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2008.08.07
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予想された展開だったけれど、やっぱりミリを傷つけてしまったことで胸が痛む。

心にもないことを捨て台詞に、後ろ手でドアを閉めようとするミリを、まさかそのまま行かせるわけにはいかない。
ドアを思い切り引き返し、そして、胸の中でミリを包み込む。
「ミリ。愛してる。ごめん、イヤな思いさせて」
身動きしないミリ。俺は続ける。
「。。イヤな思いをさせることは謝る。だけど、仕事でキスすることは謝らない。仕事だから。これから同じような思いいっぱいさせるかもしれないけど、俺は役者を辞めないよ。まだ少しやってみただけだけど、自分ではこれが天職だと思うんだ。つらいの分かる。だけど、そのこと、ちゃんと分かってほしい。」
ミリは少し顔を上げる。俺は胸からミリを離し、潤みかけた瞳を覗きこむ。ひどいこと言ってるかもしれない。だけど、仕事を続けていく上で、理解してもらわなくてはならないことなんだ。ミリは言う。
「・・・そうだね。ケースケは、今の仕事、本当に向いてると思う」
ポツリとつぶやくように告げ、少し目を閉じるミリ。目をもう一度開いて言う。
「だから、がんばってね」
言葉の内容とは裏腹な、突き放すような言い方に、俺は胸を締め付けられる。自然に手に力がこもる。身をよじって逃れようとするミリを、より強く抱きしめる。
「離して・・?」
「いやだ」
こんなんで終わるわけにはいかないんだ。
「なんでよ。離して。私、怒ってないよ」
穏やかに告げるミリ。俺は少し体を離して、瞳を見つめる。確かに、、。でも。
「怒ってない」
繰り返すミリ。俺はミリの体から、ゆっくりと手を離す。
「なんかちょっと妬けただけ。子供みたいだね、私ってば」
にっこりと笑ってくれるミリ。

くそっ。俺、無理させてる。ミリにガマンさせてるんだ。
確かに、俺の仕事で、つらい想いさせること、納得してもらわなくちゃならない。
だけど、こんな風に気持ちを押し殺して無理してほしいわけじゃない。

俺はミリをもう一度抱き寄せる。
「んだよっ。無理しなくていいんだよ。いつもみたいに、イヤだとか、キライとか、バカとか言ってくれよ。大声で叫んだっていんだぞ?」
ミリはあきらめたような笑顔で俺を見る。俺はなんだか不安になって、
「泣いたっていいんだぞ?」
こっちが泣きそうになりながら言うと、ミリはそのまま首を横に振る。
「無理なんてしてないよ。泣きたくなんてない。ただ。。。」
「ただ?」
ミリは、
「何でもない」
と笑ってごまかす。
「言えよ」
ミリは気弱そうに目を伏せ、
「ケースケには役者は天職でも、、」
「・・でも?」
「でも、私は、こんなことくらいで動揺して、、役者の恋人には向いてないのかな、なんて思っちゃった」
頼りなげに微笑むミリ。俺は、愕然としながら、
「ミリ、、、まさか、」
言葉につまる俺を見つめ、ミリは、ニッコリ笑う。
「な~んてね、こんな気弱なキャラは似合わないない。ね?」
明るく言ってくれるミリだけど、俺は立ち直れず、
「俺には、ミリしか、いないんだぞ?」
呆然とつぶやく。少し声が震えてしまう。ミリは、笑って、
「はいはい。分かってるよ」
と言ってから、
「あ、そうだ」
「え?」
「せめて、NG出さないようにがんばってよね?」
「NG?」
「うん。だって、NGになったら、何度も、、、するんでしょ?」
「ああ、きっと1回で決めるよ。約束する。」
静かに頷くミリ。
「もう、、、寝るね」
「・・俺もシャワー浴びたらすぐに行くから」
そういってから、俺は付け足す。
「なあ、練習台なんて、ありえない。いつだってミリのことだけ思ってキスしてるよ?」
「・・分かってるよ。そんなこと。なんだか動転しちゃって、、バカなこといってごめんね」
俺は少しだけ安堵し、ミリを抱き寄せて、いつもどおりキスをする。

だけど、いつもと違うこと。

唇が触れる瞬間、ミリの体が固くなった。唇も固くなっている。
体が、、俺を拒んでる、、の、か?

ミリは自分から唇を外し、俺を優しく押し返してから、俯いたまま、
「おやすみ」
そう言って寝室に消えた。

俺はしばらくその場から動けなかった。

俺が、キスシーンのことを話せば、
きっと、もっと、ミリは泣いて怒って拗ねてって思ってた。
俺はそれを抱きしめて、なだめて、
腕の中で思いっきり泣かせて、気が済むまで泣かせて、
キスして、しっかりと抱くことで、何度も愛してるってささやくことで、
これまでと同じだって、
これからもずっと同じだって、
何も不安に思わなくていいんだよって、
伝えようと思っていたのに。

ミリは、あんなに穏やかに、、ひとりで飲み込んでしまおうとしている。

ひとりで・・?
そんなことできないだろ?

なあ、ミリ。
頼むから、他の誰か、なんかに、助けを求めないでくれよな?

『役者の恋人には向いてないのかな』
ミリの言葉が脳裏に甦る。

役者であろうと、、なんであろうと、
俺の隣には、ミリ、お前の居場所しかないんだよ?

一体、俺、今のミリに何をしてあげられるんだろう?

1人残された部屋で、途方にくれる俺、だった。


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最終更新日  2008.08.07 22:27:13
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