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経堂界隈

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September 15, 2011
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カテゴリ:City - People - Living
承前

松代の市街地は駅の南側に広がる。駅の北側は、旧松代城址だが、歴史を知る人にとっては、海津城といったほうが分かりが良いかも。
山本勘助縄張と伝わる。
北西を流れる千曲川を自然の要害として造られた平城で、武田氏から上杉氏、1600年から1603年まで、後に津山に転封される森忠政の支配下にあった。忠政の時期に、二の丸、三の丸を整備し、土塁を石垣に築きなおした。
森家は、築城の家系でもある。海津城以前にも伏見城の普請に加わり、のちには江戸城、徳川氏による大阪城の普請にも参加した。

森氏のあと、この城に入ったのは、松平忠輝。その後松平忠昌酒井忠勝を経て、松代藩真田十万石。天守閣は明治初期に取り壊され、今は一部門構えだけが再建されている。

きれいに整備された城址。観光バスが何台か入れる駐車場もある。しかし、入場料もなければ係員も見えず、観光客もほとんどない。城跡から線路を渡ると真田公園。真田城主の隠居宅である真田邸を拝見。そこから国道をわたって南、象山神社へ
松代ぐるりん号という観光用のバスがあるのにそこで気がつく。
佐久間象山。しょうざんと思っていたら、松代ではぞうざんのほうが主流のようだ。なにせ、象山神社西側の山が象山(ぞうざん)。
象山とは、遠くから見ると、象のように見えるのかもしれない。

象山神社からさらに南へ疎水沿いの道を行けば、竹山随護稲荷神社(「きつねの穴」がある)、象山も学んだ恵明寺

恵明寺は黄檗宗の寺院である。黄檗宗(禅宗の一派)は、日本では1654年(承応3年)に明末清初の中国から招聘された中国臨済宗の隠元により始まる。恵明寺の創建は、それより23年後の1677年。信濃松代藩の第3代藩主真田幸道を開基とする。鎖国で日本は中国との国交はなかったと思い勝ちだが、少なくとも明末から清初にかけては、かなりのやりとりが日中間にはあった。
黄檗宗はこの時期、大名を中心に急速に広まった。日本での開祖隠元が隠元豆に名を残すように、漢方薬などいろいろな技術を日本に伝えた。

我が家のご先祖さまは津山藩である。
いつの頃津山藩士となったか定かではない。
津山藩は、松代を領した森家が小早川家のあとに入ったところ。(森家のあとの津山には、越前松平家嫡男「忠直」(失脚)の系統が入ったが、越前松平家は、森家、松平忠輝のあとに旧川中島藩に入った忠昌(忠直弟)が継いでおり、改易その他スキャンダルとは別に、徳川幕藩体制が整備されていく過程でのキャリアパスとして捉えることもできよう)
その森家の菩提寺は、黄檗宗の総本山京都府宇治市の黄檗山萬福寺にある。
津山は江戸以前より、鉄砲、大砲の技術を伝える土地であり、松代の佐久間象山は、若く地元の黄檗宗恵明寺に学び、のち江戸で、江川太郎左衛門とともに大砲製造に従事した。
僕は、黄檗宗が日本に渡来した最大の理由は、明朝由来の火薬製造技術にあったと思っている。松代、津山など、いくつかの土地に、そのノウハウを継承する流れが江戸時代末まであったものか?

恵明寺からワンブロック南へ行った山の端が象山地下壕
第二次大戦末期、陸軍が大本営などを移すため突貫工事で建設していた地下壕だ。
多くの人が知らないのだが、こちらの施設、中へ入れる。
面白いかといえば、しょせんは地下トンネルに過ぎないし、何があるというわけでもないから、特段のこともない。
だが、これだけのトンネル(入れるところの最深部まで往復すると1km以上)を歩けるところは、ざらにはない。

入り口脇に朝鮮人犠牲者の慰霊塔があるのだが...

入場料はかからない。
穴の外においてあるヘルメットを勝手に着用し、穴の中に入るとひんやりする。さらに奥に進むとしんしんと冷えてくる。
冬は逆に暖かいのかもしれない。
外には誰も居ないように思ったが、奥へ進むうち、多くの人と行きかうのに驚いた。
(トンネルは一本なので、同じ道を往復するコース)
どうも地元のボランティア団体に予約して、ガイドをお願いする人が大半のようだ。
僕みたいに勝手に行って、勝手に入る人は想定されていないかもしれぬ。

とはいえ、
トンネルの中で小耳にはさんだガイドの解説には違和感を覚えた。
数千人の朝鮮人労働者が徴用され、劣悪で危険な労働環境の中、多くの犠牲者が出た。
しかし、軍の機密工事のため、名前もわからず、犠牲者の名前は4人しか判明していない...

