カテゴリ:ベストセラー・ビジネス書
さらに昨日の続きです。
1. まずは読者ターゲットを徹底的に絞らないことには、タイトルも文体も装丁も決められないと思います。 「読者ターゲットは20代から40代の男女で、10代や60代にも読んでもらいたいですねー」 という著者の本は、各年代に配慮をした結果、平凡な本が出来上がりがちです。 また、読者ターゲットやコンセプトは首尾一貫させることが大切です。 「20代向けに本を出すんですよー」と言っておきながら、古くさいタイトルをつける編集者もいます。 結果的に読者ターゲットを無視していると、本が売れないのも当たり前ではないかと? 2. 立派な方々の「対談本」がなかなか売れないのは、首尾一貫したコンセプト、つまり「統一感」の軽視が原因だと思います。 対談本の場合、たいがい2人が言いたいことを言うので、散漫な印象を読者に与えてしまい、統一感が取りにくいです。 雑誌ぐらいの少ないページなら楽しんで読めますが、統一感のない展開が200ページも続くとさすがにしんどくなります。 同じ「対談本」でも話し手と聞き手がはっきりと分かれている本は、構図がわかりやすく、コンセプト自体もはっきりと見えてくるので、ベストセラーもよく出ます(『経済ってそういうことだったのか会議』など)。 「有名人を2人そろえれば、2人のファンが買ってくれるから、本の売り上げも倍増だ!」 という安易な企画はやめたほうがいいのでは……。 3. ベストセラーになる本に共通しているのは、「しっかりとしたコンセプト」があることではないでしょうか(たとえそのコンセプト自体がくだらなくても)。 そして、「しっかりとしたコンセプト」を作るコツは、読者の範囲や内容・文章自体も欲張らないことです。 たとえば、専門知識を伝える本の場合、「入門書にしよう、実務でも使えるようにしよう、理論もしっかりと説明しよう」とあれこれ欲張って詰め込むと、読者は読みながら迷路に迷い込みます。 物事を全部説明しようとしてくれる人って、一生懸命で好感は持てるんですけど、結局何が言いたいのかよくわかりません。 ポイントを絞って丁寧に教えてくれる人のほうが、ビジネスでは重宝されます。 だいたい、読者はそんなに期待して本を買っているわけではありません(自分も含めて……(^^;)。 「入門書がほしい人」「実務書がほしい人」「理論書がほしい人」とある程度分かれているはずです。 ならば、どれかに絞って本を出したほうが、満足度は高いはずです(つまり万人受けを狙うのは諦めるべきです)。 「しっかりとしたコンセプト」をまず最初につくり、それを踏まえて内容や文章量・文体・装丁・タイトルなどをつくり込むこと。 そして、コンセプトは最後まで絶対にブレないこと(ブレたときは最初からやり直す)。 これは本に限らず、すべてのモノ作りや企画作りにおいて共通するセオリーだと思うんですけど、どうでしょう? <おわり> ※ 以上の文章は、数十社の出版社とお付き合いさせていただき、数百店の書店へ一人で営業に出かけている経験から脈略なく書かせて頂きました。それなりに反響があったので、また機会があったらお話したいと思います。興味のない方にまでお付き合いさせてしまって、すみませんでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.10.10 18:32:34
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