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2016年11月23日
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カテゴリ:四季感慨
客業生産理論の本文

 拙著「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場ガイド」(繊維流通研究会刊、2004年5月10日発行)において、第13章に「客業個産の挑戦ガイド」と題して、客業生産の考え方や技術器、システムに関して、次のように解説を行っている。

第13章 客業個産の挑戦ガイド
1)客業生産のモデル構築の条件
 20世紀に出現したコミ業社会は、大量生産、大量販売、大量消費の世の中をもノこらした。安いものを大量に造って売って、さらに売るために早く捨てさせようと、ユーザーにささやく製品が新製品の名の下に次々と発売され、昨日最新であったものが、今日には旧式だとして市場から消されてゆくというような、製造業があたかも“ゴミをつくる”ために存在するようになってしまい、製造業がダメになってしまったのであると説かれている。大量に造ったものがそれなりに売れているうちはまだ問題はなかったが、売れなくなって、大量の売れ残りを生じるようになった。工業生産は生産過剰を招来しやすい。生産過剰はどの工業生産国にも例外なく該当する。そして、生産過剰製品の売れ残り品が捨て値で売られて、底なしの値崩れを起こしてしまった。また、売れ残り品が廃棄されると、量廃となって、環境問題を引き起こすことになる。このために製造業自体が生き残れなくなったのである。20世紀型の大量生産方式は行き詰まっている。このような状態からいうと、21世紀にはこんな製造業がそのまま存続できるはずがないと論じられているのである。

 (1)どうする一製造業の建て直し
 製造業の盛りは過ぎた。モノの時代は去った。心の価値の時代になった。モノの価値の時代から心の価値の時代へ変わったということはどういうことか。
モノの価値は機能や量が支配する。機能は品質価値を支配し、量は希少価値を支配する。このモノを生産するのが工業であり、モノに価値があると考えられた峙代には、製造業はモノ作りのチャンピオンとして活躍することができた。
時代は変わり、規格大量生産の行き渡った時代が来て、モノの価値はコモディテイ(日用品)化してゆく中で、どんどん低下することになり、同時に製造業に対するウエート低下も進むに至った。製造業の建て直しは、つくり過ぎない・、高くても売れるようにすることだ。そのために、縫製工場は脱下請けが必要となり、工場直販に進まなければならない。イタリアの縫製工場のように工場発信のデザインで直販する。大切なのは、見込み生産を止めることだ。売れ残りのないオーダーメードに徹することで、商品価値の下落は希少価値で歯止めをかける。すでにマス・カスタマイゼーションとして、紳士服で高級スーツのパターンメード、婦人服で簡易オーダーメードが顧客に広がりを見せている。その上に、商品価値を高めるのは知価による。つまりその商品により顧客にワクワクするようなイメージや感動を与えることである。この方向では、カスタマイゼーション(デザイン特注)の展開が進められているのである。
 (2)工業先進国の国内製造存続の秘訣とは
 工業先進国での国内製造業が存続する秘訣とは何だろう。第一には独自技術が挙げられる。他社にできない技術・スキルを持つこと、知価を生むデザインや縫製技術があることだ。これはオンリー・ワン技術ともいう。独自性のない横並びの技術では、絶望的価格競争に巻き込まれて生き残れない。次には、カスタマイゼーションに応じられる、オーダーメードをこなせる多品種個別生産を短時問で行い納入できることで、このためには、これまでの生産の常識を破る革新的道具立てや生産システム、そしてIT活用などが要る。そして、その上に、製造業は脱下請けを図ることで、これは製造業の生き残りの自己責任ということでもある。国内製造業として必要とされるのは、ネットワーク、オリジナリティ、アジリティ(機敏性)、バイパーソリューションだという説があるが、これらはインターネットやSCMなど、デザインの独自独創性、迅速性やQR(クィック・レスポンス)、高度問題解決力ということで、垂視されるものである。
 (3)どんな生産方式になるのか
 20世紀型大量生産システムが当たり前の生産方式で、どこでもコンベアシステムによる流れ作業が行われている。しかし、これは作り過ぎの生産システムで、売れ残り品が大量に生じ、底なしの値崩れの元凶となっているとの指摘がされている。大量生産を否定する、常識破りの生産方式が求められる。それはセル生産方式である。製造現場に革命を起こすものとして、まずトヨタ生産方式があり、これをベースとしてセル生産方式が生まれた。 20世紀の生産の考え方からはベルトコンペアを撤去し、流れ作業ライ
ンを廃止するというような常識破りの生産方式であり、生産関係者から批判や罵声を浴びせかけられるという中で、生産革命が築き上げられていった。セル(細胞の意味)生産方式は、分業による単工程持ちの流れライン生産方式を取りやめて、統業による多工程持ちの少人数組み立ての方式としている。このセル生産方式は、生産に要する経営資源を少なくし、製造の付加価値を高くすることができる。それは分業の一コマのみで八時間を過ごしていた作業者が隣の工程に関心を持ち、多能工になり、一人屋台生産の主となり、セル生産方式の主役に立つようになったと解説されているものである。これは職場の自己責任、すなわち自分の責任として自覚し、よりよい自分の働きを自分で工夫することで、新しい職場が生み出された。しかし、これは仕立て職人に戻ることではない。テーラーのお店や洋裁店では仕立て職人やお針子が一人で丸仕上げしたり、サンブル縫いで一人仕立てしたり、二人組、三人組の仕立てなどが以前から行われていて、これに戻るのかという疑問が起こる。セル生産での一人生産は、その作業が改善を積み上げてムダを省いたもので、さらに設備として「からくり」(本書では「アイデア・デバイス」と呼ぶ)を効果的に活用する。セル生産は最終生産段階が手作業で組み立てられ、ベルトコンベアは使わない。にもかかわらず、その生産性はコンベアシステムと比べて引けを取らないという実績が示されているものである。この点がテーラー仕事とは根本的に違っているところである。また、生産の競争力としてセル生産方式は、マルチ・レスポンスにマッチし、「摺り合わせ型もの作り」によく適合する。この「摺り合わせ型」というのは、アメリカがモジュール化生産方式などの「組み合わせ型もの作り」に優れているのに対して、より難度の高いもの作りに対する言葉である。       (続く)





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最終更新日  2016年11月23日 12時36分43秒



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