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カテゴリ:クロムウェル カーライル著&天路歴程
書翰第190、191 〔訳者曰く、共に些細のもの故省く〕。 さて再び小議会の事に戻ろう。この議会は極めて熱心に5ヶ月以上もその目的の実現を計ったのであるが、努力すればするほど反対の声が盛んに起こり、思慮ある人々はこの遣り方では成功覚束なしとなした。この議会の歴史は埋もれてよくわからぬが、5ヶ月間に種々の善法案を生み、新参議院を造り、必要なる支出を可決し、その他平生の常務を果した。 (この参議院の議員31人の中、16人はオリバーの臨時に設けた旧参議院議員にして、15人は新しい人であった。この31人は議会の公選によりて参議院議員となったのである)。 しかし急激にしてあまりに理想を主としたこの小議会の措置には、反対の声ゴウゴウとして起こり、議会はある問題について10日間も大討議をした後、12月12日遂に、「この議会の存在は共和国の利とならざるにより、クロムウェルより託せられたる施政権を彼に返納すべき事」を決議して、一切の政務をクロムウェルに託して、議員は皆帰郷して再びもとの私人に還った。
クロムウェルは大いに驚いた。これには彼自身がイングランド国に対し、また天に対して責任がある、事はやや重大である。彼も参議院も、将校会議も十分善後策を講じねばならぬ。 もう、この混乱を鎮めこの紛糾をひらくべき一人の主権者を置くより外に道のないことは、彼らに解った(われわれにも解る)、これを王と呼ばうが、最大有能者と呼ぼうが、保安者と呼ぼうが、とにその誰であるが、最大有能者と呼ぼうが、保安官と呼ぼうが、とにかくその誰であるかは既に明らかである。まだピューリタニズムは生きている。この人がたてば事はなお進もう。 議会解散後、国内の興奮は大なるものであったろう。クロムウェルは将校会議を招き、各地の中心人物をこれに加えて、祈祷の数を重ねて相談した。その協議の模様は今日少しも解らぬが結果だけは明らかである、12月16日この結果は世界に知れた。イングランド人の最有力者オリバー・クロムウェルは以後治政の頭首たるべく、その役名を「イングランド・スコットランド・アイルランド共和国守護官」(Lord Protecter of the Commonwealth of England,Scotlando and Ireland)と称し、外に政府、参議院等の政務機関あるべしと。時にクロムウェルは55歳、身長は5フィート10インチ、頑丈なる体格にして威厳あり。様子は半ば軍人式、その容貌は勇気と信仰にみち精力と誠直を語る、高貴なる英雄的容貌である。
さて第7篇はここに終る。これから彼の守護官時代の事蹟を、幸いになお残れる材料によりてうかがってみよう。
中巻 終り
<下巻は準備ができるまで 暫くお休みします> と広報するほどのことはないようにも思えますが念のため お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年08月25日 03時29分02秒
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