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(パターン2)国内株+外国株+新興国株国内株式、外国株式に続く3本目のファンドとして外国債券のファンドは残念ながらあまりいい結果が想定できなかった。では、新興国のファンドはどうだろうか。 新興国株式のベンチマークとしては、MSCI-EMを使った。このインデックスにもETFで簡単に投資することができる。データの採取期間は 1999年2月から2009年7月とした。この月次データ(月末)の原数値(ドル建て)に為替レートを掛けて円建てのリターンを計算した。国内株式、外国株式もデータを揃える必要があるのでTOPIX、MSCI-KOKUSAIの二つの指数についても同期間のデータを採った。 リスクを計算すると、国内株式(TOPIX)のリスクが18.03%、外国株式(MSCI-KOKUSAI)は19.11%、新興国株式(MSCI-EM)が27.05%であった。過去約10年を見ると、TOPIXは昨年来の変動は大きいが、ごく小さなボラティリティーの時期を含んでおり、また日本のバブル崩壊直後(90年代初頭)のデータが外れるので、GPIFベースのデータよりもリスクが小さく出ている。また、新興国のリスクを見ると27.05%という値はやはり大きいなあと思わざるを得ない。長期的には低下が期待できるが、当面のリスクはかなり大きいと認識せざるを得ない。 三指数の相関係数は、日本株・外国株で0.6023、日本株・新興国株で0.6782、外国株・新興国株で0.8769と何れもかなり強いプラスの相関係数が出ている。日本株・外国株の相関係数はGPIFのデータでは0.27だったので、近年両指数の相関が強まっている事が分かる。「世界の株式市場が連動していて、分散投資効果が低下している」とよく言われるが、これを裏付けた形だ。とはいえ、分散効果が「低下している」ことは「なくなっている」ことと同義ではない。 (表3)別データによる国内株と外国株の組み合わせ 新しいリスクのデータで、株式3指数の期待リターンをすべて6%と置いて、さらに債券を持たなくなるくらいリスク資産投資に積極的なリスク拒否度設定にして最適ポートフォリオを計算してみた。すると、今度は、国内株式57%と外国株式43%と、GPIFベースで計算した配分の逆の配分ができ上がった。この場合のリスクは16.58%と計算され、国内株式、あるいは外国株式単独に投資するよりもリスクが小さくなっている。リスク分散効果はある、ということだ。 どちらがいいと決める方法があるわけではないので、読者は迷われるかも知れないが、大雑把には、国内株式と外国株式を概ね半々くらいで投資しておけばいいということだ。このリスクのデータで5:5のポートフォリオのリスクを計算すると16.63%と大きな差はない。 新興国はリスクが大きいので、期待リターンが同じという設定ではまだ入ってこない。 それでは、新興国の期待リターンを8%に上げてみよう。 (表4)新興国の期待リターンを先進国+2%にしてみた すると、新興国の株式が13.51%入ってきた。 新興国に対してはもっと高い期待値を持っている人がいるかも知れないので、もう一つ、同じリスク拒否度の設定で新興国株の期待リターンを10%にしてみたのが次の結果だ。 (表5)新興国株の期待リターンを10%に! さすがに期待リターン10%の威力は大きく、新興国が66%も入ってくる。リスクの値も大きくなって22.4%だ。一方、相関が高くて期待リターンは低い先進外国株(MSCI-KOKUSAI)は入って来なくなってしまう。 新興国の経済成長を評価しないわけではないが、リスクの大きさ(要は新興国株式の不安定さ)から言って、一般的にはお勧めしにくい。 どのくらいが中庸でほどほどなのか、ということを一概には決められないが、最後に国内株式50%、外国(先進国)株式35%、新興国株式15%という組み合わせのリスク値を計算しておこう。 (表6)国内株50%+外国(先進国)株35%+新興国株15% リスク値は17.62%と計算された。新興国株式を15%ほど含むわけだが、全体のリスクは日本株単独に投資するよりも小さくなっていることに注目して欲しい。 全体を振り返ると、日本株と外国株半々という大雑把なポートフォリオの安定性が意外にいい。運用は案外単純でいいということか。しかし、複数の資産に分散することは是非考えてみたい。 新興国に魅力を感じる人は、15%程度なら新興国株式を入れてみても、ポートフォリオ全体の安定性は大きくは損なわれないので、表6のような組み合わせを試してみる手があるのではないだろうか。 以上、あれこれと計算してみたが、ご参考になれば幸いだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年08月21日 17時08分44秒
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