山桝忠恕先生のイギリス滞在記 「東も東西も西」師弟友情通信――(下)(16)
6月18日(火)山桝忠恕先生のイギリス滞在記「東も東西も西」師弟友情通信――(下)(16)同文舘発行(昭和41年)山桝忠恕著「東も東西も西」より(注)わたしは、39年40年に山桝ゼミに在籍しました。「なんとなく 申し聞かせて おきたくて」(16)ここ英国は、さすがに名にし負うスモッグの国だけあって、日本で言えば浅田飴のようなノドのオクスリだけは、タバコ屋の店頭にまで色とりどりの箱に入って並べたてられておりますものの、クスリらしいクスリとなると、入手が仲々に面倒です。クスリ屋の店先で簡単に買えるものはと言えば、カゼグスリならアスピリン、保健剤ならエビオスやワカモトなみの酵母剤の程度であって、それ以上のクスリになると医者の処方箋が必要らしい。『ドリクソン』という名のビタミンC発泡錠(十錠入り)を、やっと売ってもらい、これが大層気に入ったので、八日目に、「ザ・リドクソン・イズ・ナイス」と呟きながら二個目を買い求めに出かけましたところ、アレハ、一日ニ、一錠ノメバ充分ダト、言ッテオイタデハアリマセンカ。ナクナルノガ早スギマスゥ」と、叱られてしまいました。 (つづく)