12343995 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

GAIA

GAIA

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
全て | 報徳記&二宮翁夜話 | 二宮尊徳先生故地&観音巡礼 | イマジン | ネイチャー | マザー・テレサとマハトマ・ガンジーの世界 | 宮澤賢治の世界 | 五日市剛・今野華都子さんの世界 | 和歌・俳句&道歌選 | パワーか、フォースか | 木谷ポルソッタ倶楽部ほか | 尊徳先生の世界 | 鈴木藤三郎 | 井口丑二 | クロムウェル カーライル著&天路歴程 | 広井勇&八田與一 | イギリス史、ニューイングランド史 | 遠州の報徳運動 | 日本社会の病巣 | 世界人類に真正の文明の実現せんことを | 三國隆志先生の世界 | 満州棄民・シベリア抑留 | 技師鳥居信平著述集 | 資料で読む 技師鳥居信平著述集  | 徳島県技師鳥居信平 | ドラッカー | 結跏趺坐 | 鎌倉殿の13人 | ウクライナ | 徳川家康
2014年12月18日
XML

4 二宮金次郎と妻なみ

 

二宮金次郎は最初中島きのと結婚した。このことは『報徳記』に載っていない。きのとの結婚は長く続かなかった。きのは離別を申し出て去って行った。福住正兄の『二宮尊徳翁略伝』によると「親戚の勧めにより妻をめとる。妻、性吝(りん)。翁の貧人をあわれむの多費なるを喜ばず。しばしばこれを諫止す。恬然(てんぜん)としてかえりみず。ここにおいて妻、離別をこう。翁、これを許す」とある。

きのは、金次郎が貧しい人を憐れんで金銭を恵むことを快く思っていなかった。金次郎の母が「人を恵む者など稀だ」と言ったが、当時も今も、人の情であろうか。金次郎は「幼年の困窮艱難、実に心魂に徹し」「あるいは我のごとき極難困窮、暮し方たより少なき者を恵まんと欲し」て、貧窮に苦しむ人を恵んでその喜ぶ姿に、父母の姿を偲んだのであろう。

金次郎は小田原藩主から桜町赴任を命じられる。。

金次郎独白:せっかく家を復興し、祖先の田畑を買戻し、追孝ができた。ところが殿様から親しくお言葉をたまわり、宇津家の領地を復興してくれと命を受けた。今、殿様へ忠を尽そうとすれば、せっかく建て直したこの家をつぶすことになろう。孝を全うし、祖先を祭ろうとすれば、君命を廃することになり、忠義を全うできない。古来、忠義を二つながら全うできないと言われている。私はどうすればよいだろうか。

 

(金次郎はしばらく沈思していたが、ハッと思い当った。桜町赴任の決意を父母の眠る墓所で語る)

 

ああ、何を憂い何を惑うことがあろうか。元来忠孝は一つである。人が至孝であれば忠は自ずからその中にある。君命を得ないときは、一家を興し、祖先の祭事を行うのが孝である。一度君侯の知遇を得て、百姓を安んじてくれよと命を受けたからには、この民を安んずることが孝である。もし君侯の命を廃するならば、たとえ億万の財産ができ、一家が繁栄しても、父祖の霊は必ずや私を孝ではないとされるであろう。僅かな一家を廃して万民の苦しみを除き、君侯にご安心いただき、また、百姓の生活が安定すれば、また父母のみ心にかなうであろう。

お父さん、お母さん、私は、万家のために一家を廃します。これでよいですね。

 

(金次郎は家に帰って妻に告げた)

 

二宮金次郎:

今、明君が上にいまして、私に廃れた村を興し、その民が安らかに暮らせるよう命じられた。三年にわたって辞退したが、殿様は許されない。止むを得ずその命を受けることになった。このような大業は、平常の行いでは成就できない。したがって一家を廃して、相続の道を捨て、身命をなげうって努め励もうと思う。

しかしこれは婦女子の理解できるところではない。私と共に多くの辛苦を尽して、君命をはずかめないことを思うならば、共に野州におもむこう。もし、普通の心で、苦労を厭う心があるならば、今すぐに去るがいい。

 

妻:あなたは何ということをおっしゃるのですか。女子が一度嫁するときは、二度と帰る道はありません。生家を一歩出る時にあたって私の心はすでに決しております。あなたが火を踏むとおおせであれば私も共に踏みましょう。ましてや夫が君命を受けて大業を成そうとする、これは私の幸せではありませんか。身を捨てて苦労に甘んずることなど、いうに足りましょうか。名誉や利益に走って身の安逸を願うのは君命がなくても望まないところです。どうぞ心配なさいますな。一緒に野州に参りましょう。

 

二宮金次郎:

はっはっ、お前の言うとおりだ、ありがとう。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014年12月18日 06時28分01秒



© Rakuten Group, Inc.