本と映画と食事とあひる

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  やや期待外れだった『＃真相をお話します』

  ＃真相をお話しします [ 結城 真一郎 ]価格：1705円（税込、送料無料) (2023/2/20時点)楽天で購入　年末に恒例の『週刊文春ミステリーベスト10』を読んで購入した本です。すごく期待していたんですけどね。いまいちでした。残念。オンライン飲み会、YouTubeなど道具立ては新しいのですが、特に現代社会の問題をえぐることもなく…。小さくまとまっている印象を受けました。最近、ないですね。昔のような驚天動地のミステリー。ちょっと寂しい気持ちになりました。バカミスでもいい。もっとパンチが効いたものが読みたいです…。

  2023.02.20

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  軽く見せかけガチガチの本格派　阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』

  透明人間は密室に潜む【電子書籍】[ 阿津川辰海 ]価格：1760円 (2021/1/14時点)楽天で購入　新潟は２０１８年以来の大雪。あの時に比べると積雪量は大したことないはずなのですが、市内は道路が片道除雪、歩道は雪に覆われて外出がままならない状態でした。そんな時に便利なのが　電子書籍。気になったらぽちっとすればＯＫ。まあ、、、理性が働かず散財する恐れもありますけどね。文春ミステリー　国内２位。２６歳の若手ミステリ作家が送る実験的かつ本格的な短編集って、この惹句、うまいですね。本当にこのまま。　透明人間病なんてちょっとふざけたＳＦ的な要素を出しておいて中身はとても本格推理小説の表題作。アイドルおたくの裁判員たちが織り成す喜悲劇、聴覚に優れた探偵助手とその雇用主の活躍譚、などちょっと変わった切り口のミステリ。しかも、この作家さんとてもまじめで各作品ごとに参考文献明記。すごくまじめな人なんでしょうね。読みながら、きっとこれ、ベテランミステリー作家たちが楽しそうに読んだんだろうな、とか考えてにまにましてしまいました。　本格推理が好きな人におすすめです。去年の推理小説業界、ものすごく豊作だったんですね。このまま、立て続けに気になっている本をぽちっとしようか思案中です。

  2021.01.14

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  昔の宮部みゆき

  我らが隣人の犯罪 （文春文庫） [ 宮部みゆき ]価格：594円（税込、送料無料) (2021/1/4時点)楽天で購入　年を取ったな、と思う瞬間。私が宮部みゆきを知ったのは19歳か20歳の時。講義で当時話題だった自己破産の話が出てきて宮部みゆきの『火車』はよくできている、とある講師が話したんですね。それまで、私は現代日本のミステリーを読むことが少なくて彼女の名前を知らなかったのですが手に取ってみたんです。面白かったですね。それから、初期作品からざーっと読み漁りました。20年くらいまで出たら買いの作家さんでした。 日本で一番、面白い作家―。そういわれていました。ドラマ化、映画化、たくさんされて、もう、大御所扱い？最近、私の周囲ではあまり彼女の作品を読んでいる人とかいないんですよね。で、好きじゃない、という人も結構いて、訊いてみるとメジャーな作品を読んでいない、なんてことも。。。いや、宮部みゆき語るなら『火車』とか初期の作品とか押さえてからにしてほしいですね。ミステリー作家は最初の何年かがピーク、と古くから言われていてアガサ・クリスティーなど一部の例外を除くとこの法則は当てはまります。私は宮部みゆきの初期作品なら上の作品、よく思い出しますね。彼女の語り口の巧みさや生きとし生けるものに対するやさしい視点が顕著に表れています。　これをやってあざとくならない、稀有な作家さんです。

  2021.01.04

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  自分にお年玉♪　『ＳＰＹ×ＦＡＭＩＬＹ』　最新刊　６巻

  SPY×FAMILY 6【電子書籍】[ 遠藤達哉 ]価格：502円 (2021/1/2時点)楽天で購入　去年は年末　12月31日夕方までお仕事でした。新潟は30日から冷え込み、雪が降ったのですが。私の職場は、上司曰く『グレー』らしいです。（笑）以前は年末年始はミステリー三昧だったのですが、年々、ベストミステリーの単行本化が進み、入手困難。金銭的に。そして、公共の図書館はコロナウイルスの感染拡大後、なかなか使えない状態。貸出期間の延長で、人気の本は手元に届きにくい状況です。　こんな時にはいいですね、電子書籍。新刊がすぐに手に入りますし、雪の中、外出しなくてＯＫ。私は『鬼滅の刃』も全巻、電子書籍で揃えました。ＡｍａｚｏｎのＦｉｒｅ１０で読むと大画面なのでノンストレスです。で、新年早々のお買い物はこちら。『ＳＰＹ×ＦＡＭＩＬＹ』の最新刊です。ちょっと自分へのご褒美といいますか、お年玉？年末年始、頑張ったね（当社比）って感じで。ぽちっと。遠藤達哉の漫画は大きな端末・カラーで読むことをお勧めしますね。絵がきれい。色遣いがうまい。今回は5巻から出てきた新キャラクター　フィオナさんが大活躍。で、表紙もフィオナさん。クールビューティーですが、ギャップもあって好きなキャラです。

  2021.01.02

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  最近、はまっている漫画　『ＳＰＹ×ＦＡＭＩＬＹ』

  SPY×FAMILY 1【電子書籍】[ 遠藤達哉 ]価格：502円 (2020/12/29時点)楽天で購入　突然ですが、ＴＷＩＴＴＥＲの広告はよくできていると思うんですよね。続きが気になる、面白そうな漫画を載せていることがあるじゃないですか。うまいな、と思いますね。あれ、ついつい落ち込んだ時に見ると検索　→　試し読み　→　購入　まで行くんですよね。罠だな、と警戒しています。　そんな、ついついで購入した大当たり漫画がこちら。『ＳＰＹ×ＦＡＭＩＬＹ』です。原作者の遠藤達哉。私は存じ上げませんでしたが、２０００年から作品を世に出しているかなりのベテランさんらしい。とにかく、絵がうまい。しかも、人に好感を抱かせるあたたかい絵柄。キャラクターが無理なくたっていて魅力的。そのうえ、登場人物の服装もかわいい。これは、、、、手元に置きたくなる作品。私は絵を楽しみたい作品はタブレットで読むのですが、表紙のカラーも楽しくて〇。　年を取ってきて世間で騒がれている漫画があまり面白くないな、と思う時期があったのですが今年は違いました。『鬼滅の刃』もよかったですが、こちらも素敵な作品です。おすすめ。

  2020.12.29

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  日本の鬼たち　『鬼滅の刃』で思い出したもの・こと

  鬼切丸（1）【電子書籍】[ 楠桂 ]価格：462円 (2020/4/30時点)楽天で購入 　『鬼滅の刃』、面白いですね。 主人公の少年が愛するものを守るために 切磋琢磨し、仲間たちと共に戦う―。 まさに少年漫画の王道。 　私はあまり、少年漫画を好みませんが、 （なんか暑苦しいし、押しつけがましいし、 某少年誌は人気が出ると主人公生き返るし、、、） でも、『鬼滅の刃』ははまりました。 読んでいて泣けますし、笑えますし、 登場人物が魅力的でバランスが取れています。 　さて、そうはいっても私は長生きしていますので いろいろ思い出す作品などございます。 楠桂の『鬼魔（おにこごめ）』シリーズとか 『妖魔』、『鬼切丸』、馬場あき子の『鬼の研究』とか。 そもそも、うん十年前に楠桂の作品を読んだとき 「この人、馬場あき子の本を読んだのかな？」と 思っていました。 　テレビドラマ化された『八神くんの家庭の事情』ほか ポップなラブコメが知名度高いのですが 楠桂はデビュー当時、 結構、筆圧が高いがさがさした 雰囲気のある絵柄だったんですよね。 ミステリーやスプラッター、ＳＦがしっくりはまっていました。 時代物特有の闇を、日本の湿度を持って描ける数少ない少女漫画家。 よく『りぼん』で活躍していたな、と思います。 （私は『りぼん』買ったことなかったです。 兄がいたんで青年誌読んでました。汗） ご本人が写真集出したり、美人双子姉妹で売っていたりしたので 軽薄なイメージありますが、お二人とも かなりの読書家。 私は最近のクリーンな絵より デビュー当時から数年の絵柄が好きですね。 　『鬼滅の刃』は出てくる鬼たちにも そうならざるを得なかった背景、哀しみや苦しみが しっかり描かれていて 日本的な抒情を感じます。 こういうところ、楠桂の古い作品を思い出しました。 彼女のほうが、 鬼とは怨嗟の集合体 という意識を感じますが。 楠桂は女性ながら鬼の造形や特徴をしっかり描いていて 当時の少女漫画家としては異色。 ひとつひとつ記憶に残っています。 『鬼切丸』は学生服の少年が （彼も角がないとはいえ鬼なのに） 鬼退治をしているというストーリー。 黒と白の使い方がすごくうまくて うなりましたね。私は彼女はカラーよりモノクロがうまいと思っています。 鬼の研究 （ちくま文庫） [ 馬場あき子 ]価格：836円（税込、送料無料) (2020/4/30時点)楽天で購入 　こちらは馬場あき子の本。 装丁がうん十年変わっていない！！！ さすがちくま書房！！！ 鬼魔（おにこごめ）／楠桂【1000円以上送料無料】価格：748円（税込、送料別) (2020/4/30時点)楽天で購入 　こちらは電子書籍化されていないんですね。 残念。 谷山浩子さんの歌にもなったのになあ。 追記:私が面白かったと感じているのはあくまでも昔の『鬼切丸』。現在unext で無料で読める『鬼切丸伝』は同じ作者の作品とは思えないほど違うので注意して下さい。 この人、作品にPC使っちゃダメなタイプの漫画家さんですね。（涙）

