点と線 with Re檬
古ぼけたミシンが紡ぐ糸あなたとの記憶呼び戻すせっせ せっせと穴あけて一点の傷も思い出したくないのだとあなたは言ったそれならば 二度と触れないことがあなたの力になるのだろう振り返らず 忘れるがいい忘れな草もあなたの前では咲かぬだろう私は いつでも振り返るぐるぐると首を廻しながらなぜならばそれが私の生きた証だから傷は全部受け止めてやる自分自身の傷ならばかさぶた剥がす勢いで飲み込んでやるそれがたとえ毒であろうとその毒にあたろうと点を線にするためにあなたが痛いと言っている その時は別の痛みを感じてる別の怒りを感じてるあなたは気付いているだろうか好きなだけ無邪気に引っ掻いていたことを私を柱と間違えていたのかさようなら私の仔猫さようなら生々しい痛み傷が傷で無くなるまで私は いつでも振り返るあなたとは違うやり方であなたと暮らしはじめた頃に買ったミシンがカタコトと糸を紡ぐ少したどたどしい直線がブラウスの生地を横切った