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演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ×出演:広岡由里子の二人ユニット=オリガト・プラスティコ(この名前に意味はないとのこと)の第4作。
お二人のユニットの公演なのだということを、パンフレットを見るまで知りませんでした。 だからカーテンコールで、最初と最後にお辞儀されていたのですね。 川島雄三監督の大映映画「しとやかな獣」(昭和37年封切)の舞台化で、 私は、映画版はまだ未見なのですが2007年8月、THEATRE1010でやった 高平哲郎演出版は観ました。(違いは後述) ゴーゴー音楽に乗って軽快に疾走するシャープでブラックな悪の感覚。 家族のみんなは悪いことをしているのに、全然悪く感じさせない、妙に前向きな感じ。 何といっても、緒川たまきさんの幸枝が光ってました!! 男たちを翻弄しながら大金を巻き上げて、ちゃんと旅館を開設、 子供を育て、 しかも男たちに金を貢がせながらも、そのそれぞれの関係は その時々では真面目に関係していただろうと感じさせる かわいさ、ある意味での誠実さが伝わってくる おっとりとしてチャーミングで、したたかという キャラクターを見事に作り出しています。 先生の大河内浩さんも物腰の柔らかさや困った感じがとっても良くて 関西弁もぴったり。いつもの刑事ややくざの強硬な体育会系 の男っぽくて「攻める」雰囲気よりも、 こういう文系の弱い役のほうが何倍も面白くて、 良く合っていると思います。 税務署員のペンギンプルペイルパイルズ(pppp)所属、玉置孝匡さんは本当に出番が短くて大変だったのでは? pppp公演とそれ以外でもなぜか観る機会の多い玉置さんですが、 追い詰められてあせる役が最高です。 浅野さんの鋭利なまじめさ、 広岡さんのその場に溶け込んでいるような自然な立たづまい (杉村春子さんのようにみえることも)、 近藤さんも幸恵には真剣に尽くしているし (普段に比べれば結構普通の役だったりする)、 すほうれいこ さんも貢がせてはいても、作家先生のもとにいそいそと戻ったり・・・ みんな悪いことをしているのに、それぞれ、ある意味「まじめに」「前向き」にやっていると感じるのが不思議。 「まじめ」の定義もわからなくなってきます。 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ ▽▽▽▽▽▽▽以下、少しネタバレします▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ ケラ版は、明らかに映画をリスペクトしていて、独白の部分や カーテンにシルエットを映した部分などでも映画のシーンを再現。 (部屋にいきなりあのカーテンはどうかとは思いますが・・・) ラスト、広岡さんだけが先に真実を知ったところで 突き放すように突然終了するところも、もたつかないで、 切れ味鮮やかです。 高平版では映画よりも脚本から再構築した感があって、 うつみ宮土理のキャラクターの強さ、坂本あきらの泥臭い滑稽さ など昭和の演技の雰囲気。 税務署員の顛末もより重く扱い、子役を使って貧乏な時代も実際に演じて、 「家族」「昭和」「団地」を強調していました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■□オリガト・プラスティコVol.4「しとやかな獣」 □■□2009年1月29日(木)~2月8日(日)紀伊國屋ホール(B15) http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/shitoyaka.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演: ★前田時造/前田家の父親(50歳)…浅野和之 ★前田よしの/前田家の母親(40歳)…広岡由里子 ★前田友子/前田家の長女(20歳)…すほうれいこ ★前田実/前田家の長男(18歳)…近藤公園 ★三谷幸枝/ハイライト・プロの事務員(26歳)…緒川たまき ★香取一郎/ハイライト・プロの社長(42歳)…佐藤 誓 ★吉沢駿太郎/流行作家(35歳)、友子の愛人…大河内 浩 ★ピノサク/ハイラト・プロ所属の歌手(35歳)…山本剛史 ★神谷栄作/税務署員(31歳)…玉置孝匡 ★マダムゆき/バークラルテのマダム(32歳)…吉添文子 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■高平哲郎版データ □2007/08/14(火)~2007/08/21(火) 会場:THEATRE1010(東京都) 原作・脚本:新藤兼人 台本・演出:高平哲郎 出演: 前田よしの(母)/うつみ宮土理 前田友子(娘)/山田まりや 前田時造(父)/坂本あきら 前田実(息子)/松田洋治 神谷栄作(税務署員)/清郷流号 香取一郎(芸能プロ社長)/菊地凡平 ピノサク(正体不明のジャズ歌手)/小林のり一 吉沢太郎(小説家)/根本和史 マダムゆき(銀座のクラブママ)/渡辺信子 三谷幸枝(芸能プロ経理)/真琴つばさ ※当時の公演ポスター。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■映画版データ 製作:大映 1962年公開 96分 カラー シネマスコープ 原作・脚本:新藤兼人 台本・演出:高平哲郎 監督:川島雄三 助監督:湯浅憲明=「昭和ガメラシリーズ」! 脚本・原作:新藤兼人 撮影:宗川信夫 音楽:池野成=「電送人間」! 出演: 三谷幸枝/若尾文子 神谷栄作/船越英二 前田友子/浜田ゆう子 香取一郎/高松英郎 実(友子の弟)/川畑愛光 前田時造(友子の父)/伊藤雄之助 よしの(友子の母)/山岡久乃 吉沢駿太郎/山茶花究 歌手ピノサク/小沢昭一 マダムゆき/ミヤコ蝶々 セルDVD: しとやかな獣 VHSパッケージ: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆ 人気ブログランキングへ ☆↑ランキングに参加してます。↑よろしければ1クリック投票いただけると嬉しいです。m(_ _)m PR from 楽天 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2009.02.11 01:17:18
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