弁護士・伊藤和子のダイアリー

メディア情報＆ビルマの　民主化は進んでいるの？

先日の私たちのビルマ・タイ調査のあと、東京新聞さん、毎日新聞さんが調査の様子をとりあげる特集記事を出してくれた。また、私がＴＢＳラジオにも出演させていただく機会がありました（土曜日　朝・下村健一の目のつけどころです）。で、最近ビルマの民主化は進んでいるのか？というとそういうことは全然ないのです。軍事政権が総選挙をやります、憲法改正します、といっているけれど、ポーズばかりで、まさに事態は逆行している、ということで、私たちの団体で声明を発表しました。アジアの国に出向いてみると、日本という国の存在感って大きい。日本がこの問題でどういう発言をするか、というのは、多くの人々の生き死ににも関わるんだ、と痛感します。だから注意してみていていただけるととても嬉しいです。ビルマ・タイ国境・人権調査を終えて　　　　　　　－ビルマの現状の事態のための日本社会がなすべきこと－　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2008年3月3日ヒューマンライツ・ナウ　　人権団体ヒューマンライツ・ナウは、2008年2 月8日より14日まで、昨年9月に民主化運動が武力弾圧されたビルマの人権状況を調査するため、タイ・ビルマ国境メイソットに滞在し、事実調査をおこなった。1 人権侵害の状況 　私たちは、9月の抗議デモに参加した僧侶、市民計十数名から事情聴取をおこなった。彼らはいずれも昨年9月の民主化デモへの参加を理由に軍事政権の治安当局から逮捕される危険にさらされ、国内からタイに避難せざるをえなかった人々である。これらの人々の証言は、9月の武力弾圧に際し、著しい人権侵害が発生したことを告発するものであった。詳細は、別途報告書にて発表するが、平和的な抗議行動に対し、軍・治安部隊が容赦なく発砲、市民を意図的に殺傷した事実が明らかになった。弾圧を行ったのは、軍、警察、機動隊のほか、民兵として、「連邦連帯開発協会」（Union Solidarity and Development association、略してUSDA)及びSwan Arr Shinがある。後二者は、直接的な暴力行為を僧侶・市民に対しておこなったほか、とりわけUSDAは、デモに参加して混乱をつくりだし、情報をさぐるスパイとして、またデモに参加した者をさがしまわる密告者として弾圧に不可欠の役割を果たした。　　軍政はデモ参加者約4000人を拘束、そのうち3000人以上は釈放されているが、約700名が未だに収容され続けているという。その以前からビルマには、1100名を超える政治犯が身体拘束をされていたものであるが、現在、政治的な活動に参加した、という理由で拘束されている人々は1800名を超すことになる。ビルマで最も過酷な政治犯収容所といわれているインセイン収容所には、９６名の僧侶と１０名程の尼僧も収容され、僧侶は僧衣をはぎとられ、暴行を受け、家族との面会もまったく許されていないという。これら僧侶・市民らは、平和的な行動に参加したという理由のみで、拘束さけ続け、300人以上が訴追されているという。武力弾圧後の国際社会の非難にも関わらず、人権抑圧の事態は改善されていない。2 難民の状況について　ところで、上記のように政治的迫害を受けて、タイ国境に避難した僧侶・市民たちは、難民としての保護が与えられていない。　タイには国単位での難民認定手続が存在せず、タイ当局は、県単位での難民認定手続を2006年12月以降停止している。こうしたなか、これら迫害をうけた人々は民間団体の善意により一時的に匿われているものの、今後の生活の展望のない状況にある。とりわけ、ビルマにおいて、寄進行為以外に生活の糧を得る行為を禁止されてきた僧侶は、信仰を捨てて労働に従事するか、飢えるかの瀬戸際にたたされている。　私たちは、タイ当局が一日も早く彼らに難民としての保護をあたえるよう期待するとともに、これら難民に対する国際社会(民間も含め)の支援が重要であると考える。とりわけ、日本政府は、難民の第三国定住をすみやかに導入し、軍事政権に政治的に迫害されて故国を追われた人々や、迫害・戦禍を逃れてきた少数民族出身者を、積極的に難民として日本に受け入れ、保護していくべきである。　また、こうした人々が日本にたどりついて難民認定申請をした場合も、広く難民として保護すべきである。3 ビルマの国民投票・総選挙について　　軍事政権はこの2月、2008年5月に憲法国民投票をおこない、2010年に総選挙をおこなう、というロードマップを唐突に発表した。　　しかし、調査団は、民主化勢力・少数民族グループとの対話およびその後の推移を通じ、このプロセスに重大な問題があることを認識した。　　第一に、1990年に選出された国会議員の意向を無視して、憲法起草、総選挙をおこなう、ということになれば、プロセスそのものの正統性に重大な問題がある。　　第二に、憲法草案は、その内容上も重大な問題が存在する。まず、外国人と結婚した者は被選挙権がない、として、民主化指導者アウンサンスーチー氏は総選挙のプロセスから完全に排除されている。440名を定員とする議会において、110人は軍の推薦を受けた者が占めることとされ、民政への意向とは評価できない。さらに、基本的人権については、現行法の範囲内でのみ認められる、とされ、多くの政治犯を投獄する根拠となっている弾圧立法による人権侵害は、憲法制定後も永続する危険性が高い。　　第三に、国民投票、選挙の過程で、投票の自由、選挙活動の自由が保障されるとは到底いえず、公正な国民投票・公正な選挙を実現することは現状では極めて困難な状況にある。最近公表された国民投票法は、国民投票を妨害する言動・活動は懲役刑の対象とされており、軍事政権の提案する憲法の正統性を問うあらゆる活動が抑圧の対象となる危険が高い。また、多くの民主化活動家が投獄され、そしてその根拠となる弾圧立法が廃止されないまま、自由の保障のない総選挙が行われても、公正な結果をもたらすとは到底いえず、アウンサンスーチー氏が選挙プロセスから排除されていることも重大である。　以上のとおり、現状のまま軍事政権の提案する憲法国民投票、総選挙がすすめられれば、真の民主化を実現しえない重大な危惧がある。憲法起草・確定の過程は、軟禁中のアウンサンスーチー氏をはじめとする拘束されているすべての民主化勢力を釈放したうえで、民主化勢力との少数民族との対話のもとに行われなければならない。　国連の人権理事会第５回特別会期は、2007年10月、民主化勢力の釈放と、すべての勢力との民主化にむけた対話などを求める決議を採択した。軍事政権の一方的な憲法制定プロセスは、同決議が示した国際社会の一致した意志に反するものである。　国際社会は軍事政権による一方的なプロセスの強行を傍観せずに、いまこそ一致した声をあげることが求められている。　日本政府に対しては、アジアの一員として、とりわけアジア選出の人権理事国として、現在軍事政権の方針に明確な反対の意志を表明し、民主化の実現のために積極的な役割を果たすことを求める。

ロハスの向こうで

　近頃、ロハスがはやりである。もちろん望ましいことと思うが、ふむ、と　考えてしまうことも多い。　たとえば、温暖化防止のため、地球環境にやさしいこと、身近でしてますか？　というと、「ごみをちゃんと分別しています」とみんな言う。　ところが、みんながごみを分別してるのに、それが行政に収集されたら、　まぜこぜにして燃やされてしまう、ということは行われている。　それに、今年の四月から東京都ではプラスチックを可燃ごみということに　して燃やしてしまう、という方針になった。　分別して、ごみを減らし、できるだけリサイクルをする、という　ことをずっとやってきたし、「まぜればごみ、分ければ資源」　という合言葉で、学校でも環境教育をしていたというのに。　可燃ゴミになるのは、プラスチックだけでなく、革製品とかかばんとかも　含まれている。みんな分別してきたものばかりだ。　　とくにプラスチックのなかには塩化ビニール類も当然含まれているのだが、　それは１０年ほどまえダイオキシン問題がおそれられ、反対運動が一斉を風靡した　とき「塩ビ」という名前で、環境問題に詳しい方々が　こぞって「塩ビを燃やしたらたいへんなことになる！」と主張されていた　ものである。　それが燃やされてしまうのだ。　塩ビの組成物はその後規制されたのだが、廃棄物なのだから、いつのものか　わからない。それに今は中国とか、いろいろなところから入ってくるプラスチックも　あるわけで、廃棄物であるプラスチックの組成など誰もコントロールできない。　プラスチックを燃やしたら、ダイオキシンも増えるし、最近の週刊朝日にも　報道されているとおり、ＣＯ２だって増える。　ところが、四月の導入を目前にして、あまり反対の声がひろがっていないんですね。　私としては、身近なところやライフスタイルでみんなが努力しても、　その先でどうなっているのか、　分別しようとしたものがごちゃまぜにされて結局環境に優しくないことに　なっているのではないか、というところにも関心をもってほしい。　行政の政策決定のところにも、みなさんの関心をむけてほしいと思うのだ。　そうでないと驚くほど愚かなことを巧妙に行政はやってしまっているので、　市民のロハスが役立たないことにもなりかねないのです。　　なぜ私がそんなことを言っているのか・　というと、実は、１０年越しで、　渋谷区にできた清掃工場の操業差し止めの裁判を、渋谷区の住民のみなさんとやっている　からなのです。一審で住民が敗訴してしまっているが、控訴審では、　この東京都の新しい方針「プラスチック焼却」が焦点になって、　法廷では熱い論争が展開されているのです。　　でも、１０年前は、みんな焼却工場から排出される　ダイオキシンのことをあんなに心配していたのだけれど、　状況はあまり変わらないのに、熱が冷めてしまった人もいるような　気がします。メディアはあきっぽいのですが、それにつられて　市民はあきっぽくならないように、しつこくチェックを入れ続けて　ほしいと思うんですよね。身近な環境＆地球のために。　　　　

大阪ゆき＆セクハラ研修

木曜日、大阪の法律家団体のみなさんに、 「国境を超える弁護士活動」ということで講演に呼んでいただき、 いってきた。大阪は、大変人情にあつく、よいところである。 講演のあとの接待は北新地のラーメン屋さん、午前三時まで 続いた。　 　大阪の法律家や研究者の若手のみなさんが、 ヒューマンライツ・ナウ関西をつくってくださる、という話になり、 中東やイラクの人権など、熱いお話をすることができた。 パレスティナの人権にかかわりつづけている方、 レバノン空爆に怒ってジャーナリストと二人で 周囲の心配を押し切り、事実調査にいってしまった若手弁護士などと おあいする。 つくづく、大阪は人材の宝庫であると感心する。 ぜひ期待したい。 さて、東京にもどると、今度は東京弁護士会の職員等の 「セクシュアル・ハラスメント研修」の講師。 毎年こういう研修をしているのは弁護士会として大変よいことだが、 これまでは一方的に私が話をするのを みんな黙ってきいていて、最後に質問はありますか、 と聞いても特になにも出てこないのが いつものパターンだった。これを打ち破ろうと、今年は、グループわけをして、 グループ討論にしたところ、ずいぶん盛り上がりました。 グループ討論にして発言のハードルを低くしないと、 本当のことはわからないものです。 今週はあちこちで５回講演があり、マイコプラズマの風邪（と、判明しました） が治らないで、咳に苦しんで、「持つかなー」と心配していたが、 咳止めを飲んでなんとか乗り切りました。 マイコプラズマは一か月続くという。そろそろお引き取りねがいたいものだ。 _________________________________________________________________ Hotmailユーザの半数近くが使用しています。Windows Liveメッセンジャー。 http://messenger.live.jp/

「冤罪ファイル」　知ってますか？

　　最近、「冤罪ファイル」という雑誌が誕生した。　　よのなかの冤罪事件についてだけ、その状況をつたえていく、　　という季刊雑誌なのだという。http://enzaifile.com/　　このニュースは法曹界に衝撃をあたえた。　　その話を聞いて私もとっても驚いた、そんなマニアックな雑誌、　　読む人いるのかなー、　　と、思っていたら、そこの編集の方からご連絡をいただき、　　第二号から私もこの雑誌で、連載をさせていただくことに　　なりました。　　私が一昨年出した「誤判をうまない裁判員制度への課題」　　のエッセンスをすこしずつ、紹介する、というもの。　　率直にいうと、お話をいただいたときは、不謹慎にも、　　「連載というけれど、このような雑誌、ずっと存続するのかなー。　　誰がよむの？？？」などと思ってしまったものだ。　　しかし、聞いてみると、売れに売れているらしいのだ。書店には平済みになっている　　という。これは、昨今の痴漢冤罪や、富山、志布志の事件で冤罪が身近な　　ものになっているからなのだろうか？　　　惜しまれつつ休刊してしまった「ダ・カーポ」のサイズで、なんとなく　　なつかし、憎めない、手にとって読んでしまうサイズだ。　　最近よく良心的といわれるジャーナリストの方々から　　「裁判員制度はいい制度になるんでしょうか？市民が判断すると誤判が　　さらにうまれやすいのでは？」「大手マスコミは被害者寄りの論調だし、厳罰化が　　進むのでは？」という質問を受けるのだが、なんとなく違和感を覚える。　　「確かにそうだけれど、　　そんなに心配なら、現状を憂いてネガティブなコメントばかりとっていないで、　　市民の人に冤罪のことや無罪推定や、死刑の実態をもっと知ってもらう努力を　　したらいいではないか。そういうキャンペーンをはったらいいではないか。　　そういうことにこそエネルギーをさいたらいいではないか。　　ジャーナリストの人々は世論を動かす力だってあるんだから！」と　　思ってしまう。毎日誰かしらから、そんな質問をされるので、正直うんざり。　　そこへいくと、「冤罪」いっぽんで雑誌を発刊し、これから裁判員になる　　市民のみなさんに冤罪について考えてもらおう、なんて、なんと潔い、　　ポジティブな動きであろうか。　　ということで心情的に応援しつつ、私のできることとしてはまず、　　締切までに原稿をなんとかしなければ！　　　　　

かぜ？それともぜんそく？

　出張からかえってきたら、とにかく怒涛のように仕事が押し寄せてしまった。　昨日は刑事事件で最高裁、そして刑事事件や行政事件の弁護団会議、　連日の離婚・ＤＶ事件、ぼう大な原稿や書面の締切、、　　そこにきて、１月下旬からの風邪（東南アジアではおさまっていたが）　がぶり返して、せきがとまらなくなり、息苦しくなって、　　しかもぐったりしてしまった。　　これはおかしい、子どものときにぜんそくだったことを思い出し、　土曜日に家の近くの病院で「これはぜんそくに違いない」と先生にるる訴えた。　いつもお世話になってる先生は、ぜんそくの薬を処方して　くれた。ところが、全然治らないで悪化する一方なのだった。　手帳をみると、今週と来週は講演が六回も入っている。　そのうえ、これは嬉しいことに、明日はビルマの件で、　突然ラジオの収録をしてもらうことになったのだが、　なにしろひっきりなしに咳の発作が起こるので、　到底このようなトーク＆トークの日々を乗り切れないのでは、と心配になる。　何より肺炎では？　と怖くなった。　　そこで、急きょ、事務所の近くのほかのクリニックにいくことに。　　そこの先生は、理路整然と病状を分析し、可能性について　説明してくれるし、速効レントゲンもとってくれるのが嬉しい。　その結果「肺も気管支も心臓も大丈夫。せきがとまらないタイプの　風邪でしょう」と診断してもらった。　今度処方された薬はずいぶんいいようで、久し振りに生き返った心地がする。　やっぱりセカンド・オピニオンって大事♪　それに「肺もきれいだし、　心臓も元気ですね！」と先生に言っていただき、大変心強くなった。　（一方、しぱらく必ずマスクをはずさないように、と５回くらい言われてしまった。）　また寒波になるそうですが、みなさんもぜひお体を大切にして、早めに医師に相談して、　あと少しの冬を乗り切ってください。　　

