涙は立派な戦略
法廷で涙を流す人が少なくありません。 私は、「涙もろい人」とそうでない人がいるのだから、「涙」が判決に影響を及ぼすなんて考えてもみませんでした。 しかし、ある刑事事件で弁護人を務めたとき、被告人の男性がボロボロ涙を流したところ、判決で裁判長が「・・・ただ、被告を見ていると深く反省しているように感じられる。」と言って、予想よりも軽い判決が出ました。 また、ほぼ同じ条件の2つの離婚事件を比較しても、「涙を流した女性」に対しては、慰謝料がかなり高かった記憶があります。 「裁判官だってそこまでウブじゃないよなあ。」と思いながら、刑期をとても気にしている被告人に、「だめもとでもいいから、大声で泣いてみたら?」とアドバイスして、本当に泣いたら、何と「反省の余地がある。」とのことで、これまた予想より軽い刑で済みました。 さすがの私も、「涙の効用」を信じるようになり、依頼者が証言席に座る前に、「悔しさ、悲しさを思い出すよう質問しますから、悲しくなったら遠慮なく泣いてください。本当の感情をぶつけてください。」と、言うようになりました。 でも、よくよく観察すると、本当に悲しく悔しい人は泣きますが、「うそ泣き」はなかなかできないようです。 すると、「生来涙もろい人」は、法廷では有利のなるのでしょうか?