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2008.08.15
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父の指定の場所は実家の近くにあるイタリアンレストランだった。ここは父のお気に入りのお店で、私の誕生日やお祝い事があるといつも誘ってくれる少し高級なお店だ。このお店を選ぶなんて、新谷先生のことよっぽど気に入ってるみたい。私の部屋からも近いので、歩いていくことにする。日が傾くと、ワンピースに着替えアクセサリーもつけ、慣れない化粧もし、少しおしゃれをして、いつもの公園を抜けていく。噴水の前で少し立ち止まることも忘れない。

・・・ちゃんと可愛く見える、ヒロト?
ケースケのこと、、、どうしたらいいのかな。
心の中で少しヒロトと話してみる。
返事は、・・・ない。
だよね。
私が自分でちゃんと考えないと。

お店に着くと、テーブルでは新谷先生が1人で待っていた。席に着くと、挨拶の後、
「高崎先生は、少し遅れられるそうです」
と、まるで自分が悪いように言ってくれる。私は笑って、
「はい。さっき私にもメールが来ました。いつものことなんです。、、って、新谷先生も、よくご存知ですよね?」
「はい。お忙しい方ですから」
父が来るまで、少しだけ食前酒を頂くことにする。しばらく新谷先生と話す。新谷先生とは、まだ会うのは2度目だけど、平気で話せる。多分、先生が大人だからだろうな。私は思い出して、
「あ、そうだ。お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとうございます。すいません。ミリさんにまで、来ていただいて。お祝いしてもらうような歳でもないんですけど」
「いえ。お祝いするのは、するほうも楽しいですから。先生おいくつになられたんですか?」
「28です。」
「28。・・大人、ですね」
と、私は、小さな包みを差し出す。
「これ、ささやかですけど、誕生日プレゼントです」
新谷先生は慌てたように、
「そんな、頂くわけには」
私はにっこり笑ってもう一度差し出す。
「そう言わないで下さい。先生のために選んだものですから。受け取っていただけないとどうしていいか」
そういう私に、新谷先生は遠慮がちに、
「いいんですか?」
「ええ、ただ、先生の好みとか何も知らないから、喜んでいただけるかどうか。。」
「ありがとうございます」
新谷先生は、静かに受け取って、私を見る。
「開けていいですか?」
「もちろん。」
革製の小さな犬のキーホルダーを選んだ。先生が開けて手に取るのを見届けてから言う。
「すいません。恋人でもないのに図々しく身に着けるものを」
新谷先生は、顔をほころばせ、
「いえ、ありがとうございます。素敵なキーホルダーだ。是非使わせてもらいますよ」
「そういっていただけると嬉しいです」
そこに、ウエイターが電話を持ってきて新谷先生に渡した。私は小さくため息をつく。父だろう。きっと、来られなくなったのだ。職業柄仕方ないとはいえ、自分からお祝いと言い出しておいて、ほんとに、もう、と思う。新谷先生は簡潔にやり取りを終え、私に受話器を回す。
「高崎先生です」
私はうなずいて受け取る。
「もしもし、お父さん?」
「すまん、ミリ。ちょっと今日行けなくなった。払いは僕がすること伝えているから、悪いが新谷君のお祝い、よろしく頼むよ」
「分かったわ」
父にとはいえ、あまり不快感を表すと新谷先生に嫌な思いをさせてしまう。私は努めて明るく受け答えを済ませ、ウエイターに電話を返した。新谷先生に申し訳なくて、
「すいません。父ったら自分からお祝いだって言い出しておいて。・・また父にはしっかりお祝いさせますから」
と謝る。新谷先生は、穏やかな笑みを浮かべて、
「いえ、高崎先生は、、、高崎先生なりに、もう十分にお祝いしてくれていると思います」
そのときの私には意味の分からなかった言葉をつぶやいてから、
「ミリさんは、僕と2人でも、、かまいませんか?」
2人。先生はいい人だし、きっと楽しいだろう。ケースケのことはあえて考えないようにした。ちゃんと話したら分かってくれるだろう。まさか食事をしただけで、妙な誤解をするとも思えない。それにどう考えても、誕生日の先生を独り残して帰るなんてこと、ありえない。
「もちろんです。先生さえお嫌でなければ。今日は私、、少し落ち込んでて。、、だから、とても嬉しいんです。こういう空間にいられること」
新谷先生は、少し心配そうな表情を見せた後、うなずいて、
「僕としては、ミリさんと2人でディナーなんて申し分のない誕生日ですね」
と微笑んでから、
「じゃ、注文しましょうか?」
「ええ、私、お腹すかせてきたんです。父のおごりですからたくさん食べましょ」
私がにっこりとそういうと、新谷先生は、少し指で合図して、注文のためにウエイターを呼んだ。


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最終更新日  2008.08.15 08:04:22
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