嬉しいニュース・政府がタイの難民を受け入れへ

　　タイの難民キャンプから帰国してしばらくして、日本政府もタイの難民を受け入れる、　という嬉しいニュースがはいってきた。　　http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080217-OYT1T00719.htmとくに私が素晴らしいと思ったのは、「仮に希望者が多数に上った場合、社会的弱者である老人や女性、乳幼児などを優先することも検討している。」というところだ。　私たちが訪問したタイのキャンプなどで、ビルマから逃げてきたみなさんの話をきいたが、その苦労はすさまじいものだ。自分の村を地雷で囲まれ、村に入れなくなった人々、軍事政権に強制労働に駆り出された人々、難民キャンプにいっても、キャンプが軍事政権から攻撃されてほかのキャンプに退避し、その新しいキャンプが今度は洪水の被害でまたそこから移動させられたり、、、。一日中キャンプにとじこれられて、いい大人が仕事にいけない、希望がもてない、というのも深刻な話だった。　私はこの方向性を歓迎するけれど、数十人はあまりに少ないなー。アメリカなど欧米諸国は年に万単位でこうした難民を引き受けています。　以下読売新聞より。　　　　タイのミャンマー難民受け入れへ、政府が新制度創設方針　政府は１７日、タイに逃れているミャンマー難民を来年にも数十人規模で日本に受け入れる方針を固めた。　いったん他国で保護された難民をほかの国が受け入れる「第三国定住」と呼ばれる難民認定制度を新たに創設するもので、日本では初めてのケースとなる。日本の難民政策が他の先進国よりも厳しく、閉鎖的との批判が多いためこれを是正する狙いがある。　国連難民高等弁務官事務所（ＵＮＨＣＲ）によると、軍事政権下での政治的迫害などを恐れて隣国のタイに逃れたミャンマー難民は２００７年９月末時点で、約１４万１０００人と言われ、難民の行き先が問題となっている。　現在の出入国管理・難民認定法（入管法）は来日した外国人を対象に、本国に帰還させれば人種や宗教、政治的意見などを理由に迫害を受ける可能性があるかどうかなどの審査を行ったうえで、受け入れを決める制度となっている。タイのミャンマー難民を受け入れようとしても「財産もなく隣国に逃げてきた難民に、審査を受けるため日本に来いと言っても事実上、不可能だ」というのが現状だ。　このため政府は、これまでの認定制度とは別の仕組みとして、日本で審査を受けなくてもタイに脱出したミャンマー難民をその場で審査し、日本に移送し難民として保護する「第三国定住」の導入に踏み切る。具体的には、ＵＮＨＣＲによる現地での聞き取り調査の結果、難民と認定され、日本行きの希望を持っている人を対象に日本に受け入れる方向で検討している。　すでにＵＮＨＣＲの駐日事務所は昨年秋、ミャンマー難民から日本行きの意向について聞き取り調査を行い、受け入れ規模は数十人と見込んでいる。仮に希望者が多数に上った場合、社会的弱者である老人や女性、乳幼児などを優先することも検討している。外務、法務、厚生労働など関係省庁は近く具体的な受け入れ基準と受け入れ後の収容施設や日本語教育の支援体制の整備などについて協議を始める。　タイのミャンマー難民をめぐっては、これまでに２万人以上が米国やカナダ、イギリスなど欧米１０か国に出国している。

Mr. オバマがアメリカを変える

アメリカ大統領選挙で、バラク・オバマ氏が勢いにのっている。　まだ結論はでないけれど、止まらない勢いだ。　　多くの人が彼に夢中になっているらしいが、私もオバマ氏を支持している。　私がオバマ氏を支持する理由は、いろいろあるが、ただ一点あげるとすれば、　彼が最初から一貫してイラク戦争に反対する姿勢を鮮明にしているからである。　　いっぽう、ヒラリー・クリントン氏は、イラク戦争の直前、　議会で侵略に賛成する投票をしている。そして今にいたるまで、その態度を反省　していないし、謝りもしない。ニューヨークタイムズ紙は、イラク戦争を支持する　社説を戦争前に書いたが、大量破壊兵器がみつからないことが明らかになった後、　以前の社説について謝罪している。しかし、ヒラリーは謝罪しない。　　ヒラリーの優位がゆるがないと思われていた当時、私は「民主党が勝っても共和党が　勝っても、アメリカの戦争好き体質は結局変わらない」と絶望的な思いがしていた。　　アメリカは世界を侵略しかねない国だから、誰が大統領になるかは、アメリカだけでな　　く、世界の人々の生き死にに直接的に関わることだ。　　だから私はいつも関心を持っているのだが、「どっちが勝っても戦争体質はかわらない」　という事実は私を落ち込ませた。　　たとえば2004年にはハワード・ディーンという戦争反対を明確に掲げた候補がいたが、　「彼はリベラル過ぎる」と民主党の候補に選ばれなかった。民主党の大統領候補になるためには、もうすこし現実的で、中道、右寄りである必要がある、と言われていたのだ。　私は2004年- 2005年にアメリカに留学していたので、ニューヨークの民主党の人たちとご飯食べることも少なくなかったが(意図しているわけではなく、パーティーにいったり、友人の友人をあつめた食事などにいくと、必ず、そういう人がいるものだった、NYには)、みんな2004年にブッシュが再選された後は、「2008年はヒラリーだね」と力をこめていた。　私は常に反対していて「あんな、戦争を支持する候補者のどこがいいの?」と批判的だったが、みんなしつこく「大統領となる以上は現実的になる必要があるんだよ。それにヒラリー以外に誰がいる?」などと言い続けていた。 なんと憂鬱な話だったろう!それがアメリカの現実なのだ、という話をなんどとなく聞かされた。とくにヒラリーは女性が大統領になる、ということで様々な踏み絵を踏まされてきたようにも思う。 2005年には、アメリカで「コマンダー・イン・チーフ」というテレビ番組がはじまったが、その内容は、女性が大統領になり、最初はなめられているが、軍を使って断固たる軍事行動をとり、リーダーシップを発揮していく、という内容で、「女性の大統領でもつとまる＝　アメリカの価値のためには断固軍事行動をとれる」というメッセージをおくっていた( 実はあまりに漫画的だったので、早々に打ち切りになったようだが)。　「女性も軍の最高司令官たりうるのか」ということを世論がつきつけていた、という背景もある。「ときには断固として軍事行動をとる」と力んで言わなければならない事情が彼女にもあったのかもしれない。そして、2008年に入っても、ヒラリーは、オバマがイラク戦争に反対していることを「おとぎ話」と言って、切り捨てたという。　しかし、いま、イラク戦争に明確に反対する候補、貧困層に対する再配分を訴える候補が、堂々とその主張を掲げて、人々の心を動かし、ブームをつくりだすにいたっている。　オバマが選ばれるかどうかはまだわからないし、仮に大統領に選ばれてもその後、ほんとうに何がなしうるのかは、まだ未知数である。　しかし、オバマの主張が多くの人に支持される、という現象自体がアメリカの地殻変動を物語っているように思う。ちょっとわくわくするシーズンである。　　さて、オバマとクリントンの対外政策について　Stephen　Zunesさんという教授が論評している記事が翻訳されていて、紹介していただいた。もっと知りたい方はぜひお読みください。　http://homepage1.nifty.com/thinkbook/BehindObamaAndClinton.html 　　　　

報告会をやります。

こんにちは。先日来お伝えしている、ビルマ・タイ調査ですけれど、ちょっとお伝えしつくせないこともあるねー、ということで、報告会を開催する予定です。一番最初に控えているのが、今週土曜日2月23日の夜、文京シビックで開催する報告会です(これはビルマ市民フォーラム、というNGOの主催です)。よろしければ、ぜひいらしてくださいませ。以下、メールニュースの抜粋でご案内します。★:''*☆:''*★:''* ヒューマンライツ・ナウ 通信 ★:''*☆:''*★:''*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 　　　　　　　　　　　　　　　　 2008.2.19 発行　人権NGO ヒューマンライツ・ナウ（HRN） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　http://www.ngo-hrn.org/ ＜＜目次＞＞ 【１】 ２月８日～１４日　タイ・ビルマ国境に事実調査ミッション派遣！ 【２】　２月２３日１８時半～　ビルマ調査報告会（第52回・ビルマ市民フォーラム例会）開催　　『ビルマ　サフラン革命の真実　－タイ・ビルマ国境訪問の報告』 【３】　ビルマ調査に関するメディア報道 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【1】 ２月８日～１４日　タイ・ビルマ国境に事実調査ミッション派遣！━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ヒューマンライツ・ナウは、去る2月7日より14日まで、昨年の武力弾圧が記憶にいまだ新しいビルマの人権状況・民主化にむけたプロセス、難民の状況を視察するため、タイ・ビルマ国境(主にメイソット)の事実調査団を派遣し、調査をおえて帰国しました。 今回は、民主党より参議院議員の今野東議員が視察に参加され、メディアも同行取材に参加しました。調査団( 渡邉彰悟、田辺寿夫、伊藤和子、石田真美、大坂恭子)は、9月のデモに参加した後、タイに逃れてきた僧侶7名、市民8名に対するインタビューをおこない、元政治犯(15年余政治犯収容所に拘束されていた人数名)と面談、メラ難民キャンプ視察により、9月以降の人権状況と難民の状況について重要な新しい事実が明らかになり、また難民の実情を把握しました。 　　また、NLDの海外組織であるNLDLAとの懇談、さらに、1990年の総選挙で選出され、逮捕されることなく国外で活動している国会議員(ただし、議会は一度も開催されていない)の会合へのオブザーバー参加し、軍事政権の提案した民主化へのロードマップに対する民主化勢力の意見と国際社会への期待について聞くことができました。 　さらに、当団体の支援する、未来の法律家要請学校の視察を行い、支援について議論しました。 今後、調査について報告書を作成・公表、報告会も開催し、国際社会、とりわけ日本の支援やとるべき行動について問題提起をしていく予定です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【２】 『ビルマ　サフラン革命の真実　－タイ・ビルマ国境訪問の報告』■第52回・ビルマ市民フォーラム例会のご案内～２月２３日（土）■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 上記ビルマ国境事実調査ミッションについては、直近の報告会として、2月23日に急きょ、ビルマ市民フォーラム主催で、調査団報告会を開催することになりました。 是非会員のみなさんに、ご参加いただきますよう、よろしくおねがいします。何とぞよろしくおねがいいたします。 〈日時場所詳細〉 ◇日　時＝　２００８年２月２３日（土）　　　　午後６時３０分～午後８時３０分 ◇会　場＝　文京シビックセンター　（区民会議室）５階　研修室A-B　　　　　　住所 文京区春日1－16－21　電話 03(3812)7111 　アクセス　≫東京メトロ丸の内線・南北線後楽園駅徒歩1分　　　　　　　　　　　　　　　都営地下鉄三田線・大江戸線春日駅徒歩1分　　 　　　　　　　　　　　　JR総武線水道橋駅徒歩8分 ▽会場の地図は、下記ＵＲＬをご覧ください。 http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html ◇資料代＝　２００円（会員）・５００円（非会員） ◇定　員＝ ６０名　（事前申込み不要／先着順） ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【プログラム】 　　　　　ビルマ　サフラン革命の真実 　　　　　　　　　　　　タイ・ビルマ国境訪問・報告 　　　　 ・・・・・・ヒューマンライツ・ナウ　　伊藤　和子（弁護士） 　　　・・・・・・ビルマ市民フォーラム　　田辺　寿夫（フリージャーナリスト） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渡辺　彰悟（弁護士） 　　　　※報告の題目・内容は、変更する場合がありますが、何卒ご了承ください。 　　　　　例会に関する問合せはPFB事務局・宮澤まで：　Tel 03-5312-48１7

歴史的な瞬間(2)

先週は、歴史的な瞬間にたちあう機会があった。ビルマでは1990年に総選挙が開催されて、アウンサン・スーチーさんの政党の人たちが多数選出されたが、軍事政権はその結果を認めず、今日まで一度も議会を招集していない。500人のうち、100人くらいは亡くなり、多くが国内で政治囚として拘束されたままだが、逮捕を逃れた人たちが数十人全世界に散らばっている。その人たちが4年に一回集まって自主的に開く「議会」があるのだが、ちょうど私たちがタイのメイソットにいる間にその四年に一度の議会が開催され、それに傍聴させてもらうことができたのだ。これも、日本の参議院議員(今野東先生)が私たちの調査に参加してくれたから、で、普通ではとても立ち会えない重要な場面だ。　さきほどの投稿の写真はそのときのもの(写真を小さくする技術がわかりませぬ、、)ちょうどビルマ軍事政権は「2008年5月に新しい憲法の国民投票をおこなって2010年に総選挙を開催する」と宣言したばかりだ。しかし、この対話には、正当に選挙された人々(つまり集まっていた彼らや彼らの同僚)、アウンサン・スーチーさんをはじめとする選挙で多数をとった政党の人々(NLD 国内で多くが拘束され、またはおたずねものとして姿を隠して活動せざるを得ない)がまったく排除されている。　軍事政権の示したロードマップは本当の民主化とはかけ離れたものだ、というのが、ここにあつまった人々の主張だった。　では、本当の民主化を実現するためにどうすべきか、を話し合うのがこの会議だった。　あいにく私たちはこの会議に最後まで参加できなかったが、これから5月まで、そして2010年まではビルマの民主化にとって本当に重要な時期になることは間違いない、そのことを感じさせる緊張に満ちた会議だった。　国境周辺には、1988年の学生運動に参加して、約15年も、刑務所で政治囚として拷問を受け、拘束されてきた人々にたくさんあった。15年間明かりのない独房に閉じ込められて、その後釈放されて、そんな信じられない体験のあとでも、ビルマの民主化のために毎日精力的に活動を続ける人々-彼らは私と同年代の男性が多かった。彼らはとても勇気があり、困難をいとわず、目が輝いていて、敬意を自然に感じさせる人たちばかりだった。 しかし、私たちがメイソットの町を去ったその日、そうした民主化運動のリーダーの一人、少数民族のカレン族の団体の事務局長さんが、何者かによって暗殺された。長いこと、困難な活動をずっと続けてきた人々、民主化運動の象徴的存在も、一瞬にして、突然いとも簡単に暗殺者抹殺されてしまう、という現実に、人の命の脆弱さに私はとてもショックを受けた。とても卑劣なやり方だ。しかし誰よりもビルマ人たちがショックを受けていた。 これから国民投票・総選挙という軍事政権が示したロードマップに対する民主化勢力の様々な活動がはじまるのにあたって、次々とこうした人が犠牲にされ、民主化勢力を抹殺したかたちで「ロードマップ」が進められるということにならないよう、国際社会の監視が必要だ、と痛感しました。

歴史的な瞬間

タイ・ビルマ国境から帰ってきました。

タイ・ビルマ国境のミッションから帰国しました。　滞在したのはメイソットの町。雪の東京から亜熱帯の素朴な町への移動でしたが、この町には、ビルマでの過酷な人権弾圧から逃れてきた人々、そしてビルマの民主化を求めて活動する人々が多くかくれすみ、活動をしています。私たちは、昨年9月の武力弾圧のきっかけとなった僧侶などの大規模なデモに参加した僧侶の方々7名、市民の方々8名のお話をききました。みなさん、逮捕寸前のところをのがれてきた人々です、ただ集会に参加しただけなのに。ビルマでは、「不穏な動きを醸成した」ということ事態が犯罪。その判断は軍事政権と警察の一存・主観で決められます。　市民が学生や市民を次々に射殺した、というなまなましい証言をききました。日本人ジャーナリスト長井さんの射殺の現場をみた、という僧侶の方もいて、詳細に当時の事情を語ってくれました(この人の話については私たちに同行取材された毎日新聞の方の記事が毎日新聞2月13日朝刊に掲載されています)。　しかし、これら、タイに逃れてきた人々は、難民の地位を与えられず、アウンサン・スーチーさんの政党-NLDの海外組織などが当面の生活の面倒をみているものの、将来の展望はたっていないようです。　僧侶のみなさんは生活に困窮されていました。　ただ、国内にいる人々はもっと大変です。　軍事政権は9月のデモで4000人を拘束、3000人は釈放されたそうですが、名前が確認できるだけで700人余の人がいまだに拘束され続けているそうです(それ以前からの政治囚とあわせると1800人を超えるという)。　僧侶はもっとも過酷な取扱いをされ、「このような政治活動をするものは僧侶ではない」ということで僧衣をはぎ取られ、市民と同じ行動・処遇をうけていて、僧侶に屈辱をあたえているようです。 　難民キャンプにいき(四万人を収容するメラ・キャンプ)、女性のシェルターにいき、難民の人々から語られる話は、本当にどれも過酷なものでした。軍事政権の独裁や内戦によって犠牲になり、強制労働に駆り出され、レイプをされ、さまよい、難民となった、あまりにも過酷な話ばかりでした。　出会った子どもたちの口からも想像を絶する過酷な話ばかりを聞かされました。軍事政権が続く限り、紛争が続く限り、市民の悲劇は再生産されていくのです。　今回は私たちが支援しているビルマ法律家協会の運営する法律学校についても視察してきました。未来の法律家やコミュニティー・リーダーに人権や民主主義を教える学校なのですが、資金不足でいま閉鎖されているので、なんとか再開するように国際社会の支援を求めることについて具体的な打ち合わせをしてきました(これについては朝日新聞2月9日の夕刊に紹介いただいています)。 　ほかにも様々な重要なMTGがあり、提言したいこと、お伝えしたいことはたくさんありますので、少しずつこちらにもアップし、団体のHPにもアップし、また来週土曜日夜に文京シビックで開催する報告会やいま作成中の報告書を通じて発表したいと思っています。　今回は、忙しい国会の日程を割いて、民主党の派遣で、民主党の参議院議員・今野東議員にも調査に加わっていただきました! 　調査の詳細については今野先生のブログもぜひご覧ください。　ビルマの人々は過酷な運命にかくも長い間耐えているわけですが、それはすべてなんらの正当性もない、理不尽なものであり、人道に反することです。そうした人権侵害の終焉を目指して活動する人たちのために、日本からももっとサポートが求められ、期待されています。　