  2020.04.30

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  コロナウィルスでペストが品切れ？？　カミュ『ペスト』

  ペスト（新潮文庫）【電子書籍】[ カミュ ]価格：825円 (2020/3/16時点)楽天で購入　昨日の朝、夫にこう訊かれました。「あひる、カミュの『ペスト』って持ってる？」こういうときには、なんかあったなと思いますね。夫はあまり結婚してから文学作品を読んでおらず、せっぱつまるか、ニュースで取り上げられたかの二通りしかないです。「どうしたの？」「なんかね、コロナウイルスの影響で品切れ続出らしい」ああ、やっぱりみんな考えることは一緒ですね。私はガルシア・マルケスの『コレラの時代の愛』とか再読しようと考えましたが。で、持っていた『ペスト』を本棚からひっぱり出しました。カミュ、皆さん『異邦人』とか『カリギュラ』とか短いものは読んでいるのでは？読みやすいですしね。ただ、『ペスト』は若干、ハードルが高いです。なので、忙しい時にはなかなか読み進まないと思います。急に外出できなくなった今は読書チャンスかもしれません。日頃、多忙で本が読めない方。不可抗力で、悩んだり、愚痴ったりしても事態が改善しませんからお家で本を読んだり、映画を見たりしましょうね。　私は今のうちにiphoneの機種変更をしようかな、と思っています。

  2020.03.16

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  軽いけれど楽しめた　相沢沙呼『medium 霊媒探偵　城塚翡翠』

  medium 霊媒探偵城塚翡翠【電子書籍】[ 相沢沙呼 ]価格：1540円 (2020/3/10時点)楽天で購入 　年末に図書館予約してようやく先日読めました。 相沢沙呼の『medium 霊媒探偵　城塚翡翠』。 一応、連作短編集になるのでしょうか。。 表紙がイラスト、著者のペンネームその他、 ある層の読者は避けて通りそうですが（笑） 食わず嫌いせずに読んでほしいですね。 少なくとも40代後半の人間でも 結構、楽しめました。 　正直、 ●ミステリー好き ●推理小説読書歴が長い という人はレビューを読まず、 受賞歴も見ずに読んだほうがいいです。 そう、もう、なにもかもネタバレの地雷に なりかねないから。 なので、純粋に楽しみたい方は 以下の文章は読まないでください。 （今回は作品をちゃんと読んでほしいのでネタバレはしませんが、 カンがいい人にはちょっとわかるように感想を書いています。） ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　幸い、この作品はだてに三冠をとっているわけではありません。 ひとつふたつ、トリックがなんとなくわかっても そこそこ楽しめると思います。 かくいう私も、「どんでん返し」の２つはわかったんですよ。 長生きしていますからね。（笑） でも、読んでいてワクワクしましたね。 〈あらすじ〉 　ミステリー作家の香月史郎は ひょんなことから霊媒師の女性と出会います。 彼女の名前は城塚翡翠。 名は体を表すで、 豪華なタワーマンションにお手伝いさんと住んでいる お嬢様。 緑色の目を持つ妙齢の美女です。 彼女はクオーターの帰国子女。 妖艶な外見とは裏腹にちょっと天然の かわいい人です。 　香月の後輩が殺害された事件にかかわったことで 翡翠も様々な事件に裏で捜査協力することになります。 彼女は霊視、霊媒の能力で犯人を瞬時に見抜きますが それは証拠能力がありません。 香月はそれを論理的に捜査当局に説明するため、 知恵を絞ります。 未解決の連続女性殺害事件も並行し、 彼らの運命を終わりへと導きますが、、、、、、、、。 　ミステリー好きな人、 ここで、なんとなく犯人わかりますね。 そうですね、先行作品いくつもありますよね。 有名なのはエラリー・クイーン。 で、もう一つの「どんでん返し」も察しがつきますよね。 「え、、こんな一昔前の新本格推理小説みたいな 登場人物あり？？？？ もしかして、、、これもトリックの一つ？？？」 ですよね、私も気づきました。 だって、この通りに進んだらいくら論理的なトリックを披露しても 「人間が描けていない」って切り捨てられそうじゃないですか。 選考委員がね、だまっていませんよ。 そういわれてきた人たちが点数付ける側になったしさ。 はい、正解。 多分、あなたが思っている通りです。 ですが、私はこれ、 米澤穂信の『インシテミル』みたいな メタミステリーとして楽しめましたね。 あと、この作家さん、男性ですが かなり女性の脳というか感性をお持ちですね。 女性には気づきやすいんですよ、この作品のトリックがいくつか。 　私はこの作家の作品、初めてなのですが ライトな青春ミステリーを得意としているようですね。 かなり、バランス感覚に優れていて 楽しめました。 この作品に関しては 佐野洋みたいな突っ込みはなしね。 クオーターで瞳の色が緑になることほとんどないよ、とか、 翡翠って名前、この子が誕生した時点でつけられなかったんでは？とか。 社会派じゃないし、 今、新型コロナウイルスで世界中が参っているの。 読書くらい、何も考えずに楽しもう！！！

  2020.03.10

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  いろいろな意味で面白かった本♪　勝間和代『勝間式　超ロジカル家事』

  最近、読んで面白かった本です。勝間和代さんのお名前を知ったのはもう、ずいぶん前。書店のベストセラーコーナーで『断る力』を見た時です。「べっぴんさんだし、頭がいいんだろうけど、なんか怖いなあ」という印象。本の中身はちらっと立ち読みした程度ですが私の生活とは、、、、あまり関係ないかな？とスルーしました。時は流れて２０２０年２月。暇つぶしでＹＯＵＴＵＢＥを観ていたら勝間さんのチャンネルをお勧めされました。で、短い番組なので流していると猫まみれ（笑）で、おだやかな表情をした勝間さんがとうとうと家事の効率化について語っていました。動物好きな人に悪い人間はいない、という私、もしくは日本人の偏見が顔を出し、ついついチャンネル登録。まあ、実行するかしないかは置いておいて面白い！！！ついでに本も買ってしまいました。これ、図書館だと待たされたんですよ。中身は、徹底的な家庭内のＩＴ革命。ヘルシオのオーブンレンジ２台、電気調理器を使った食事法、お掃除ロボット２台で掃除、簡単なお洗濯などなど。正直、●口うるさい夫がいる●そもぞも体が弱い人には実行不可能なことが多いです。洋服はニットかレーヨン、洗濯にはアリエールのジェルボール、これだけでもアトピー性皮膚炎や敏感肌の人間にはアウト。買い物はネットスーパーというのも７大都市に住んでないと、ちょっときついですかね。我が家のように魚生活していると無理ですし。それでも、いろいろと楽しめました。取り入れられる部分はあると思います。私の知り合いに多忙な女性がいます。勝間さんほどではないにせよ、外資系で働くバリキャリ。彼女のお宅は食器洗い機がミーレだったんです。うん？？掃除機を持っていないのになんでミーレ？と思っていたらどうやら、勝間さんの影響ですかね？それ以外にも洋服は無地のワンピースなど重なる部分がありました。読んだのかな？興味がある方はどうぞ。　私は蔵書の整理について知りたかったのですが勝間さんとでは持っている本の分野が違いすぎ、あまり参考になりませんでした。残念。勝間さんの読む本は電子書籍化されたものが多いようですがこちら、絶版になったものが多く、手放せません。（涙）勝間式 超ロジカル家事【電子書籍】[ 勝間和代 ]価格：1210円 (2020/2/24時点)

  2020.02.24

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  若竹七海の玄人芸　ブラックでも陰惨ではない『殺人鬼がもう一人』

  殺人鬼がもう一人 [ 若竹七海 ]価格：1650円（税込、送料無料) (2020/2/13時点)楽天で購入　先日、読んだ本です。若竹七海の『殺人鬼がもう一人』。連作短編集です。私はこの作者の葉村晶シリーズが好きなのですが、今回は違います。うってかわって警察官　砂井　三琴が主役（少なくともいくつかの短編では）。架空の町　辛夷ヶ丘を舞台しています。２０年前に連続殺人事件があったきり、めったに事件も事故もないのどかなところ。ところが水面下では様々な事件が起きていたようで、、、、。軽いタッチでユーモラスに描いているので油断していると、ぞっとする展開。でも、決して暗くなりません。まるでセント・メアリー・ミード村。牧歌的で一見、のどかなのに犯罪率高し。住民たちもなかなかの曲者。この匙加減が絶妙です。こういうもの、下手すると大惨事になるんですけどね。その昔、新本格派の新人さんたちがしでかしていましたが。 主人公の砂井三琴も、なかなかのしたたか者。身長１７０㎝を超える恵まれた体形、普通はコンプレックスを感じそうなものですが彼女はハイヒールが大好き。たとえ、それで上司に疎まれても。若い現代女性らしく人生を謳歌することに余念がない様子。おいしいもの、ブランド物のハンドバッグ、ハイヒール、蓄財大好き。時には捜査上知りえた情報で副収入を得ることも。このあたり、不運だけれどみじめではない、まじめでストイックな女探偵　葉村晶とは大きく違うところ。ですが、さすがは若竹七海。不快な気分にさせず、ブラックユーモアとして娯楽になる度合いをわきまえています。この点、本当にうまいです。ブラックユーモアというと私はイギリスのクリスチアナ・ブランドを思い出すのですがあちらは容赦ないですからね～。『招かれざる客たちのビュッフェ』を読んだ姉がのけぞっていましたもん。（ちなみに私の姉はかなりのリベラル。ですが、アメリカに１０年、イギリスに２年いたため、英米の宗教に対する生真面目さが身に染みているようで、、。信仰すらブラックユーモアの対象にするブランドは恐ろしいと思ったみたいです。）　どの短編もひねりがあって楽しめました。図書館で借りたのですが、文庫本化されたら買います。

