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バーを後した俺とエリーだったが、外に出たところでエリーが俺の方へとズズイッと詰め寄ってきたんだよ。
「ねぇベリル?」 「んぁ?どうした」 「あんたせっかくジルに会えたのにもっと話とかしなくてよかったの?」 「いや、まぁあれだ。とりあえず会うことは会えたし?ヒアシンスからいなくなった理由も一応聞けたしな。アレ以上は話を続けてもきっと彼女に色々と辛い思いをさせるだけだと思ったんだよ」 「ふ~ん・・・まぁ確かにそうね。でもあれよね、何だかパッと見た目そんなに強そうな感じには見えない人だったわね?本当にアレが魔族達に恐れられてたっていう剣士なの?って疑問に思うわ」 「まぁ、人は見かけによらねぇってことだよ」 「あ~あ・・・本当なんだか期待はずれって感じよ」 エリーは大げさに肩を落として深いため息を吐いたよ。 「あたしの第2の下僕にしようかと思ったのになぁ・・・あんな状態じゃ無理やり仲間にしたって足手まといになるのが目に見えてるわ」 ・・・・はい? 「なぁ、今おめぇさなんかサラッと俺のこと下僕扱いしなかったか?」 俺の言葉にエリーはすんげぇ真顔をこっちに向けてきてるんですが? 「したけど何か?」 「う~わぁ~・・・」 「あ゛?」 なんかめっちゃ目を据わらせて睨みつけてきてんですけどぉ? 「何?あたしに文句あんの?」 なんかエリー様が威嚇声をあげながら敵意むき出しに俺を睨みつけてきてんだけど・・・ 何?何で俺そんな扱い受けないといけないの? 「きゃぁあああああああああああああああ」 っと、そんな時だったよ。 突然街中に響き渡る女性の叫び声。 その女性の叫び声を皮切りに街中が急に慌しくなってきたんだ。 てか、皆何かから大慌てで逃げ出してる? 「何だ?何があったんだ?」 「ベリル、ベリル!あそこ、あそこ見なさい」 (°_°)ノシΣバンバン!! Σ(゚Д゚ υ) イタ!! 「ん、何だよ。何があんだよ」 エリーの指差すほうを見てみるとですよ? そこには金髪の癖っ毛、胸に大きな一文字傷をもつ青年。そしてその青年を囲むように周りには無数の魔物達の群れが見える。 「うげっ・・・何でこんな街中に魔族がいんだよ」 「ど、どどど、どうするベリル?これは町の人達と一緒になって逃げちゃう?」 「んだなぁ・・・俺達で相手に出来るような数でもねぇしな。それでなくてもだ、ここで戦ってアンの他にまた魔族に変に目をつけられても困るしなぁ」 エリート一緒に来た道を戻って町の外に逃げようと思ったんだがな? 魔物達の中心にいる金髪の青年が声を大にして叫び出した。 「皆の者、この町にかつて我ら魔族を苦しめた銀狼のジルがいるはずだ!草の根を掻き分けてでも探し出せ!いいな、見つけたら殺さずに俺に報告をしろ!奴は俺の手で必ず仕留めてやる」 なっ!?あいつ・・・ジルさんを探してる!? 「どうしてこんな街中に魔族が大群引き連れてきたのかと思ったけど・・・なるほど、そういう理由だったのね。まぁでも、あたし達には関係ない話だわ」 そういいつつ踵を返し、その場から立ち去ろうとするエリー。 「どうしたのよベリル?」 何故か俺は今この場から足を進めることが出来なかった。町の外へと向けようとする足が動かない・・・いや、動かせない。 ジルさんのことが気がかりでこの町から逃げ出すなんて事ができないんだよ。 だって、今の彼女はもう剣を持って戦う事を止めた、って言ってたんだぞ? そんな彼女が見つかってさ、あいつの前に連行されてきたら・・・・・・そんなの結果は火を見るよりあきらかじゃないか。 「うっ・・・」 「ど、どうしたのよベリル?体調悪いの?」 俺の脳裏にはザバニーと戦った際に目の前でその命を奪われた、助けられなかった女性の事がよぎった。 そうだよ・・・俺はあの時誓ったんだよ。 もう助けられる命を見捨てるような事は絶対にしないって!! そう思うと俺の足は自然と魔物達の群れの方へと向けて進み出そうとしていた。 第36話 ひけない戦い その1.終わり その2.へ続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年02月19日 00時48分53秒
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