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ラッコの映画生活

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2007.02.12
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カテゴリ:フランス映画
MONSIEUR HIRE
Patrice Leconte

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寸評:苦手なルコントの作品の中では好きな方。でもちょっと時代錯誤を感じる。

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あまり好きにはなれないルコントの作品の中では良い映画だと思います。原作はシムノンの小説『イール氏の婚約』で、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督が既に1946年に『パニック』として映画化している。デュヴィヴィエの『パニック』がフィルム・ノワール的側面が強く、原作でもあまり描かれていない(らしい -- 読んでないので -- )エミール(作中ではアルフレッド)がヤクザ者として登場するが、このルコントの映画ではイール氏の愛を中心に描いていると言えるだろう。この映画、時代感があまりないのだけれど、特に古い時代設定には感じられない。そんな気分で見ていると、イール氏はいいのだが、サンドリーヌ・ボネール演じるアリスのキャラクターがどうも現代的(1989年の)女性という現実味に欠ける。彼女の恋人であるエミールのキャラクターも、彼女のエミールへの愛の実態もはっきりしないだけに、ともすると物語全体が嘘っぽく感じられてしまう。まあそれを外せば80分間十分に楽しませてくれる作品だった。

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(以下ネタバレ)
主人公のイール氏(ミッシェル・ブラン)、まあ40がらみといった年齢だが、過去には強制ワイセツ罪かなんかで捕まったこともある。孤独に一人で生きていて、神経質で几帳面な人間嫌い。彼としては普通なのだろうけれど、社交性がないというか、バカにされた嫌われ者、そう社会のいじめられっ子のような存在とでも言えばよいだろうか。周りの人々が彼を好いてくれないから、彼もその人々を好きになれない。ボーリングの名手で、ボーリング場から小遣い貰ってパフォーマンスなんかもしてるんだけど、そんな観客とのその場限りの関係としては、彼は受けている。でもだからって特に愛想良く振舞うでもない。彼は駅で人を観察するのが好きなのだけれど、人に対する洞察力が強過ぎるのかも知れない。社交的な笑顔の裏にある人間心理を見透かしてしまうのだ。

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身なりは仕立て屋らしくしっかりと背広やコートを着こなした紳士。そんな彼はそれまでは売春宿に通ったりだったらしいのだけれど、3年だか前に道路を挟んだ向かいのアパルトマンにアリスが越してきて以来、彼女を覗き見、恋をしてしまった。夜は部屋の電気を点けない彼なのでこれまでアリスには知られていなかったが、ある雷の夜に稲光りで窓から見ているのを見つかってしまう。彼女は覗かれていたことを知って、何故か性的に挑発的な行動を取ったりしてイール氏に近付いてくる。イール氏は最初は彼女の接近をはねつける。彼としては覗くだけの恋までで押さえていたんですね。イール氏は実はアリスが婚約者のエミールの犯した殺人の死体遺棄と証拠隠滅の共犯者であることを見ていた。刑事はイール氏を疑って彼につきまとうのだけれど、彼女が逮捕されればもう彼女を見ることが出来なくなってしまうからその事実を言わない。彼女が積極的に迫ってくるので話もするようになり、食事も一緒にしたりするのだけれど、そこで彼は事件のことを知っているけれどアリスを愛しているから警察には通報しなかったと告白する。

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アリスは最初は、覗かれていたことを知って、もしや事件も目撃されているかも知れないと思ってイール氏に近付いたのかも知れない。彼に愛を告白されても「私にはどうもしてあげられないわ」って答えるのだけれど、イール氏の一途な愛に少しずつ心を動かされているようでもある。彼はスケート場とかボクシング観戦とか、エミールと一緒のアリスをストーカー的に追いかけたりするのだけれど、ボクシングを男友達と夢中に観戦するエミールから離れたところでアリスの腕や胸に触れる。彼女も拒絶はしない。嫌悪よりも官能を感じているようだ。ボクの感想としては、エミールを愛していると言う彼女なんだけれど、その実どこかでエミールの自己中心的な愛が少々イヤになっている感じがする。で全く違うイール氏の愛し方に惹かれてもいるのだ。

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イール氏はスイスに家を持っているから一緒に逃げようと言って、彼女に列車の切符を渡す。イール氏は人から嫌われる存在として自分と似ているネズミを飼っていたのだけれど、そのネズミも放し、駅で彼女を待つけれど彼女は来ない。悩んでいる様子の彼女が描写されるのだけれど、何をどう悩んでいるのか。彼女は隠していた被害者の遺留品のバッグをイール氏の部屋に隠して、警察に通報する。イール氏が駅から部屋に戻るとアリスと刑事が待っていた。イール氏はアリスにはめられたわけだけれど、「君を恨んではいない。ただ死ぬほど切ないだけだ。」って言うんですね。隙を見て彼は屋根の上に逃げる。足を滑らせて落ちそうになって両手で宙にぶら下がるのだけれど、力尽きて落ちてしまう。イール氏の部屋の窓から冷ややかにその様子をアリスは見ている。(ここで映画はまだ終わらないのだけれど、落ちは最後に書きます。)

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まあ考えてみれば相当にひどい女なんだけれど、だって自分を愛していると告白し、疑われながらも自分を守ってくれようとし、どこかで惹かれてもいた男を自分の婚約者の身代わりに殺人犯に仕立てるわけだから。彼女にはそこに至っても彼が彼女をかばって真実は言わないという確信があったわけですね。精神的力関係で彼女の方が優位にあることを知っているしたたかさです。でもなんで彼女がイール氏を殺人犯に仕立てて、真犯人の婚約者エミールの方を選んだのか。それは彼女のエミールに対する愛からでもなければ、何がなんでも自分の共犯の罪から逃れようとしたのでもない気がする。純粋すぎるイール氏の愛は自分にとって負担だと感じたのではないだろうか。それでその愛を断ち切るためにイール氏をはめたように思える。まあそれはボクの勝手な解釈なのだけれど、最初に書いたようにどうも(1989年の)現代にそぐわない女性像のようで、現実的に想定できないんですね。『死刑台のエレベーター』(1957)とか『太陽がいっぱい』(1960)頃の映画か時代設定なら解るんですが。サスペンスをもっと中心に作られた映画ならばまだいいのですが、イール氏(とアリス)の愛を描いた作品としてみると、やっぱりどこか絵空事過ぎる感じを拭えませんでした。

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それで最後の落ちなんですが、イール氏は2人でスイスに逃げられると思っていたから、公園で発見した血のついたエミールのコートなどの遺留品と、アリスは殺人そのものには無関係だったことを告げる手紙を駅のコインロッカーに入れて、その鍵を担当刑事宛てに送っていた。だから結局エミールとアリスの犯罪はばれるというラストです。勧善懲悪というわけではないけれど、報いを受けるべき者は当然に報いを受けるという、この種の映画では必要な結末かも知れません。それは上記の2つの映画でもそうでした。

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Last updated  2007.02.18 19:18:34
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