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カテゴリ:シナリオ
都心にある文化財庭園「小石川後楽園」は四季折々の風情を楽しめる場所。10月下旬、久し振り に園内を散策してきました。 小石川後楽園は江戸時代初期に水戸徳川家の祖である頼房と二代藩主の光圀によって完成した庭 園です。庭園様式は大名庭園に良く見られる、池を中心にした回遊式築山泉水庭園です。特徴は 通天橋、円月橋、西湖堤など中国の風物をとりいれていることです。 入園前に敷地左側の外壁に向かいます。ここには皇居の外堀が埋められるときに掘り出された石 垣の一部が移設され、土塀を支える石垣として再利用されています。私は子供の頃、外堀が道路 拡張や地下鉄工事のためにどんどん埋められていく様子を見ています。ですからここへ来ると、 「よく生き延びてくれた!」とこの石垣を撫でてやりたくなるのです。石垣と白壁の土塀のある 道は味わいのある雰囲気をかもし出しています。ここをお見逃しなく。 この復元された石垣を撫でながらナゾ掛けを一つ、 「復元された石垣と掛けて何と解く?」「復元された石垣と掛けまして、キリスト教の祭りと 解きます」 「復元された石垣と掛けて、キリスト教の祭りと解く、その心は?」 「共に復活できてよかったですね」 さて、受付に行くと、外国の方たちがキップ売り場に大勢並んでいました。なんと、日本人は私 一人ではありませんか。日本庭園の良さをしっかりと味わっていただけることを願いつつ、順番 を待ちます。この時期は梅、枝垂桜、花菖蒲などの花があるわけではなく、紅葉にもまだ早いの で、人が少ない分だけゆったりと散策できそうです。 園内を左回りで散策することにしました。入って正面にある公園のシンボル、枝垂桜を背に池を 正面に見て左の道に進みます。行く手には屏風岩・西湖堤があり、そこを過ぎると、笹で覆われ た小山の頂上に出ます。そこからは眼下に園内が一望できます。更に進むと、徐々に深山幽谷の 気配を感じ始めます。すると突然、華やかな朱色に塗られた通天橋が現われます。この辺りまで は集中的に中国の風景が集まっているところです。歩く道も「延段」という中国風の素朴な石畳 です。11月中旬以降になると橋を覆う木々が色づき始め、朱色の橋はいっそう引き立つので、カ メラマンたちが喜ぶビューポイントになります。 通天橋を見ながらナゾ掛けをもう一つ、 「通天橋と掛けて何と解く?」「通天橋と掛けまして、森昌子の越冬ツバメと解きます」 「通天橋と掛けて、森昌子の越冬ツバメと解く、その心は?」 「♪ シュヌリ(朱塗り) シュヌリララ~(朱塗りらら~) ♪」 先に進みます。光圀ゆかりの得仁堂を通って円月橋に出ます。中国の風景を取り入れた石造りの 円月橋は得仁堂と共に造園当時の姿を留める貴重な建造物です。私はそこで和装の結婚衣装を着 たカップルに会いました。結婚式の前撮り撮影で、カメラスタッフのカメラに向かって笑顔のポ ーズ。周りにいたアメリカ人のグループがもの珍しそうに眺めながら、これまた笑顔で撮影の様 子をカメラに収めていたのが印象的でした。日本庭園には和装が似合います。なんとなく嬉しく なって私もしばらく撮影が進むのを眺めていました。あのお二人も幸せな家庭を築いてほしいで すね。 円月橋までは高台です。深山幽谷の雰囲気を味わいながら、ゆっくりと下り、花のない梅林や花 菖蒲田を過ぎて松原と呼ばれる広い平地に出ました。池の半周を廻ったことになります。ここに 来ると時折、隣接の後楽園遊園地のジェットコースターに乗った若い人たちの悲鳴が聞こえてき ます。これも含めて小石川後楽園ですね。パンフレットを見ますと、残りの半周には池の中に竹 生島、鳴門そして川には木曽川の名前があります。ここから出口までは日本の名所を模した造り となっているようです。私はゆっくりと池や緑の木々を眺めながら出口に向かって歩みを進めま した。ここにも「延段」の素朴な石畳があります。池の端を歩くので視界が広く、名園を独り占 めできるような場所です。アオサギを狙っているカメラマン、写生をしている方、そしてベンチ に座っている方など、それぞれが自分独自の楽しみに浸っています。ふと見上げると、一部の葉 が紅葉を始めている木が眼に入りました。ラッキー!色づき始めの葉っぱは、なぜか愛おしく感 じるものです。 ついに出口が見えてきました。小石川後楽園の案内を終えます。 最後に庭園を振り返りながら、ナゾ掛けで締めくくります。 「小石川後楽園と掛けて何と解く?」「小石川後楽園と掛けまして、富士山と解きます」 「小石川後楽園と掛けて、富士山と解く、その心は?」 「共にいつまでもその姿を留めて欲しいです」 小石川後楽園はアクセスが良いので簡単に行けます。今週ごろから少しずつ紅葉が進んでくると 思います。園の事務所に紅葉の様子を問い合わせてから出かければ間違いありません。 名園ですよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.11.14 10:42:28
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