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2009年04月29日
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カテゴリ:旅行
一夜明け、思ったより早く目覚め、朝食に。
バイキングスタイルの朝食。
お粥とフォーはその場で作ってくれる。
朝は胃にやさしいフォーが嬉しい。
フランス領だった国に共通することだけれど、バゲットがすごくおいしそう。
フォーだけで満腹になったので、バゲットはトライできず。

観光のお迎えの時間まで時間があったので、
ホテルの近所をお散歩しようと外に出る。
このホテルの位置は王宮の斜め裏のあたり。
日本で言えば、丸の内、内幸町ってところなんだけど、
いきなりHONDAのさびれた代理店があったり、むき出した地面があったりでさびしい。
外に出るとタクシーではなくトォクトク(タイ行った人にはわかると思う)の客引きがやかましい。何台もついてくるし、道沿いだと腕をつかまれそうな勢い。
うんざりしてホテルに戻る。
アジアらしい猥雑さはあるのだけれど、活気が薄い。
活気が薄いという語用はないのだけど、活気がないわけではないんだけど、
なんか足りない。
何だろうと思ったけど、それはこの日の午後わかることになる。

ガイドのスアットさんが迎えに来てくれて、観光スタート。
地図がなかったので土地の位置がわからなかったけど、
ぐるっとホテルを回ったら、王宮&シルバーパゴダでした。

途中の道や王宮のいい場所に植えてある形は藤の花のようで色が黄色い、
日本名「きんぐさり」が満開でとてもきれい。
スアットさんに聞くと「皇帝の花」とカンボジアでは言うそうです。
きんぐさり以外にも、王宮の中は仏教の象徴の色、
黄色い花でいっぱい。
黄色いぽんぽんだリアやきんせんか、とても美しい王宮でした。

そして衝撃だったのは、「沙羅双樹」の花。
王宮の庭に入ってすぐにあり、仏像の上から垂れるように咲いてました。
ブッダ入滅を再現しているようです。
この花がぐろかった。。。
大昔見た映画「リトルショップ・オブ・ホラーズ」に出ていた人食い花に似ていてびっくりでした。

王宮の中には象が乗りものだった頃のなごりで、象に乗るための建物があったり、
昔の衣装があったりと面白かったです。

そして、王宮から続く、シルバー・パゴダへ。
正式名ワット・プラケオーと聞いて、あれ? タイにもあったよな、エメラルド寺院が。
その通り、エメラルドの仏像が御本尊で、タイの同名のお寺と由来も似ている。
で、シルバーパゴダと言われるのは、床が銀で敷き詰められているから。
なんと贅沢な。
ここでレイソルの必勝を祈願する。

さらに出口手前の王様関係の建物に入ると、シアヌーク殿下の年代別の写真や、
古いカンボジアの行事を現した絵画(書いたのは現代の人)が。
「船レース」の絵があり、その中の漕ぎ手の一人が浩太にそっくりびっくり
浩太ってカンボジア系の顔なのかしら?
単に小鼻が発達していて唇が分厚く、ぱっちりした二重(あ、浩太の特徴だ)の人が多いからかも。

次に向かった先は、国立博物館。
フランス人建築家がカンボジアの様式を取り入れて建てた赤レンガの瀟洒な建物。
吹き抜けが多く、風が通り気持ちいい。写真はもちろん禁止。
この博物館付きのガイドさんに替わる。
所蔵物の多くはアンコールワット遺跡群から持ってきたもの。
アンコールワットに置いてあるのはレプリカ。
さらにもっと状態のいいクメールの微笑み像の多くは…
はい、私、6年前にパリに行った時に見たミュゼ・アジー(アジア美術館)にありましたしょんぼり
フランスもイギリスもドイツも、植民地にされた国にとっては、泥棒なんだよな。
ただ、内戦や政情不安が多いアジアの国に置いておくとどうなったかも考えると、
単に美術ファンとしてはどっちがいいとも言えない。

お昼になったので、指定のカフェでクメール料理。
野菜炒め、揚げ春巻、白身魚の蒸し物にカンボジアカレーをかけたもの、
チキンカレー。美味なり。
タイ料理の辛さはなく、淡白で上品な味。

午後はプノンペンの名前の由来となったペン夫人の丘に行く。
お寺に向かう道には乞食も多く、貧しい現実を思い知らされる。
また小乗仏教の特徴であるタンブン(功徳)のために放鳥をする人用に、
鳥かごをもった人が売りつけに来る。
羽根を切られた鳥はすぐに放鳥屋に戻ってくる仕組み。
ここの国の雀はひどく痩せている。犬も猫も人間もものすごく痩せている。
肥満児は滞在中見掛けなかった
(ただし観光にきた中国人家族の子供は揃いも揃って肥満児ばかり、なんだかなあ)。