  2020.02.13

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  再読　佐藤正午『月の満ち欠け』岩波文庫的版

  岩波文庫的　月の満ち欠け [ 佐藤　正午 ]価格：935円（税込、送料無料) (2019/11/29時点)楽天で購入　前のお買い物マラソンで購入して、昨日読み終わりました。岩波文庫的　『月の満ち欠け』。ベテラン作家　佐藤正午の直木賞受賞作です。長崎在住の作家さんで、中央文壇につてがないためか、大きな賞を逃してきた過去があります。なので、ファンとしては本当にうれしかったですね。ここ数年、ありがちですが、選考委員よりずっといい作品を書いている人が落選という、笑えないお話。多かったので。　さて、単行本は姉妹に貸したまま返ってこないので文庫版を買い換えました。まあ、解説が伊坂幸太郎だったというのもあり。装丁が「岩波文庫的」というのもあり。私はこういう遊び心商品に弱いです。　以下、未読の方は何も先入観を持たずに読んでいただきたいです。飛ばしてください。私も単行本は佐藤正午の最新作、直木賞受賞という知識のみで読みました。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　人は人をどこまで愛することができるのか―。そもそも、愛とは何なのか―。古今東西、ある種の小説のテーマです。それを手練れの現代作家が描くと、一筋縄ではいきません。　ストーリーは小山内堅という初老の男性が上京し、１組の親子と待ち合わせるところから始まります。さほど親しくなさそうな両者。その親子、特に娘の態度が不思議。なぜか、小山内に対して挑戦的です。少女は小山内の亡き娘の記憶を持っているということなのですが、、、。　前世の記憶を持つ少女、困惑する親、度重なる不幸な事故。現在、過去と錯綜する時間、複数の視点。生まれ変わりという、一見すると荒唐無稽なストーリーにリアリティを持たせ、忘れがたい作品に仕上げてあります。　決してファンタジーにも、おきれいなだけのラブストーリーにもなっていないところが佐藤正午らしい。切なく、胸を締め付けられるストーリーですが作者の目は公平。恋愛の持つ残酷さ、排他性、他者に対する無神経などもしっかりと描かれています。　小説の終盤にウラジミール・ナボコフの『ロリータ』がちらっと出てきます。そこでは触れられていないのですが実はあの作品にも生まれ変わりの話が出てきます。そのほか、与謝野晶子、吉井勇、『アンナ・カレーニナ』など様々な文学作品がセンスの良い使われ方をしています。本好きにはおすすめです。

  2019.11.29

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  安定の筆力　角田光代『坂の途中の家』

  坂の途中の家 （朝日文庫） [ 角田光代 ]価格：777円（税込、送料無料) (2019/9/30時点)楽天で購入　しばらく、家の本棚に積んでおいた本を読みました。角田光代の『坂の途中の家』。私はこの方の文章が好きで、新刊が出たらほぼ買い。ハードカバーはかさばるので図書館で借りるか妹に借りるかですが文庫化されたら好きな作品は手元に置きます。売れっ子の現代作家でこの方ほど当たり外れがない作家はいないと思っています。（ＰＣの添削では二重否定を嫌いますが、そうしなければ表現出来ないものがあります）作品による好き嫌いはあっても、いわゆる「駄作」はないですね。非常に緊張感のある創作姿勢。尊敬いたします。　今回は裁判員制度、幼児虐待とテーマが重いですが、家庭や性差について考えさせられる良書。　幼い女の子を育てている主婦が幼女虐待死の裁判員（補助）に当たってしまいます。被告となった母親とは年齢が近く、共感や反発を感じながら裁判を見ていくうちに自分の過去を思い出して―。　妊娠、出産、子育て、夫婦の役割分担、夫の家庭、特に義理の母親との付き合い―。現代女性の悩み、息が詰まるような境遇がリアルに描かれています。　特に人間の記憶についてふとしたきっかけで甦るところなど真に迫っていて○。社会問題を扱っているというだけでなく優れた　妊娠・出産・育児・家庭小説にもなっていると思います。分厚いですがおすすめです。

  2019.09.30

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  なかなかのヒット　お料理本『作りおきサラダ』

  作りおきサラダ 冷めてもおいしい。ねかせるからもっとおいしい。 [ 主婦の友社 ]価格：1296円（税込、送料無料) (2019/9/25時点)楽天で購入　ここ一ヶ月半ばかり、仕事・私事が共に多忙。遅番に当たると帰りは7時半過ぎ。それから料理をするのは出来なくはないですが、健康のためにはＮＧ。で、作りおきレシピを検索していました。もともと、いくらとろくても主婦歴は長いですし、和食の常備菜、ノンオイルの野菜レシピならまあなんとかなります。だてに自営業の大家族で育っていない。それが今年の暑さに体が悲鳴を上げまして生野菜を激しく求めてしまいました。しかも、パンチが利いたやつ。和食では満足出来ません。サラダとなると、、、難しい。私が好きな生野菜サラダは日持ちしないです。(>_

  2019.09.28

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  年に一度の気分転換♪　コージーミステリー『ウエディングケーキは待っている』

  ウェディングケーキは待っている／ジョアン・フルーク／上條ひろみ【1000円以上送料無料】価格：1134円（税込、送料無料) (2019/9/21時点)楽天で購入 　推理小説にはコージーミステリーというジャンルがあります。 日本だとライトノベルズのミステリータッチ作品みたいな感じでしょうか。 なんといっても推理小説愛の強い日本。 いわゆる「日常の謎」派でもがっちがちの本格推理が存在するので 海外の「コージーミステリー」に該当するものを探すのが難しい。。。 （あちらにも「コージーに見せかけた本格推理」は存在しますが） 私がこの10年ばかり読み続けているジョアン・フルークの クッキー探偵ハンナシリーズ。 これ、、、多分、ミステリーとして読んでいる読者いない。 Amazonのレビューを読んでいても ハンナ、ノーマン、マイクの三角関係に言及したものが主流。 私は前にも書きましたが、 恋愛小説で読むのは連城三紀彦くらい。 興味なし。特にハーレクインロマンス系、一切無し。 好きな恋愛ドラマ　『マンハッタンラブストーリー』ってくらい。 なぜ、それなのにこのシリーズを読み続けているかと言いますと ●ミネソタ州の風景及び生活描写が興味深い ●アメリカの田舎で暮らす人々の食生活が垣間見られるところ ●作品中に出てくる料理レシピが国民性を表していてうける ●ジョアン・フルークの比喩表現が面白い ●ジョアン・フルークの作家としての苦悩が垣間見られて面白い ●登場人物、特に姉妹の性格と力関係が○。 　もうね、恋の行方とか、２時間ドラマ並の謎とかどうでもいい。 ご近所さんの近況報告みたいなもんです。 シリーズももう１９作目。 最初からひっぱっている三角関係を脇にどけて ハンナは学生時代の知人　ロスと結婚することに。 周囲に祝福されながらも、ロスの経済感覚に一抹の不安を覚えるハンナ、、、。 これだけで怒っているファンがいるみたいですが、 長年のどっちつかずの交際を捨てて、 新しい男性と結婚するヒロインって、、、 アガサ・クリスティの時代から書かれているよくある設定。 よくある「現実」を反映しているので、 作者に憤慨する方がお門違いかと。。。。 第一、ストーリーの流れを考えても 何度も浮気まがいな事をしているマイク 子供（実子ではない）かわいさに元彼女とよりを戻そうとしたノーマン この二人と釣り合いをとるには 一度の結婚くらいちょうどいいのでは？？？ 　私が今回面白かったのは ハンナの動作描写、揚げるクッキーの存在を知ったこと です。

  2019.09.21

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  読み返し　マーガレット・ミラー『狙った獣』

  狙った獣 （創元推理文庫） [ マーガレット・ミラー ]価格：1080円（税込、送料無料) (2019/9/17時点)楽天で購入　ちょっとバタバタしていてまた、更新が遅れています。今月は中盤に雑事が入るのでしばらくまとまった読書が出来ません。増えていく本、、、、、。さて、昨日は数十年ぶりにマーガレット・ミラーの『狙った獣』を読みました。　私が好きな女性の海外ミステリー作家。パトリシア・ハイスミス、ルース・レンデル、ミネット・ウォルターズ、ヘレン・マクロイ、そしてマーガレット・ミラーです。年代バラバラですが。日本だと宮部みゆき、若竹七海、桐野夏生。さて、今回読み直してみて、うーん、やっぱりマーガレット・ミラーはベテランになってからの方がいいな、と。ミステリーの世界では昔、推理小説作家には書ける作品に上限がある、とか活躍できる年数が決まっている、とかいろいろな事が言われていました。実際に古い年代の推理小説作家はトリックを重視するあまり作品数、質ともにデビュー数年がピークという人も。ですが、マーガレット・ミラーは年を追うごとに手練れになった印象。結構、シリーズものを手がけていたのにルーティン化しなかったところが素晴らしい。よく、彼女の作品は古びないといわれます。それは人間の本質とか悪意とか、人の弱さ（そこから来る歪み）とか科学や技術の進歩と同レベルには変化しないことが原因なのだろうと思われます。確かに彼女は先見の明があってサイコパスや●イ、●リコン、美容整形依存症、ピーターパン症候群などをいち早く作品に取り入れ、有機的に昇華させました。ただ、それだけではなくて私は彼女の中にある「強さ」「明るさ」が好きですね。あるべきフェミニズムといいますか、女性特有のしなやかな強さ、たくましさが垣間見られるところが作品を経年劣化させない一助になっていると感じます。異常心理もの、サスペンスが得意なのにどこか、不思議な「光」があって近年の「イヤミス」のような読後感がない―。『狙った獣』で言えば、ある登場人物の人格やその人の発する台詞など。テーマが重くとも「救い」がある。とはいえ、今の読者にはちょっと読みにくいかもしれません。作品の中盤までの登場人物がみな、共感できない人物で感情移入できにくいことが一因かと思います。同様に登場人物がみな一癖ある作品に『ミランダ殺し』があります。こちらは『狙った獣』発表から20年近く経って書かれただけあってブラックユーモア、キャラ見せなど非常に読みやすい工夫がなされています。そう考えると『狙った獣』は当時としてはアイディア勝負の作品、、、ですかね。

