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まつにっき

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2005年12月24日
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カテゴリ:小説
「第二ボタンの最初の物語を踏まえてさ、
人間は儚いね。故郷では人を愛する人ができる。

戦地では、何のためらいもなく人を殺すんだ。
人間は不思議だね。だからこそ、歴代の哲学者が考え、
作家が自分の作品を世に出したのかもしれない。」


そう話すと、外の夜景を見つめながら、彼は続けて話した。


「この場所もさ、六十年前は空襲で焼け野原になったんだよ。
今では、そんなこと全く分からないね」


羽鳥君は切なそうだった。
私も、胸が痛かった。私も、一緒に考えたい。そう、思った。
日本人として、人間として、これからの社会を支えていく者として、
解決すべき問題だから。


私だって、どうすれば良いかなんて分からない。


ただ、一つ分かるのは難しい問題ということだけだ。
私の決意を知ってか知らずか、羽鳥君は私の反応をうかがっていた。
今度は、私が答える番のようである。


「私ね、今の話にショックだった。でもね、どこか客観的
というかバーチャルに見ていた部分があるのね。


実際、教科書問題のデモや中国の半日運動は
テレビのニュースや新聞で見ただけだから。

今の話を聞いてさ、何かリアルというか
上手く説明できないのだけど、目の前で起きている
ことなんだな、ということが分かったよ。」


自分でも、自分でも何を言っているのか分からなかった。
だから、「ごめん。バカなこと言ったね。もっと、勉強してくるよ」
と謝ってしまった。すると、羽鳥君はやさしくなだめてくれた。


「オレの言いたいことが伝わったみたいで、良かった。
オレ、じいちゃんの話を聞いた当初は、自分の血を忌み嫌ったさ。

でも、じいちゃんが生きて帰ってこなければ、
オレは生まれてこなかった。それに、じいちゃんだって、
罪を犯したのは事実だけど、好きで戦争に行ったわけじゃない。

それに、じいちゃんカッコいいんだ。
『自分は戦争中、南方で罪を犯してきた。
だから、これからの人生、苦しみや痛みがあっても、
素直に受け入れる』と言ったんだ。


オレ、こんなじいちゃんを誇りに思う。
だから、今の授業もそうだけど、卒論も日本と
アジアにおける歴史問題について書くよ」






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Last updated  2005年12月25日 17時40分18秒



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