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2014年10月30日
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○○様

ありがとうございます。

12月6日(土)の袋井の講演は、時間が午前10時からになりました。

当初、昨年2月の日光講演会に際して作成した「二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎」の2刷に基づいて、

遠州報徳の発端と鈴木藤三郎の「報徳の精神」について話すつもりでしたが、

○○館長から、

袋井の人は、鈴木藤三郎について全く知らない。二宮尊徳を聞きに来るので二宮尊徳について話してほしい

という依頼があり、

二宮尊徳の事業と考えをできるだけ、聞いている人に分りやすく伝えるため

日光講演会で好評だったドラマ・シナリオの手法で 本会会員の協力を得て、聴衆の前で 二宮金次郎対話編を演じてみるつもりです。

聴衆の反応が楽しみです。

そのために「二宮金次郎の対話と手紙」を「報徳記」などから、作っているところです。


以下のような具合です。






3 二宮金次郎、小田原藩藩主・大久保忠真に桜町三村の視察報告を行う

大久保忠真(ただざね)侯は二宮金次郎に大久保家の分家である宇津家(うつけ)の復興を依頼した。宇津家は栃木県の物井(ものい)・横田・東沼の三村、四千石を領有していた。年貢が以前は四千俵あったが、今では土地は荒れ果て、民情はすさんで、わずか八百俵だけになっていた。宇津家の困窮を救うため大久保侯は家来に命じて、桜町復興の事を委任していたが、ことごとく失敗していた。
そこで、大久保侯は、自らが以前、酒匂川(さかわがわ)の河原において、「村為(むらため)になっている」と表彰し、また家老の服部家の家政の立て直しに功績のあった二金次郎に、この者ならばと桜町三村の復興を依頼した。二宮金次郎はとても百姓の私には手に負えませんと辞退した。しかし、大久保侯は繰り返し依頼した。領主のたび重なる要請に、それならば視察だけはしましょうと、金次郎は8月から12月まで4回桜町に調査におもむいて、土地が肥沃かどうか、人民の貧富や勤勉かどうか観察し、水理を計り、遠くは過去を探り、近くは風俗を観察し、数十日で風土、民情、興廃、成・不成の理が胸のうちにはっきりと分かった。そこで小田原に帰って大久保侯に報告申し上げた。

二宮金次郎:
殿様は私の不肖を察せられず、宇津家の領地の復興の事業を命ぜられました。私はその任ではないと固辞しましたが、あえてこれを許されません。私はやむ事を得ず、かの地におもむいて、土地と民情とを観察し、復興の事を考えましたところ、土地が瘠せており、人民は定職を持たず素行が悪く怠惰もまた極まっております。しかしながらこれを振い起こすに仁政を行う方法で、村民の昔から染みこんでいる悪い風俗をあらため、専ら力を農事に尽す時は再興の道がないわけではありません。しかし仁政が行われない時は、たとえ年々四千石の貢税を免じても、かの貧困は免がれることはありません。たとえば江戸市内において巣鴨の地と日本橋の地のようなものです。日本橋の土地は家賃がどれほど高くても、売買の利が厚いために人が競って居住し富裕を得、巣鴨のような土地は金銀の融通、売買の利が薄いために、家賃がなくとも人はこれを望みません。また貧窮を免れません。上国は貢税が多くても、民はその利益が多いために繁栄し、下国は貢税がなくても田の産物が薄いためにその艱難を免れがたいのです。これは土地の厚薄のいたす所です。そしてこのような下国を上国と共に栄えさせようと欲するならば、必ず仁政でなければできないところです。なぜかといえば温泉は人力を待たないで年中、温かです。風呂は人力をもってたくために暖かです。少しでも火を消し去る時はたちまちに冷水となります。上国は温泉のようなもので下国は風呂に似ております。ですから仁政を行う時は栄え、仁政がない時は衰えるのです。今、桜町の衰廃を救い、ながく民を安らかにする道は他にありません。厚く仁政を施し、その困窮を救って安栄に導いて、おおいに恩沢を施しその素行の悪い人情を改め、専ら土地の貴い理由を教え、人民の力を田に尽させることにあります。そしてこの復興に必要な資金が幾千万両になるか、あらかじめその数を定めることは難しいのです。前々、殿様がかの土地の再復を命ずるのに、たくさんの資財を下されました。このためにその事が成功しなかったのです。今後これを復興させるのに必ず一金も下されることのないように。
大久保忠真:なんじの言う所は至道というべきだ。しかし、廃亡を挙げるのに資財を用いてもなお復興しない、今、資財がなくてこれを挙げる道とはどのようなものか。

