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ken tsurezure

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trainspotting freak

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2013.12.07
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カテゴリ:音楽あれこれ
フラッテリーズというバンドがイギリスにいる。デビューアルバムは「costello music」というタイトルのアルバムだった。確か2006年くらいにデビューした。
そのデビュー時の彼らのインフォメーションとして、彼らは英国中のライブハウス全てのトイレを知っているという噂があった。CDデビュー以前から全国のライブハウスを地道に回って活動し続け、そうした活動の中で名を知られた叩き上げのバンドだった。
そのデビュー時の代表曲は「chelsea dagger」。この曲は名曲で、これが収録されている彼らのデビューアルバムはこの一曲のために買っても損はない。そう言いたくなってしまう。「costello music」はもちろん「chelsea dagger」以外の曲も魅力的で名盤だ。でもあまりにも「chelsea dagger」のイメージが強烈過ぎて、それが彼らのイメージを決定してしまったところもある。



「chelsea dagger」は強烈なパーティーアンセム。イントロを聞いただけで体が反応してしまうようなパーティーロック。色々考え込んでうつむきながらギターを弾いていても何にもならないじゃない。それよりも今日の夜は何も考えずに歌って踊って騒ごうぜ。ライブハウス叩き上げのバンドであることや、その楽しいデビューアルバムを聞いて、彼らはそんなバンドだと思った。
2007年にフラッテリーズはサマーソニックで来日した。そのときフラッテリーズを生で見たのだけれど、印象が違った。意外とメンバーはシャイな感じで、あまりMCも派手なこともせず、曲勝負という感じのストイックなステージだった。盛り上がるためなら何でもする。たとえロックでなくてもあっても何でもいいや。そんな無責任さがなかった。

そんなストイックさが出たのか、セカンドアルバムは何か中途半端な印象が残ったアルバムだった。ファーストの頃の勢いがなく、曲もフラッテリーズらしい魅力に欠けている。そしてセカンドアルバムをリリースしてからしばらくして、彼らは活動を休止してしまう。

そんなバンド活動休止を経て、フラッテリーズはまた戻ってきた。「we need medeicine」というニューアルバムを2013年になって発表したのだ。
アルバムは「haloween blues」で始まる。この一曲を聞くとフラッテリーズは戻ってきたのだとわかる。どちらかというとマニア受けになりそうなストイックな音楽的要素をポップで勢いがあってわかりやすく、彼ららしい演奏をしている。
今まで色々なことがあって、長いようで短いときを経て、色々なものを捨てたり吸収したりしながら辿り着いた2013年の彼らの音。聞いていて、よいアルバムだと思った。
そしてラスト近くになって突然シリアスで切ないメロディーが始まった。彼らからこんな心情告白が出てくるとは思ってもみなかった。「rock'n'roll will break your heart」

あなたが誰だかわからないし どうだったのかなんてどうでもいい
この死んだビートの魂を 彼らから盗んだ心はそのままに
彼らが仮面で語った全ての嘘
彼らは君から独りぼっちの時間を得て 世界は僕らのものだと思わせた

聖なるローラーのサインがあって
彼女が僕のものになるチャンスはない 充たすべき十代の夢はない
僕の心を傷つけておくれ 僕がわかっているように
僕らはこの街角で打ち崩れて 後部座席でひとり眠る
連なるソウルパレードの合間に 僕らがした全ての妬ましい会話

僕は月に撃たれて 「全ての盗人やまがいものたちとぶつかって」と泣いたひとりだ
あなたが気にしないならそれらの言葉を受け止めて そして 焼き捨てて
愛しい人 こんな夜は僕のため 僕が待ち望んでいたものよりも遥かに遠いけれど
始めからあなたは言っていた ロックンロールは君の心を傷つけるだろう

僕が初めてビートルズを知ったとき、それは本当のことだと思った。これから先にこんなにも素晴らしい愛だとか世界だとかが待っていて、それが絶対に叶うものなのだと思った。
でも17歳くらいになって気づいた。それは嘘だということに。
愛こそは全て。teenage wasteland。さよならルービーチューズデイ。ダーリン 僕のそばにいて。転がる石のように。愛だけが僕の心を傷つける。ロックンロールスイサイド。
色々な美しい言葉。歌。愛とか希望とか怒りとか夢だとか理想だとか。そういうものはほとんどが嘘でできていて、現実の愛は不毛であることが多かったりするし、現実の世界はそんなに美しいものばかりではない。
それがわかってからも僕はその嘘を求め続けた。どんなに実らない恋に絶望して打ち砕かれても、夢の中でまどろんでいれば何とか救われた。どれほどくだらない現実でくだらない処世術を披露しなければならなくても、夢の中では「君は美しい」と言ってもらえた。
でも所詮嘘だ。それはそのうち効かなくなるし、夢の中に逃避することは先延ばしでしかない。
だったらロックンロールなんかに出会わなかったほうがよかったのだろうか。
ロックンロールがなければもっと楽だったかもしれない。その美しい世界に惑わされなければ現実の中に埋もれて楽に過ごせたかもしれない。
だとしても。
僕はロックンロールに出会えてよかったと思う。もしロックンロールに出会えなかったら、自分が今いる瞬間の切なさに気づけなかっただろうと思う。突然出会った音楽に撃たれる瞬間の重さ。必ず終わりがあるパーティー会場での刹那な時間の重さ。それは多分ロックンロールに出会わなかったら絶対に気づくことができなかったものだ。その時間の重さを僕は知っている。それが何であれ。それがどのようなものであれ。

ロックンロールは僕の心を傷つけるかもしれない。だけどもそれでも構わない。今感じていること。それが全てで、それが今の真実。

ロックンロールは君の心を傷つけるだろう。
その切ない音楽の響きで、また僕は生き延ばさせられてしまった。


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Last updated  2013.12.07 15:55:36
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