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2015年01月25日
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カテゴリ:広井勇&八田與一
内村鑑三の演説「空の鳥、野の百合」
内村鑑三の演説は、札幌農学校第二年節演芸式の席に始まる。札幌農学校は「学校年季八月第四日曜日ニ始リ、翌年七月最初ノ木曜日ニ終ル」。年季は二期に分けられ、学業試験があった。最後に三日の大試験終了式があった。これを「演芸式」といい、成績優秀者が代表し日本語または英語で演説した。第二年級は佐藤、大島、内田、渡瀬が演説し、第一年級は、内村が邦語演説「魯西亜(ろしあ)悪むべからず」、新渡戸、伊藤、岩崎が演説した。第二期生卒業時足立、広井、太田、宮部、高木、内村の六人が卒業演説を行った。内村は「大洋の農耕」という演説を行った。第四期生の志賀が内村の天才的演説ぶりを日記に書きとめた。内村氏は卒業生に代って校長と教師に多年教育の厚きを感謝した。「言辞活発覚ヘズ人ヲシテ動揺セシム」「嗚呼氏ハ耶蘇教ノ徒ナリ・・・今日其慷慨悲憤ノ言辞ヲ以テ吾輩ヲ奨励シタリシハ仇ナガラモ至誠ノ至リ然リシム」と。
内村鑑三の名がその演説により、全国のキリスト者に知られたのが「空の鳥と野の百合花」である。これは明治十六年五月八日から十二日まで東京築地で開かれた第三回全国基督信徒大親睦会の席上であった。この大親睦会はキリスト教であれば、何の宗派を論ぜず、政治に関せず、親愛の一心より開かれたもので、既に第一回明治十年十一月津田仙議長、第二回明治十三年七月新島襄議長で開催されていた。第三回に各地の教会は著名な代議員を出した。海老名弾正(安中)、新島襄(西京)、押川方義(仙台)、津田仙(東京)、植村正久(東京)そして内村鑑三も札幌教会を代表して出席し五月九日演説した。内村の演説は、菖蒲の花の構造と受粉の機能を図に掲げ、渡り鳥の渡りの本能や魚類の回遊の本能によって、キリスト教信徒は自然を見て、自然を造った神を見るべきであるというユニークなものであった。自然科学をテーマにして信仰を説く演説は、他の演説者の演説とはきわだって異なっており、聴衆に永く深い印象を与えた。植村正久は、十五年後(明治三十一年)この時の演説に触れ「内村氏が演壇に野の百合の花を振りかざして趣味深き演説をなし、喝采満堂なりし」と記した。海老名弾正も「内村君の演説は非常な興味を惹いた。その題は『空の鳥と野の百合』というのであった。さすが科学者の声、未だそういう題を掲げて演説したものはなかった。題そのものがアトラクティーヴである、そして話に一種ファスシネーディングのところがあった」と回想し、新島襄は「恐ろしいものを見た」と日記に記した。内村鑑三はこの演説でその名を日本全国に轟かした。「北英アバルディンの哲学者アレキサンダー・ベイン氏曰く、物体は体と霊の両質を帯びたるものなりと」に始まり、菖蒲の花の構造を図で説明し、水鳥、魚類の回遊に触れ、「実に造化を学ばんと欲せば、わが日本国にまさる国はなかるべし。われら、この美国(うましくに)の中に生まれ、幸いに造物主の子と称せらるるを得、あまたの子供中、最も美麗なる花園の中に置かれたる者なれば、その中にある花鳥を研究し、天父にその栄を帰するは、われらのなすべきことならずや」と聴衆に問いかけるユニークなもので、内村の進化論はキリスト教との両立という自説を展開するものだった。
内村は五月十二日の日記に「大会終る。驚くべき効果ありき。教会は復興し、良心は試みられ、愛と一致は著しく強めらる。その一般的性格は甚だペンテコステ〔聖霊降臨〕的なりき」と記す。五月十四日宮部に宛てた手紙に「去る日曜日以来、余は余自身を新たに生れたる人と感ず。神の愛は今や真に感得し得るなり。基督の十字架と血は合理的にして且つ貴重なり。余にとりては、あの夜は余がこの世に来りし以来の歓喜の絶頂なりき」とその感激を記した。内村はこの時に北海道の役人生活に終止符を打ち、津田仙の学農社に入社する。札幌には彼の帰る場所はない。孤独な内村の魂にとって頼るべきは札幌三人組だけであった。ここから膨大な手紙が出現する。





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最終更新日  2015年01月26日 00時44分25秒
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