二宮金次郎:
殿様が資財を下さると、名主と村民はともにこの資財に心を奪われて、互いに資財が手に入れようとし、村民は名主が勝手だと論じ、名主は村民が自分の利益になるようにすることを憂慮します。互いにその非を論じ、その利を貪り、ついに復興の道を失い、いよいよ人情を破り、事業を廃止するに至ります。これが費用と資材を下されることから起こる災いです。

大久保忠真:善いかな、なんじの言葉は。資財が無くて廃亡を挙げることというが、その方法はどのようにするのか?

二宮金次郎:
荒れ地を開くのに荒れ地の力をもってし、衰貧を救うのに衰貧の力をもってするのです。どうして財を用いることがありましょうか。

大久保忠真:荒れ地を開くのに荒れ地の力をもってするとはどういうことか。
 
二宮金次郎:
荒れ地一反(たん)を開き、そこから産出した米一石が有るとします。その半分の五斗をもって食料とし、五斗をもって来年の開田料として、年々このようにして止まなければ、他の財を用いることなく、何億万の荒れ地であっても開き尽すことができましょう。わが神州は往古、開闢(かいびゃく)して以来、幾億万の開田も、その始めは異国の金銀を借りて起したのではありません。必ず一鍬(くわ)から始めてこのように開けたのです。今、荒れ地を挙げようとして金銀を求めるのは、その本を知らないためです。いやしくも往古の大道をもって荒れ地を挙げることに何の難しいことがありましょうか。そもそも宇津家の領地は四千石であるといっても、実際に納まっている所の租税はわずか八百俵だけです。これは全く四千石の虚名があって、実は八百石の禄(ろく)です。この八百俵をもって再復までの分限と定めて、その余を求めない。中庸という書に、艱難に素(そ)して艱難を行うとあります。わが国が開けた時のようにすれば、一金の資金や資材を下されることなく、荒れ地を開いて村民を安らかにすることができます。わたくしに任じられるならば、十年で必ず成功しましたと申し上げることができましょう。しかしここに一つの難事があり、どうにもすることができません。

大久保忠真:その難事とはどういうことか。


二宮金次郎:
かの土地がどのような困難な場所であったとしても、荒れ地をもって荒れ地を開く方法をもって復興することは難しくはありません。どうにもしようがないのは、その成功を申し上げるにあたって、二千石の不足を生じます。荒れ地のままに置く時は四千石の名があります。今、千辛万苦を尽して、幾千万の財を施し、成功するに至って、四千石ではなく全く二千石となります。そうであれば再復しないほうがまさってよいのではありませんか。

大久保忠真:再興が成就して二千石を減ずるのは、どうしてか。

二宮金次郎:
他でもありません。土地がやせて薄いからです。痩せた土地の一反は必ず二反の地でなければ、民が飢渇を免れません。しかし、かの地は検地が厳しく、一反は一反です。このために村民が衰亡するという災いは、皆これから起ったのです。一たび、これを復興したとしても、また数年もたたずに亡村となるであろうことは必然です。そうであればどうして復興することが利益になりましょうか。ですからこれを復興し、この民を安らかにしようとするならば、二反を一反としないわけにはいきません。そうであれば宇津家の禄は二千石となり、公私に必要な資金が不足します。すると、必ず民に命じてその不足を補わせることになりましょう。仮にこのようであれば、再度の衰廃がたちどころに来ることでしょう。殿様は無益の地に心力を労されるより、むしろ四千石の名実ともに完全な所の土地を分って、これを与えられるほうがよいのではありませんか。

大久保忠真:よいかな、なんじの言葉は。注意が十分に行き渡っていることよ、なんじの計画する所は。今、年貢の適当な土地を分かち与えることは難しいことではないが、廃衰の土地を挙げないで、いよいよ不毛の地とすることは、予の本意ではない。このために今、なんじの言葉どおりに、かの土地を復興する事業を委任しよう。内外ともに、なんじ一人に任せよう。なんじが憂慮する所の二千石の減少の数については、成功の後に、予が必ずこれをおぎなって四千石としよう。なんじが憂慮することはない。かの地に至っては自分の身を愛し、国家のために、いよいよその志を励まし、貧民をいとしんで、廃亡を挙げ、どうか予が苦心をも安んじてくれよ。





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最終更新日  2014年10月31日 02時25分46秒



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