  2019.09.17

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  なかなかのいい買い物　吉田修一『犯罪小説集』

  犯罪小説集 （角川文庫） [ 吉田　修一 ]価格：691円（税込、送料無料) (2019/8/22時点)楽天で購入　最近、仕事と家事でバタバタしています。世の中にはフルタイムで働きつつ、子育てされたり、介護されたり、勉強されたり。そんな方がいっぱいいらっしゃるのに私の許容量の少なさと来たら。（涙）嘆いていても仕方ないですね、持って生まれたものですし。　そんなわけでこのところ、読書が進んでいません。まとめ買いしても積んで置くだけ。今、部屋に本の小山が３つ４つあって、ここに入ってくる度に夫から「あひるの部屋ってヴィクトリアンアルバート博物館みたい」と嫌味を言われる始末。本って、読みたいと思ったらその時に買ってくるのがベスト。これが絶対に「積ん読」にならないための鉄則。私も若い頃は出来ていたんです。福岡市の中心部にいたときには天神、博多駅が歩いて行ける距離。夕食後にふらっとキャナルシティとかバスセンターとか。気になる本を買って無印良品をぶらぶら。楽しかったなあ。　それが結婚を機に無理になってインターネットの普及　→　Amazonのお世話にそんなこんなですが、今回は原点に立ち返って、書店に足を運びました。吉田修一の『犯罪小説集』前から気になっていたのですが、映画化のニュースを目にして「読みたい」熱が出てきました。さすが人気作家、すぐに見つけることが出来てわが家へ。早速、その日に読み始めて次の日には読了。いい読書体験でした。内容は、角田光代の『三面記事小説』に似ています。実際に起きた事件を元に犯罪者の心理、置かれていた環境を深掘りしていくという体裁。角田光代の方が、モデルとなった事件がすべて明確ですが。（私が読んだ単行本では新聞記事の一部が冒頭に掲げられていましたが文庫版はどうなっているのでしょう？）興味のある方はどちらも読まれると面白いと思います。取り上げられる事件、アプローチの違いなど作家性が出ますね。私はどちらも好きです。『犯罪小説集』は以下の短篇から成っています。「青田Y字路」「曼珠姫午睡」「百家楽餓鬼」「万屋善次郎」「白球白蛇伝」映画化されたのは「青田、、、」と「万屋、、」みたいですね。モデルがはっきりしているのは後半の三編。「青田Ｙ字路」は幼女の連続失踪事件でこれは残念ながら類似の未解決事件が全国各地にありますし。。足利事件や、それを含む北関東幼女連続失踪事件を挙げている人がいらっしゃいますが、はっきりとは分かりません。私は随分昔にあった、外国人が犯人だった女子高校生殺人事件も思い出しましたしね。（こちらもよく小説の題材になっていました）私がうなったのは「万屋、、」と「白球、、、」。どちらもモデルとなった事件がはっきりしています。限界集落に戻ってきた熟年男性の悲劇と元プロ野球選手が起こした強盗殺人事件。吉田修一らしい、登場人物との距離感で描かれているのですが主人公達の心理状態がひりひりするほど伝わってきます。月並みな感想ですが、人間が大罪を犯すときはこんなに追い詰められているのかな、、と思いましたね。当代屈指の作家だけあって何を題材にしても一定の品位と格調があってうなりました。おすすめです。

  2019.08.22

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• 読んでみた。『夏の騎士』

  暑いですね。 新潟でも34度。他県、特に九州や内陸 は大変でしょうね。 気温と仕事で金銭感覚が麻痺。 買ってしまいました、ハードカバーの新刊 本。 ははは、お金貯まりません。 私の好きな経済評論家が褒めていた 百田尚樹の『夏の騎士』。 私は正直、この方の文章は それほど買っていません。 ただ、やっぱり読みやすさと ページをめくらせる力が抜群。 今回は、ところどころ 惹きつけられる文章があって いい買い物したなぁ、と思いました。 日本版スタンドバイミーと言われているだけあって 似ているんですが、 日本らしい部分が◯。 私はヒロインの一人（ネタバレ自粛）が 好きですね〜！ 本当にいましたからね、こういう子。 この世界が心地よくて 久し振りに読み終わりたくない本でした。 おすすめ。

  2019.08.08

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  読んでみた　寺久保友哉『恋人たちの時刻』

  『中古』恋人たちの時刻 (角川文庫)価格：5388円（税込、送料別) (2019/7/21時点)楽天で購入　風邪を引いてしまいました。お恥ずかしい。。16日の夕方、ちょっと前から感じていた喉の痛みが激しくなり、頭痛、熱、関節の痛みが出てきました。熱はすぐに引きましたが、今でも喉が痛くて。年をとると駄目ですね。さて。古い映画を観ていたら原作を読んでみたくなりました。寺久保友哉　『恋人たちの時刻』非常に古い本ですが、さすがは角川映画の原作。簡単にＡｍａｚｏｎで入手できました。私は昔から具合が悪くなると本を大量に買い込むので今月のパート代は殆ど貯蓄に回せません。　で、本題。うーん、、、、、映画は原作のちょっととがった部分をそぎ落とし、野村宏伸の外見から来るイメージを大切にしたのかな？？と思える改変が散見。私が面白く感じた部分はすべて脚本のオリジナルだったと、、。なんというか、読んでいてすごく古く感じるんですよ。気取った会話とか、医学や魚に対する蘊蓄とか。おいおい大丈夫か？と聞きたくなる危ない人とか。フランス文学者　中条省平さんは正しい。当時新しいと思われた部分から古びていく―。なので簡潔な文章で書かれた近代文学　「山椒大夫」の方が新しい感じします。（なぜこんな持って回った書き方をしているかというと楽天ブログは常用漢字しか使えないから。いやだなあ、森○外とか、内田百○とか書くの）　この本を読んだ収穫。やっぱり、村上春樹ってめちゃくちゃバランス感覚があるんだな、ってこと。この本の序盤に気取った男女の会話が出てくるんですがもう、、、、全身にサブイボ出来そうなんですよ。ちょっと昔の村上春樹みたいな会話文ですがあれを読ませるには筆力がいるんだなあ、、、と改めて感心。私はハルキストではありませんけどね。では、備忘録として原作と映画の相違点を書いておきます●主人公は北海道大学　医学部の学生　映画では医学部を目指す浪人●村上マリコを最初に知ったのは海岸ではなく深夜営業の歯科医院●主人公の父親は映画版では医者　原作は刺青のあるヒモ●映画には彫刻家　桑山、その妻、桑山の愛人が出てきますがこれは原作には全く無い要素。●原作では村上マリコは彫刻家のモデルになる前、画家のモデルもしている●映画では結ばれた後、主人公とマリコは過去に苦しみ、別れるこれも映画オリジナル。●ヒロインが奔放な女性になった原因、彼女の心情などもすべて映画オリジナル。

  2019.07.21

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  最近、読んだもの　『あさま山荘銃撃戦の深層』など

  【中古】 あさま山荘銃撃戦の深層 ／大泉康雄(著者) 【中古】afb価格：198円（税込、送料別) (2019/6/25時点)楽天で購入　久しぶりのブログ更新です。このところ、プライベートでごたごたがありましてなかなか映画を観たり、読書をしたり出来ていませんでした。つい数日前から読書を再開出来ています。で、何を読んでいるかと申しますと、、、『あさま山荘銃撃戦の深層』　大泉康雄　著去年のゴールデンウィークに山本直樹の『レッド』をシリーズ全巻（当時発行されていたもの）を読んで事件について興味を持ちました。その後、マスコミからの視点で捉えたノンフィクションなど読み、いったんお休み。また、興味が出てきて今は事件当事者たちの著書に手を伸ばしています。ただ、、さすがに入手困難なものが多いのですよね。事件から多くの月日が流れて、絶版。もしくは高価過ぎて手を出せないなど。吉野雅邦とその事実上の妻　金子みちよについては彼らの親しい友人だった大泉康雄の本を読むことにした次第です。読んでいて思ったのは山本直樹は本当によく調べて『レッド』を描いていて一コマ一コマに情報をぎゅーっと詰め込んでいるんだな、ということ。事件を起こす前の二人について描かれている部分にも日常的な傾向、口癖など盛り込んであってはっとしました。この大泉康雄、実は『レッド』にも実名で登場しています。悲劇が起こる前、最後に金子みちよ（劇中は宮浦）に喫茶店で会っているんですね。彼女の真面目な性格、活動に対する、あって当然の「迷い」が淡々と描かれていて印象的でした。　今読むと所々首をひねりたくなる部分も散見しますが力作。しかも、吉野雅邦の友人でありながら公平であろうとする思いが文章に現れていて不思議と潔い読後感。電子書籍化されるといいのですが。こういう時代があった、という歴史的な価値があると思います。事件に興味のある人にはおすすめです。