馬鹿言っちゃいけない。
素人の観光客相手に嘘言っちゃいかん。軍の工事というのは、ちゃんと予算があって、請負会社は儲けが出るようにできている。鉱山と違って(請負は建設会社、鉱山会社だが)、利益のために無理な生産を行う必要もない。
数千人が徴用されたというが、しょせんトンネル。
一時期に堀り進む先端は、せいぜい数十箇所。1チーム10人として三交代でも2000人程度。人数が多ければ、効率が上がるってもんではない。
だいいちどうやって、それだけの人数をトンネル内に入れるんだ?
延長6000m弱とすると、三交代で3mに一人だ。
だから劣悪な環境?

それほど多くの犠牲者を出したとすれば、犠牲者の遺体など、どのように処分したものか?

イメージでモノを言ってはいけない。
鉱山とかトンネル工事の犠牲者のほとんどは、落盤か炭塵爆発だ。
構造が難しいところにトンネルを掘らねばならないから犠牲が出る。
ダム建設でも同じ。
ところが、松代大本営の工事は、日本の中でも地盤のしっかりしたところを選んでの工事。大昔に溶岩が冷えて固まった、一山全体が一つの安山岩か玄武岩の塊で、落盤も炭塵爆発もない。
名前の判明している犠牲者が4名ということは、あるいは、「松代での犠牲者」が全部で4名ということでは?

長い間、研究する人もなかったのだろう。
そのほかにもいくつか、面白い話が伝わっている。

いわく、
戦艦大和の建設費と同程度の額がかかった
今日的に言えば、東海道新幹線と同じレベル?

馬鹿言っちゃいけない

せいぜいが、延長数線千mのトンネル
落盤も炭塵爆発もない
丹那トンネルより短い(幅も鉄道トンネルに比べればぜんぜん細い)工事が、なんで新幹線全部と同じほどかかるんだ?
もし、そうだったら、とんでもない予算詐欺。
どこに金が流れたか?大変なスキャンダルだ。

劣悪な労働環境で、多くの犠牲者が出たとは、松代でのことなのか?
他の場所での労働に駆り出され、還らず行方不明になった多くの朝鮮半島の人々が、松代で働いたことにされていた?

***

松代市内で栗林というお名前の表札をいくつか拝見した。
もしやと思って、スマホで調べる。
やはり、硫黄島で戦死した陸軍栗林忠道大将は松代の人だった。
しかも、生家の西条欠というところは、象山と同じく陸軍が地下壕を掘った皆神山南麓。

象山などへの地下壕建設は、1944年7月に東條内閣最後の閣議で決定された。
一方栗林忠道は、留守近衛第2師団長から、1944年4月東部軍司令部附となり、さらに1944年6月小笠原方面を守備する第109師団長として硫黄島に着任している。

地下壕建設決定は、直接にはサイパン島陥落を受けてであるが、計画は1944年1月以来のものであり、担当は東部軍。東部軍は大きな組織であるが、壕が建設された地域は、栗林の出身地そのものであり、計画の立案、立地選定に栗林が関与した可能性は十分ある。少なくとも、栗林は、地下壕の建設、地下壕を使った戦い方について、1944年前半相当の研究を行ったであろう。硫黄島で栗林が戦った地下壕戦法は、従前日本軍にはない戦い方であった。硫黄島のあとの沖縄戦では、地下壕戦法は硫黄島戦ほど徹底していない。

硫黄島の地下壕は全長18kmにのぼる
地下壕建設は松代より硫黄島において、より過酷であったことと想像できる。

象山地下壕から、中堅士族「横田家住宅」を拝見し、松代をあとにした。

松代には、観光客相手の施設、土産物屋はほとんどない。但し、駐車場と案内看板は、過剰でない範囲できちんと整備されていた。観光地として過剰な演出は避け、来る人に任せる姿勢は、「自分で作る旅」
観光を商売にしない観光地。
新しい行き方の例。





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Last updated  September 15, 2011 03:17:11 PM
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