難民に優しくない国

　いま、国連の人権担当者からリクエストを受けて、日本の人権状況に関するレポートをまとめている。　国連では2006年から新しい人権の機関「国連人権理事会」というものができて、すべての国連加盟国の人権状況について審査する、というセッションが毎回の理事会で行われる( 普遍的・定期的審査、略してUPRというそうです)。　まとめていると、改めて、日本の人権状況が貧困であることがわかる( とくに、生活保護を認められなくて餓死した人が何人かいる、ということを聞いたら世界も驚くだろう-みなさんご存知でしょうか? 北九州で三件も相次いで発生しましたね)。　とくにいま、まとめているのが難民政策であるが、難民について、日本の対応は温かいとはとてもいえない。私はスイスやスウェーデンの歴史などを学んでとても感心するのだが、これらの国々は19世紀、20世紀に難民をたくさん受け入れてきた歴史がある。　自由を求めて迫害された人たち、というのは志の高い、知性と勇気のある人々が多く、そういう人たちに安全の地を提供することを通じて、それらの人々が弾圧の犠牲にならずに活動を続けられるようにし、人道主義を貫き自由の実現に貢献してきた。それは国が誇るべき素晴らしい政策でひとつの国の「格」をはかるものだと思う。スイスは、国の誇りとして人道主義を掲げており、その柱は難民の受け入れと赤十字社の存在だといい、そのことは国の誇りだという。http://www.swissworld.org/jp/politics/humanitarian_tradition/land_of_refuge/　そして、そのようなインテレクチュアルの人々を受け入れることは、同時に受け入れ国の文明を高めることにもつながる。　たとえばナチスの脅威からのがれてきたヨーロッパのインテレクチュアルが多数集った1940年代・1950年代のニューヨークは、ハンナ・アーレントなどの知識人、芸術の面でもシャガールなどが集い、国際的な文明サロンの様相を呈するインテレクチュアルの時代がつくられた。　他国のすぐれた文化や知識を取り入れ、アメリカの文化・知識と融合することになったこの時代の経験は戦後アメリカの社会形成に大きな影響を与えた。　　志の高い、知性と勇気のある人々である難民を受け入れるということは、その国の文化と知性をより豊かに発展させることにもつながる。　　ところが、日本の難民受け入れは本当に狭き門であり、認定者数は、先進国では最低のラインである(国連難民高等弁務官事務所への資金拠出は2位だというが)。　　難民申請者が収容され、非人道的な生活を余儀なくされるようなこともいまだに問題となっている。　最近ビルマの難民について改善がみられるものの、全体としては大きく立ち遅れている。　　それだけでなく、いったん難民として受け入れられた人々を取り巻く環境も厳しい。ビルマの民主化のために日本で活動されている方々の多くも、ホテルなどで清掃や皿洗いなどの仕事をしている例か多い。私がニューヨークで友人であったビルマ難民が国連職員として活躍しているのとは対照的である。　　先日難民高等弁務官事務所の駐日事務所の滝沢所長のお話をうかがったが、「日本に行きたい、という難民は少ない。みんなオーストラリアやアメリカにいきたいという」とおっしゃっていたが、難民に冷たい、人権に対する配慮が足りない、という国際的な評判になっているのではないだろうか。　　　日本は現在、人権・民主主義外交を掲げており、私の団体・ヒューマンライツ・ナウではその具体的内容について、さまざまな提案をしているが、難民を受け入れる、そしてその人々を大切に受け入れる、というのは最低限国内でできる政策である。　　　　諸外国では、その国にやってきて難民申請をする人を受け入れるだけでなく、毎年(数)百人単位で、難民キャンプなどほかの国にいる難民を自分の国に受け入れるという「第三国定住」ということをやっている。　スウェーデンなどは、病気の人を優先して受け入れる、という。医療コストがかかるのを承知で、国際貢献として特に弱い立場にある、病気の難民を受け入れて治療する、というのである。　イラク難民の医療支援にかかわっている友人が、援助をしていた白血病の子どもとその家族がスウェーデンに引き取られてよい治療を受けることができて元気になった、という話を報告してくれたことがある。命を救ったのだ。こういう地道なことこそ、日本の国際貢献としてぜひやってほしいと思う。　イラクの状況はイラク戦争後いつも大変だが、イラクの複数のジャーナリストからなんどか「日本で難民として受け入れてもらえないか」という相談を受けた。彼らは命が危険にされされていた。しかし、そういうスキームはなく、無理と答えるしかなかった。　　そういうときに、第三国定住などを通じて、命を危険にさらされ、迫害を受けている人々を救えるような国になってほしいと思う。　いま、第三国定住にむけて日本もようやっと検討を進めている、というが、ぜひ早急に実現にうつしてほしいと思う。そして日本で温かく受け入れらる条件づくりも。　　来週から私がいく、タイ-ビルマ国境でも9月の武力弾圧からのがれてきた僧侶や活動家たちが難民としての保護を求めている。難民を受け入れる人道的な国として信頼され、実際にこうした人たちを受け入れられる国に早くなってほしいと思う。それには国だけでなく社会の受け入れ態勢もとても大切になってくると思う。アンジェリーナ・ジョリーの国連での活躍を素敵だな、と思うみなさんに、ぜひご近所でできる、難民の社会的受け入れについて考えていただけると嬉しい。　　　　　　

許せない。　DVの講演会が圧力で中止とは!

　私もおあいしたことのある、DV被害者の問題に熱心に取り組んでいる、　平川和子さん（東京フェミニストセラピーセンター所長）の　ＤＶをテーマにした男女共同参画講演会　（タイトル「自分さえガマンすればいいの？―ＤＶ被害実態の理解と支援の実際」）が、 直前の1/16になって、市によって中止を決定された、という。　　http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080118k0000e040081000c.html　　以下、引用します。------------------------------------------------------------------------------　ＤＶ防止法：反対団体の抗議で講演会中止　つくばみらい市　配偶者や恋人などによる暴力「ドメスティックバイオレンス（ＤＶ）」をテーマにした講演会を２０日に予定していた茨城県つくばみらい市が、被害者保護などを定めたＤＶ防止法に批判的な市民団体などの抗議を受け、開催を断念していたことが分かった。　講演会は市内の公民館を会場に、内閣府の専門調査会委員でＤＶ被害者支援に取り組む平川和子・東京フェミニストセラピィセンター所長を講師に招いて開く予定だった。　市によると、０７年１２月下旬にＰＲを始めたところ１月に入り「偏向した講演会を市費で行わないで下さい」などと記した要請書やメールが届くようになり、約１００通に達した。１６日朝には、市役所前で数人が拡声器を使って抗議する騒ぎが起き、市は「開催しても混乱を招き、参加者に迷惑をかける」と判断して、中止を決めた。　開催に反対した市民側は「被害者のシェルターへの保護は家族を破壊する」などとＤＶ防止法を批判しているが、平川さんは「ＤＶの実態を伝えたかったので残念だ」と語った。【五味香織】-------------------------------------------------------------------------------　抗議した団体は「被害者のシェルターへの保護は家族を破壊する」などとＤＶ防止法を批判し、「市長直訴の抗議により、中止が正式に決定された」、「少数が巨大な行政を圧倒・屈服させた」と発言しているという。 　この団体の主張自体、到底受け入れられないものだ( DV被害者の保護が家族を破壊するとは? 「家族」を守るために、女性は理不尽な暴力に耐え続けろというのか?)が、このような圧力に屈する自治体がなさけない。　暴力に屈して、どうして暴力をなくす社会を実現しようというのだろうか。　こんなことが認められれば、当該団体はどこまでも妨害を繰り返すだろう。　絶対に許せないことである。　抗議のアクションがある、と知り合いの弁護士から回ってきた。　　　　(詳しくは、http://www.againstgfb.com/tsukubamirai_shomei.html　を参照していただければ、と思う。受付１月２８日正午までだという。) 　とにかく、女性に暴力をふるうことが許されない、というのはしごく当然のこと。　　そのための権利救済がバッシングを受けるというのは本当にどういうことだろうか。　全国の自治体には、覚悟をもって暴力に屈しない立場を堅持していただきたい。 こんなことが繰り返されてはならないと思う。

タイ・ビルマ国境をゆく。

すっかりごぶさたしていたこのダイアリー(その間もクリックしていただいた方がいて感謝です)。来月早々、2月7日から14日まで、タイ・ビルマ国境訪問をするため、たいへんばたばたとしています。　武力弾圧直前の9月以来のタイ・ビルマ国境ですが、今回は、ビルマからのがれてきて国境付近に滞在中の、お坊さんや民主化活動家のインタビューもたくさん予定しています。　また難民キャンプにも訪問し、日本の支援として何ができるか、などを政策提言したいと思っています。国会議員、メディアの方にも参加をいただく予定にしています。その訪問への思い、などいろいろ描きたいところですが、語りつくせず、、、なので、今日は私のNGOの最新のメールマガジンを貼り付けてご案内させていただきたいと思います。To be continued...(ふたたび)★:''*☆:''*★:''* ヒューマンライツ・ナウ 通信 ★:''*☆:''*★:''*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 　　　　　　　　　　　　　　　　 2008.1.23 発行　人権NGO ヒューマンライツ・ナウ（HRN） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　http://www.ngo-hrn.org/ ＜＜目次＞＞ 【１】 　２月８日～１４日　タイ・ビルマ国境に事実調査ミッション派遣！ 【２】　 ビルマ・みらいの法律家基金に寄付をお願いします！ 【３】 ＨＲＮウェブサイト・「活動報告」を更新！ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【1】 ２月８日～１４日　タイ・ビルマ国境に事実調査ミッション派遣！━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━　　ヒューマンライツ・ナウ（ＨＲＮ）は、２月８日から１４日　タイ・ビルマ国境(主にメイソット)の事実調査ミッションを派遣することになりました。 　　　このミッションは、昨年の武力弾圧が記憶に新しいビルマの人権状況、そしてビルマ国境の難民キャンプの状況を視察して、その状況を広く内外に公表し、各国の外交政策・難民受入れ政策への提言を行うことを目的としています。 　　　現地の団体および、国際人権監視団体ヒューマンライツ・ウォッチなどの協力を得てタイ・ビルマ国境のNGO訪問・懇談、難民キャンプの視察、難民へのインタビュー、武力弾圧をのがれて出国した人々(僧侶・民主化活動家など)へのインタビューを予定しています。 　　昨年9月の武力弾圧以後、欧米諸国の政府・議会関係者・民間団体は相次いでタイ・ビルマ国境に調査団を派遣し、ビルマ民主化を求めるアセアン諸国の議員連盟( AIPMC)も2月下旬に独自の調査団を派遣します。　　　日本からは、12月に中川正春議員が現地視察をされましたが、大規模調査団としては今回のヒューマンライツ・ナウの調査団がはじめてとなります。現在、日本の国会議員の方々やメディア各社にも参加いただくようよびかけています。 　帰国後、調査の結果を、報告会・報告書などのかたちでみなさんにお届けする予定です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【2】ビルマ・みらいの法律家基金に寄付をお願いします！━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━　　　このたび、ＨＲＮは、ビルマの若者の教育を支援しようと、ＨＲＮはみらいの法律家基金を立ち上げることになりました。　この基金は、ビルマ・タイ国境でビルマ民主法律家連盟が主催している「ピース・ロー・アカデミー」というロースクールの家賃・光熱費等の運営費及び支援の具体化のためにＨＲＮスタッフが現地調査に行く活動費のみあてられます。 ▼「ピース・ロー・アカデミー」とは？　 　　ピース・ロー・アカデミーは、長年つづいている軍事政権下でまともに人権教育や民主主義教育を受けてこられなかったビルマの少数民族出身の若者たちに、 2年コースで国際人権法、比較憲法、民主主義の理念等の教育を行っている機関です。　　ここで教育を受ける若者達は、ここを卒業すれば人権活動家として、ビルマの民主化、新憲法の起草などに関わっていくまさにビルマの希望です。　ＨＲＮスタッフは、２００７年９月の訪問で実際の授業風景も見てきましたが、学生たちは「民主的なビルマをつくりたい」という強い想いをもっており、授業を受ける一人一人の眼差しにはきらきら輝くものがありました。 ▼教育の継続を！　　　このピース・ロー・アカデミーは、これまでデンマーク政府やアメリカの大学教授からの資金援助を受けて運営をしてきました。しかし、現在は財政がひっ迫し、年間288,000バーツ（約104万円）という家賃の支払も困難な状況となっており、今後の教育継続が危ぶまれています。日本国政府は、デンマークの約20倍の資金をビルマに送り込んでいますが、この資金が彼らのために流れることはありません。 　　　そこでＨＲＮは、同じアジアの人権法律家としてその存続を支援したいと「ビルマ・みらいの法律家基金」を設立しました。ビルマの民主化を本当に実現していくためには、将来を担う若者たちが一人でも多くまともな人権教育を受け、人権や民主主義の理解を深めて、法律家や民主化のための活動家に成長していくことが必要です。　　日本の人権法律家がビルマのみらいの人権法律家の育成に寄与することが求められているのです。　ここにご寄付いただいた資金は、ピース・ロー・アカデミーの家賃・光熱費等の運営費及び支援の具体化のためにＨＲＮスタッフが現地調査に行く活動費のみあてられます。 みなさまにこの事態にご理解を頂き、一人でも多くのサポートを頂きたいと願っております。 ▼「 ビルマ・みらいの法律家基金 」への寄付の方法▼ ■お近くの郵便局よりお振込みください。郵便振込口座：００１２０-２-７０５８５９口座名：ヒューマンライツ・ナウ※郵便局備え付けの払込取扱票の通信欄にお名前、ご住所、ご連絡先と、通信欄に「みらいの法律家基金」とお書き添えください。 ■ 銀行からのお振込みをご希望の際はお手数ですが事務局までご連絡ください。【連絡先】電話：０３-３８３５-２１１０ファックス：０３-３８３４-２４０６メール：info@ngo-hrn.org 基金の詳細についてはＨＲＮウェブサイト　http://www.ngo-hrn.org/　をご参照下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【3】 ＨＲＮウェブサイト・「活動報告」を更新しました。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ＨＲＮウェブサイト「活動報告」のコーナー（http://www.ngo-hrn.org/active/report/report.html）に、以下の記事をアップいたしました。ぜひ、ご閲覧ください ●ビルマ国境の街で　－タイ・メソッド訪問報告－●１２月１２日　クメール・ルージュ特別法廷に関する外務大臣に対する要請書　　http://www.ngo-hrn.org/active/071212.pdf●１２月１０日声明　「フィリピンにおける超法規的殺害・強制失踪の真相究明と正義の実現を」●１２月６日声明　「パキスタンにおける人権の守り手たちの即時解放と法の支配の回復を求める。」● １２月９日人権デー・パレード「アセアンに人権と自由を！」●１１月２９日　シンポジウム『国際協力とジェンダー』

私のパスポート

今日、仕事の合間にパスポートの更新にいった。次に更新にいくのは10年後。私はそのとき(?)0代 になっている、という厳然たる事実にふと気づいた。考えれば当たり前のことだが、圧倒される。若い頃は根拠もなく、自分は30歳になるまでに死ぬだろうと予想していたから。いい生き方をし、10年後に、いい顔をしていたいものだ。いままでのパスポートには思い出がぎっしりあるが、手元には残らないのだろう。南アフリカ、ジンバブエ、パキスタン、カンボジア、インド、ビルマ、キューバ、コスタリカ、ニューカレドニア そしてしばらく暮らしていたニューヨーク...今回の更新後、はじめていくのは、2月のタイ・ビルマ国境。昨年の９月以来である。昨年9月末の武力弾圧後、はじめて訪問することになる。あわなければならない人たちがたくさんいる。ビルマ国内から逃がれて国境を越えてきた人たちも。何かを伝えたがっている。それをできるだけ多くの人たちに伝えていかなくては。このミッションについては、また、詳しく書きたいと思います。To be continued...

今年の注目: 劣化ウラン兵器は禁止できる?

