リドとの思い出1リドと初めて会ったのは、1994年の6月だったね。3ヶ月の犬がいるよ。と言うのでどんなにコロコロしていて可愛いだろうと思ったっけ。 そしたらびっくり。何この大きさは!これで3ヶ月?信じられない。 第一印象は、「可愛くない犬。」だったよ。ごめんね。 それから、あまりにもうるさいから、吠えるたびに、2階からティッシュを投げたり、パンを投げたりしたよね。私はその時知らなかったんだよ。リドがかまって欲しくて吠えている事を。 ハッキリ言って「私って本当に犬が好きだったっけ?」って思うほど、リドが嫌いだった。リドも、あの時は、私の事大嫌いだったでしょう?私がリドに対して優しく出来なかったから、リドも性格上ひねくれずには、いられなかったんだよね。 私が帰ってくると、誰もいない方を見て吠えてたよね。 絶対に私の事は、見なかったよね。 いま、思い出すとリドは寂しかったんだなぁって思うよ。 お兄ちゃんは、朝から晩までお店でいない。 私は、朝から夕方までいるくせに、全然遊んでやらなかったもんね。 吠える時だけ、2階から顔出して、「うるさーい。」 リドにとっては、吠えれば顔が見られるって学習しちゃったんだろうね。 3ヶ月、4ヶ月と言うと、一番遊びたい時期なのに、まるで遊ばなかったもんね。本当にごめんね。 あまりにもうるさいから、いつも殴ったっけ。そのたびに牙を出して威嚇したよね。本当に、今では信じられないほど、合わなかったよね。 2階から水をかけた時に、お兄ちゃんに怒られたなぁ。普段、大人しい人は、怒ると怖いってよく分かったよ。リドの事が可愛くて仕方なかったんだね。だって、2階を改造してリドの夏の部屋を作っちゃったもんね。 リドのドライアーも買ったし、シャンプー会員になるほど可愛がってたよね。あれが、普通のサラリーマンだったら、もっともっと幸せだったのかな? どんなに寂しかっただろう。どんなに遊びたかっただろう。 残った奴は、遊ばないで、怒るだけ。吠えたくもなるよね。 うるさくて、「どっか行け!」って逃がした事もあったっけ。すぐ帰ってくるものだと思ったけど、4日間くらい帰って来なかったよね。あの時は、自分で逃がしておきながら、本当に心配したよ。 そして、自力で帰って来た時のリドは、サラサラ・フワフワヘアーだったね。 誰かが、シャンプーに出して、優しくしてくれたんだね。 あの時逃げて帰ってきたって事は、嫌いな女はいるけど、リドの家はお兄ちゃん家だけだったんだね。 それからも、私達は合わなかったね。いつも姉妹喧嘩していた。とにかく仲が悪かったね。吠えるたびに、ブチッとキレる音がするほど合わなかった。うるさすぎて、2枚合わせのガラスを割った事もあったよ。本当にあの時の私は、精神的におかしかったなぁ。 ある時から、リドがいなくなった。誰に聞いても、「逃げたんじゃないの?」と言う。1週間探してもいない。でも、家族の誰一人が心配していない。何か変だと思って、近所の犬が訓練所に行った事を思い出して、そこに電話したよ。「リドがいなくなっちゃったんですけど、知りませんか?」って。「お父さんに口止めされてたんだけど、あまりにも心配してるみたいだから教えるね。」って、訓練所にいる事を聞いた。とっても安心した。生きて又、この家に戻ってくるって言うだけで、こんなにホッとするなんて。 やっぱり、リドが好きなのかな?それとも、家族だからかな?でも、静かに夜眠れる事が出来たよ。毎朝・毎昼・毎晩吠えてたから。 心待ちにしていたリドの卒業。でも、その前に私は家を追い出された。 そりゃあそうだよね。36万もかけて、又私と一緒じゃ、あっっっっっという間に、凶暴な犬に元通りだもんね。 それからは、たまに私の顔を見るとクンクン鳴いてくれるようになったっけ。可愛かったなぁ。尻尾は振らなかったけどね。 近すぎると合わなくて、離れると合うんだなぁ。たぶんリドと私の性格が似てたんだと思うよ。だって、お母さんと毎日一緒にいると、ずっと喧嘩だもん。 リドと私は、前世でも喧嘩してたのかな? 次へ |