悠々暮らせるくらいのレベルの安全)を求めるようなケース以外の、普通の個人の、ペイオフ完全解禁後の資産運用の指針について、「無難な方法」を説明しておきましょう。
 普通の家計の場合、当面必要なお金はたぶん預金保険でカバーされる1000万円以内で済むケースが多いと思います。それ以外のお金については、現時点では、リスクを取らない部分は個人向け国債、リスクを取る部分は分散投資された日本株、という考えでいいと思います。これ以外の、投資信託、変額保険など、売り手の手数料が大きな商品を買うのは無駄ですし、外貨預金や債券、ましてデリバティブ商品などで、「うまい話」はありません。要は、業者が勧める商品は気にしなくていいということです。
 将来も日本で生活する限り、預金保険の対象となる金額は預貯金でいいでしょうし、これを超える金額は、有利不利に関する判断が時々で多少変わるとしても、資産保全の観点では個人向け国債よりも安全且つ有利な資産は現在見あたりません。
 個人向け国債が有利な点は以下の通りです。まず、実質的に半年の金利リスクで将来の金利上昇にも強く、金利が長期国債利回りを基準に有利に決まっています(半年定期預金の金利よりも遙かに高い)。しかも、信用リスクは国債並みで、加えて、直近二回分の利払いを放棄すれば元本満額で換金できるなど、いざという時の流動性にも問題がありません。現在、一口1万円で売られていますが、もしも機関投資家が買えるなら、一口が1万100円でも買うのではないでしょうか。他の金融商品との比較でももちろん、プロが参加するマーケットの条件と比べても異様に有利です。 
 リスク資産部分の運用に、現在日本株がいいのではないかと考える理由は、別の機会にでも詳しく説明したいと思いますが、簡単にいうと、株価水準が「まあまあ適当」であると思われること、 将来の支出が円なら円建ての資産はリスクが小さいこと、売買手数料が下がり、また投資単位も引き下げられたことで、個人の資産でも有効に分散投資できるようになったこと、が理由です。さらに、上場商品で手数料が明快なので、金融業者の中抜きを心配する必要がない透明性に、株式投資自体が楽しいということも付け加えておきましょう。
 なお、これも別の機会に説明したいと思いますが、かつて私は、日本株のリスクを取る無難な手段として、TOPIX型のETFをお勧めしていましたが、これからは「浮動株指数化」を控えており、これに伴ってインデックス運用の投資家が損をする可能性が大きく、お勧めできません。数銘柄に分散投資できるなら(上手にやればという条件付きですが)、個別株投資で十分です。


■セールスに引っ掛かる側の心理を知ろう

 「預金封鎖」といった危機話には独特の刺激とリアリティーがあり、ある種のエンタテイメントとして楽しめる要素もありますが、これを売り手側利益の大きな金融商品のセールスに使おうとするのはいささかたちが悪いと言っていいでしょう。
 しかし、まず不安を喚起しておいて、それから商品やサービスを売り込むというのは、セールス勧誘の常套手段なので、セールスする側の文脈(危機が来ないと、「絶対に」言えますか、等)ではなく、自分の側の客観的な損得のフレームワークに移し直して物事を判断することが重要です。いったん不安が喚起されると、何かを買うと気休めになる心理が働き、「何か」をしたくなりますが、ここでプライベートバンクのようなビジネスにハマるようなのでくれぐれもご注意ください。


以上







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最終更新日  2006年02月07日 14時19分22秒
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