  2019.06.25

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  意外と深かった漫画　山岸涼子『二口女』

  神かくし 山岸凉子スペシャルセレクション / 山岸涼子 【コミック】価格：1296円（税込、送料別) (2019/5/13時点)楽天で購入　　最近、懐かしい漫画を読み漁っています。山岸涼子、時々読み返したくなりますね。『アラベスク』、『日出処の天子』、『舞姫　テレプシコーラ』など大作が有名ですが私は基本的にこの方は短篇の作家だと思っています。ノンシリーズの短篇がぐさっと胸に刺さりますね。トラウマ漫画として有名な「汐の声」然り。私は最初に山岸涼子を読んだのは文庫版の自選集だったのですがその質の高さに驚きました。で、手当たり次第あさっていて痛感したのは、この作者、当たり外れが大きい出たら買い、の高野文子やよしながふみと違って吟味して買うのが○ですね。（花の24年組にはありがちなことですが）さて、その中で時々ふと思い出す短編があります。その名も『二口女』。これ、今読むとしたら中古で『甕ののぞき色』とかしかないのかな？山岸漫画としては普通の出来なんですが、民話の考察が面白かったんです。『二口女』は有名な昔話。ケチすぎて嫁にご飯を食べさせるのも嫌な男が「ご飯を食べない」という触れ込みの女性と結婚します。確かに男の見ている前では彼女は何も口に入れません。男は満足していたのですがしばらく経つと家のお米や味噌が激減しています。ある日、出かけるふりをして物陰から見ていると女は大きな釜でご飯を炊き、鍋で味噌汁を作っています。そしておにぎりを大量に作って座敷に並べます。髪を解いたと思ったら後頭部にある口に向かってぽんぽんおにぎりを放り込むんです。それを見た男は悲鳴を上げますが、女に見つかって追いかけられます―。同工異曲は多いです。　これ、不思議な民話だなと思っていました。長年、？？？で来たのですがある時、馬場あき子『鬼の研究』でよろずのこの話を知りました。高望みやわがままを言っていると人に恨まれる、その象徴が「鬼」なのだという考察。まあ納得。で、山岸涼子の『二口女』解釈は身勝手な事ばかりいっているととんでもない化け物を呼び込む漫画で例に挙げられていたのは理想が高い未婚の女性が三高プラス眉目秀麗な男性を探していたんです。姉の伝手で見つかったけれど彼は「結婚後も浮気を許してくれる妻」を探しているんですね。お互いに決裂。非常に賢い姪っこに上の解釈を聞かされる訳です。　ライトなタッチで描かれていましたが結構後を引きました。　意外と深い短編でしたね。

  2019.05.13

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  若竹七海『錆びた滑車』はバランス感覚に優れた一冊

  錆びた滑車 （文春文庫） [ 若竹 七海 ]価格：864円（税込、送料無料) (2019/3/9時点)楽天で購入 若竹七海の新作を読みました。「錆びた滑車」。相変わらず面白かったです。日本の女流ミステリー作家が書いているシリーズ物で、何十年も読んでいるのはこれだけかも。好きなんです、葉村晶シリーズ。ライトに見せかけて重たかったり、明るく見えて陰惨だつたり。昔は結構、きつかったです。著者名とタイトルからコージーミステリーを予想した人があまりの暗さに参ったり、驚いたりしたらしいです。（私はその意外性もミステリーだと思っていました。）近年、作品自体のバランスが良くなっていると思います。明るい部分とそうでない部分を別の登場人物に担わせる方法。成功例が多いやり方です。このシリーズで行くと比較的重たいパートは興信所の人々、明るいパートはミステリー専門古書店の関係者が担当しています。ストーリーにも緩急がつきますし、いいですね。（主人公が住んでいるシェアハウス、スタインベック荘の面々はどちらのパートも担います。）この作家が好きな人であれば、迷わす買いの一冊。

  2019.03.08

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  市原悦子さん死去のニュースで、、、『熱い空気』

  事故新装版 別冊黒い画集1 （文春文庫） [ 松本清張 ]価格：627円（税込、送料無料) (2019/1/14時点)楽天で購入　市原悦子さんがお亡くなりになって一夜明けました。昨夜は釣りに行っていた夫にこのニュースを告げると「うそっ！！！」と非常に驚かれました。すぐに年齢を聞かれたので調べたところ、82才。私には「まだそんなにお若かったんだ！！」ですが夫は「もう、そんな年だったんだ、、、」。私は子供の頃に土曜ワイド劇場が流行っていて市原悦子さんはよく出ていたんです。彼女の代表作とされる『家政婦は見た』、初回はここだった気がします。本来は単発ドラマですよね。松本清張の短篇ですから。何度もドラマ化されていますが私は1982年版を見ました。市原悦子が演じる家政婦の信子。猫を飼っていて、演歌が好きで一人で歌うシーンがあるんです。すると、私の父母が必ず「うまい！！」「さすが！！」と合いの手のように入れていました。私の父母の世代（この二人は世代が違いますが）からすると演技の上手い女優・俳優でなければ安心してドラマを観ることが出来ない、そうです。両親はどちらかというとドロドロ系ドラマが嫌いで橋田壽賀子とか内館牧子とか嫌っていましたがこのシリーズだけは市原悦子目当てに観ていました。演技の力ってすごい。　さて、私は松本清張の小説が好きで主要な作品は全て読んでいるのですがこの短篇は未読。この機会に、電子書籍で購入して読もうと思います。

  2019.01.14

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  読了。原りょう『それまでの明日』

  それまでの明日 [ 原　りょう ]価格：1944円（税込、送料無料) (2019/1/6時点)楽天で購入　2018年　ミステリーランキングで上位なのに割と簡単に借りることが出来ました。原りょう　『それまでの明日』17年ぶりの新刊です。この方は、レイモンド・チャンドラーの影響を色濃く受けていて作品もハードボイルド。普通、海外作家に影響を受けすぎている作品は日本人として鼻につくものですが原りょうのすごいところはしっかりと日本の風土に溶け込ませているところ。しかも銃器のトリビアや暴力なし。匠の技ですね。東野圭吾の新刊と共に久しぶりに安心できる楽しい読書を体験させて頂きました。最近、ノンフィクションや実用書ばかり読んでいたんです。そちらの方が読み応えがあって。でも、こういう作品を読むとフィクションの強さを感じますね。　それにしてもすごいな、と思ったのは17年ぶりの新作なのに登場人物の動向、結構覚えているんです。沢崎、錦織、田島、橋爪、、、みんなファースト・ネームだけ（主人公の探偵　沢崎は名字しか出てきません。）なのに生きている人間みたいに存在感があって不思議。渋い伏線の張り方、読者に印象を残す表現、比喩。本が好きな方にはぜひ、読んで頂きたいですね。《あらすじ》　渡辺探偵事務所の沢崎がある紳士的な男性から依頼を受けます。金融業界の人。ミレニアム・ファイナンスの重役。有名な料亭『業平』の女将に出資する予定がある。ついては彼女のことを事前に調べておきたい。社内に賛成派・反対派がいるので電話連絡は必要最低限。気前よく前金として３０万円残していきます。沢崎は調査を開始しますが調査対象がすでに他界していることが分かります。電話連絡を禁じられていたため、自宅を張り込みますが、本人には会えず。仕方なく職場を訪れた際、強盗事件に巻き込まれてしまいます―。　特にトリックなどないのですが重厚な筆致、印象的な登場人物が出てきて楽しめました。着地点の見えない、ロス・マクドナルドの円熟期を彷彿とさせる一冊。私は非常に堪能できました。やっぱりこのレベルの作品を書き続けるのは寡作でなければ無理なのでしょうか？ファンとしてはもっと読みたい、と欲張りたくなりますがここはじっと我慢かな。日本人作家としては非常に希有な作家さんです。次は何年待つことになるのかな。私の好きな作家はみな、寡作なのでちょっと寂しい。。。

  2019.01.06

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  復刻していた　パトリシア・ハイスミス『死者と踊るリプリー』

  死者と踊るリプリー （河出文庫） [ パトリシア・ハイスミス ]価格：1058円（税込、送料無料) (2019/1/3時点)　お正月、なかなか新刊がチェック出来ていなかったのでＡｍａｚｏｎや楽天ブックスを覗いています。いい本が沢山出ていますね。本当にお金と時間が足りないです。　さて、嬉しいニュース。『キャロル』の成功がよほど波及しているのか？長らく絶版だったパトリシア・ハイスミスのリプリーシリーズが復刊ラッシュ。ようやく最終章の『死者と踊るリプリー』まで来ましたね。私は過去の出版ラッシュで90年代に遅ればせながら集めたのでなんとか読めていた一冊。その時も紀伊國屋書店の方にお世話になったなあ。。ですが映画化されていてしかも、それがアラン・ドロン主演でニノ・ロータ音楽で不朽の名作。その原作とシリーズくらいは常時　本屋にあって欲しいものです。今の本屋さん、生鮮食料品店と変わりませんもんね。河出書房は出来ればノンシリーズも復刊して欲しいところ。ちくまは『変身の恐怖』は復刻して欲しいなあ。これ、図書館にもなかなかなくて長崎で取り寄せた記憶が。。。グレアム・グリーンが激賞してんのに。。今はこういう、書き込みがしっかりした作家がなかなか読まれないのかもしれませんが読後の充実感が素晴らしいので若い人にも読んでほしいところです。これまた、今は読者が減ったルース・レンデルなんかもこの系譜ですから。電子書籍ならリスクが少ないので復刻してほしいですね。日本には多くの電子書籍サービスがありますし。こんなにあるんですね。知らないものも結構、ありました。▼電子書籍サービスの比較表。https://www.bull-headed-shrike-gecko.com/dennsisyoseki-erabikata/

  2019.01.03

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  お正月に読む本　『世界史とつなげて学べ　超日本史』

  世界史とつなげて学べ超日本史　日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史／茂木誠【1000円以上送料無料】価格：1728円（税込、送料無料) (2018/12/31時点)楽天で購入　２０１８年も残すところあと数時間です。平成最後の大晦日。感慨深いですね。今年は昨年同様、法事・トラブルｅｔｃいろいろなことに追われ読書できていません。情けない。。新潟に来てから読書量ががたっと減っている気がします。そんなわけで昨日今日、お正月料理を作ったので三が日くらいは読書三昧したいな、と思っております。読む本はもう決まっていてこちらの『世界史とつなげて学べ　超日本史』。先に夫が読んだのですがめちゃくちゃ面白かったらしく日本史地図だの日本史の資料集だの引っ張り出してノート片手に読んでおりました。楽しみ。これと同じ著者の本を数冊用意しています。なんとかお正月で読みきることが出来ますように。それでは皆様、良いお年をお迎え下さいませ。　　教科書では教えてくれないイエス・キリストと神武天皇 茂木誠が世界の五大宗教を講義する （Knock-the-knowing） [ 茂木誠 ]価格：1620円（税込、送料無料) (2018/12/31時点)

