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テーマ:報徳記&二宮翁夜話(503)
カテゴリ:報徳記&二宮翁夜話
報徳論
【7】富貴天にあらず分を定め倹を行うに在るを論ず 世俗にいう、 富貴は天に在りと。 これ富貴の由来を知らざるの説のみ。 およそ世人の憂うる所、貧困にあり。 しかしてその貧困のよって来たる由来を知らず。 そもそも大小各分限定めありて、易(か)うべからざるものは、これすなわち天にあり。 しかして貧困はしからず。 人事によって生ず。 何となれば我が国を狭しとして、これを大にせんとするも、四方蒼々たる大海なり。 いずくんぞこれを大にすることを得ん。 これ天分定まりありて人力の及ぶ所にあらざるなり。 一国一郡一邑もまたおのおの大小等しからずといえども、皆ことごとく天分定まりありて動かすべからず。 もし一国を足らずとして、隣国の地を取らばすなわち暴なり。 一邑を足らずとして、他村の地を取らばすなわち掠(りゃく)なり。 一家もまたしかり。 千石の家あり百石の家あり、これ皆天分なり。 その天分に安んぜずして、これを他家に取らばすなわち奪なり。 暴戻掠奪は禽獣の行いにして、いやしくも人のなすべき所にあらず。 世人いたずらに他の富貴を羨み、動(やや)もすれば他に取ってもって我が分を足らんことを謀り、かえってますます貧困に陥るもの何ぞや。 他なし。 富貴は外にあらずして、我が分内に備わるを知らざるがゆえなり。 もしそれ一国の土地広きを加うるあらずして、広きを加うるに異ならず。 一家もまた然り。 1年に10金を余さば、10年に100金、100年に1,000金の余裕を生ず。 これ家禄田産を増すにあらずして、なお増加するがごとし。 その余す所の多少に随って、多少の富優を致すもの、何の疑いかあらん。 それ国土を増倍するは、百計を尽くすといえども得べからず。 生財に至っては、分を守り用を節せば、労せずしてあるいは一倍もしくは数倍を得べし。 およそ内を減じて外に余せば、財宝湧くがごとく、幸福求めずして至る。 他に取り内に入るるをもって益とすれば、衰貧招かずして至り、衰貧招かずして至り、亡びざれば息(や)まず。 天下の貧富苦楽多端なるがごとしといえども、この2者に出でざるはなし。 然らばすなわち貧富は天にあらず。 人事によって生ずるや、昭々乎として見るべし。 世俗往々なしやすき事をなさず。 求めて得がたき事をなし、終身汲々区々として、衰貧困辱を免るるあたわず。 あに歎ぜざるべけんや。 然して有余を生ずるに仁あり、不仁あり。 己の利欲のためにその分を減ずるは財を貪るの致すところにして、不仁の行いあり。 君子は分を減じ節倹を尽くし、年々歳々有余を生じて、もって衆人の艱苦を救い、人々をして安からしめ、これと苦楽を共にす。 これあに至仁の行いにあらずや。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年01月19日 04時34分43秒
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