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ken tsurezure

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trainspotting freak

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2010.01.24
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カテゴリ:音楽あれこれ
 開演前にウサギの着ぐるみを着たスタッフが登場し、ウィスキーの一気飲みをして会場を盛り上げる。そしてバックミュージックが西城秀樹のカバーで有名な『ヤングマン』になり陽気な気分が盛り上がる。そしてラモーンズの『ロックンロール・レイディオ』になるとスタンドを含めて総立ちになる。
 そして「song of century」のSEが流れた後にメンバーが登場し、「21st century breakdown」でライブは幕が上がった。
 今回のライブは「21st century breakdown」からの曲が中心で、名作として名高い「american idiot」からの曲はほとんど本編では演奏しなかった。
 しかし「21st century breakdown」というアルバム自体も前作と同じくらいにクオリティーの高い素晴らしいアルバムであり、だからそれを中心に演奏されるということはまさに歴史的なライブをみているのではないかという感覚に陥ってしまう。
 
 彼らは非常にサービス精神が旺盛で観客を退屈させないような演出を怠らない。観客をステージに上げたり、また観客席にいる客にリードボーカルをさせたり、アーティストと観客という枠を取っ払って一体感を作り上げようとする。だからコールアンドレスポンスをそれこそ何分に一回という感じに何度でも行なう。
 アリーナスタンディングというライブ形式だったのでそれは成功し、楽しめるライブをほぼ2時間にわたって展開した。

 前半の「21st century breakdown」からの曲中心のステージから後半に移ると彼らが「american idiot」を発表する前のいわゆる『メロコア』時代の曲を演奏する「welcome to paradise」や「basket case」といった初期の曲から「warning」に納められた曲まで。
 そうした曲に交えて「you really got me」や「shout」といったロックのクラシックナンバーも演奏した。
 「shout」を演奏している最中にヴォーカルのビリーがステージで寝転がって色々な曲を鼻歌のように唄う。その姿は何となくGreen Dayというバンドのルーツを見たような感じがして印象深かった。
 彼らはそうした古いロックミュージックが好きでそれこそ街の片隅で鼻歌のようにクラシックロックを歌ってそれに誰かがレスポンスしてくれたら最高だ。そんな感じではじめたのかもしれない。
 それを演出するかのようにビリーはsatisfactionの一節やhey judeの一節を唄い、そして観客はそれにレスポンスする。
 そうやってパーティーロックを永遠に演奏し続けられれば彼らは幸せだった。それで食べていければそれだけで幸せだった。

 ニクソンの時代に生まれ
 福祉の子どもとして地獄から引きずり出された
 トラック運転手の居住地の末っ子として
 兄貴は家を出た
 俺の街は精錬所の太陽から隠されていた

 俺の世代はゼロ
 労働者階級の英雄として
 俺は何も成し遂げていない

 しかし彼らは幸運なのか不幸なのかブッシュ時代のアメリカを生きることになった。「american idiot」というアルバムは直接的には戦争のことを歌ったアルバムではないけれどもその影がそこに反映されている。彼らは「時代」の流れの中に自分がいることを悟り、そしてそれを自分たちなりの言葉で歌わざるを得なかった。
 それが「american idiot」というアルバムであり、「21st century breakdown」というシリアスなアルバムである。
 そうしたシリアスな内容を扱いながら彼らは彼らなりの言葉と話法を崩さなかった。あくまで自分たちが理解でき、そして考えられる範囲内でその時代を歌うという手法を守り抜いた。だから彼らの言葉は過度に内省的にならず、あくまで一ロックンローラーとしての自分の考えを表明することだけに集中した。

 初期の「basket case」といった曲は普通の少年のこんがらがったブルーを切なく、陽気なメロディーで歌った曲だった。実は彼らは本当のところ、「american idiot」とか「21st century breakdown」を作りたくなかった。アメリカが幸せな状況でいたならば彼らはロックンロール・パーティーをずっと続けていたかった。自分の成功に伴うプレッシャーとか内面について歌うことはあっても社会的な不幸や時代の不幸と向き合ってアルバムを作ることなど考えたくもなかった。でもそれを時代が許さなかった。

 今日の幸せな感覚の溢れるはじけたライブを見ているとそんな想像すらしてしまった。

 どちらにしろ彼らは時代の不幸に向き合わざるを得なかった。その中で少し考えるけれども考え込みすぎずに彼らなりのスピード感で進み続ける。そしてライブは絶対にシリアスになり過ぎない。むしろ観客が楽しめるライブをし続ける。
 そんな彼らの姿勢がまっすぐに伝わってくる素晴らしいライブだった。


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Last updated  2010.01.24 22:16:24
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