　テロ特別措置法、成立してしまった。本当に情けない話である。　しかし、法律が通るとすっかり忘れてしまうのが人の常。　しっかり監視していくことが重要だと思う。　　今年私が注目していることのひとつに、イラク戦争でも使用された　劣化ウラン兵器の規制がある。　私は「劣化ウラン廃絶キャンペーン」http://www.cadu-jp.org/contents.html　「日本イラク医療支援ネットワーク」http://www.jim-net.net/　などを中心に2003年以降この問題にずっとかかわっている。　　私は劣化ウランの影響で次々と命を落としているがんや白血病の子どもたちのことを　知っている。だから、ぜひこの兵器をなくす条約をつくりたい、と思う。　劣化ウランの禁止を求める市民の動きはアメリカ政府の大きな抵抗でなかなか進まなかったのだが、ついに、というべきか、　昨年12月の国連総会で、国連は劣化ウラン兵器に関してはじめての国連決議を採択した。　国連決議の内容は、　　国連憲章と国際人道法に基づき、「DU兵器使用が人体や環境に及ぼす潜在的に有害な影響を考慮」し、（１）国連事務総長の名において、国連加盟国と国連関連機関に対し、劣化ウラン兵器の影響に関する意見の提出を求め、来年の国連総会でその報告を提出すること、（２）来年の国連総会の正式な議題に劣化ウラン兵器問題を含めることを要請することを求めるもの。　各国の投票行動は、賛成１３６、反対５（米国、英国、チェコ、イスラエル、オランダ）、棄権３６ということである。幸いにして、日本も賛成に回った(ほっ)。　2008年国連総会では、この問題が重要な議題として議論されることになる。　クラスター爆弾もそうであるが、劣化ウラン弾で犠牲になるのは、罪もない市民ばかりであり、その犠牲は人道に反するものとしかいいようがない。　今年はこうした非人道兵器の使用が禁止される大きな一歩の年となることを期待する。　国連の動きをぜひ監視していきたい。　　　劣化ウランに関して、私があるニュースレターに寄せた寄稿文の一部を紹介します。　もっと知りたい方は、http://www.cadu-jp.org/data/what%27s_DU.html　などもみてください。 昨年はオタワ・プロセスから10年だったが、ブッシュ大統領になって以降軍縮は進んでいない。再び市民社会の動きが世界に変化をもたらせる季節が訪れることを期待して。　地雷の次は劣化ウラン、そしてクラスター爆弾、そして核兵器。。　-------------------------------------------------------------------------------　劣化ウランはウラン濃縮過程でできる残存物質で、ウラン238という物質をたくさん含んでいます。　　このウラン238は、体の外から被ばくする危険性(体外被ばく)は非常に低いため、人体に影響がないといわれてきました。　しかし、放射性物質であるウラン238がひとたび呼吸や水、食べ物を通じて体内に入ると、長い間人体にとどまり、体内被曝を起こします。たったひとつの劣化ウラン粒子だけでも、体内に入ると長い間とどまり、周辺の細胞や染色体、遺伝子を完全に破壊・変質させることができます。それは、がん、白血病をもたらし、染色体や遺伝子の変質を通じて将来の世代まで破壊してしまうのです。この劣化ウランは非常に重く硬いので弾丸や爆弾の貫通体として使用され、戦車を貫通して破壊したり、地中を貫通して地下要塞を破壊するための兵器として利用されています。劣化ウラン弾がターゲットにあたるとき、劣化ウランの細かい粒子が広範囲に拡散します。劣化ウランの半減期は45億年。気の遠くなるような長い間、この細かい粒子が環境を汚染し、呼吸や水、食べ物を通じて人体に忍び込み、人体をむしばみます。アメリカは湾岸戦争では300トン以上、イラク戦争では800-2000トンもの劣化ウランを使用したとされています。このように大量に撒き散らされた劣化ウランは、戦争が終わった後も罪のない人々を苦しめ、特に細胞分裂が盛んな子どもたちの命を奪っています。　　イラク南部のバスラ地方では湾岸戦争前の1990年には19人に過ぎなかった小児がんの子どもが160人に増え、イラク戦争でさらに増加しています。がんが発症すると、とてもかわいい子どもたちの顔がゆがみ、目に腫瘍ができて膨れ上がります。　　自分の姿が変わり果ててしまい、親に負担をかけて、子どもたちは、生きる希望を失い、自分を恥じて、静かに死んでゆきます、誰が悪いのか、告発することもできずに。　　正義の戦争、と声高に叫ぶ超大国の陰で、子どもたちの声や被害の事実は世界に知られることがないまま、被害者である子どもたちは、静かに命を落としています。　　公開された機密文書によれば、米軍中枢は劣化ウランの生体影響を動物実験なども含めて十分に検討したうえで、使用を決定したことが明らかになっています。　　私は劣化ウランの投下は、ゆっくり時間をかけて、最も脆弱な子どもの命を奪い、人々の未来を奪う、静かなジェノサイドだ、と思います。　　一人でも多くの人に劣化ウランがもたらす深刻な被害を知ってもらい、劣化ウランがこの地球上で二度と使われないように禁止条約をつくりたい、と思います。

女性弁護士は女の敵?

これは、先日コメントをしたヒラリー・クリントン氏のことではなく、日本の話である。　離婚を考えている女性をサポートしている民間団体の人から言われてしまった。「うちに相談に来る女性の人で弁護士をつける人は少ないんですよ。弁護士に相談したら精神的に傷つけられた、という人が多くて。ほんと、苦情がたくさんあります」と。　私はてっきり男性弁護士が失礼なことを言うのだ、とばかり思っていてそのように聞いたのだが、「実は女性弁護士がひどいんです」という。　弁護士になりたての女性に限って、エリート風を吹かせて、女性の相談者に「あなたってばかね」と言うそうである。本当の話だ。　同業者として本当に恥ずかしい。同時に、「女性弁護士はだいたい女性に共感し、女性の味方をするもの」と考えていた自分の甘さにも反省させられた。　考えてみれば、女性は同性に厳しい。自立した勝ち組だと思っている女性は離婚しようとする女性を厳しくみて、見下したりしているのだろうか。　そのような若い女性弁護士には猛省をうながしたい。自分こそ弁護士としての職責失格の物のいいようをしていることに気づくべきである。　とくに離婚事件というのは、経済的な事件と違って、その人が私生活のもっともプライベートなところをさらけださなければならない。誰だっていやである。　しかし、仕方なく、洗いざらい話してみたら、弁護士をしている見知らぬ苦労知らずの女にとやかく人生について批評され、批判され、ばかにされる、など、ごめんこうむりたいのは無理もない。　人生そのものを否定された気になるだろう。典型的な二次被害である。　その団体のスタッフの方は「なんとか女性の相談に親身にのってくれる、頼れる弁護士さんのネットワークをつくりたい。是非相談に乗ってください」とおっしゃるので、「まず、詳しく弁護士に対するクレームを教えて」とこちらからお願いした。　弁護士がどんな二次被害を与えているのか、真摯に勉強させていただこうと思う。　ちなみに調停委員の女性も人によっては女性の当事者につらくあたるようだ。こちらは「あなたは私と違って完璧な主婦じゃなかったのね。だから離婚するようなことになるのも仕方ない」と言わんばかりに、女性の日常生活に批評的な態度をとる人もいるらしい。弁護士が立ち会うとそういう態度は絶対とられないのだが、弁護士がいないところでは調停委員に傷つけられる人も多いようだ。もちろん大変立派な方もいらっしゃるが、、、　女の敵は女、というが、これも昨今の、女性のなかでの「勝ち組」「負け組」なる意識のひずみのあらわれなのだろうか。同業者の態度にはとりわけショックである(注、もちろん、素晴らしい、尊敬すべき女性弁護士は私の周囲にたくさんおり、いつも勉強させていただいている。まじめに働く女性弁護士の名誉のために、一言つけくわえたい)。　　　

新テロ法- でも、アフガニスタンは忘れられている。

　新テロ法が週内に可決、というニュースが流れている。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080108-00000012-yom-pol　　全然議論も尽くされていないのに、ただ驚くばかりだ。　とくに悲しいのは、肝心のアフガニスタンのことが忘れられていることだ。　その忘れられ方は驚くほどである。　　この法案を議論するときに語られるのは、　アメリカの「テロとの戦い」に日本も協力しなければならないという　対アメリカの話か、あとは日本の政局などのドメスティックなことばかりで　ある。爆弾の投下さされる地平に生きる人々のことは眼中にないようにみえる。　　給油をするということは、給油によって武力行使が行われ、　その武力行使によって命を落とす人たちがいるのだ、人生を奪われる人たちが　いるのだ、その国の人たちにとってどうなのか、という議論が　ほとんど語られていない。　　私は2002年にアフガニスタン国境のパキスタンの難民キャンプにいったが、　「テロリスト掃討」作戦でたくさんの罪もない市民が犠牲になったことを　知った。その犠牲は半端ではなく、気が遠くなるような気がしたのを覚えている。　　その当時の私の文書をアップしてくれた方がいる(ありがとうございます)。　　　http://comcom.jca.apc.org/hi-hu-war/tyousa.html　当時問題になっていたことがアフガンではほとんど解決されていない。　アフガンの女性は自由になっていないし、女性たちにひどい暴力をふるった挙句に殺した人々は、なんら処罰されることなく政権の中枢にいる。　そしてテロも紛争もなくなっていない。　現地で活動するNGOによれば、旱魃も続いていて、人々の飢えが深刻であるという。　そんななかで、日本はどんな貢献をしたらいいのか。紛争や人権侵害の犠牲になっている人々、食糧にも困る人々のために何ができるのか、という視点が欠落したまま、反省もなく、誤りに誤りを重ねていいのか。　それが本当の意味で「名誉ある」国際貢献なのか、じっくりと考えてもらいたい。

仕事はじめのご挨拶

　　昨日から、仕事が始まりました。　　年始にごあいさつをいただいたみなさま、ありがとうございました。 　　楽しい年賀状が多く、たくさんの元気をいただきました。　　私の事務所「オリーブの樹法律事務所」では、年明けに通信を出しますが　　お届けできないみなさまにも、また一足お先に、　　私のごあいさつ&コラムを貼り付けます。　　2008年も思いを国境を越えた地域に馳せながら、同時に足元の問題をみつめて、　　人々のかけがえのない権利を守る活動をしていきたいと思います。　　今年もよろしくお願いします。----------------------------------------------------------------------------　ごあいさつ　　おかげさまで独立して一年をむかえました。昨年は、私が事務局長をつとめる、国境を越えて人権侵害をなくすために活動する人権NGOヒューマンライツ・ナウの活動で、アジア各国(フィリピン、韓国、インド、タイ、ビルマ、インド)へおもむき、事実調査、国際会議出席、現地での記者会見、人権トレーニング・セミナーの講師としての活動などに飛び回る日々でした。　また、国内では、2009年に導入される裁判員制度について、冤罪をうまないための提言をまとめた拙著「誤判をうまない裁判員制度への課題」にいろいろな方が注目して下さり、NHKクローズアップ現代やテレビ朝日サンデープロジェクトへの出演や講演、取材などの経験もさせていただく一方、弁護士登録当時から取り組んでいる冤罪名張毒ぶどう酒事件についても力を尽くしてきました。　弁護士会では現在、東京弁護士会の「両性の平等に関する委員会」委員長として、弁護士会内の男女共同参画の実現や、離婚後に女性が直面する様々な問題に対する政策提言などを続けてきました。　今年は年明け早々インド・ビルマへの調査団を派遣するなどヒューマンライツ・ナウの活動も本格化しますが、アジアの深刻な人権問題、そして日本国内に存在する人々の権利の実現ともに力を尽くしたいと思います。本年も何とぞよろしくおねがいいたします。　2008年が皆様にとって、そして世界の人々にとっても、素晴らしき一年となりますよう。 -------------------------コラム----------------------------------------------- 　　　　　　離婚・DV 女性のみなさまの身近なパートナーとして 今年1月11日に、ドメスティック・バイオレンス防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)が改正され、1 配偶者から 暴力だけでなく脅迫をうけた場合も保護命令が受けられることになり、2 保護命令では電話や電子メールを被害者におくることも禁止され、3 被害者の親族も保護命令の対象となりました。　結婚生活における暴力に苦しむ女性が救済されるように、法律は確実に整備されつつあります。しかし、一方で、多くの女性たちが長い間、弁護士にも親族にも相談できないまま、悩みを抱えて離婚に踏み切れずにいるようです。　また、離婚後の子どもの養育費についても夫が払わないケースが多く、厚生労働省の今年10月公表の調査結果では、全国の母子世帯で夫から養育費をうけとっているのは、19%に過ぎないというショッキングな結果が出ています。　この責任の一端は、人口の過半数を占める女性の権利やニーズに適格に応えてこなかった私たち弁護士にもあります。DV問題に取り組むNGOの方々や当事者の方から「弁護士は怖い、話をまったくきいてくれない」という訴えをよく聞きます。　　しかし、最近の法曹人口増加で女性の弁護士は格段に増え、弁護士が女性の権利・ニーズに応える素地が整いつつあります。ぜひ、みなさまから気軽にご相談いただけるよう、当事務所でも、弁護士会の両性の平等に関する委員会を通じてさらに総合的に体制を整えていきたいと思います。

マイケル・ムーアからの手紙

アイオワの選挙結果を受けて、マイケル・ムーアから届いたメールを貼り付けます(英文そのままですが)。"It's the War," Says Iowa to Hillary -- And a "Happy Blue Year" To All! ...from Michael Moore January 3, 2007 Friends, There was no doubt about it. The message from Iowa tonight was simple, but deafening: If you're a candidate for President, and you voted for the war, you lose. And if you voted and voted and voted for the war -- and never once showed any remorse -- you really lose. In short, if you had something to do with keeping us in this war for four-plus years, you are not allowed to be the next president of the United States. Over 70% of Iowan Democrats voted for candidates who either never voted for the invasion of Iraq (Obama, Richardson, Kucinich) or who have since admitted their mistake (Edwards, Biden, Dodd). I can't tell you how bad I feel for Senator Clinton tonight. I don't believe she was ever really for this war. But she did -- and continued to do -- what she thought was the politically expedient thing to eventually get elected. And she was wrong. And tonight she must go to sleep wondering what would have happened if she had voted her conscience instead of her calculator. John Edwards was supposed to have come in third. He had been written off. He was outspent by the other front-runners six to one. But somewhere along the road he threw off the old politico hack jacket and turned into a real person, a fighter for the poor, for the uninsured, for peace. And for that, he came in a surprise second, ending up with just one less delegate than the man who was against the war from the beginning. But, as Joshua Holland of AlterNet pointed out earlier today, Edwards is still the only front-runner who will pull out all the troops and do it as quickly as possible. His speech tonight was brilliant and moving. What an amazing night, not just for Barack Obama, but for America. I know that Senator Obama is so much more than simply the color of his skin, but all of us must acknowledge -- and celebrate -- the fact that one of the whitest states in the U.S. just voted for a black man to be our next president. Thank you, Iowa, for this historic moment. Thank you for at least letting us believe that we are better than what we often seem to be. And to have so many young people come out and vote -- and vote for Obama -- this is a proud moment. It all began with the record youth turnout in 2004 -- the ONLY age group that Kerry won -- and they came back out tonight en force. Good on every single one of you! As the only top candidate who was anti-war before the war began, Barack Obama became the vessel through which the people of this Midwestern state were able to say loud and clear: "Bring 'Em Home!" Most pundits won't read the election this way because, well, most pundits merrily led us down the path to war. For them to call this vote tonight a repudiation of the war -- and of Senator Clinton's four years' worth of votes for it -- might require the pundit class to remind their viewers and readers that they share some culpability in starting this war. And, like Hillary, damn few of them have offered us an apology. With all due respect to Senator Obama's victory, the most important news out of the caucus this evening was the whopping, room-busting turnout of Democrats. 239,000 people showed up to vote Democratic tonight (93% more than in '04, which was a record year), while only 115,000 showed up to vote Republican. And this is a red state! The Republican caucuses looked anemic. The looks on their faces were glum, tired. As the camera followed some of them into their caucus sites, they held their heads down or turned away, sorta like criminals on a perp walk. They know their days of power are over. They know their guy blew it. Their only hope was to vote for a man who has a direct line to heaven. Huckabee is their Hail Mary pass. But don't rule him out. He's got a sense of humor, he's downhome, and he said that if elected, he'd put me on a boat to Cuba. Hey, a free Caribbean vacation! Bottom line: People have had it. Iowa will go blue (Happy Blue Year, Hawkeyes!). Whomever your candidate is on the Dem side, this was a good night. Get some sleep. The Republicans won't go down without a fight. Look what happened when Kerry tried to play nice. So Barack, you can talk all you want about "let's put the partisanship aside, let's all get along," but the other side has no intention of being anything but the bullies they are. Get your game face on now. And, if you can, tell me why you are now the second largest recipient of health industry payola after Hillary. You now take more money from the people committed to stopping universal health care than any of the Republican candidates. Despite what your answer may be, I was proud to sit in my living room tonight and see you and your family up on that stage. We became a bit better tonight, and on that I will close by saying, sweet dreams -- and on to that other totally white state of New Hampshire! Yours, Michael Moore

