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2005年12月24日
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カテゴリ:小説
私は自分が恥ずかしく思えた。
それと同時に、なぜ彼がこの問題に
真剣になるのが聞きたかった。


「何か、思うことがあるから、真剣なんだよね?」
思わず、聞いてしまった。やはり、マズかっただろうか。


その不安を一掃するように、彼はこの質問に答えてくれた。
「オレのじいちゃん、戦争のとき、兵隊として東南アジアに行ったんだ。


やさしくて、気のいいじいちゃん。
今でも元気で庭いじりしたり、買い物したりしてる。
パソコンなんかオレより詳しいんだよ。


そんな、じいちゃんなのに、戦地では人を殺し、
食料を奪うなど罪を犯した。これが、戦争なんだろう。
でもさ、この話を聞いたときショックだった。


身内が、アジアに対して罪を犯したことがショックだった。
中国・韓国、東南アジアと日本における歴史問題が、
身近にあることを思い知らされた瞬間だったね。
正直、歴史問題に関して難しすぎて、オレも分からないよ。」



聞いているこちらも真剣に聞き入ってしまう話だった。
当然、私は「うん、うん」と相槌を入れるだけだった。


「でさぁ、中国からの留学生さんと話す機会があったんだよね。
そのとき、歴史の話にもなったわけだ。留学生さん、こう言ったよ。


『自分が中国と日本の架け橋になりたい』 
こうして、ビジョンをもってるんだなぁと、驚いた。
そして、何も考えていない自分が恥ずかしかった。


だからこそ、こうやって勉強して、研究して、
分析して答えを探すことが大切なんだと思う。


だから、教科書問題を扱うこの授業を
真剣に取り組んでしまうんだよねぇ。」


と、羽鳥君は伝えたいことを全て言うことが
できたのか、ちょっと満足そうな顔をした。







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Last updated  2005年12月25日 17時31分59秒



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