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宮沢りえ“りく”「梶原殿を引きずり下ろしてしまいましょう」御家人たちの権力闘争が始まる＜鎌倉殿の13人＞
7/23(土)

第28回「名刀の主」

りく「これを機会に梶原殿を引きずり下ろしてしまいましょう」


日本版　マクベスの妻の策謀ぶり（＊）がさく裂する

りく「これを機会に、梶原を引きずり下ろしてしまいましょう。四郎様のお名前は御家人の重しになります。一番最後にデンとお書きください」

りく「うちの人は関わりなかったことにさせていただきます。百に一つ、鎌倉殿と梶原殿が結託したら、どうするのです？名を連ねた御家人たちは根こそぎやっつけられてしまいます。（巻紙の一番左端に書くよう指示したのは）切り取ったのが分からぬように」

三浦義村「あんた、やるな」

「吾妻鏡」の正治元年（1199年）10月28日
「晴れ。巳の刻に千葉介常胤・三浦介義澄・（中略）・三浦兵衛尉義村・畠山次郎重忠・（中略）・足立左衛門尉遠元・和田左衛門尉義盛・（中略）・比企右衛門尉能員・（中略）・（中略）・安達藤九郎盛長入道・（中略）・岡崎四郎義実入道・（中略）・右京進（中原）仲業以下の御家人らが、鶴岡八幡宮の廻廊に群衆した。これは（梶原）景時を指弾する一味同心を改めない旨を（神仏に）誓うためである。しばらくして仲業が訴状を持参し、衆中でこれを読み上げた。

にはとり　やしな　ものたぬき　かはず　　けもの　か　　もの　やまいぬ　やしな　ざるのよしこれ　　の
鷄を 養う者狸を畜不。 獸を牧う者　豺を 育は不之由之を載せる。

よしむらこと　　こ　　　く　　　かん　　　　　うんぬん　　おのおの　しょはん　 くは　　　　そ　　しゅうろくじうろくにんなり
義村殊に此の句を感ずると云々。 各、 暑判を加う。其の衆六十六人也。

鶏を養う者は狸を畜（か）わず、獣を牧（か）う者は豺（やまいぬ）を育てない、と記されていた。義村は特にこの句に感心したという。それぞれ署判を加えた。その人数は六十六人である。（後略）」（吉川弘文館「現代語訳　吾妻鏡」より）

＊マクベス夫人
「でも心配なのはあなたの気性。（Yet do I fear thy nature,）
人間らしい優しさというお乳が多すぎて（It is too full o’th ‘milk of human kindness）
一番の近道が選べない。（To catch the nearest way.）
〔中略〕
早く帰っていらっしゃい。あなたの耳に私の性根をあげる。（Hie thee hither.
That i may pour my spirits in thine ear,）」

「わたしの勇気をあなたの耳に注ぎ込んであげましょう。
黄金の冠からあなたを遠ざける全ての者を
わたしの雄弁でねじ伏せてあげましょう、
運命と目に見えない神秘の力が　
あなたに王冠を授けようとしているのです。」

マクベス夫人「まだここに血の　においが。（Here’s the smell of the blood still.）
この小さな手、アラビア中の香料を　ふりかけてもいい匂いにはならない。
（All the perfumes of Arabia will not sweeten this little hand.）
ああ！　ああ！　ああ！(Oh, oh, oh.)」

「鎌倉殿の十三人」は、シェークスピアに対抗する日本の群衆劇である。
リクもまたマクベス夫人のように、おのれの策謀で殺される運命になったもののふの悪夢にうなされることになるのであろうか？三谷さんの脚本と日本映画を代表する名優宮沢りえの演技に期待。