大統領選挙- アイオワのメッセージ

あけましておめでとうございます。　今年は世界的にはなんといっても、アメリカ大統領選挙の年ですね。　2004年の大統領選挙当時私はアメリカにいて、ブッシュ再選という悪夢に立ち会ったわけですが、今年は変化が起きそうな兆しがあります。有利が予想されている民主党、アイオワの党員集会では、オバマ候補がヒラリー・クリントンを破って勝ちました。　私は、女性で弁護士のヒラリー・クリントンに大統領になってほしい、というような単純な考えは持っておらず、イラク戦争に賛成票を投じながらそのことについて一言も反省の弁を語らない彼女の強気の姿勢に強い違和感を持ち続けていました。　というわけで、感慨深く今回の結果を見ていたところ、アメリカのマイケル・ムーアから突然メールをもらいました。　彼は「イラク戦争に賛成票を投じた者はこの大統領選挙では勝てないという明確なメッセージだ」と分析していて、私もほぼ同感。　今度の大統領選挙は、抽象的な「アメリカに変化をもたらす」などではなく、この8年間、他国を国際法に反して侵略し、イラク、アフガンに、世界に、そして自国兵士にもたくさんの犠牲や人権侵害をもたらした戦争の路線にはっきりと決別する、というアメリカの反省と変化をぜひ見たいと思っています。　今後も各候補者に注目していきたいと思います。　

来年もよい年に/ 年末チャリティ

　今年ももうすぐカウントダウン! 　2008年、ぜひよい年にしたいですね。来年もぜひよろしくおねがいします。　私のNGOで会員・サポーターむけにお願いしている年末チャリティのお願いです。　　もしよろしければぜひ。　素敵なことがたくさんある新年になりますように。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊藤和子★:''*☆:''*★:''* ヒューマンライツ・ナウ からのお願い ★:''*☆:''*★:''* 今年最後のチャリティを! ぜひHRNへの寄付をお願いします。****** 　1月7日までにご入金いただいたご寄付のうち30%はビルマの未来の法律家・人権活動家を育てるロースクール支援資金にあてさせていただきます。*******━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 　　今年も残すところわずかとなりましたがみなさまにはお忙しくお過ごしのことと存じます。本年もヒューマンライツ・ナウにご支援・ご協力をいただき、本当にありがとうございました。　　この一年、ヒューマンライツ・ナウは以下に書きましたとおり、国境を超えた人権活動に取り組み、来年も様々な調査活動・人権活動家支援を計画しています。　 もし可能でしたら、ぜひこの年末最後に、ヒューマンライツ・ナウへのご寄付を通じて、人権を切り口とする国際協力にご支援いただけると幸いです。 一口2000円より、本日より1月7日まで、下記の銀行預金口座にて募金を受け付けています。いただいた総額のうち、30%は、人権弾圧の続くビルマ(ミャンマー)の未来の人権活動家を育てるロースクール支援資金にあて、その余を運営・調査費にあてたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。========　年末年始のご寄付のあてさきは以下にお願いいたします。============== 銀行　　　三菱東京UFJ銀行上野支店　 普通預金口座　 5404540口座名義　ヒューマンライツ・ナウ 郵便局　　口座番号　00120-2-705859 口座名義　ヒューマンライツ・ナウ============================================================================　 今年のヒューマンライツ・ナウの活動□フィリピンでは・・・　人権活動家800人以上が2001年以降に暗殺されているフィリピンについて、現地人権団体の要請を受け、事実調査を行い、現地で記者会見を行い、調査結果として、軍関係者の関与を指摘し、現地で大きく報道されました。 その後国連専門家フィリップ・アルストン氏を日本に招へい、日本政府に対してもトップドナーとして人権状況改善のためのイニシアティブの発揮をもとめ、フィリピン大使館にも申し入れを行いました。まだまだ人権侵害は続いていますが、特別裁判所の設置や人身保護制度の改革が実現し、現実に変化が生まれています。□ビルマでは・・・　　軍事政権による民主化活動家の弾圧、政治囚の拷問・拘禁、少数民族への強制労働、女性に対する暴力などが続くビルマについて、人権の尊重を求めて活動するビルマ法律家連盟の招へいを受け、9月にビルマ・タイ国境に代表団を派遣し、現地NGOと懇談。　　ビルマ法律家連盟が未来の人権活動家・法律家を養成するために、人権教育を行う教育機関として設立したピース・ロー・アカデミーに対する支援について意見交換をしました。　　代表団帰国後に起きた武力弾圧を受け、アジア地域の60以上の人権団体と連名で、人権理事会特別会期の開催を緊急要求、これが実現し、人権理事会がこの問題について取り組むのを後押ししました。　　国内では、帰国報告会、パレードなどを開催、来年は、ピース・ロー・アカデミーの支援に乗り出す予定です。□ カンボジアでは・・・　1970年代末に起きたクメール・ルージュによる虐殺などの責任を問う「クメール・ルージュ法廷」に、人権侵害の被害者が参加できる手続きを創設するよう求めて、意見書作成、ロビーイングを行った結果、内部規則に被害者参加の規定が盛り込まれるに至りました。□ ODAと外交政策、人権について　ODAに関する外務省・NGO定期協議(外務省国際協力局・年三回)や、外務省人権人道課、地域課との協議を重ね、各国の人権侵害の是正のための日本政府の外交努力を求める活動を続けています。　　(この日記では中略します、長いので)【支援のお願い】○　ビルマ　　ピース・ロー・アカデミーの支援についてビルマとタイ国境の町、メイソットには、国内で人権を抑圧され「人権についてもっと学びたい。民主的なビルマをつくりたい」と願う若者たちが学ぶ、「ピース・ロー・アカデミー」があります。　　これは、ビルマ法律家連盟が全面的にバックアップして設立された人権教育のための機関で、デンマーク政府やアメリカ・インディアナ大学の教授の支援を受けて国際人権法、比較憲法、国際人道法などを教えています。　　しかし、今、財政がひっ迫し、家賃すら支払えず、今後の教育継続があやぶまれる事態となっています。ビルマの民主化を本当に実現していくためには、人権について理解し、知識を身につけた若者が、一人でも多く法律家やNGOとして活動し、市民社会を形成していくことが重要です。そのために必要な、ビルマの次世代の希望を担う、ピースロー・アカデミーへの財政的援助が必要です。みなさまからのカンパをぜひよろしくお願いします。　○　来年の活動　来年も、今年同様、人権侵害に苦しむ各国の監視、調査、政策提言を続けていきます。来年は、年明け早々、ビルマ(人権状況視察)、インド(女性に対する暴力プロジェクト)　調査などの活動が始動します。来年は世界人権宣言から60年、また洞爺湖サミットも開催されます。世界の人権状況を監視し、声をあげていき、世界に変化をもたらすために、みなさまのご支援をぜひよろしくお願いします。 2008年がみなさまと世界の人々にとって良き一年となりますよう。 　　　ヒューマンライツ・ナウ事務局長　　弁護士　　伊藤和子

わが業界のゆくえ

あー、年末も押し迫ったというのに、まだ仕事がたくさん残っている( ゆえにこのブログも更新できないなー、なかなか、、)　さて、ロースクール制度ができたのを受けて、今年12月に、はじめてロースクールの卒業生たちが弁護士になった。今年9月には、いままでの司法試験を受けた人たちが弁護士になったので、一年に二回、大量の新人が弁護士になったわけである。　東京弁護士会では、9月と12月、あわせて500人くらいの新人弁護士が誕生したのだ。　私は今年は9月と12月の二回とも、新人弁護士のガイダンスとして行われるパネルディスカッションに参加したのだが、みなさん若干おとなしいのが気になるところ。以前はこういうガイダンスで「質問ありませんか?」ときくと、気の利いた質問をする者、ちゃっかり目立ってみる者などがいたものだが、そういう人がいない、質問が出ない。　わが業界は、自己主張が強くなければ(依頼者の利益や人権のためにも)つとまらないので、私は少し業界の行く末を考えて不安になった。　もうひとつ心配なのが、特に東京は新人弁護士が多すぎるため、就職難、待遇の悪化という弊害が出てしまっているのだ。一挙大量増員の影響だが、就職できない弁護士や、弁護士の軒先だけ借りて給料をもらえない弁護士(のき弁という)が増えてしまっている。　　そのあおりを男の新人弁護士ももちろん受けているが、女性の新人弁護士たちはさらに大変な目にあっているようである。　新人については男女賃金格差、というほかの業界ではありえないこともある、ときく。　新人ガイダンスで女性弁護士が一番関心をもって聞いていたのは「女性弁護士に対する就職差別がありますね、産休も育休もとりにくい、女性弁護士をとりまく環境が悪い、それをなんとか解決しようとしています」と話したときだった。　みんななんとなく先行き不安そうであった。　さらに、結局、司法試験を受かったのに就職先が決まらない、という人もずいぶんいるという。そういう人たちはいきなり一人で開業するほかないのだが、そんなに仕事がくるものでもなく、「下流弁護士」などと話題になったりしている。これから法曹人口は毎年3000人になるという。私が司法試験に受かった時は毎年500人だった。毎年3000人も司法試験に合格し、そのほとんどが弁護士になる、というのだが、いますでに就職難でこれからは一体どうなるのだろうか。　弁護士はオンザ・ジョブ・トレーニングを何年か経て、やっと一人前になる世界であるのに、受け入れてくれる事務所がなくて、どうやって質の高い弁護士に成長していけるのか、大変心配である。私など弁護士になった28歳のころはとんでもない世間知らず・法律知らずのであり、もしもひとりでやっていたとしたら社会に多大なご迷惑をかけたであろう。一緒に事件をやってくれた、当時の事務所の先輩方の指導があってはじめて、一人前になったわけである。また「東京で飢えた新人は新天地を求めて地方や過疎地にいってくれるのでは? そうやって司法過疎を解消できる」ということをいう人もいるが、新人が実験台にされ、大切にされていないと思う。　　私はもしニーズがあるのであれば、弁護士の人数を増やすのに全面反対するわけではない。しかし、増やした以上どうやって増えた弁護士を受け入れ、一人前の仕事ができるように育てて、法曹の質を確保するのか、という責任ある態勢と計画をもつことは弁護士会の責任だと思う。いまのままでは、就職難に苦しむ人々、事務所に入れない新人弁護士たちも大変心の痛む状況であるし、何より社会に多大な迷惑をかけることになるのではないだろうか。　立ち止まって今後のあり方をよく考える必要がある、とつくづく思う。

イラク・収容所にたくさんの女性が。

　　　いつも、インターネットを通じて、　　イラクの情報をつたえてくださる方がいて、感謝しています。　　　中でも、最近届いたニュースは胸にささりました。　　http://geocities.yahoo.co.jp/gl/uruknewsjapan/view/20071213/1197550689　　多くの女性たちが理由もなく拘束され、虐待されている、と伝えています。　　私も最近の国連関係のレポートを読みましたが、こうした収容されている人たちに　　アクセスする弁護士も少なく、そもそも弁護士がたくさん殺されているそうです。　　私たちの人権団体Human Rights Nowもアジアを主にカバーしていますが、 もっと発展して、世界中の人権状況に警告を発することができれば、と痛感します。　　日本にいると日々の暮らしの中で、イラクやアフガニスタンなど、数年前に起きた戦争の　ことを忘れそうになるけれど、現場では、理不尽な人権侵害を受け続けている人たちがい　　る。　　もうすぐクリスマス&ニューイヤーですが、それどころではない人たちがいる。　　　　そのことを想起しなくては。。。　　特に、日本はこのふたつの国とそこでの戦争に無縁ではまったくないのだから。　--------------------------------------------------------------------------------　　イラク　女性拘束者の解放を求める　2007/12/13　イラク議会の婦人・青少年問題委員会は、イラク政府と米軍が管理する収容所に拘束されている女性の解放を要求した。ナディラ・ハビブ副委員長は１２月９日、「有罪判決を受けていないすべての女性収容者を、即時釈放することを求める」とＩＲＩＮのインタビューで語った。　IRAQ: Call for release of female detainees　バグダッドのアダラ収容所には１９９人の女性が拘束されているが、全国的で何人の女性拘束者がいるかは明らかでない。　ナディラによると、彼女たちが拘束者に面会を求めても米軍が拒否するため、米軍の管理する収容所に現在、何人の女性が拘束されているか知っている者は１人もいない。　「女性拘束者の大多数は無実なのだから、政府は弁護士と判事、検察からなる委員会を編成し、早急に彼女たちのファイルを再評価すべきだ」。　しかし、拘束者と面談したことのある弁護士から得た情報から推測すると、米軍の収容所だけで５０人以上は女性の収容者がいると見られる。　イラク政府系の収容所では２００６年末に接見が承認されてから、一般的には収容者に対する拷問、虐待などの暴力は止んだようだ。彼女たちの容疑は、犯罪活動を行ったか、戦士との結びつきがあるとされている。　４ヶ月近く前、イラク軍が西バグダッドで民家を急襲・捜索した際は、治安部隊を攻撃したゲリラを捜索していたが、その替わりとして４４歳の姉が連行されたことがある。　弟は仕事で外国に行っただけで戦士グループと関係ないと言っても信用されず、彼女を拘束すれば弟が投降してくると彼らは信じこんでいる。性的暴力は受けてないが、収容所では１ヶ月近く殴られ、眠れないように大音量の音楽を聴かされたり、２４時間明かりを照らされつづけたりした。　そして弟が出頭すると彼は２週間も尋問され、そして彼らは「すまないが勘違いだった」と姉弟に語った。　２００７年４月～６月における国連機関によるイラクの人権レポートでは、聞き取りをおこなった数人の女性と少女の全員が、収容所に送致される前に、警察の拘留施設で殴打あるいはレイプその他の性的虐待を受けたと証言した。

NHK 「クローズアップ現代」に出させていただいて

　今年の楽しかった思い出を振り返ると、NHKクローズアップ現代に出演させていただいたことをぜひあげなくてはなりません。　8月29日に「無実の死刑囚　124人の衝撃- えん罪に揺れるアメリカ」という番組に出させていただいたんです。　私は「誤判を生まない裁判員制度への課題」という本を昨年末に出して、自分ではすごい新しい情報ばかりだ、と興奮して出版したのですが、正直どれくらいの人たちが手にとってくれるかわかりませんでした。　でも、最初は朝日新聞に紹介してもらい、テレビ朝日サンデープロジェクトさんが私の本を読んでアメリカに飛んで特集番組をつくってくれ、そしてNHKさんもアメリカを取材して「クローズアップ現代」の番組をつくってくれたので、つくづく「読む人は読んでくれる、誰かが仕事をみていてくれる。本には翼がある」と思ったのです。　また、テレビ局の方々のお仕事の丁寧さ、真摯さには本当に感動し、頭が下がりました。メディアにはGood Heartをもった方々がたくさんいて、プロとして本当によいお仕事をされている、ということがわかりました。　こういう人たちが一生懸命支えているから、日本のメディアは、そして、日本という国は(批判したいことはたくさんありますが)まだまだ成り立っているのだと思います。　NHKのディレクターさんは若いのに大変がんばっておられましたし、国谷さんのプロフェッショナルで頭の回転の速いのにも脱帽しました。　しかも、この番組の内容をブログで全部おこしてくださっている方がいたので、私はさらに感激しました。ありがとうございますm(--)m　http://sok-sok.seesaa.net/article/61473551.html 内容は、ぜひこちらのご紹介をお読みいただけると嬉しいです、本を買っていただけるとなお嬉しいですね(^^)　http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4877983104.html

土曜日は満員御礼

以前からこのブログでも宣伝していた、土曜日の冤罪! 名張事件のシンポジウム。なんと師走の土曜日なのに、会場は立ち見の出る盛況で大成功しました。若い人が会場には多くて、みなさん本当に熱心にきいてくれて感激しました。　参加した人が、シンポの感想などを、市民ニュースサイトに記事として書いたり、自身のブログに書いたりしてくれています。　オーマイニュース（市民記者によるニュースサイト）記事「一番悪いのは裁判官!?　自白重視が冤罪を生む　（名張毒ぶどう酒事件は死刑冤罪だ！　弁護士会がシンポ）」　http://www.ohmynews.co.jp/news/20071217/18634個人でもこんな方々が、、、「トシの多汗・多感　成長記録」（個人ブログ）　　～　冤罪！　名張毒ぶどう酒事件・・・・・　「今井亮一の交通違反バカ一代！」（個人ブログ）　　～　虚偽供述の発覚を危惧して警察が重要証拠を廃棄した！？　　（2007年12月16日の記事）　　シンポは、私がコーディネーターをしてゲストに話をふったのですが、みんな素晴らしい発言でさすが!!! でした。　実は、弁護士会館の隣の部屋で周防監督の「それでも僕はやってない」の映画上映会とシンポをやっていて、私のクライアントもそちらに流れたりしまい、「どうよ?」という感じだったが、応援してくださる方々が広めてくださったのか、多くの人に参加していただいて本当によかった。 交通違反裁判ウォッチャーとして有名な今井亮一さんは、「それボク」を見るためにクレオに足を運び、間違って名張シンポ会場に入ってしまったものの、そのまま最後まで聴いてくださったそうです。　本当は、この内容、一番聞いてほしいのは最高裁の判事のみなさんですが、どうなんでしょう? 私も「誤判を生まない裁判員制度への課題」という本を書いて、今後冤罪が発生しないような制度的な提言をいろいろとしてきました。　でも、名張事件の再審開始取消決定のような判断- 決定の翌日には、新聞各紙に「疑わしきは罰するのか?」などと批判・疑問の社説が掲載されていました- が是正されない限り、裁判官の影響力のある裁判員制度において、誤判をなくすことはできない、と思っています。　　　　　

