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食器を片付け終わると、もう随分遅いから、順番にお風呂に入ることにした。今日はケースケが先。私はその間に、ちゃっちゃと小説の今日の分のアップを終える。そろそろ、小説が現実に追いつきそう。さ、どうする、結末?なんて思ったりして。実生活での結論が出ないまま、ダラダラ書き続けて、いつのまにか、日記ブログになってたりしちゃ、訳わかんないよね?かといって、結末のために、結論出すって言うのもな~。
なんて、考えてるとケースケが出てきたから、交代でお風呂に入る。 湯船で湯気の中、考える。 ここのとこ、ケースケにちゃんと会えない日が続いて、とってもサミシイ私だった。1人で眠りにつく日や、1人の部屋で目覚める日が、私をすこしずつ弱らせた。なかなか眠れない。眠ってもすぐに目が覚めちゃう。でも、ケースケはまだ帰ってない。あるいは、もういない。そんな日が続いて、だんだん、夜、深く眠れなくなってきた。その分、一日中、眠気に襲われた。だから、お酒の量は随分減った。飲んじゃうと、すぐに眠くなるから。人が来てても寝ちゃうから、さすがに反省して、飲むの控えてるんだ。 でも、まさか、ケースケにこんなこといえない。ケースケにとって、大切な仕事なんだし。だから、心配かけられないし。困らせるわけにいかないし。大体、私は、、恋人でもないわけだし。。。 毎日、愛してるって言ってくれるはずのケースケ。 でも、毎日顔を合わせられるわけじゃない日が続いて、その言葉は、 メール(『ごめん、日付変わっちゃいそうだから、メールで。ミリ、愛してるぞ~っ』)で届いたり、 起きた枕元にメモ(『おはよ、ミリ。今日も愛してる。ケースケ』が置いてあったり、 冷蔵庫のホワイトボード(『ちゃんと食べてる?愛してるよ、ミリ』)に書いてあったりした。 その言葉を受け取るたびに、とてもあったかい気持ちになれた私。 だけど、今日みたいに、 「ミリ、愛してる」 って、優しく囁いてもらえるのは、やっぱり一番幸せ。 ジュンペーたちがろくでもないこと言って不安にさせるから、元気なくなっちゃったのバレてたんだよね? さっきはいつにもまして、とっても優しく囁いてくれたケースケの声。 そして、見上げたケースケの顔には、甘い甘い表情。 もうちょっとで胸に飛び込んじゃいそうだったよ。 ・・・って。 飛び込んじゃえばいいじゃんって話だけど、 でも、やっぱり、、ためらってしまう。 あ~、自分で自分がもどかしいっ。 もう、私は認めざるを得ない。 私はケースケがいないと生きていけない。 私はケースケを失っては生きていけない。 ケースケがヒロトの弟でも。 ケースケが初恋の相手でも。 だって、こんなにたった少し離れてみるだけで、寂しくて仕方がないんだもん。 だけど、それでも、まだ言えない。 ヒロトの時には、なんだかいっぱいいっぱいで、 「好きで好きで仕方ないの」 なんて、あっという間に、言っちゃえたのに。 なんでだろ? ケースケには、、どう伝えていいか、浮かばない。 もう、心は決まっているのに。 もう、心は求めているのに。 お風呂から出ると、ケースケは、ソファでうとうとしていた。 やっぱり慣れない緊張する仕事で、疲れてるんだよね、ケースケ。 私は、和室に布団を敷いてから、ケースケを揺り起こす。 「ケースケ、風邪ひいちゃうよ?」 「ん・・・」 と少しうめくだけで、目を覚まさないケースケ。 私は、ソファからだらりと落ちているケースケの腕をソファの上に持ち上げる。 そして、手のひらに両手で触れる。 ケースケのあったかい手にそっと頬をつけてみる。 私を、きっと、ずっと、守ってくれる優しい手。 ただそれだけで、ほっとする。 しばらくそのまま寝顔を眺めていた。 でも、全然起きそうにないケースケ。 仕方ない、何かかけるもの持ってこようかな、 と立ち上がったときに、手首をつかまれて引き寄せられ、抱きしめられた。 ちょっ、もう。。 「ちょっと~、びっくりした。起きてたの?」 「途中で目が覚めた」 胸がドキドキする。手に触ってたのもバレちゃったかな?私は照れ隠しに言う。 「離してよ」 「やだ。ミリだって俺の手触ってたじゃん。だから、ちょっとだけ、抱っこさせてくれよ。いいだろ?充電」 ケースケは少し力をこめて私を抱きしめる。私は逆に全身から力を抜き、自然に、ケースケの胸に身を預ける。充電。私だって。 ケースケは私の髪をやさしく撫ぜながら、 「最近、よく眠れてないんだろ?」 と言う。全部、知ってるんだ、ケースケは。 「ごめんな~、さみしくさせて。今日、添い寝してやろうか?」 「いいよ、そんなの」 「ほんとに?」 「うん。今日は、隣の布団にいてくれるんだもん、それだけで、十分だよ」 「そか。じゃ、とりあえず、布団いく?」 やっと離してくれるケースケ。私はうなずいて、先に行く。ケースケはリビングの電気を消して、少し遅れてくる。先に寝床に入ると、ケースケは、電気を消してから、隣の布団に入って横になる。暗闇の中、ケースケが言う。 「そうだ。次のさ、水曜日って、ミリは学校?」 「うん、なんで?」 「そっか。いや、オフもらえそうだから」 「学校、休む」 即答の私に、少しケースケは笑ってから、 「じゃあ、久しぶりにデートしよう。夏服買いに行かない?」 「うんっ、行くっ」 私のはしゃいだ声に、ケースケがふっと笑う声が聞こえた。 その夜、私は、久しぶりにすぐそばにケースケの気配を感じながら、眠りについた。 幸せだった。 心で何度も思う。 愛してるよ、ケースケ。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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