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カテゴリ:鈴木藤三郎
「身代わり地蔵」と枡屋(ますや)
その頃、氷砂糖は中国の福州から輸入していました。値段も白砂糖の二倍で、品質は色も赤く笹のごみなどが交じっていて、機械的・工業的な生産物ではない。価格が高値で改良の余地は有る。 森町本町に薬剤師の岩間善次郎という人が「枡屋」という薬局を開いていました。藤三郎は氷砂糖をどうすれば純白透明なものにできるか枡屋に調べてもらうと、植物性の色素を除去するには骨の灰で濾過(ろか)するのがよいと書いてあると教えられ、最初、骨の炭をつくって砂糖液を濾過しましたが、さっぱり脱色漂白の様子がない。枡屋にもう一度調べてもらうと、蒸し焼きにするのがいいとわかり、脱色漂白の実験を繰り返しました。「どうも才さの家から変なにおいがする」と噂になり、警察から「屋敷内で骨の炭を製造することはまかりならん」と差し止められたこともありました。 袋井の山梨という地区にあるお地蔵さまにまつわる昔話(中遠昔話第四十六話「延命身代わり地蔵尊」(袋井市))が残っています。 昔、山梨の隣村にしっかり者でかしこい妻がいました。けれどもこの夫は、なまけ者で遊んでばかりいました。妻は夫をなんとかまじめで、働き者の心のやさしい人になってもらいたいと思い、近くにあるお地蔵様に願を掛け、毎夜、夫の寝たあとにお参りをしていました。そして、満願の夜のことです。妻が毎夜出掛けていくことを怪しんでいた夫は、太田川の土手に待ち伏せし、近づいた妻の左肩を刀で大きく切りつけ、あわてて家に帰りました。けれども、家に帰ると妻は何事もなく眠っており、傷もありません。驚いた夫は妻を起こし、さきほどのことを話しました。妻は、お地蔵様に願を掛け、毎夜お参りをしていたことを夫に話し、「それでは先程、肩の所に針をさした様な痛みを感じたのはそのためでしたか」と言ったので、夫はますます驚きました。夫は、「申し訳ない…」と自分の過ちをくやみ、これまでの罪深い数々の行いを詫びて、妻といっしょにお地蔵様にお詣しました。見ると石のお地蔵様の左肩には深々と斬られたあとがありました。二人はびっくりし、思わず胸がいっぱいになりました。それから夫は心を入れ替え、まじめな働き者になったということです。 ところで隣村に薬屋があって、この店にある夜「こう薬」を買いに来た客があったそうです。お店の人が、「どちらのお人ですか」と尋ねると、客は「山梨」と言い、「お名前は」と聞くと一言「地蔵」と言って姿を消したということです。このお地蔵様は、薬が効いたのか、左肩の傷はすっかり治っているとか…。 この「隣村に薬屋」とあるのが、森町の「枡屋」という薬局のことです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年12月30日 07時05分28秒
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