地球市民のあなたへ

　最近の大学は発展していて、いまや「地球市民学」というのがあるんですね! それで、来年1月に、以下のような企画に呼んでいただくことになりました。　この大学の松井ケイティ先生には以前よりお世話になっているので、　楽しみです。考えてみれば、誰もが地球市民の一員、　(それを意識して考えたり、行動する人が増えてほしい、ということだと思うんですが)、　よろしかったらぜひご参加ください。　私も、地球市民に英文法が必要か?って知りたいところです。　　以下、ご案内文です。ＧＰＰＡＣジャパンと清泉大学地球市民学科の公開合同セミナーが久しぶりに来年１月に開かれます。 「大学院とＮＧＯの合同セミナー」という画期的な試みです！！http://www.seisen-u.ac.jp/backnumber/2007/event/2008_0116.html そんな合同セミナーの次回企画は、『人権』についてです。以下がその講演の案内文（転送大歓迎！！！！！）です。 よろしくお願いします。地球市民学専攻第1５回(2007年度第５回)公開合同セミナーのご案内　地球市民学専攻では、地球市民学という新しい学問の内容を理解していただくともに、これからの展開に資するさまざまなご意見をいただくため、下記の要領で学内外公開の合同セミナーを行っています。　セミナーでは、新しい学の前提となる諸学説の検討、それらをふまえて地球社会の諸問題を解くための理論と研究方法の探究、さまざまな学問的背景と問題意識からの新しい学の構想などについて、担当者等が問題提起の意味を込めて内容をご披露し、参加者の皆さんのご質問やご意見をいただいて、自由な討論を行います。　 ３年目の今年は、専任、非常勤、他大学教員、大学院生、NGO, NPOなどで地球市民的実践を続けておられる方がた、に話題提供をお願いしています。　 一部参加でも結構ですので、どうぞふるってご参加ください。 第１5回公開合同セミナー日時：２００８（平成２０）年１月１６日（水）午後６時１０分～９時２０分　 　　場所：本館２階　１２９教室　話題：１（６時１０分～７時４０分）　 　世界の人権・日本の人権：Human Rights Nowの活動から（話題提供：伊藤和子氏、弁護士、ヒューマンライツナウ事務局長）２（７時５０分～９時２０分）　　　　　　 　地球市民に英文法は必要か？（話題提供：相亰美樹子本専攻准教授） 注（１）：夕食時にかかりますので、軽食・飲み物等はご自由にお持ちください。ゴミ等のお持ち帰りにご協力いただきますよう、お願い申し上げます。注（２）：外部の方で参加ご希望の方は、大学院研究室(Tel. 03-5421-4135)までご連絡いただきますよう、お願い申し上げます。 http://www.seisen-u.ac.jp/backnumber/2007/event/2008_0116.html

裁判官は科学が嫌い?

「裁判官って、科学のことがこんなにわかってないのか-?」とあきれてしまう判決が目立つ。　たとえば、私は渋谷区にあるごみ焼却工場がダイオキシンなどの有害物質を放出しているので、被害を被っている渋谷区の住民のみなさんの依頼を受けて、この工場の建設・操業差し止めを求める裁判を担当している。　これはダイオキシンなどに関する科学の理解なくしてきちんとした判決は到底出せないのだが、昨年一審の東京地裁民事24部が出した判決は「こんなに科学に無知なのか?」と驚いてしまうような誤解、無理解に基づく判決だった。なので、さっそく控訴をして、現在東京高等裁判所第一民事部に舞台をうつして裁判を続けている。　私と一緒にこの裁判をやっている梶山正三弁護士は理系と法律、両方抜群に得意なスーパーマンで「ごみ博士」の異名を持つ方なので、一審の判決の誤りをこてんぱんに指摘しているところである。　先日来お話している冤罪「名張毒ぶどう酒事件」も、実際に使われた毒物は、科学鑑定の結果、これまで考えられていた毒物とは違う、ということが証明された。 これは有罪判決の根本が崩れるはずで、名古屋高裁はいったんは「再審開始」の決定を出した、が、その後同じ名古屋高裁の門野博裁判長らがこれを覆した。私たちが頼んだ鑑定人は、その道では日本一の権威だったのだが、この動かぬ鑑定を信用しない、という判断をしたのだ。決定文を読むと、科学の素人である裁判官が科学の権威の言っていることを何にも理解しないで否定している、ということがわかる。この件も判断を不服として、最高裁に不服申し立てをしている。　弁護士も裁判官も、法学部出身だが、理系でなくあえて文系を選んだのだから、きっと理系が苦手な人も多いことだろう、、というのはわかる(私はその典型)。　しかし、裁判官というのは裁判の最終決定権を握っていて、人々の一生に重大な影響をおよぼす決定をするわけだから、「理系が苦手」は済まされない。　先日、ロースクールで講演していたら、物理畑からロースクールに入ったという学生が、「理系の自分からみると、裁判官があんまりに理系音痴なので、こんなんで事件をさばいていいのか、そらおそろしい。裁判官は科学的知識のトレーニングをちゃんと受ける研修とかあるんですか?」と私に質問した。そんなものはない、、、　理系のみなさんにはきっと、甚だ心もとない世界が展開されているわけだが、まずは、裁判官には、知らないなら知らないで、一生懸命理解しようと努力し、説明しようとする当事者の声に耳を傾けてほしいものだ。　　裁判官は権威があり、「知らない」と率直に言ったり、質問したりしないまま、誤解した判断をしてしまう、というのが最悪のパターンである。　　裁判官の「いつも私が経験則で判断してきたことは正しい」というおごりが科学に対する謙虚さの欠如につながるのではないか。そして、科学のことはわからないから、「この被告人は自白している、これこそ重要」と自白に逃げ込んで判断したりするのだ(実際名張事件の昨年の決定は、そうだった)。　しかし、現在このふたつの事件を担当している裁判官たちはそのようなことのない判断をしてくれるもの、と信じたい。　今後もこのふたつの裁判で、裁判所の姿勢を注視していきたい。

今日のお品書き

　　今日・土曜日は終日霞が関の弁護士会にいる予定。　　午前中は弁護士会の「離婚後300日問題」で　みなさまからの電話相談をさせていただきます(東京弁護士会主催)　　午後は、冤罪事件・名張事件のシンポジウム(日弁連主催)　　どちらもすでにブログでご案内してきましたので、過去ログをみていただければ、と　思います。　　今日が終わると、怒涛のような仕事の嵐も少し一段落、、、　　年末年始のことも考えられそうです(^^)

プレスクラブで会見を

この間ご紹介した、外国人( スウェーデン人) の刑事事件で裁判所が勾留を認めなかったケースについて、なんと、明日外国人特派員協会で記者会見をすることになってしまった。企画の詳細は特派員協会にウェブを参照されたい。http://www.fccj.or.jp/node/3013盛りだくさんの企画らしく、一つの刑事事件を通してみた日本の人権、という切り口で私たちがお話をするのにくわえて、取り調べの全面可視化に関する法案を提出した民主党の松岡さん、日弁連で警察の留置所( 代用監獄) の人権問題に取り組んでいる小池さんも同席される予定で、話の展開が楽しみです。

ニュースになりました。

仕事(原稿書き) が終わらず眠れずに悩んでいたところ、スタッフからうれしいニュースが。私たちの日曜日のパレードがニュースになっていたようです。　 ▼TBS　　東南アジアの人権問題訴えパレード　（10日01:18）http://news.tbs.co.jp/20071210/newseye/tbs_newseye3728245.html 　▼JANJAN　　在日ビルマ、フィリピン人がパレード　世界人権デーに向けhttp://www.news.janjan.jp/world/0712/0712090945/1.php ぜひTBSの動画をチェックしてみてください。( 仕事に戻りましょう。。。。。)　

天使の笑顔

この間ご紹介したとおり、今日は人権デー。その関係で週末は歩いたり& 走ったり。まず先週金曜日は、私の団体ヒューマンライツ・ナウとして、ビルマ、フィリピン、パキスタン、スリランカの人権状況改善への対応を日本の外務省(人権人道課)に要請にいく。土曜日は、朝は名古屋のロースクール、午後は国際連合学生連盟(国連や国際問題に興味をもって何かしたいと考えている若い学生さんたちの集まり)で主に「世界の人権とNGO活動」について講演し、すがすがしい交流があった( 国連・・・の学生さんたちは、土日で人権に関する討論会を開催していた! すごい)。そして、日曜日は、アムネスティとうちの「ヒューマンライツ・ナウ」などの主催で、恵比寿から明治公園まで、ビルマ&フィリピンなどのアセアン地域の人権状況改善を訴えて渋谷の街をパレード。東京・渋谷は、穏やかで、とても美しいパレード日和。色とりどりのコスチュームや旗、アウンサンスーチーさんのバナーなどをもったたくさんのビルマ人、フィリピン人と一緒に歩くのは素敵な経験で、沿道の人もたくさん立ち止まって注目してくれた。ビルマは、ご存じのように、9月に民主化デモが弾圧され、自由が奪われたまま。フィリピンは2001年以降、800人以上の人権活動家が暗殺されて、軍が暗殺に関与したことが指摘されている。こうした深刻な人権状況の改善を求めるみなさんの声を集めて、「アセアンに人権を」という共同のアクションにしたのだ。人権デーにアクションをするのは東京ではひさびさのことだったが、この間、ビルマ人やフィリピン人とミーティングを重ねて、共同アクションをすることが決まり、おかげさまで、300人を超えるパレードになった。　メディアもたくさんきてくれたが、特にうれしかったのは、ビルマの市民メディアの記者が「この様子をビルマ国内に伝えて、日本でビルマ人が自由を訴えている様子を示して、国内のみんなを勇気づけるんです」と言っていたことです。　その後フィリピン大使館に移動し、アムネスティや在日フィリピン人の代表と一緒にフィリピン公使に人権状況改善の申し入れ、その後キャンドル・アクションをしたが、素晴らしいことに、ビルマ人も連帯の気持ちを表明してこのアクションに参加してくれた。そして、今日10日は午後4時半から5時半まで、ビルマ大使館前で、人権侵害の犠牲者を追悼し、人権を求めるキャンドル・アクションがあり、私もスピーチをした。　　その後キャンドルをともしながら、ビルマ人それぞれの民族出身の人たちのスピーチをきいていると(スピーチはビルマ語だから、よくわからないのだが)、「今日はね、今から学童クラブに子どもを迎えに行くの」と日本語で話しかけてきたビルマ人の女性がいた。彼らはみんなで集まると、とても強い「活動家」という感じだけれど、ひとりひとりは普通の生活を送っていて、仕事をしたり主婦をして、それぞれ忙しい時間を割いて民主化運動を日本でやっている。安全な日本に来たのだから、祖国の苦しみを忘れて、民主化運動から無縁な生活を送ることだってできるはずだし、日本で働いて生活すること自体、本当に大変だろう。だけど、みんな大変な生活のあいまを縫って、必ず駆けつけて行動する。寒いのにキャンドルをともし、大使館の前で無言の抗議をする。祖国の人権侵害を放っておくことができず、祖国に人権と民主主義が実現させるために・・。そんな人たちに心から尊敬の気持ちがわいてきて、胸がいっぱいになる。帰りがけに、「いつもありがとうございます」とにこやかに私に話しかけてくれたビルマ人女性の天使のような笑顔にまた感動してしまい、こちらが感謝したくなり、ひとしきり言葉をかわしていました。　　そういえぱ、土曜日にあった学生さんたち、日曜日にあった、昼間働きながら夕方からビルマ・ニュースの特派員として日本の民主化運動の状況をビルマに伝えているジャーナリストetc、出会ったたくさんの人たちが天使のような笑顔でした。

さすがの江川紹子さん&大谷昭宏さん

今週は、気鋭のジャーナリストの大谷昭宏さん、江川紹子さんと相次いでおあいする機会がありました。以前ご紹介しましたが、私の担当する名張毒ぶどう酒事件、という冤罪事件のシンポジウムを12月15日の午後2時から霞が関の弁護士会館で開催するのですが、パネルディスカッションに江川さんと大谷さんをお呼びすることになりました。私がコーディネーターをすることになったので、役得で打ち合わせをさせていただいた次第。大谷さんは、初対面で緊張しましたが、サンデープロジェクトで冤罪を特集されていて、最近相次ぐ冤罪に怒って取材を展開されていて、聞けば聞くほどお話が面白い! さすがです。江川さんは、以前から名張事件を応援していただいていて、この事件に関して「六人目の犠牲者」という本を出版されているんです。最近の不当な決定にもブログにコメントを出してくれています。http://www.egawashoko.com/c006/000204.htmlその関係で、江川さんには時々お話を聞く機会があるのですが、やっぱりお話が深くて、会うたびに感心・勉強させられます。「自白偏重だと言って、警察がたたかれるけど、自白を簡単に信用してしまう裁判所がいるから、警察は自白をとるのに熱心になるわけで、問われるべきはむしろ裁判所の姿勢じゃないか」と。「これから裁判員制度も始まりますけど、冤罪をなくすには何が必要だと思いますか? 」と聞いたら、「いろいろな制度の議論も大切だけれど、まず、目の前にある冤罪を救うことでしょう」というのはまさに至言。　さらにお二人の話は続き、本当に楽しかったのですが、続きは、ぜひ、みなさん会場にお越しいただいてライブで聞いてください。当日は、日本で初めて死刑台から生還された、免田栄さんも参加してくださいます。　「名張事件に関するシンポジウム」は12月15日、午後2時から、営団地下鉄霞が関駅下車すぐのところにある、弁護士会館の2階ホール「クレオ」で開催します。全国ビデオ中継もするそうです。詳細は、以下をご覧ください。http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/071215_2.html

裁判所は変わりつつある? 刑事事件・最近の感激

　最近やった刑事事件でうれしいニュースです。無罪を主張している事件で、検察官の勾留請求が却下されて、逮捕されていた外国人のクライアントが逮捕後三日で釈放されました。　これって実はすごいことなのです。　　もしあなたが逮捕されたら、たとえやっていなくても、どんな小さな罪でも、23日間警察に拘束されてしまう、早めに出てくるには、やっていなくても、自白するしかない、、　これは世界的にも厳しく批判されてきた日本の刑事裁判のあり方を示したもので、「人質司法」と言われてました。　詳しくは、周防監督の最近の映画「それでも僕はやってない」に出ていますが、捕まった人自身を警察が人質にとって、自白しない限り解放しないぞ、と言っている構図なんです。 こわいですよ。　逮捕されたら三日以内に検察が勾留((こうりゅう-ひらたくいうと、警察に拘束されることで、期間は10日間。一回延長できる)を裁判所に請求して、裁判所が勾留をしてもいいかを決める裁判をするのですが、裁判所が勾留を却下することは、1%以下、というありさまです。　　これは、ヨーロッパ諸国などからみて「なんて野蛮な・・」と批判され、国連からも何度も改めなさいと勧告されているんですね。　　それでも裁判所は頑強に勾留を続けてきたのですが、最近、勾留をするかどうかを決める東京地裁14部、というところが結構勾留請求を却下するようになり、注目されていました。　　先週私が頼まれた事件は、暴行事件で無罪を主張していて、逮捕されたのは外国人。以前であれば、絶対勾留が認められる事案でした。刑事訴訟法には、外に出したら逃亡する危険のある場合や、証拠をいん滅する危険のある場合は、勾留する理由がある、と書かれているのですが、無罪を主張していれば、即、逃亡や証拠いん滅の危険がある、と言われていたのです。　　ところが今回私は「面識のない人間同士の事件なので、釈放されても被害を訴えている人にあいにいくこともできないので、証拠いん滅の可能性はない」というたいへんシンプルな議論を展開し、逃亡しません、という身柄引き受け書を提出したのです。正直かなりだめもとだったのですが、クライアントが人権先進国・スウェーデン人のジャーナリストということもあり、可能性に賭けてみたわけです。　　勾留の裁判の日の土曜日、意見書を書いて東京地裁14部に持っていったところ、裁判所は時間がかかったけれど、私の認めてくれて、勾留請求を却下しました! 　しかし、その後もドラマチックで、検察官が即日不服申し立て(準抗告といいます)をしてきたのです。裁判所はその日のうちに不服申し立てを認めない決定を出してくれたのですが、決定が出されたのは夜の10時すぎ。それから裁判所が決定を警察に送達にいき、深夜近くに釈放されたのです。　この件でこんなに時間をかけて審理していただいた裁判所には本当に感謝、という気持ちです。釈放されたときは警察署にスウェーデン人仲間が集まり、シャンパンで乾杯をしました。　しかし、この決定は本当に画期的で、不服申し立てに対する裁判所の決定を読んで私は感激していました。裁判所は人質司法を転換するかもしれない、という希望を持ちました。今後もぜひ、この方向でがんばっていただきたいな、と思います。　　弁護士も「どうせ人質司法」なんてあきらめてないで、もっとどんどん勾留を争うべき時代になってきた、と思います。　しかし、この日は午後に二件の講演が入っていたのですが、午前中も講演のあいまも、なんども裁判所を往復して、そのあとも深夜まで待機していてとにかく大変。「もう少し簡単にあっさり勾留が却下される時代になってほしいなー」とも思いました。いまはまだタブーに挑戦している、だからそのためにとてもエネルギーがいる、ということなのです。とにかくよかった! 　　　

