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テーマ:猫のいる生活(136026)
カテゴリ:自然科学・宇宙
アメリカのGenetic Savings and Clone, Incは、2001年12月、世界ではじめてドナー猫の体細胞からクローン猫を作ることに成功しました。
GSC社のページから画像引用 写真左:ドナーとなった猫"Rainbow", 写真中:クローン猫"CC", 写真右:代理母猫とCC 今ならクローン猫作成料が$32,000だそうです。日本円で約350万円です。高いと思うか、安いと思うか、いかがですか? ところでこの写真を見て何か気づかないでしょうか。 ドナー猫は三毛猫(たぶんメスでしょう)なのにもかかわらず、クローン猫は三毛ではなくいわゆる「キジ二毛(白地に黒の縞)」ですね。 クローニングによってドナーと完全に同一の染色体構成をもっているので当然性別も同一です。したがってCCもメスでしょう。 それなのになぜCCは三毛にならなかったのか。 これは猫の毛色 (その7)で説明した、X染色体の不活性化が鍵を握っています。 CCは受精後まもない胚からではなく、すでに成猫になったRainbowの体の一部の細胞から作られました。すでに個体として完成している成猫の体の細胞では、2本もつX染色体のうちいずれか一方のXが不活性化されていますから、働いている方のX染色体にはO(オレンジ)かo(非オレンジ=黒)のいずれかが有効に働いています。 CCの場合は非オレンジとなるo遺伝子が作動している細胞からクローンが作られたため、黒のみが毛色として発現したのでしょう。 GSC社ではCCとは別に、三毛猫ではないドナー猫から3体のクローンを作り出していますが、そのいずれもがドナー猫とまったく同じ毛色でした(こちらのページを参照)。 猫の性格や肉体的特徴の多くは後天的に身につけるものだから、クローンといってもドナーと完全に同一になるわけではないという事実を、はからずも遺伝によって先天的に決まってしまう「毛色」という特徴が異なっていることで示してしまったのは、何か皮肉なものを感じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年08月17日 18時15分56秒
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