東京島/桐野夏生
東京島今、上映中の映画「東京島」(木村多江・窪塚洋介など出演)の原作です。 漂流した無人島に男が23人と女が1人。 助けが来ない無人島で、人の欲望、精神の限界、セックス、23人の男と1人の女のサバイバル・ドラマです。 この物語のメインは、無人島に漂流したたった一人の女の「清子」が話の中心になります。 清子を手に入れた者が島のリーダーになる。良くも悪くも権力を握るのです。その理由は島の外から持ち込んだ道具を、清子が多く所有しているということもあるし、男の性欲の対象でもあるから。 最初は日本人の漂流者だけだった島に、中国人の漂流者が増えてから生活が変わっていく様子が面白いです作者のイメージなのでしょうが、中国人はサバイバル能力に長け、日本人よりも精度の高い塩を作ったり、島内での唯一の金属である不法投棄物から鍋や料理器具を作ったり。 漫画「サバイバル/さいとう・たかを」を読んだり、幼少のころボーイスカウトに入って多少の知識のある、私のアウトドア能力では、その中国人にはサバイバル能力では太刀打ちできないでしょうw 漂流者の性格や、文明世界でのバックグラウンドから、彼らの住む場所が数箇所に分けられます。ヤシで酒を作る集落、武闘派の集落、アクセサリなどを作る文化的な集落などです。当然、仲間と相容れず、孤独に暮らすものや除け者にされる者、また中国人も別の集落に住む設定となります。読み進めるにあたって、自分はどの集落に所属するのが合っているか考えながら読むのも面白いかもしれません。ちなみに私は、中国人の集落に行きたいと思いました。 無人島から脱出できるのか、出来ないのか。生き残るのか全滅か。物語の詳細はここでは書きませんが、衝撃のラストとだけ言っておきましょう