もうすぐ人権デー

12月8日は、ジョン・レノンの命日ですが、その2日後の12月10日は何の日でしょう? 実は、「人権デー」。1948年にパリで、「世界人権宣言」が採択された日を記念する、という日です。日本では認知度がまだまだ低いけれど、今年は、渋谷でパレードでもしよう、という話が、人権NGOコミュニティで盛り上がりつつある。　　アムネスティさん、ビルマ人の団体のみなさん、フィリピン人のみなさんやこれらの人たちを応援している日本の人たちと一緒に「アセアン」という枠で人権をアピールするパレードを渋谷でやるので、渋谷周辺でみかけたら「あ、これかな」とにっこりしていただけるとうれしいです。私はニューヨークにいた当時、ハロウィン・パレードが好きだったので、日本のパレードとかデモに違和感があり、メッセージ性のあるパレードでもアメリカのハロウィンみたいに楽しくできないかなー、見物していたはずの人が参加するほうに入って、思わずパフォーマンスしちゃうとか、ならないかな、と思っています(余談ですが、日本では川崎で毎年盛大なハロウィンがあるんだそうで、実は、来年あたり、行ってみたい)。その点、フィリピンからは子どもも来てくれるみたいだし、ビルマからはお坊さんもたくさん参加していただけそうなので、印象的なパレードになるといいな、と主催者ながら期待しています。よろしかったらぜひどうぞ! 12月9日　人権デー　パレード＠渋谷　　--Human Rights and Freedom for ASEAN --━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━12月10日は人権デー( Human Rights Day) 、1948年12月10日「世界人権宣言」が採択されたのを記念する日です。ヒューマンライツ・ナウでは、今年の人権デーの前日・12月9日(日曜日)午後に、深刻な人権侵害が続くビルマ、フィリピンなどアセアン諸国の友人たち、国内のNGOの方々に呼びかけて、アセアン地域の人権の回復を求めるパレードを、東京・渋谷周辺で行うことになりました。今年11月には、人権に関する条項を盛り込んだアセアン憲章が採択され、アセアンの人権状況改善を世界が注目し、なによりアセアンに住む人々が求めています。パレードには、民主化を求めるビルマからたくさんの方が参加されますし、人権活動家の殺害の解決を求めるフィリピンからも、子どももふくめてたくさんの参加が予想されています。その他のアセアン諸国の方々にも現在呼びかけを行っています。渋谷の街をアセアンの友人たちと一緒に、人権を訴えて歩く、楽しいパレードにしたいと思いますので、ぜひ気楽に参加していただきたいと思います■日時詳細１３：００　恵比寿公園集合（スピーチなど）　１３：３０　パレードスタート　１５：００　UN大学前を通って、明治公園到着、解散※通常徒歩40分～60分の行進ルートですが、余裕をみて90分と考えています。●主催：ヒューマンライツ・ナウ、ビルマ市民フォーラム、アムネスティ・インターナショナル日本　ビルマ民主化共同行動実行委員会(JAC) 、MIGRANTE-JAPAN恵比寿公園　(恵比寿駅西口徒歩3分)住所：渋谷区恵比寿西1-19-1　地図は以下を参照ください。http://www.shibuyaku-town.com/photo/map.php?ai_id=0018756&icon=no　もちろん、Non violence パレードです。

電話相談をやります。離婚後300日

今年の春ころ、世間で少し話題になった「離婚後300日問題」、覚えていますか?　女性が離婚してから300日以内に生んだ子どもは前の夫の子と推定する、という民法の規定があるのですが、これが実態にあわないことが多いのです。特にDVの被害にあって長い間別居の末に離婚にこぎつけたケースでは、前の夫が父じゃないケースが少なくない。そんな場合、この推定は、女性が新たな家族と再スタートする障害になっています。　このような、離婚後300日以内に生まれる子は、年間3000人くらいと言われ、実態にあった解決を法律がいまだに提供していません(法務省の通達が出ましたけれど、救われるのは1割程度とのこと)。父親を前の夫としない出生届は受け付けられません。そのため、出生届を出さず、無戸籍のまま、公的なサービスが受けられない子どもも相当いる、とのこと。　そこで、東京弁護士会・両性の平等に関する委員会(私が委員長をしています)では、法改正を求めているのですが、このような問題で困っている方々に法律的なアドバイスするために、以下のとおり、電話相談を実施することになりました。　こうした問題を抱えている方には、ぜひご連絡いただきたいと思っています。--------------------------------------------------------------------------------本年6月8日、両性の平等に関する特別委員会主催で「離婚後300日問題を考えるシンポジウム～民法772条・父子推定をめぐって～」を開催し、その後も東京弁護士会として「民法第772条の改正を求める意見書」を法務省等に提出し、本問題の解決に向けた取り組みを進めてきました。しかし、いまだ法令改正等は実現されていません。　そこで、法務省の通達から6か月という区切りの時期に110番を実施し、困っている当事者の方に解決方法をアドバイスすることになりました。　つきましては、当日のみの臨時電話相談を開催しますので、この問題でお困りの方は下記の臨時電話にご相談ください。【日　　時】　　2007年12月15日（土）10時00分～15時00分【対　　象】　　一般市民【予　　約】　　不要【費　　用】　　無料【臨時電話番号】　　０３－３５０２－１７４１(当日のみ） 詳細は以下もご覧ください。http://www.toben.or.jp/news/event.php/news/detail/?id_whats_new=959PS 国際的な事件を扱うことが多いのですが、今日は特ににぎやかでした。事務所にはイタリア人、中国人、日本人、スウェーデン人、そしてインドの女性問題でMTG、その後カナダ大使館、モンゴル大使館、新聞社の外信部の方などとお茶もしました。そこで一日の終わりは、「和」に戻って焼き鳥で締めました。今週もがんばりましょう。。

無実の死刑囚　

急に入った刑事事件でここ数日あまり寝ていません(^^;)が、やっと落ち着いた日曜の夜です。実は、めったにない、画期的な勝利を得たのです(詳細は今度また)。よかった! 　　さて、私が弁護士登録してからずっと弁護している死刑囚についてご紹介したいと思います。　去年の年末、新聞各紙で一斉に報道された、「名張毒ぶどう酒事件」をみなさん知っていますか?事件は1961年に発生、三重県と奈良県の県境の村で、村の懇親会に出されたぶどう酒に毒物が混入されていて、ぶどう酒を飲んだ5人の女性が死亡、12人が重軽傷を負いました。妻をこの事件で失った奥西勝さん(当時36歳)が疑われ、連日取調をうけて、自白にいたってしまう、それをきっかけに村人の証言も奥西さんに不利なものにいっせいに変わり、ほとんど何の物証もないのに起訴されたのです。一審は無罪、ところが、二審は現場に落ちていた王冠の傷が奥西さんの歯型と一致する、というのを物証だ( ぶどう酒の王冠を歯でかんであけて、毒を入れた、というんですね)として、逆転死刑判決を下したのです。最高裁もこれを支持し、以後40年にわたり、奥西さんは死刑執行の恐怖におびえながら、獄中から無実をうったえ続けています。しかし、実は逆転死刑判決の決め手となった、王冠の歯型鑑定は、倍率をごまかしたインチキ鑑定であることが判明、唯一の物証が崩れた以上再審( 裁判のやりなおし) を開始せよ、と求めてきました。日弁連がこれを冤罪だ、と認定して支援を決め、私も含めた20数名が弁護団として活動しています。すでに7回再審請求をしていますが、7回目の再審請求では、弁護団の調査で、「ぶどう酒に混入された毒は、これまで信じられていた、奥西さんが事件当時持っていた農薬とは違うものだった」ということが科学的に証明されました。　というわけで、実に死刑判決から40年近くたった2005年の4月に、名古屋高等裁判所は有罪の根拠が崩れた、として再審(裁判のやりなおし)を求める決定を出しました。本当にうれしい瞬間でした・・これで死刑から解放されれば、戦後5人目の生還者です。　ところが検察官が不服申し立てをして、去年の12月に同じ名古屋高等裁判所が、有罪はゆらがないので、再審(裁判のやりなおし)はしない、という正反対の結論を出したのです! 当時はメディアもたくさん詰めかけていて、弁護団もメディアも死刑台からの生還を信じていたので、本当に信じられない、絶望にたたきつけられた瞬間でした。　この事件ではふたつの裁判体が奥西さんは無罪だ、と判断しています。　無罪か死刑か、裁判所の判断でこのように違いが出て、それで死刑にされたり、獄中死をさせてもいいのでしょうか。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則から、高等裁判所の裁判官三人が「有罪が疑わしい」と宣言した事件で死刑を執行していいのでしょうか。　現在、この事件は最高裁にかかっています。奥西さんはいま、81歳です。獄中で40年、無実の人をこんなに長い期間死刑棟に拘束し、人生を翻弄してよいのでしょうか。私たちは、奥西さんを生きて死刑台から救い出したい、と思います。　短い文書では、語りつくせないし、みなさんのなかには「本当に無実なの?」という方もいるかもしれません。名張事件について解説しているウェブサイトはたくさんあります。　これから、刑事裁判に市民が参加する裁判員制度が始まります。冤罪は市民の皆さんにもひとごとではなくなってきます。ぜひ、この裁判のゆくえに注目していただければ、と思います。　　12月15日午後には、江川しょう子さん、大谷明宏さんなどをおよびして霞が関の弁護士会館で名張事件の市民むけシンポを企画しています。詳細は以下のとおり。 http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/071215_2.html　　もしよろしかったらぜひ足を運んで確かめてみてください。

もうすぐ最終回

早いものです、もうすぐ最終回。ロースクール(法科大学院)の学生むけの雑誌「法学セミナー」に二年間「国際人権法ワールド・レポート」を隔月連載していましたが、もうすぐいよいよ最終回を迎えます。毎回締切間際になると原稿を書くのに悩まされ、もうすぐ最後の締切がくるわけですが、これで最後か、と思うとちょっとさみしい。この連載の案内は「法学セミナー」のHPをご覧ください。http://www.nippyo.co.jp/maga_housemi2/rensai/kokusai.html　私は2004年から1年半くらい、アメリカ、ニューヨークに留学して、刑事法と国際人権法を勉強していたのですが、両方とも日本に詳細されていないことがあまりにも多い! そこで、国際人権法についてはこの連載に掲載し、刑事法については「誤判をうまない裁判員制度への課題http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4877983104.htmlという本にして出版しました(この本の内容はNHKクローズアップ現代などでも取り上げてもらったんですね、今年)。　アメリカのロースクールでは国際人権法は本当に魅力的な科目で、学生から人気なんですけれど、日本は「国際」も「人権」もあまりポピュラーではなく、その原因を考えてしまったりします。アメリカのような多民族国家(ニューヨークがその典型)でない日本では、法律家や学生のような人たちがいまだに自分たちの行動を国際的視点に立って考える、という意識が薄いのでは、と思います(もっともアメリカもマジョリティが自国中心で閉鎖的な面も本当に強いので心底驚きましたたが、、それでも知識層や市民のなかには、アメリカの行動がよくも悪くも世界に大きな影響を及ぼす、ということをよく認識して、国際的な視点で考えたり、行動したりする人がでてくるわけです)。　人権がポピュラーでない原因、それはさらに考え込まされてしまう。私の活動するngoヒューマンライツ・ナウでは、マエキタミヤコさんをおよびして『なんか、人権とかゆうヤツ、嫌いなんだよね～』・・・そのココロは？ というシンポまで開催してその原因を探ったりしました(^^)-- またその内容は今度書きましょう--　今のロースクールの現状をみると、受験が大変で学生に余裕がなく、せっかく大騒ぎして全国につくったロースクールが受験予備校化している、という現象が進んでいます。(本当に残念なことです)そんななかで「国際」「人権」を掲げている私の連載なんて読むの? 需要あるの? とか思いながら毎号締切に苦しんでいたわけですが、ときどき講演したりすると、ロースクール生があとで話しかけてきて、「先生の連載を毎回楽しみに読んでいます」などと言ってくれたりするので、連載してよかった、といまは思っています。　連載を通じて、人権の分野でも国境を越えて活動する未来の法律家像(それは、アメリカ、ヨーロッパだけでなくアジア、アフリカ、ラテンアメリカでも日本のステレオタイプと違う人権分野の弁護士がクリエイティブに活躍している)を提示しようと思ってきましたが、ロースクール生が私の連載を通じて、世界の息吹を感じ取ってくれて、新しい世代の法律家の道を切り開いてくれるといいなー、と思っています。というわけで、もうすぐ締切なのでがんばらなくては。　

思いつめないで　解決を

寒くなってきましたね、ほんとに。 私は裁判所からの選任で時々「破産管財人」という仕事をやっていますが、先日一件が終了したらまた新しい案件が入りました。年の瀬は「年を越せない」と考えて商売をあきらめる方も多くて、破産事件が増えますので、申し立てのご相談も通常増える時期です。　　破産法の改正により、以前に比べて業者さんも個人も破産手続が本当に簡易・迅速になり、個人破産の場合、破産後に個人に残される「自由財産」の範囲も拡大し、破産した方が経済的に再度やりなおすことが容易な制度となってきました。破産しても戸籍に乗ることもありませんし、破産は恐ろしい制度ではありません。　確かに安易な破産はどうか、という意見もあることでしょうが、日本人の経営者の方はそういう思いでまじめでがんばられる結果、本当にやるせないことなのですが、思いつめて自殺を考える方が少なくないのです。破産をしてしまえばそれほど支障なく処理できる案件でも真面目な経営者の方ほど思いつめてしまう。　うつ病を患われる方、大病をされる方などもたくさんみてきました。女性の方が個人でサラ金の負債を抱えて家族にいえずに長年悩んでいる方もいますが、利息制限法にひきなおすと実は利息の払いすぎ(いわゆる「過払い」)でお金が戻ってくる場合も多いです。ぜひ思いつめたり、自分を追い込んだりしないで、弁護士などに、法的な解決を相談してほしい、そうすれば実は難しくなく解決ができる場合がほとんどなのですから--と、--年末が近づくにつれ特に--思っています。

幕張メッセでDV国際フォーラム

　ご無沙汰しました。金曜日の朝、突然PCが壊れてしまい、再起不能に。ニューヨーク留学につれていったPCだっただけにショック、、でしたが、気を取り直して、新しいLet's noteを購入、やっとPCが動き出しました。　　　そんなわけで昨日はOC問題で半日つぶれてしまったのですが、その後、幕張メッセで開催された全国女性シェルターネット主催の「ＤＶ根絶国際フォーラム・第10回全国シェルターシンポジウム2007」に参加してきました。　韓国、中国、モンゴル、香港からもゲストがきてDVに対する法制度の改革について議論していたました。　中国、モンゴルなどはDVに関する法制度はあっても現実にはあまり機能していないようで問題山積の模様。一方韓国、、最近つくづく思うのですが、日本と韓国の法制では韓国のほうが人権に関するどの制度をみても、進んでいる。刑事裁判でも韓国は陪審制度を導入するようです、、　とはいえ、日本のDV法も来年1月11日から改正法が施行されることになり、だんだん充実してきました。　このフォーラムの会場は満杯で、女性に対する暴力の問題にかかわる女性のみなさんの熱気にあふれていました。しかし、やっぱり弁護士は少なかった! 　シェルターネットは今後、包括的な「性暴力禁止法」の制定に向けて活動していく、ということですが、女性に対する根絶するために、こうした活発な市民の活動と弁護士がもっと結びついていかなくちゃ、と痛感します。

離婚に足をふみだすなら・・

最近の女性誌は世代ごとに細分化されているが、私はちょうど「Very」と「Story」の間の世代。両紙ともよく買って読むのだが、大好きな江國香織さんが数年前、Veryに小説「思いわずらうことなく愉しく生きよ」(単行本になりましたね)を書かれていたときは、まずこの小説ページから読んでいました。そこに出てくる主人公ののびやかに育てられた美しい三姉妹のうち、結婚している長女はDV被害- 夫からの暴力-にあっている、でも静かにそれに耐えていて、耐え続けて、最後に家を出る、その経過を丁寧に綴ってあった。三姉妹のなかでもこの長女のことがいつも気になってしまう。 こうした女性たちにとって離婚・そして私たち弁護士や法的手続、というのはまだまだ心理的に遠いようです。私と同じくらいの世代の女性のうち、どれだけの人たちが同じように静かに耐えているのか、とても気になるところです。自分を追い込んで心を閉ざしてしまう前に少しでも早く誰かにヘルプを出してほしい、と思います。 　離婚の手続についてみなさんに理解をしていただくため、私の所属する、東京弁護士会・両性の平等に関する委員会では、ウェブ上で離婚の手続に関する説明をしています。以下をご参照ください。http://www.toben.or.jp/abouttoben/comittees/rikon.html( ちなみに、同HPにある「よくある質問」よりも、この上のURLのもの-市民向けパンフ「応援します！離婚について考えているあなたへ」-の情報が格段に新しく充実しているので、お勧めです)。　　女性が夫から暴力をふるわれたり、暴言をはかれたりしなければならない理由など、どこにもありません。それは本当に不当なことです。 _________________________________________________________________10月のキーワード月間ランキング1位は「初音ミク」、2位は家族ぐるみの・・・http://keyword.jp.msn.com/default.aspx

