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2016年08月21日
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【四】先生日光祭田の荒蕪を開き百姓安撫の命を受け巡村開業す5

 

  しんぞく従者じゆうしやいさめていは疲労ひらういまのぞかず。病根びやうこんまたまつたるにあらず。炎暑えんしよおか光山くわうざんのぼらば、あに再発さいはつうれひなしとせんや。冷気れいきちていたるにかずと。せんせいがへんぜず。つひ登山とざんし、奉行ぶぎやうぼうひていはく、廃田はいでんひらたみ安撫あんぶするのめいくるより以来いらいすみやかに開業かいげふせんことほつすといへど順序じゅんじよかんがふるがゆゑ遅々ちゝおよべり。村々むらむら巡回じゆんくわいし、土地とち肥瘠ひせき諸民しよみん貧富ひんぷ人情にんじやう向背かうはいさつし、しかのち愚意ぐい言上ごんじやうせんとまさはつせんとす。奉行ぶぎやうせんせい病後びやうごいま本快ほんくわいならざることさつし、めいじてこれじやう回村くわいそんすべしとふ。せんせいがへんぜずしていはく、それがしたみ窮苦きゆうくうれふることきふにして、みづかやまひかへりみるにいとまあらず。かつ邑中いふちゆう微細びさい洞察どうさつするにあらざれば、救助きうじよみちよろしきをべからず。してもつ回村くわいそんせば、艱苦かんく実情じつじやう廃衰すゐはい根元こんげん了知れうちすることあたはずと固辞こじして徒歩とほし、大暑たいしよおかし一いふ見分けんぶんするに、かなら既往きわうかんが将来しやうらいさつし、邑中いふちゆうだいせうことごと胸中きやうちゆう了然れうぜんたらざればむらいたらず。光山くわうざん村々むらむら山岳さんがく丘陵きうりようおほくして平地へいちはなはまれなり。むらよりむらいたるに、あるひ高山かうざん数里すうりへだつるものおほし。くりやまがういふごときにいたりては、もつと深山しんざんむらにして道路だうろはなはけんなり。あるひ高山かうざんいたゞきむらありあるひ深谷しんこくむらあり。さうきやうものいへどすこぶ嶮路けんろになやめり。しかるにせんせいとしすでに六十七さい病後びやうごいま快然くわいぜんたらず。しよくまた平生へいぜいふくせず。炎暑えんしよゆるがごとくなるに、嶮路けんろすゐし、村々むらむら盛衰せいすゐかんがあつ善人ぜんにん賞美しやうびし、かん孤独こどく便たよりなきものまた困窮こんきゆうのものをめぐみたり。各々おのおの次第しだいつてあるひきんりやうより五りやういたる。また農業のうげふつと衰貧すゐひんおちいらざるのむらいたりては、あるひは十きん十五きんもつ邑中いふちゆうたみしやうす。かつをしふるに孝悌かうていもつてし、みちびくに田圃でんぼたつと所以ゆゑん勤業きんげふとくはなはだいなることをもつてし、あるひつゝみきづ水田すゐでん渇水かつすゐうれひをのぞき、荒地くわうちひらこれあたへ、たみせいやうやすんず。諸民しよみんおほいに感動かんどうえつぷくせざるものなし。せんせい高山かうざんえ、深谷しんこくわたり、らうきはまるにいたつてはばうせきじやうきうし、また草原さうげんそくして推歩すゐほせり。従者じゆうしやあせにぎやまひはつせんことをおそるゝといへども、せんせいじやくとして困苦こんくいとはず。たゞ下民かみんやすんずることらうせり。人々ひとびと誠心せいしん慈心じしんいたれることを感歎くわんたんす。これよりさきしよみんせんせいめいけ、廃田はいでんひら邑民いふみん安撫あんぶみちおこなはんがためいたらんとするをき、おほいに疑心ぎしんはつす。奸民かんみん村民そんみん煽動せんどうしていはく、いにしへより租税そぜいさだまりあり。田圃でんぼ荒蕪くわうぶくものはなはおほしといへども、荒地くわうちためいさゝ貢税こうぜいげんぜず。なんぞやにつくわう祭田さいでんゆへもつ他邦たはうすれば租税そぜいはなはせうなり。これもつ定租ていそをさむることをたり、いまいたりて荒地くわうちひらかんとせば、かなら多分たぶん用費ようひなくんばあるべからず、多分たぶんようざいもつ廃田はいでんおこときは、かなら開田かいでんよりあらた貢税こうぜいさしめん。しからざれば用財ようざいおぎなところらず。ごとくなるとき開田かいでんためえいきう租税そぜいし、村々むらむらうれひとならんことひつせり。これなん下民かみんためしゆとせんや。おもて衰邑すゐいふ再復さいふくひやくしやう撫育ぶいくもつとなし、じつ貢税こうぜいすにあらん。にのみやぼうきたらば、すみやかに村々むらむらより仕法しはふかいげふなからしめたまふべしと日光官廨につくわうくわんかいうつたでん。しからばうれひをまぬかるべしと。しゆうみなこれどう疑念ぎねん益々いよいよさかんにして仕法しはふふせぐのはかりごとをなせり。しかるに数月すうげつるといへどせんせいいたらず。でんげんせんせい長病ちやうびようゆゑもつきたることあたはず。また仕法しはふ開業かいげふことみたりとものあり。つひ奸民かんみん思慮しりよむなしくして、じゆつほどこところなく、かさつきるにおよびて疑念ぎねんやうやさんじ、これふせがんとするのねんまたおこたりたり。ときに六がつ下旬げじゆんいたせんせい忽然こつぜんとして登山とざんし、たゞちにくわいそん見分けんぶんしてたみめぐむことはなはあつく、かいでんみちさとすことまこと仁術じんじゆつにして、下民かみんごとめぐりやうはふなることをき、あるひおどろあるひかんかつ疑惑ぎわくしやうぜしことかへりみれば、懸隔けんかく霄壤せうじやうことなるがごとし。これおい衆疑しゆうぎ解散かいさんし、たがひ仕法しはふねがもとむるものげてかぞべからず。嗚呼あゝがつ命令めいれいときあたり、すみやかに登山とざん開業かいげふおよばゞ、かなら下民かみん疑惑ぎわくために一たん仕法しはふ風化ふうくわさまたぐることあらんに、せんせい自若じじやくとして江都かうとにあり。はつするにおよびては病苦びやうくしの炎暑えんしよおかし、もつ仁沢じんたくほどこおほいに教誨けうくわいくだし、一風動ふうどうせしむることの神速しんそくなるは、凡慮ぼんりよあらかじおもんぱかるべきにあらず。従者じゆうしやみなせんせい大知たいち自然しぜんときおもんぱかり、おうじてよろしきをおこなふことを感歎くわんたんせり。






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最終更新日  2016年08月22日 04時48分29秒



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