  2018.12.31

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  図書館で借りるべき本はある　『スマホを落としただけなのに』

  【店内全品5倍】スマホを落としただけなのに／志駕晃【3000円以上送料無料】価格：702円（税込、送料別) (2018/12/29時点)楽天で購入　2018年も今日を含めてあと3日。寒波が来ていて用事が足せませんね。今年はあたたかいから油断していました。バタバタしていたら週刊文春ミステリーもチェックしていない！！という有様です。ああ、1年に一度この時期に出版される本も調べていない。。。　さて、私は40代後半。この年齢の者は多かれ少なかれ、年長者から「本は買って読まなければ身につかない」と言われて育ちました。私は小学校3年生からその教えを守り、お小遣い、お年玉で本を買っていたものです。ですが、年を取るに従い、「いや、これは買わなくていいだろ」と思う本が増えてきました。娯楽本を下に見ているとか、そんなことではありません。私は恩田陸とか東野圭吾とか好きですし、持っています。本棚でカズオ・イシグロとかロマン・ロランと共に並んでいますよ。でも、そういうことではなく雑な本が出版社の宣伝や映画化で話題になって売られている―。そんな本は買わなくてよろしい、と勝手に思っています。パートに出て、新潟なら飲食店系・お役所系でやっと８００円超える時給。私が2014年にしていたお仕事は時給７５０円。 （最近はどこも賃上げしましたが 2014年は本当にそんな風でした。）その一時間の労働に見合った本か？？？？考えてしまうものはありますね。　そんな一冊です。志駕晃『スマホを落としただけなのに』まず、タイトルでのけぞってしまい、先にブログで書いてしまいました。北川景子主演で映画化というので話題になって原作をＡｍａｚｏｎでチェックしたところ、賛否両論なので図書館に予約を入れました。《あらすじ》　稲葉麻美は20代後半、美人の派遣ＯＬ。ある日、恋人　富田誠のスマホに電話すると出たのは知らない、ハスキーボイスの男性。どうやら、富田はスマホを落とし、それをこの男性が拾ったらしい―。稲葉麻美は富田の代わりにスマホを取り戻しますが、それから彼女の周囲で不穏な出来事が続きます―。なんとスマホを拾った男は異常性格者で犯罪者。スマホに入っていた稲葉麻美の画像を見て一目惚れといえば聞こえがいいですが劣情を催し、彼女を自分のものにすべく画策します。　以下、恒例のネタバレを含む感想というか突っ込み。未読の方、映画を楽しみたい方はスルーして下さい。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊まず、驚いたこと。富田は一流企業にお勤めの男性なのにスマホがiphoneじゃないんかい！！！！！今時、中学生でもiphoneじゃなきゃ持たないらしいぞ。いや、iphoneじゃなくてもいいけれど、（もっと高い上級機種ありますし）指紋認証はつけよう。そしてパスコードも同時に入力しよう。（というか、この主人公、は物語の終盤ではiphoneを購入しているんですよね。。。。最初からそうしたら。。。）このお話、「スマホを落としただけ」でこんな恐怖が、、、という主旨だと身につまされて怖いんですが、そうじゃないんです。●指紋認証をしていない●パスワードが簡単●スマホに自分の恋人の○○画像を入れていた●ＳＮＳでプライバシー公開しすぎ●ＳＮＳでつながっている友人達のセキュリティ意識が低すぎ●主人公二人とも依存心が強くて他人にものを頼みすぎ●登場人物がみな若い設定なのにネットでニュース見ていなさすぎフィッシング詐欺のニュースやダイレクトメールは誰でも見ているよね？　上記の項目が当てはまる人しか怖くないのでは？？？なので大半の人はイライラすること請け合い。　それから稲葉・富田の動きと交互に連続女性殺害事件を追う警察の動きが書かれているのですがその描写が、、、、驚きました。捜査中に刑事が、この犯人は分裂型か秩序型か？？？？何年前のプロファイリング知識？？？25年は前だぞ！！！久しぶりに聞いたわ。。今でも概念は使われているとは思うけれどそれは現場の人間が考えることではなくてもっと上の方が、捜査方針を決めるときに使うことじゃないの？？？　このお話、後半に行くほど生臭いというかドロドロになってくる＆下品になってきます。なのでちょっと耐えられない人はいるんじゃないでしょうか。特に女性。まあ、犯人が稲葉麻美を狙っているのでどう考えても上品にはならないでしょうが、、、。そう考えると海外（特にスウェーデンやアメリカ）ミステリーの作家達は文章や構成でその点をしっかりクリアしていますね。はあ、、、、久しぶりに読んで疲れた本でした。この作者、ディテールが弱いだけではなく文章も雑で、1行ごとに「むしろ」という言葉が出てきてこっちが驚いてページを間違えた？？と繰り直したり。。。出版社はしっかり添削・校正して売りに出して欲しい、と痛感した作品でした。これは借りて読む本ですね。

  2018.12.29

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  年末恒例　ミステリーベスト１０に懐かしい名前！！　原りょう

  それまでの明日 [ 原　りょう ]価格：1944円（税込、送料無料) (2018/12/14時点)　さて、今年も残すところあとわずか。年末は恒例のミステリーベスト１０がありますね。老舗は週刊文春。本格やこのミスなどいろいろなランキングが出てきます。昔はこの時期だけ雑誌を購入していましたが今はネットで調べています。『週刊文春』が本当に面白かったのはうん十年も前の話ですからね。今は買う気ゼロ。さて、第1位が『沈黙のパレード』。はいはい、でしょうね～。若竹七海もランクイン。それ以外にもよく見かけるお名前がちらほら。と思っていたら二度見してしまいました。原りょう（楽天では表示できない漢字）！！！！！！！！！！！えっ！嘘っ！！もう、作家はやめたんだとばかり。。。調べたら14年ぶりの新作！！！すごい！！！まあ、昔からすこぶる効率がいい作家さんで出せば賞を獲る！しかもめちゃくちゃ面白い！！含蓄があって余韻があって、結構、いつまでも覚えているんですよね。私は結婚するまで手当たり次第ミステリーを読んでいたときがあって古今東西の名作はもとより、週刊文春ミステリーベスト１０の作品は入手可能なものは殆ど読んだくちです。話題になったものも読むので一ヶ月に20冊読んでいたことも。平凡な作品であれば読んだことすら忘れる始末ですが、なぜか、、、この方の作品は全て情景や空気を覚えていますね。日本のハードボイルドは無理なものが多いのですがこの方の作品はちょっと独特なリアリティーがあって○。うわあ、、、、戻ってきたんだ。嬉しいな。とりあえず、ぽちっとな。

  2018.12.14

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  ガリレオ再始動　『沈黙のパレード』が面白い

  沈黙のパレード [ 東野 圭吾 ]価格：1836円（税込、送料無料) (2018/12/2時点)楽天で購入　これ、久しぶりに面白かったです。東野圭吾の新刊　『沈黙のパレード』。ガリレオシリーズの最新刊になります。私は東野圭吾作品にはいくつか好きなシリーズがありますが、一番はやっぱりガリレオシリーズ。特に初期の短編集がいいですね。クールで、「いかに犯行を行ったか」に焦点が絞られていて。ドラマ化されたことで軟派なイメージがついたかもしれませんが原作はいたって硬派な作り。　さて、今回はアガサ・クリスティのミステリーを彷彿とさせます。近年、よくある本歌取り？と思いきや、様々な仕掛けが張り巡らされていてよかったです。　（あらすじ）　定食屋「なみきや」の看板娘が3年前に行方不明になります。19才の少女は歌が抜群に上手く、容姿端麗。彼女の才能に惚れ込んだ専門家に鍛えられ、歌手デビューを目前にしていました。何も分からぬまま月日が流れ、ある日、遠く離れた静岡県で放火事件があり、火災現場から2体の白骨死体が出てきます。そのうちひとつが行方不明になった少女のものと判明。容疑者が捕まるものの、その男は黙秘を貫きます。証拠不十分で不起訴―。容疑者は23年前にも12才の少女殺害事件で疑いをかけられた男。司法に絶望した遺族やその友人達、少女を大切に思っていた人達がある計画を立てますが、、、、。　　作品中、実在の事件を思い起こさせるものがあります。1980年代、日本で起きた容疑者が完全黙秘して無罪放免になった事件です。ご遺族は納得が行きませんよね。。私ももし、自分の身内にこんな事が起こったらやりきれないと思います。司法制度に対する怒りや自白を重視する日本の警察に対する疑問、遺族の思いが作品に深みを与えています。ストレートな復讐劇かと思いきや二転三転するストーリー。重いテーマを扱っているにもかかわらず読後感がさわやか。さすが、プロのお仕事。楽しめました。

