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確定拠出年金と日本版ISA 通称「日本版401k」こと確定拠出年金は、従来の企業年金の運用リスクが企業にとって過大な負担であることもあって近年普及拡大している。読者の中には、確定拠出年金を用意してくれている会社にお勤めの方も少なくないだろう。 また、案外気づかれていないが、サラリーマンであっても、加入しているのが厚生年金のみで、企業独自の加算年金がない場合は、個人として「個人型」の確定拠出年金に加入できる(月額上限2万3千円)。自営業者など、厚生年金に加入していない場合は、もっと大きな金額(月額上限6万8千円)で利用できる。 確定拠出年金は、何といっても掛け金が所得控除できるので、利用可能な枠一杯まで利用することが得になるケースが多いはずだ。確定拠出年金の制度や、確定拠出年金向けに用意されている運用商品には、改善を要望したい点がまだまだあるが、確定拠出年金の節税効果はフルに利用したい多くの人にとって、加入すると得な制度であることを強調しておく。利用が可能なのにまだ使っていない方は、ぜひ調べてみて欲しい。 加えて、もう一つの注目材料として通称「日本版ISA」と呼ばれる仕組みの導入が2012年に予定されている(こちらは英国のIndividual Savings Account:個人貯蓄勘定、に範を取った制度です)。 まだ流動的だが、主な内容は以下の通りだ。
3年で終わり、というのは何とも中途半端だし、年齢や保有資産に関する不平等が大きいので、制度として延長される可能性があるし、そうあってくれることを要望したいが、基本的に一定額(上限300万円)を一定期間(最大10年)運用益に対して非課税で運用できる制度になりそうだ。 ここで注意が必要なのは、確定拠出年金の場合は商品のスイッチングができるが、日本版ISAの場合は保有商品を一度売却してしまうと、その商品分だけ節税運用枠を使い切ってしまうことになって、新たな商品に投資し直しても節税運用枠が復活しないことだ。運用計画を考えるにあたっては、この点に注意する必要がある。 確定拠出年金と日本版ISAの運用上の留意事項 確定拠出年金と日本版ISAの運用上の留意事項をまとめると、以下の通りだ。 ■確定拠出年金
こうした条件を考えるとどのような運用計画が考えられるか。確定拠出年金、日本版ISA、それ以外の自己資金運用のすべてを持てる資産額を持っている人について考えてみる。 最初に決めるべきは、後から変更すると不利な日本版ISA部分だ。 (3)を考えると、内外の債券を(もちろん預金も)日本版ISAで持つのはもったいない。従って、バランス型ファンドも不適当だ。新興国株式はそれ自体としては魅力的だが、(5)を考えると、日本版ISAでは持たない方がいい公算が大きい。残る選択肢は、国内株式と外国株の先進国株式だ。 ずばり結論を言ってしまうと、日本版ISAでは国内株式のインデックスファンド(TOPIX連動型)と先進国株式のインデックスファンド(MSCI竏狸OKUSAIに連動するものが無難)を半々に買うのがいい。毎年50万円ずつ、3年間買うといいということだ。この部分は、基本的に10年間触らない。信託報酬や手数料を考えると国内株式はTOPIX連動型のETFがいいかも知れない(途中償還されると困るので残高の十分あるものを買うこと)。外国株は国内の公募投信で買うか海外ETFで買うかは微妙だ。 次に、確定拠出年金部分を考える。 新興国株式に投資できる商品でいい商品(たとえばMSCI竏脱Mに連動するインデックスファンド)がラインナップにあれば、ぜひ投資したい。なければ、外国株のインデックスファンドがないか探してみよう。確定拠出年金であれば、通常、リテール向けの商品よりも信託報酬が安いことが多いので、この場合は、外国株式に集中したい。 いずれにしても、全体の資産配分をまず決めて、その中のどの部分を確定拠出年金に割り当てるかを考える。 ここまでで、確定拠出年金の利用枠が埋まらない場合、国内株式に投資する商品を加えることになるだろう。確定拠出年金の場合も、原則としてバランスファンドには出る幕がない。外債ファンドが合理的な選択肢になる可能性も小さいだろう。よほどリスク回避的な場合に限って、預金や国内債券が選択肢になる場合はあり得る。 全体の資産配分が前提にあって、最も固定的な部分として日本版ISAへの投資が決まり、次に、節税効果の大きい資産から順番に確定拠出年金の枠を埋めて、最後に、自分で運用する部分を使って、資産配分計画を達成するように調節する、というのが、運用計画全体の流れだ。 あくまでも、自分の運用資産全体を最適化することが肝心であり、この中の「部品」として、日本版ISA、確定拠出年金を使うことが大事だ。 (図)確定拠出年金と日本版ISAがある運用のイメージ
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最終更新日
2010年12月10日 14時09分13秒
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