素敵な出会い

　　先日、とても嬉しい出会いがありました。　　森田ゆりさんにおあいしたのです。　　　　森田ゆりさんは、私が弁護士になる前に読んで衝撃を受けた忘れられない本　　「沈黙を破って」を書かれた方。幼い頃に性虐待を受けた女性たちの体験と、　　森田さんが進めている子どもへの暴力防止プログラムの活動が紹介されていて　　魂がゆすぶられるような感動を覚えた。　　　http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4806767042.html　　　その後、この本の衝撃がきっかけで、日本で性虐待の被害を受けた女性たちの　　　事件を取り組んだり、海を越えてフィリピンやタイの性虐待(商業的性的搾取)の事件を　　　取り組んだりしてきた。　　　　その森田さんを弁護士会のイベントにパネリストとしてお呼びしたのだが、　　この長い間の憧れの人はやっぱり思ったとおりの凛とした方で元気をいただいた。　　　　　　アメリカにいらっしゃった森田さんがいまは日本を拠点にされ、日本で子どもや女性の　　権利のためのエンパワーメント・セミナーを開催されている。　　　その後彼女が主催するセミナーにきませんか? と誘っていただいたのだが、あいにく　　日程が合わない。　　　( ちなみに、ご案内いただいたのは、　　　多様性・人権啓発トレーナー/ファシリテーター養成講座（14時間） 　　　宝塚・西宮A　　２００７年11月24、25日（土、日）　　　　です。是非興味のある方は参加されませんか? )　　　 森田さんの今年のモットーは、　＜一期一会を大切につなげる＞　ということだ、　　　ということ。それで私にもご連絡をしていただけているのだけれど、　　　私も是非森田さんに学んで、ひとつひとつの出会いを大切にしていきたい、　　　とあらためて思う今日この頃なのです。　　　　　

ビルマに自由を!

私が活動している人権団体ヒューマンライツ・ナウでは、国境を越えて人権侵害に苦しむ人たちを助けようとしています。国境を越えて貧困や人道危機にさらされた人たちを助ける国連機関や人道援助機関、国境を越えて病気に苦しむ人たちを助ける医師たち--国境なき医師団などがあるけれど、国境を越えて人権侵害をなくそうとする法律家、弁護士というのはあまり日本にはいなくて、いてもそれぞればらばらだったので、昨年ひとつの団体をつくってみんなで活動することにしたわけです。とはいえ、人権侵害のほとんどは国家がやっているので、そう簡単に解決しない、息長く、世界のあちこちで声を挙げていくことが必要なんですね。さて、世界がその人権侵害に胸を痛め、世論が沸騰しているビルマ。私たちも9月にタイ・ビルマ国境を訪れて、人権団体と交流し、ひどい状況を聞いてきたばかりです。世界の声にも関わらず、なかなか事態が変わらない、、というフラストレーションのたまる状況ですが、来週アジア地域のリーダーが集まる首脳会議で、必ず進展をもたらしてほしい、ということで、私たちは以下のような声明を出しています。是非世界がビルマに何をすることができるのか、来週の動きをご注目くださいね。声　　　　明　　　　　　　　　　　　ヒューマンライツ・ナウ ---国連特別報告者のビルマ訪問、アセアン首脳会議・東アジアサミットに向けて--- 　日本政府に対し、ビルマの人権状況打開のための行動を求める。2007.11.12　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1 武力弾圧移行のビルマを取り巻く状況と人々の人権ビルマにおける民主化デモが武力弾圧され、軍事政権による市民・僧侶の殺害、不当逮捕・拘束などの深刻な人権侵害が発生してから、既に一ヶ月以上が経過した。人権団体ヒューマンライツ・ナウ(東京)は、この事態を受け、国連人権理事会が直ちに緊急会合を開催し、ビルマ軍事政権に対し、武力弾圧の停止、拘束された者の釈放、政治犯の釈放と民主化にむけた対話の再開を呼びかけたこと、国連安保理が議長声明を発表したこと、さらに国連事務総長特別代理ガンバリ氏などの事態収束へ向けた調整の努力を歓迎する。 しかしながら、ビルマにおける人権状況はまったく改善されていない。国連人権理事会におけるビルマ人権問題担当特別報告者ピニェイロ氏は、10月24日、国連総会第三委員会において、「情報筋によれば、30から40名の僧侶と50名から70名の市民が殺害され、約200人が暴行を受けたと言われる。あるウェブサイトは、800名近い人々が拘束され、強制失踪させられた」と述べているが、このような深刻な人権侵害の真相究明、責任追及がなされない事態は重大である。同氏は、「拘束された人々が死亡し、虐待され、食糧や水を得られていない、また軍事政権が拘束しようと追跡する人々の家族が見せしめのために人質にとられているなどの報告がある」とも述べており、ビルマ軍事政権による国民に対する人権侵害状況は依然深刻な状況にある。このような状況下では、ビルマ市民らが自らこの事態を打開し、民主化を勝ち取るための意見表明・行動を再開することは極めて困難にある。 2 国際社会の注目すべき動き　1) 国連　特別報告者のビルマ訪問　こうしたなか、国連人権理事会特別報告者ピニェイロ氏が11月中に同国を訪問し人権状況を調査することが予定されている。ヒューマンライツ・ナウは真相究明の第一歩としてこの訪問を歓迎するとともに、ピニェイロ氏が以下の調査を実施するよう期待する。(1) 軍政による武力弾圧により殺傷、拘束、強制失踪させられた人物及び人数の特定(2) 軍政により逮捕・拘束された人物の拘束場所の調査及びにこれらの人々と面会し健康状態、収容状況、拷問の事実の有無に関する調査を行うこと(3) 行方不明者の家族や民主化活動家に対する軍事政権の現在の対応 2) 目前にせまるアセアン首脳会議・東アジアサミットビルマの事態を打開するため、近隣諸国が役割を果たしうる、重要なフォーラムが迫ろうとしている。　11月19日、アセアン首脳会議がシンガポールで開催され、また、21日からは、アセアン諸国に加え、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドなどの首脳がシンガポールに集い、第三回東アジアサミットが開催され、ビルマ軍事政権およびビルマに対して影響力を有する国々が一同に会する。アセアン首脳会議においては、創設40周年にあたり、「人権機構の創設」を含むアセアン憲章の採択が予定されている点に鑑みると、アセアン加盟国首脳会議において、加盟国ビルマの人権状況に関する討議は避けられない。また、アセアン首脳に加え、ビルマに対する影響力の強い中国、インド、日本が参加する東アジアサミットは、ビルマの人権状況に対する事態を打開するためさらに重要なものとなりうる。ヒューマンライツ・ナウは、中国、インド、アセアン諸国を含む近隣諸国がこの好機をいかし、一致したメッセージを軍事政権に伝え、人権侵害の停止、民主化への確実な前進を実現することを期待する。 3 日本政府が果たすべき役割対ビルマ主要援助国として、かつアジア地域から選出された人権理事国として、日本には、事態打開に向け積極的なイニシアティブをとる国際的使命がある。また、日本人ジャーナリストが武力弾圧により殺害されたという点で、日本はビルマ軍事政権による人権侵害の当事国でもある。日本政府は、いまこそビルマの人権状況改善・民主化実現にむけた積極的役割を果たすべきである。このまま日本をはじめとする近隣諸国がビルマに変化をもたらすための真剣な努力を怠り、現状のまま事態が推移すれば、ビルマの民主化は再び遠のいてしまうことであろう。　そうなれば、人々はいつ終焉を迎えるとも知れない構造的で深刻な人権侵害に今後もさらされ続けることなる。今回の事態は、軍事政権の進める「民主化」プロセスが真の民主化とは到底いえないことをあらためて明らかにした。　明確な期限を決め、全ての勢力との無条件対話の実現をはじめとする、民主化への行程を早急に開始させることは極めて重要である。　ヒューマンライツ・ナウは、日本政府に対し、事態打開のイニシアティブの発揮を強く期待し、以下のことを要請する。 1 アセアン首脳会議・東アジアサミットにあたってとるべきイニシアティブ1) アセアン首脳会議・東アジアサミットに先立ち、参加各国、とりわけ、サミット議長国シンガポールをはじめとするアセアン諸国、中国、インドとの間でビルマの人権状況改善に向けた緊密な働きかけを行い、両会議参加諸国が一致して軍事政権に対して強いメッセージを送る環境を整備し、両会議の重要なアジェンダとしてビルマ問題を掲げるようにすること。2) 　 東アジアサミットにおいて、他の参加国と一致・連携して、ビルマの人権侵害停止と民主化へのすみやかな移行をビルマ軍事政権に約束させるため、最大限の外交努力をすること。特に、人権理事会決議の完全実施・民主化勢力との無条件での対話、民主化へのタイムテーブルの策定などの具体的な確約を強く求めること。2 国連特別報告者ピニェイロ氏のビルマ訪問・調査について特別報告者の訪問・調査にあたり、必要なすべての助力を行うこと、具体的には、ビルマ軍事政権に対し、ピニェイロ氏の調査にいかなる妨害・干渉も行わず、政治犯収容施設への立ち入りをはじめ、同氏が求める全ての情報と人に対するアクセスを完全に保障し、調査に協力するよう働きかけること3 二国間交渉ビルマ軍事政権に対し、あらゆる二国間の外交交渉を通じて、1) 国連人権理事会の決議を完全実施し、今回の事態で拘束された人々をただちに釈放し、集会・結社・表現の自由を侵害する全ての行為を停止するよう求めること2) 長井氏の殺害に対する徹底した真相究明、責任者の特定、訴追を求め、返還されていないカメラを含めた遺品の返還を強く要求すること　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以　上

DNA鑑定とえん罪

　　こんにちは。　　今日、民放のテレビ局の取材を受けていました。　　テーマは「DNA鑑定とえん罪」。　　昨年末に拙著「誤判を生まない裁判員制度への課題- 　　　アメリカ刑事司法改革からの提言」(われながら長いタイトル、、、)　　　http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31826103/minna 　を出版したのがきっかけで、本に書いたことをNHKクローズアップ現代、　　　　　テレビ朝日　サンデー・プロジェクトなどに取り上げてもらいました。　　アメリカでは、陪審制度で有罪・無罪を決めるのですが、　　既に125人以上の死刑囚が実は無実だつた、ということで釈放されて　　います。その突破口になったのはDNA鑑定で次々に死刑囚たちが犯人でないこと　　が明らかになったこと。アメリカではこうした事態を受けて、連邦法によって　　被告側がDNA鑑定を受ける権利が制度的に保障しようとしています。　　しかし、日本では、DNA鑑定で無実を証明しようとする　　のはとても難しい状況にあります。捜査側はDNA鑑定資料をすべて使い切ってしまう　　とか、弁護側の再鑑定を求める権利が制度的に保障されていないことなど、　　クリアすべき問題が多いのです。明らかに疑わしいDNA鑑定のせいで有罪になり、　　裁判のやり直しを求めている人が日本にもいます。　　　アメリカでは冤罪が発生すると、再発防止のために、すぐに州をあげて制度改革に　　積極的に乗り出しますが、日本では遅々として改革が進まない。　　　日本でも、市民が参加して有罪・無罪を決める裁判員制度が2009年からはじまるのです　　から、いつまでも刑事司法の改革をしないまま放置しておいてよいのか、そのあたりを今　　回、問題提起させていただきました。　　　　明日は同様のテーマで、「陪審裁判を考える会」で講演をさせていただく予定です。　　　http://baishin.jugem.jp/?cid=5　をご覧ください。　　　ご紹介した本の話題など、折りに触れて紹介させていただきます。　　　では。　　

G8サミットとジェンダー

こんにちは。　今夜は私が活動しているヒューマンライツ・ナウのスタッフ・ミーティングでした。　スタッフの中心は比較的若手の弁護士と研究者たちで、１人は現在カンボジアに、１人は現在バンコクに、、と飛んでいますので、あちこちつないで会議をするのが大変です。　この団体の活動は、HP http://www.ngo-hrn.org/をみていただければ、と思いますが、今日は直近のイベントをご紹介したいと思います。　来年のG8サミットは日本で開催されますが、焦点のひとつは、ミレニアム開発目標4,5,6。　女性の妊産婦死亡率の向上やHIV・感染症対策などです。でも、政策担当者たちの議論を聞いている限りでは、これらの対策において、「女性の人権の視点が希薄なのでは」と思うことがしばしばです。そこで、ヒューマンライツ・ナウでは学生チームが中心になって、以下のシンポを開催することになりました。　夜7時過ぎまでやっていますので、是非お仕事帰りにでものぞいていってくださいませ。　　ヒューマンライツ・ナウ学生グループ主催『国際協力とジェンダー』ジェンダーの視点から国際協力の今とこれからを考えるシンポジウム11月29日（木）16:30～ 早稲田大学早稲田大学西早稲田キャンパス 7号館112教室 世界に散在する社会問題の解決に向けての達成目標として国連で採択された 『MDGs（ミレニアム開発目標）』。今年6月の報告書は、未だ男女平等の実現には程遠い現実を伝えています。特に、妊産婦死亡率を2015年までに1990年の水準の1/4にまで減らすという目標に関しては、 年間50万人を超える女性が妊娠出産の際、適切な医療をうけられれば死なずに済んだ 傷病で亡くなっているという厳しい状況にあるのです。また、昨年のAIDSによる死亡者数は290万人に上っています。2001年は220万人だったので、70万人も増加していることになるのです。このAIDSによる死亡で、1,500万人の子どもたちが片親あるいは両親を亡くしているのです。このAIDSの多さも女性の権利保障の不十分さが 原因の1つと言われています。世界には他にも女性の人権を大きく侵害している問題が散見されます。その1つに、アフリカを中心として伝統的に行われている女性性器切除（FGM）があります。 これは医療環境の整わない中で為されるため生命の危険が大きいのです。 また、子どものうちに本人の意思とは関係なく行われることも多いのです。女性問題に関してはこれまでにも国際会議が開かれ、宣言が重ねられてきました。 女性差別撤廃条約も採択から30年経とうとしており、締約国も185に上ります。しかし、そうした努力と発展の中でも、上記問題は未だ解決を見ていないのです。 これらの原因が伝統・文化であれ経済であれ、世界的に女性の権利が軽視されているという状況、つまり女性も当然に有すべき生命・健康・自己決定の権利が満たされていないということの表れなのではないでしょうか。これらに対し手をこまねいていてはMDGsの達成など夢のまた夢。これからどうすればよいのかが重要な問題です。そこでこのシンポジウムでは、このジェンダーの問題を中心に国際協力のこれからを考えたいと思っています。パネリスト（敬称略、五十音順）池上清子（国連人口基金 東京事務所長）上柳敏郎（早大ロースクール教授、弁護士）林陽子（早大ロースクール教授、弁護士）若杉なおみ（早大政治学研究科教授、医学博士）16:30　開会16:35　学生によるプレゼンテーション　　　『これまでの国際会議』　　　『MDGsの今』　　　『国際法と法整備支援』　　　『世界の問題事例』17:00　パネリストご講演（各20分）18:00　休憩18:10　パネルディスカッション19:15　質疑応答19:30　終了本シンポジウムについてのお問い合わせ先　　谷村勇平　教育学部２年　mistletoe-yggdrasil@hotmail.co.jp　　福田匡剛　ロースクール１年　wdymy262@yahoo.co.jp国際人権NGO ヒューマンライツ・ナウ 学生グループ〒110-0015東京都台東区東上野1-20-6　丸幸ビル3FTel 03-3835-2110　Fax 03-3834-2406E-mail: info@ngo-hrn.org

ブログをはじめました。

はじめまして。都内で弁護士をやっている伊藤和子です。事務所は、御徒町、オックスファムなどのいろんな国際協力NGOが集まるNGOビルの一角に「オリーブの樹法律事務所」を女性弁護士三人で開設しています。弁護士業と併行して、昨年7月に設立した、「国境を越えて人権問題に取り組む」国際人権NGOヒューマンライツ・ナウの活動をしています。仕事のお話、NGOの活動についてはおいおいご紹介させていただきますね。今後ともよろしくお願いします。