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「Q&A」恩田陸(幻冬舎2004年6月10日第一刷発行)
2002年2月11日午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。 死者69名、負傷者116名。いまだ事故原因を特定できず・・・。 それでは、これからあなたにいくつかの質問をします。ここで話したことが外に出ることはありません。質問の内容に対し、あなたが見たこと、感じたこと、知っていることについて、正直に、最後まで誠意を持って答えることを誓っていただけますか? 2002年2月11日(祝日)、良く晴れてはいるがひどく寒い日、午後3時ごろ、旭が岡のスーパーマーケットで火災が起きたとTVの速報で流れた。 旭が岡ニュータウンにあるショッピングセンターM。食料品・衣料品のみならず家電製品や飲食店も入っているデパートに近い大きな店舗。巨大なニュータウンに住むニューファミリーで休日は凄く混む。 火災発生?現場から逃げる車と現場に向かう車で道路は渋滞、渋滞の中ぐずる子どもの泣き声は響くが、携帯電話はつながらない、公衆電話に群がる人々。 その後、消防が有毒ガス発生、負傷者多数と発表するが・・・ 現場から運び出される怪我人。Mから逃げ出した人々で混雑する周辺。それに反して静かな現場。 Mの中で何が起こったのか? 警察と消防の現場検証の結果、死者の死因は転倒による全身打撲、内臓破裂、或いは圧迫されたための窒息死。どこをどう探しても、火災はおろかガスの発生した痕跡もしくは何かの事件がおきたあとなど全くなかった・・・ 質問と答えだけで進行する物語。 最初の回答者は事故(事件?)について外部の目として分かっていることを説明する解説者として登場したようです。現場に事故直後取材のために向かったマスコミかつ被害者の家族としての回答者であり被害者ではありませんでした。 現場に向かう風景や感触が具体的で自分がその場で見ているような気分にさせられました。 次の回答者(大抵は前の回答者と何らかの接点がある人が登場。この連鎖しているところも怖い)からは被害者だったり弁護士だったりなどの違いはありますが、回答者自身の本性を暴かれているような感じでした。 あれほどの災難の中にあっても自分が助かったことをうれしく思ったり自分だけ助かってしまったことに罪悪感を覚えたり、反対に疎ましく思ったり憎んでいた人がその事故で死んだことに喜びを覚えたり、人の死を喜んでいる自分を恐ろしく思ったり。 後半、Q&Aといっても質問者と回答者のインタビュー形式だけでなく友人として話を聞いたり、カウンセリングを受ける患者と医者であったり、タクシーの運転手と客であったり、現在の自分と未来の自分であったり多少形は違いますが基本的に全て質問者と回答者によるQ&Aでした。 読み進むうちに以前の回答者や怪しいと思われていた人物が死んだり殺されたりしたことを示唆するようなことが書かれていたのですが、その死は質問者がもたらしたものか(確実にそうだと思われるものもありましたが)質問者とは別の誰か(何か)がもたらしたものか疑問に思いましたがその答えははっきりとした形では書かれていませんでした。自殺したと言われてもね、なんだか怪しい。 読みはじめたのが家族が寝てからだったので静かな部屋の中で「現場が静かだった」なんてのを読むとゾーっとしましたよ。質問と答えだけでこうも怖くなるとは・・・ 工具を買いに来ていた老人の話は悲しかったですね。 奇跡の子とその母、母が怖い。子の後日談が何とも救いが無い未来の暗示と罪の自覚ですが恐らく怖いことになってしまうであろう結果を招く道を選んだのが悲しいし可愛そうでした。 元顧問弁護士とレスキュー隊員の話は単純に怖い。 タクシー運転手が語ったのは冗談だったのか真実だったのか?気になる~けどあの人はもう・・・ 移動図書館の車の中、「暗黒童話」乙一著と並んでいた恩田さんの作品。読んでとばかりの二冊。と言うわけで借りました。 どちらも夏休みに読みたかったかもしれません。怖いためか秋の夜は冷えるからか読んでいて寒くなりましたから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年10月10日 15時14分42秒
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