GAIA

【四四五】家僕を諭し曰く、荒蕪を墾し、以て穀粟を殖し、負債を償ひ、以て余贏を生じ、惰農を励まし、以て余粟を産し、各々其の廃する所の者を挙げ、以て国を興し民を安んず。是れ我が道の本原なり。知らざるべからず。汝少壮夜寝ず、何の苦か之れ有ん。乃ち寝る間を以て草鞋一足若くは二足若くは三足を作り、明日之を携へ役所に至て、諸破鞋者に施せば、則ち答者無しと雖も、而も本是れ寝る間作る所、何の労か之れ有ん。若し答者有らば、則ち徳と為すなり。若し値を酬る者有らば、則ち益と為るなり。此の理を体認し、勤勉怠らざれば、則ち何を為して成らざらんや。余幼より務むる所是れのみ。只日と無く夜と無く、黽勉懈らざるのみ。

　 家か僕ぼくを諭さとし曰いはく、荒蕪くわうぶを墾たがやし、穀こく粟ぞくを殖しよくし、負ふ債さいを償つぐなひ、余よ贏えいを生しやうじ、

国くにを興おこし民たみを安やすんず。是これ我わが道みちの本ほん原げんなり。

　　余よ幼えうより務つとむる所ところ是これのみ。只たゞ日ひと無なく夜よと無なく、黽びん勉べん懈おこたらざるのみ。