  2018.12.02

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  やっぱり上手い　東野圭吾　『沈黙のパレード』

  沈黙のパレード [ 東野 圭吾 ]価格：1836円（税込、送料無料) (2018/11/30時点)楽天で購入　最近、ちょっと読書離れしていました。暑い時期はつい、本から離れるんですよ。今年は特に、夏に実家へ帰っていたので仕事・雑用がたまっていて9月からバタバタ。で、娯楽本もままならず、歴史系の本も積んでいるだけになっていました。昨夜から東野圭吾の新作『沈黙のパレード』を読み始めたのですがうーん、やっぱり上手い。導入部分から引き込まれます。何気ない日常の一齣から感情移入できる―。文章の呼吸というか、行間というか、いいですね。東野圭吾は理系でドライな印象ですが文章の余韻については本当にプロ。好きですね、この方の文体。　作品の当たり外れが激しいから新刊が出ても飛びつかない、と私の周囲では言われていますが、いやいやいやいや、、、、あなたたち島田荘司の、気を抜いた作品を読んだことあるのか？？宮部みゆきのちょっとあれな作品は？そもそも、昔の新本格推理　若手作家の作品は？？一定のレベルは保っていますよ、東野圭吾。まだ、途中なので読み終わったら感想をアップします。

  2018.11.30

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  読んでみた！　降田天『彼女はもどらない』はイヤミス？

  彼女はもどらない （宝島社文庫　このミス大賞） [ 降田天 ]価格：691円（税込、送料無料) (2018/10/24時点)　先日、『スマホを落としただけなのに』というびっくりタイトルの本を検索していたら引っかかってきたのがこの本。降田天　『彼女はもどらない』なんでも「このミステリーがすごい！」大賞を受賞した作家さんの受賞後第一作だとか。私はミステリー好きですがあまりこの賞には詳しくないので知りませんでした。ａｍａｚｏｎで割と高評価だったので図書館で借りて読みました。確かに引き込まれます。続きが気になってページを繰る手が止まらないタイプの本。ですが、登場人物、誰も好きになれない―。チクチクといやな感じがまとわりついてきてそれでも読んでしまう。これ、多分、イヤミス？？湊かなえとか最近だと『ルビンの壺が割れた』とか。　明るい、さわやかな読後感を求めて読むものではないですね。《あらすじ》　綾野楓は子供向け雑誌『ヒロイン』の編集者。ある日、広告の小冊子に書いてあった謳い文句で炎上してしまいます。彼女が書いたわけではないのですが目が行き届かなかった、ということで責任を取らされます。担当を外されるんですね。その後、舞い込んできた１００円均一の素材で子供用コスプレ衣装を作る親御さんたちについての企画。その第一人者といわれる「ソラパパ」ブログを知るのですが楓は娘のために必死で衣装を作る父親に懐疑的。「自己満足では？」「本当に娘さんを愛しているの？」とうがった見方をします。ちょうど、クレームで疲れていたこともあり、つい、「ソラパパ」のブログに批判的な意見を書き込んでしまいます。それから始まるネットストーカー、身近に迫る嫌がらせ。一体、犯人は？？？です。さて、あとは恒例のネタバレを含む感想。未読の方はご注意下さい。また、この本はこれくらいのあらすじだけ頭に入れて読んだ方がいい内容です。気になっている方はここでやめて下さいね。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　もともと、独善的でちょっとカリカリしている綾野楓。夫とセキセイインコのポムとマンションで暮らしています。子供は「作らない」主義。有能だけれど自分で「意識高い系」的なＳＮＳ発信をしています。一方、「ソラパパ」こと棚島は妻が事故（？）で意識不明・寝たきりになっていて一人娘を遠くで暮らす妹と母親に任せている国家公務員。ブログを見ていると「娘の衣装作りに頑張っているほのぼのパパ」ですが、かなりプライドが高く、やられたらやり返すタイプ。中盤までこの二人のネットバトル、に見えます。楓は「ソラパパ」とグルメサイトに投稿の「みーパパ」が同一人物だと察し、それを揶揄する書き込みをします。一方、棚島は言葉遣いやハンドルネームから楓の過去日記やＳＮＳを発見。それを無記名掲示板に曝しあげます。　その後、楓の周辺に起こる嫌がらせ。ストーカー？実際にマンションでゴミが荒らされたり、カラスの死体が出たり。誰？？そして、楓のもとには時々、愛人をナイフで刺して服役した母親から電話がかかってきますが、母親と楓の過去に何が？？こんな感じです。楓が「ソラパパ」と「みーパパ」を同一人物では、と突き止めるくだりは理解出来るんです。結構、日付を追っていけば「あれ？この人どこかで、、、」ってありますから。でも、棚島が楓の過去日記とＳＮＳを見つけるところ、こんなにうまく行くかな？と思いました。実は私は夫が元部下からもらった「ブログをしているので見て下さい。これ、アドレスです。」という紙をなくしてしまったために探したことあるんです。他人様のブログ。軽く考えていました。20代の女性、住んでいる都道府県、ペットの種類と名前、彼女の趣味、つけそうなハンドルネームが分かっていたんです。簡単だよね、とタカをくくっていました。結果　→　無理でした日本って広い！　人口多い！って初めて思いましたよ。まあ、沢山出てきました。彼女と同じ種類のペット、同じ名前をつけている20代女性のブログがわんさか。地域を絞っても駄目だったですよ。なのでこのあたりはうーん、、、、、、でしたね。(ついでに書きますが、友人のTwitterを教えてもらったとき、アカウント名だけだと同じものが山ほどあってこれも駄目。結局、本人にアカウントアドレスを教えてもらいました。妹のFacebook、本名だからいいと思ったら同姓同名がこれも何百人。夫と同姓同名の人はFacebookに何十人もいることが判明しました。）そして、実は綾野楓の夫　悟と棚島が同一人物。楓は実は妻ではなく「愛人」だったと分かるところは確かに驚きましたけど、はあ？？？？？この物語は30人くらいの村人で構成されているのか？と思いましたね。○○の○○が実は○○の○○で、、、、、、が多すぎ！！！！！！！！！！！！楓に子供のコスプレ企画を持ち込んだ人が実は悟の知り合いで彼の妻　深雪に横恋慕していて、、、、ってうーん、、、。人間関係、こみ入りすぎ。小説は現実より「偶然」を減らさなければリアリティがないと言われるんです。芥川龍之介も言っているでしょ！彼もミステリー書いているからね。（谷崎潤一郎などあの頃の作家は探偵小説好きなんです。）結果、残念なことにＳＮＳの投稿くらいで人間の全てが分かるわけではない揶揄されている日記が魂の叫びである場合があるという重たいテーマがかすんでしまっています。また、棚島の人物造型、その妻　深雪のキャラクターなど今までにないものがあっただけにもったいない印象。確かに驚かされましたし、半日で読み終わるほど没頭出来ましたがなんかなあ、、、、な一冊でした。

  2018.10.24

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  おすすめの本　『アトピービジネス』　古いですけど、、、

  【中古】 アトピービジネス / 竹原 和彦 / 文藝春秋 [新書]【ネコポス発送】価格：279円（税込、送料別) (2018/9/25時点)　ちょっと前、Twitterを閲覧していたらいわゆる「パクツイ」（他人のネタを頂戴したツイート。なんのために？）でアトピー性皮膚炎の事が上がっていました。私は昭和40年代生まれ。私の１０代２０代の頃に比べたら重症のアトピー患者さんは激減している、と思っていました。まず、大学病院に行っても一目でわかる患者さんが少ないですから。昔はそれこそ、シーツを被って来院する患者さん、救急窓口を使う患者さん、沢山いらっしゃいました。それでも、そのパクツイを本物と信じている人々のコメントは、、、大変そうでした。うーん、、、やっぱり大変な病気ですよね。命に別状ないってよく言われますが、書いていいのかな？私が一番ひどいときには何度も○殺考えました。それくらいきついですし、周囲から理解されませんし、心ない通行人から揶揄を浴びせられることもありました。（中には教師もいましたからね。）まだまだ、、、、治療は課題が山積みですね。アレルギー。かく言う私も季節の変わり目はきついです。さて、そんなわけで改めて古い本ですが紹介します。人の弱みにつけ込む悪人はどこにでもいます。その歴史を知る上でも上記の本はいいのではないでしょうか？著者の「意見」ですから効果があっても治療費がかかりすぎるもの（私がこのブログで紹介しているニワナも。）が含まれていますがそりゃそうだ、と私も思います。あとね、メディアは本当にいい加減。この本に出ている某関西の医者なんてメディアは何度も取り上げていました。で、嘘だと分かっても訂正しないんです。私がマスメディアを信用していない理由は山ほどありますが、これもその一つ。図書館に入っている地域の方はそちらでどうぞ。ちなみに私のアトピー改善に効果があったものは●徹底的な掃除●衣類は出来る限りコットン１００％●寝具はカバー類をこまめに交換、洗濯●肌にやさしい無添加洗剤で洗濯●純日本的な食事・時々油少なめのイタリアン●肉・乳製品・卵の禁止●体に合った薬　（今は製造中止されたトリルダン。別に悪い薬では　　　　　　　　　ありませんでした。配合禁忌があれだっただけで）●適度な運動●ストレスは発散させるこの順番です。

  2018.09.25

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  これは拾い物♪　永嶋恵美『あなたの恋人、強奪します』

