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カテゴリ:シナリオ
2009年より復元工事が行なわれている名古屋城本丸御殿の第1期工事が終了して、現在、玄関と 表書院が公開されていることを知った老夫婦が名古屋駅にやって来ました。 妻: 今日は日曜日だから、ドニチエコきっぷを買いましょう。市内の地下鉄と市営バスが1日 乗り放題で600円。各施設の入場料割引付きで、お得なのよ。 夫: 名古屋城へは栄駅で乗り換えて市役所前駅で降りるのがよさそうだ。 妻: 十数年ぶりの名古屋城ね。見学ルートは任せるわ。 夫: ならば、正門より攻め入るぞ。 1612年にほぼ完成した名古屋城には尾張初代藩主として徳川家康の九男である義直が入り、それ 以降、御三家筆頭尾張徳川家の居城として栄えました。天守閣は戦災で焼失しましたが、1959年 には再建され、「尾張名古屋は城でもつ」とまで言われています。市民のお城に対する愛着度は 格別のようです。 たくさんの見どころがある名古屋城ですが、最初に惹き付けられたのが石垣。いろんな記号が刻 まれた石や、驚くほど大きな清正石もあります。何よりも天守閣の石垣は独特のそり具合がとて も美しく「扇の勾配」と呼ばれているそうです。熊本城と同じですね。それもそのはずで、天守 閣の石垣は加藤清正が担当したのです。重要文化財の隅櫓もそれぞれに趣きがあります。 約400年前の築城当時に想いを馳せながら歩き、表二之門を過ぎたところで西之丸方面を見ると、 三々五々、人が集まり始めています。 夫: あそこで、何かのイベントが始まりそうだね。見に行こうよ。 妻: 「徳川家康と服部半蔵忍者隊」だって。実は私、忍者が大好きなのよ。楽しみだわ。 夫: 服部半蔵は本能寺の変で信長が死んだあと、明智光秀に命を狙われた家康が伊賀越えで逃げ るときに大活躍し、その後、江戸城の警備をしたんだ。皇居の「半蔵門」は服部半蔵の名 前が由来だと聞いている。歩き疲れたところで、ちょうどいい骨休めになりそうだから、 ゆっくり見物させてもらおうよ。 妻: あら?メンバーに外国の人がいるわ。なんだか、みんな、本物のニンジャみたいね。 半蔵: 民の幸せのため、天下泰平のため、この命果てようとも家康様を守り抜く。さ、行くぞ。 家康様を助け、伊賀を越える。我ら、服部半蔵忍者隊! 全員: この命にかけて! ― 演武 ― 半蔵: 忍びたる者、正しき心を忘れるな。すべてのワザは正しき心から生まれる。そのワザが天 下泰平の世をつくり出すのだ。さあ、行くぞ。お前たち!我らの想いを、我らの覚悟を 民に伝えるのだ! 全員: 御意! ― 演武 ― 昨年結成された忍者隊は、この5月から7人の新メンバーになったそうです。アクロバティックな 動きを交えたダイナミックな演武で土ぼこりが舞い上がりましたが、忍者達の熱演に拍手喝采。 続いて「名古屋おもてなし武将隊」が登場。これも見逃すわけにはいきません。 秀吉: 皆の衆、おはようさんじゃ~・・・ ― 演武 ― 全員: 我らはここに蘇る。どんなことが起こったとしても、共に苦しもうではないか、共に悩 もうではないか、共に喜ぼうではないか、共に楽しもうではないか。 我ら、名古屋おもてなし武将隊! 今日の出陣は豊臣秀吉・前田利家・前田慶次・なつ・一之助の5名。秀吉のコテコテ名古屋弁や コミカルな動きに大笑い。利家・慶次のカッコよさには惚れ惚れしました。 夫: ようやく本命の本丸御殿に付いたね。金ピカだよ。2014年5月から玄関と表書院が公開され ているけど、まもなく第2期工事が終わり、2016年6月からは対面所と下御膳所も公開され るよ。第3期工事が完了して全体が公開されるのは2018年らしいね。 妻: ヒノキの香りに金箔の襖絵、ゴージャスね。廊下も広いし。 夫: この部屋の襖絵などは戦災による焼失を免れたものを、当時の絵師が使っていた絵の具や手 法を用いて忠実に復元しているんだって。スゴイな。あと半月後に来れば、対面所や下御 膳所も見られたのに・・・ちょっと残念。 豪華絢爛な襖絵だけでなく、釘隠しや引き戸などの金具には、それこそ釘付けになりました。期 待以上の本丸御殿に満足して、いよいよ天守閣に向かいました。小天守閣から入場し、大天守閣 の地階に移動すると金シャチの模型と黄金水井戸構造模型が迎えてくれます。 夫: 一階から順次展示物を見ながら階上に昇って5階まで来たけど、列ができているよ。 妻: 何かと思ったら、実物大の金シャチに股がって写真が撮れるのね。面白そう。 夫: 石曳きの体験ゾーンもかなりの人気だよ。 展望室からの眺望も楽しんだ二人でしたが、さすがに疲れました。まずはエレベーターで階上に 行くべきでした。最後に、天守を出たところにある売店でお土産を購入。 妻: ドニチエコきっぷを提示したら、これを貰ったわ。名古屋名物のチョッピリ土産ね。 夫: アハハ、金シャチ銀行券百万円だってさ。 妻: 中はメモ帳だと思うけど、デザインが名古屋らしくて、気に入ったわ。 夫: あそこに「清正公 石曳きの像」があるね。外国の女性が清正像と一緒に写真を撮っている よ。どういうわけか、名古屋城内では加藤清正が目立つな。なんでだろう? 妻: はてさて、さようなことは判らぬが、本日の名古屋城見学は誠に上首尾であったぞ! 夫: ハハ~、お褒めにあずかり、恐悦至極に存じまする~。我ら、名古屋城・見学隊! 新メンバーになったばかりの服部半蔵忍者隊はニンジャだけに、今後、あちこちに出没するに違 いありません。正しき心を持ち続けて、世界へ羽ばたけ! ところで、まだ午後1時。時間は十分あります。もっとドニチエコきっぷを有効活用しなくてはな りません。次はどこに向かいましょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.06.06 07:52:23
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