察知力~読書日記
察知力サッカー日本代表のMF中村俊輔。天才プレーヤーという先入観があったのですが、さにあらず。自分の事をよく理解し、どうレベルアップしていくかを常に考えている努力の人なのだと知りました。そんな彼の飛躍のきっかけは、中学3年時の挫折でした。抜群のテクニックがあるものの、技に溺れて独りよがりなプレイをする彼はレギュラーを剥奪されます。チームに求められるものを考えない選手にポジションが与えられるはずはありません。ここでの体験が、彼に周囲の状況を「察知」することの大切さを気付かせます。もちろん、精神的な面だけでなく、プレイ面での「察知力」についても語っています。僕はサッカーに関してはあまり知識がありませんが、それでもプロ意識の高さには感心します。特に元ジュビロ磐田の名波選手とのくだりは唸らされます。様々なクラブでの体験、W杯メンバー落選など話が展開されますが、個人的に興味深いと感じたのはセルティックのベテラン選手に関する話。これを読むと、彼の今後の選手生活がなんとなく想像できます。中田英寿氏とは違う道を進むんだなと。彼は「引きだし」を増やし、将来的には指導者の道を進みたいという夢も語っています。そこには彼を成長させてくれた多くの指導者、そしてサッカーそのものへの感謝の気持ちもあります。身体能力に劣る日本人がどのようなサッカーで世界を目指すのか、その経験を次世代に伝えていくことの大切さを語る中村俊輔を応援しないわけにはいかないでしょう。サッカーファンでなくとも一読の価値のある本です。