野良犬
1949年公開の新東宝と映画芸術協会提携の黒澤明:監督作品「野良犬」は第二次世界大戦終戦後の東京を舞台に戦後の街並みや風俗で生きている人物を生き生きと描写した映画である。ある猛暑の日、村上刑事(三船敏郎)は射撃訓練から帰途のバス中で拳銃を盗まれる。彼は早速警視庁捜査第一課の中島警部(清水元)に事情を訴え出たが、そのピストルの中には七発の実弾が入っており、事の重大さに今更ながら若い村上刑事は当惑するのであった。中島警部の暗示でスリ係の老刑事・市川(河村黎吉)に相談すると鑑識課の手口カードを調べて当時の様子を分析した。そこで市川刑事の知っているスリのお銀(岸輝子)が捜査線にあげ、気のはやる村上刑事は市川刑事とお銀の巣へ乗り込んだ。お銀は最初しらばくれていたが強引な村上刑事の食い下がりにシビレを切らして場末の盛り場の貸ピストル屋をばく然と知らせてくれた。それからというものは村上刑事はボロボロ服に変相して毎日探し歩きその甲斐あってか村上刑事は遂に突き止めたが責任を感ずる余り失策してしまった。それから村上刑事は淀橋の事件担当の佐藤刑事(志村喬)と一緒に仕事をする事になった。佐藤は熟練者だけあって手際よく事件にあたりそして貸ピストル屋から端緒を得た彼等は本多(山本礼三郎)という男に目星を付けた。すぐ手配して本多の逮捕に取り掛かったが彼は後楽園の球場にいるという聞き込みに5万人という数の中から彼を誘き出しピストルに対する警戒をしながら彼の写真を内外に配布して難なく捕いた。しかしそれで解決した訳ではなかった。村上のピストルは本多の背後にいる遊佐新二郎(木村功)の手もとにあって彼が主犯であったのだ。村上と佐藤両刑事は次々と捜査網を縮めて行き遊佐は幼馴染みだった踊り子の並木ハルミ(淡路恵子)に言い寄っていた事が判明。そんな時、不覚にも佐藤は遊佐の弾に倒れた!この映画は数多く登場する刑事ドラマの原点と評され犯罪捜査の流れに沿ったストーリーには緊張感がある。また下町、歓楽街、商店街等に荒廃の中から立ち直りつつある活気が感じ取れるが復興が進むとはいえ大衆の暮らしはまだまだ貧しく戦争の爪痕は人心にまで及んでいた事をよく表した作品でありました。 にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村黒澤明/野良犬 【Blu-ray】