利益誘導システムを禁止できるか?
国家財政が悪化し続け、消費税率を上げるという議論があちこちで聞かれます。役所などの無駄を排除するために「仕分け」も行われています。何といっても、日本の国家財政が立ち直るには70年以上かかるという調査結果もあるくらいですから、日本国の借金体質は尋常じゃありません。しかし、私が思うに、政治家たちが自らの選挙区に国のお金を誘導していく「利益誘導」というのでしょうか、そのようなシステムを抜本的に禁止しないと、栓をしていないお風呂に一生懸命お湯を張っているようなものではないでしょうか? ほとんどの政治家にとっての最大の関心事は「当選すること」ですから、有権者のご機嫌を取ろうとするのは極めて自然な行為でしょう。有権者の中には、応援する代償を露骨に要求する人たちがたくさんいます。このようなシステムが機能した結果、日本中に空港ができたり、ほとんど車の通らない道路ができたり、意味のない港湾整備が行われたりしてしまったわけです。それじゃあ、これら「ハコ物」を作るのを規制すればいいかというと決してそうではありません。「ハコ物」はあくまで選挙区への「利益誘導」の象徴的存在に過ぎず、「ハコ物」を規制したところで別の方向で「利益誘導」がなされることは目に見えていますから。 このような弊害をいかに除去すればいいかについて、効果的な対策を考えるのは極めて難しいことですが、選挙制度の抜本的な改革と利益誘導を厳しく監視する独立行政委員会の設置が思い浮かびます。いずれにしても、一部の利益のために湯水のように税金が使われている状況下、使途を限るという都合のいい理屈を付けられても消費税率アップは納得がいきません。