GAIA

さて、私が道の半ばほど登ったとき、後ろを見返り、一人の人が風のようにはやく追いかけて来るのを見ました。この人はちょうどあの腰掛けのあるあたりで私に追いつきました。

クリスチャン　ちょうどそこに、と、クリスチャンが言った。私は休息するために坐ったのでした。しかし、眠りに圧倒されて、懐からこの巻物を亡くしたのでした。。

フェイスフル　まあまあ、私の話をおしまいまで聞いてください。その人が追いつくやいなや、口よりも手のほうが早く、あっという間に殴り倒し、私は正気を失って横たわりました。しかし、ややわれに立ち返った時、私はその人にどうして又こんな目に遭わせるのか、と尋ねました。彼は言いました。私がひそかに「始めの人アダム」に心を寄せたからだ、と。そう言うと共にまたひどい一撃を胸の上にくらわせ、私を仰向けざまにぶっ倒しました。それで、私は前と同じように前後不覚になって横たわりました。それで、再びわれに立ち返った時、私はお慈悲です、赦してください、と叫びました。しかし、彼はお前なんぞに慈悲を示す道を知らないぞ、と言いました。それと共に、またしても私を殴り倒しました。そこへ又一人の人が来かかって、手を控えよと、命じなかったならば、必ず私に最期を遂げさせたでしょう。