そして、シェムリアップに向かう飛行機の時間までかなり余ることになった。
ガイドさんは「メコン川クルーズ」を勧めるが、
う~ん私の行きたいのはそこではないの。
言いにくそうにガイドさんから、
「本当はお客様に見てほしいところがあります。ポルポトの刑務所なんですが…」
実は自分が行きたかったのは、そこなのだ。
オプション料金を聞き、同行者もOKだったので行くことに。

トゥールスレーン収容所。
住宅街の狭い路地を走り、着いた先はコンクリートの建物が3つ並んだところ。
もともと中学と高校だったこの場所が、のちに悲劇の場所になったのは1975年。
軍人出身のポルポトが政権を握ってから。
近くまで住宅が迫り、よくこんな場所であんなことができたなと思ったら、
終りの方では囚人の拷問の悲鳴がひどく、住民も移動してその場を拷問場に拡大したそうだ。

最初に入ったのは1階の尋問室。
鉄錆だらけの枠だけ残ったベッドに、鉄グサリ。
床に残る黒いしみは血のあと。

2階には独房。
1畳にも満たないスペースはレンガや木で仕切られ、
トイレは鉄の薬莢入れに。収容者はすべて足かせがつき、
1週間風呂なし。収容者が臭くなると、看守は外からホースで水をかけるだけ。
食事は薄いお粥が日に2回。
連日の拷問に耐えきれず、3階から身を投げる収容者が出たため、
2階3階の窓にはびっしり鉄条網が。
さらに夜は電気も流していた。

3階は雑居房。もう収容者が増えて構ってられなくなったのか、
広い部屋にマグロのように寝かされる。
どの階にも床にも壁にも血のシミが。

その頃、スコールが降りだしてきた。
暗い気持ちのまま、隣の建物に。
ここには被害者が収容されたときに撮影された写真が収容された年月と、
国籍や年齢別に展示されていた。
親が捕まると、子供も一緒に連れてこられ、写真も撮られた。
子どもは親を慕って泣くのがうるさいため、先に殺されたそうです。

写真の顔は誰もみな虚ろで恐怖に目を見開いていました。
彼らが写真を撮られている間も悲鳴は聞こえてきたのだろうと。
クメールルージュの時代は女性がみなおかっぱで、髪の長い人はベトナム人だと、
ガイドさんが言ってた。
中に一人だけアイドルのように笑っている女性がいて、
この時の彼女の気持ちはどんなものだったのかと。
明るい笑顔がかえって痛々しく切なくなりました。

また看守の写真も残っていて、看守家族の6~8歳前後の子供は
大人に収容者の行動を告げ口し、拷問をひどくさせていたとか。
無邪気な笑顔の下に歪みがあった。
生きていれば38歳くらいで、たぶんタイ国境のクメールルージュ軍にいるそうです。

外は暗く雨がやまず、展示物を見るのはひたすらつらく、
早くこの場から出たいとずっと思ってました。
弱いな、自分。

絶望だらけの写真の部屋が終わり、
2万人の収容者中生き残った8人の一人が書いた絵の部屋に。
下手だからこその迫力。生爪をはがされる拷問、水責め、
真っ赤に腫れた身体と噴き出す血、生々しかった。

最後は犠牲者の髑髏の展示。
今までの写真より乾いた空気で、
2004年までは展示されていた髑髏で作ったカンボジアの写真もありました。
首を切られたポルポト像は顔に大きくバッテンが。

ものすごく疲労してここを出ました。
笑いながら写真を撮るアメリカ白人に無性に腹がたった。
元校庭だった庭には真っ白なプルメリアや鮮やかなピンクのブーゲンビリアが咲き、
それはそれできれいだったけど、犠牲者の目にはどう映ったか。

敷地を出ると、顔が半分崩れた物乞いがしつこく車まで付きまとう。
同行者は「拷問受けた人?」と聞いてきたけど、
あの人はレプラ患者だと思う。
かわいそうと頭で思っても、恐怖の方が先に立つ。
偽善者だなと自分を責めてしまう。

ショックを受けた私達を見て、ガイドのソアットさんが気を使ってくれる。
話を聞けば、ソアットさんのご両親もここトゥールスレーンではないものの、
プノンペンから下向され、国境地帯の辺境の地で強制労働を強いられ、
亡くなったそうです。
当時10歳のソアットさんと兄もそれぞれ別の場所に移され、労働を。
ポルポト政権が倒れ、やっとの思いで兄弟が再会し、
二人で支え合って生きてきたと。
「戦争はしちゃいけません。
 私はどの国の人にもここにきてほしい、
 戦争がよくないことをしってもらいたいです。」
スアットさんの言葉は重く響きました。

重い気持ちになったけど、プノンペンに来てよかったな。
生で見なければ考えることもできないこともある。

この大虐殺のため、カンボジアの人口構成はいびつです。
壮年層および知識人(特に医者)がいなくなったため、
産業の発展も遅れました。
なんか活気がないのも働き盛りの欠如からでした。
この国の人が幸せになるように。







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最終更新日  2009年05月06日 17時25分29秒



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