  あなたの恋人、強奪します。　新装版／永嶋恵美【3000円以上送料無料】価格：691円（税込、送料別) (2018/9/21時点)　先日、久しぶりに書店へ行きました。普段はネット書店で本を購入しています。ですが、夫が趣味の買い物をしている間時間潰しに入ったＴＵＴＡＹＡ、結構　頑張っていて店員さん達の努力を感じました。さて、上の本、永嶋恵美　『あなたの恋人、強奪します』サブタイトルは「泥棒猫ヒナコの事件簿」。トルストイやプルースト、水上勉や松本清張やトマス・Ｈ・クックやカズオ･イシグロをすすめてきたブログとしてはなんやそれ！でしょうが拾い物でした。もともと、時々軽いコージーミステリーは読む方なのです。文学書や社会派推理小説、イヤミスって疲れますしね。時には善人が出てきて読後感が爽快な物もいいわーという気分の時にはおすすめ。可愛くライトな表紙に騙されてはいけません。作者はベテラン作家。2010年に出版されたものを表紙をリニューアルして再版したんですね。これは正解だと思います。中身と表紙がぴったり合っています。私は最近の「文学書の表紙を人気漫画家が描いたら売れた」みたいな風潮は？？？？ですが娯楽書は表紙を考えないとね。そもそも、インパクトがあって興味を持ってもらわないと話が進みませんから。かく言う私もこの表紙の衝撃と帯（あなたは彼女に惚れない自信ありますか？）に釣られて「漫画じゃあるまいし、、、、」と思いつつも家に帰ってネット検索。試し読みして購入してしまいましたから。　さて、内容は軽いミステリーです。ヒロインは自称「泥棒猫」皆実雛子。別れたいけど、いろいろな理由で別れられないカップルをきれいに別離させるのがお仕事。手付け金は1万円、成功報酬10万円、いろいろオプションあり。その昔、某女性誌に『離婚時代』という男女ペアの「別れさせ屋」を描いた漫画がありましたがそれとは違って女性だけ、をお客様にしています。　魅力的なヒロインが彼氏なり配偶者なりを誘惑して、、、ってすぐにネタがつきそうじゃない？と思いますが様々な趣向が凝らしてあって飽きさせません。そもそも、頼まれていないのに関係者の背後関係を探ったり、人助けをしたり、してしまいますから。この作品、何がいいってこんなタイトルなのに女性が女性の敵になっていないところ。私、これが好きなんです。イヤミスってよく女性の敵は女性みたいなラストになるじゃないですか。ですが、私はそこそこ長く生きてきて周囲の女友達はみんな義理堅くていい人達だし、人を貶めたり、ねたんだりしない。感情が淡々としていて日々暮らしていくのに精一杯。気持ちよくお付き合いをさせてもらって数十年、という人ばかり。ドラマや小説の中にあるような女同士のバトルっていうものに懐疑的なんです。（いえ、姉妹が多いので実例は知っていますが、そもそも会社内部とかだと男性同士の方が足の引っ張り合い、マウンティングはひどいと思っています。）勿論、現代ミステリーなので嫌な人は出てきますが前向きで明るいラストがいいな、と思いました。女性同士が助け合うってスタンスも○。続編もポチッとな、としてしまいました。願わくばこの本が売れてシリーズが続きますように。

  2018.09.21

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  面白かった変化球　読書漫画　『バーナード嬢曰く。』

  バーナード嬢曰く。 （IDコミックス　REXコミックス） [ 施川ユウキ ]価格：668円（税込、送料無料) (2018/9/9時点)　最近、なかなか外出できません。鬱憤がたまっていたときにａｍａｚｏｎのKindlestoreから「今なら読み放題が一ヶ月無料」とのお知らせ。（ａｍａｚｏｎは不親切なのでメールは来ません。ホームページに行くかtwitterで知るかです）迷わず申し込みました。ａｍａｚｏｎの「プライム会員無料お試し」はついつい、忘れて自動契約してしまうことがありますが、こちらはＯＫ。前に一度、お試ししたことがありますが無事に解約できています。結果　　→　前回に比べて格段に読み応えのあるラインナップ。今回は一ヶ月９８０円払う価値があると思います。まあ、、、もし私が入院していたら速攻で契約。そして満足していたでしょう。今回、私が読んで満足したもの●高木彬光の代表作殆ど●フリージングの本●森園みるくの漫画●カマタミワの漫画そして、これ。『バーナード嬢曰く。』勿論、お試しなので1巻しか読めませんが、これは紙の本で読むのが正解だと思うのでまあいいや。特に読書家におすすめです。読書をテーマにした小説や漫画、ラノベは沢山ありますが、これはちょっと変化球。なんといっても主人公の女子高生　町田さわ子　（自称　バーナード嬢）は読書家ではないんです。エセ読書家。（だからこそ、バーナード･ショーをもじって自称「バーナード嬢」。ショーとジョーを読み間違えていたという）名言集だけを読んで日常生活で使いたがるけれど解釈が間違っていたり、自己流に曲解したり。読書しないのに図書館にいて周囲から「読書家」と見られたいと思っているずぼらな女子。周囲に本に詳しい高校生を数名、配置していてその掛け合いが何とも面白いです。　私は中学から大学まで女子校で小学校から中学まで図書委員をしていましたが、美人で巨乳の読書家なんていないんですよ。いえ、別に某ラノベにケチをつけるわけではなくてあれはあれで好きですけど。実際の読書家はこの漫画に出てくる、主人公の周囲にいる子たちみたい。遠藤くんとかＳＦ大好き神林しおりとか地味な図書委員の女の子とかこんな感じ。ちょっとひねているというか斜め上の視点を持っているというか。クラスではおとなしくて存在感ほとんどゼロ。そうして内輪でのみ通じる読書ネタで盛り上がるんです。いいなあ、この感じ。ところどころ、小ネタや脚注がついていて読みたい本が増えること請け合い。これは紙の本で揃えたいですね。私のKindleは一応、漫画が読めるタイプですが以前にも書いたように画面が小さいんです。この漫画のような小さなコマ割、小さな文字には不向き。だからといって電子書籍を読むためだけにスマホが買える金額の端末を買う気にはなれず。。。。本棚の容量を考えると欲しいことは欲しいのですが高すぎ。もうちょと安くなるか、ソフト面が充実するまで待つつもりです。　話がそれましたがこれは久しぶりにいい漫画ですね。最近、今市子、よしながふみ、かわぐちかいじしか読んでなかったので新鮮。

  2018.09.09

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  今、高木彬光を読み直す　やっぱりすごい『刺青殺人事件』

  刺青殺人事件〜新装版〜【電子書籍】[ 高木彬光 ]価格：756円 (2018/8/18時点)　今、高木彬光を読み返しています。なぜかと申しますとちょっと長くなりますが、、、Ａｍａｚｏｎ　プライムビデオで夫が『白昼の死角』を観たんですね。これが冗漫で、、、。昔の角川映画らしく高木彬光ご本人も出演。いろいろとサプライズはありましたが映画としては不出来でした。さて、高木彬光を知らなかった夫から次のようにいわれました。夫；「だれ、これ？知らない」私；「有名な推理小説作家だよ」夫；「こんなにつまらないのに、、、、」私；「だからね、何度も言うように映画と作品は別物。　　　一時は横溝正史とも肩を並べるといわれていたんだから」夫；「でも、、、」私；「読んでいないのにつべこべ言わないの！！！」　そうなんです。高木彬光作品は何度か映像化されていますが、どれもイマイチ。特に2時間ドラマなんて原型すらとどめていません。興味のある方はぜひ、原作を手に取ってみて下さい。一時期は入手困難でしたが最近は電子書籍があるので出版社がリスクを負わずに古い作品を販売することが可能。そのため、未読の作品を読むことが出来ます。ありがたい。　さて、そんな高木彬光の作品で何がいいかといいますとやっぱり『刺青殺人事件』次は『人形はなぜ殺される』ですかね。私個人の感想ですが。特に前者は人間の心理的な盲点を突くトリックが秀逸です。古い時代の小説なのでやや女性の描写が紋切り型だったり、人間の描き分けが甘かったりしますが、欠点を補ってあまりあるオリジナリティがいいですね。　現在でも影響を残している作家。ドイツ映画で日本の刺青を扱ったものがありましたが、「ああ、『刺青殺人事件』にインスパイアされたの？」って思いましたもん。

  2018.08.18

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  西郷隆盛を知るには、、、倉山満『工作員　西郷隆盛』

  工作員・西郷隆盛 謀略の幕末維新史【電子書籍】[ 倉山満 ]価格：756円 (2018/8/5時点)　２０１８年の大河ドラマは『西郷どん』。林真理子　原作。私の実家にはテレビがあり、ＮＨＫと契約しているので観ているのですがどうも視聴率は西高東低の冬型気圧配置を思わせる数字だとか。その一因は言葉の分かりにくさ。私は福岡生まれ・福岡育ちで鹿児島出身の友人がいますから8割は分かるのですが、、、、、所々難しいです。新潟に住んでいるので分かるのですが本州以北の人には理解できないのでは？これを字幕なしで観せるってＮＨＫ、、、。視聴者のことなんて考えていませんね。字幕が付いたのは奄美大島の登場人物が話す言葉のみだそうです。　それから、史実とは全く違う部分があるのはドラマとして当然ですが、それがうまく生かされていません。　うーん、俳優や女優ががんばっているだけに残念。さて、本当の西郷隆盛に興味がおありの方には上の本をおすすめいたします。　西郷隆盛の「実際の」人物像や周囲の人々についての客観的な評価、歴史的な意味が考察してあって非常におもしろかったです。西郷隆盛が明治維新の前にはめざましい活躍をしたのに人生の後半が、、、、、だったことの理由が理解できる一冊でした。『西郷どん』で細部が描かれていない点、謎に思う点もこの本で幾分、解消されます。例えば、島で監禁生活を送っていた時、排泄・衛生はどうだったのか？など。お茶の間には流せないでしょうが、のちに西郷隆盛の遺体見分にあって、この時に負った身体的特徴が目印になったというから重要です。

  2018.08.05

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  現代的な、あまりに現代的な　直木賞受賞作『ファーストラヴ』に思うこと

  ファーストラヴ [ 島本 理生 ]価格：1728円（税込、送料無料) (2018/7/20時点)　昨日、購入して一気読みした本です。島本理生の『ファーストラヴ』。直木賞受賞作です。島本理生の作品は以前紹介した『ナラタージュ』だけ既読。上手いな、と思った作家さんです。（特に人物紹介の処理の仕方は秀逸でした）１８才でデビューしているらしいので今年３５才で直木賞でもベテラン。最近はベテランばかりが受賞しているという傾向をそのまま引き継いでいますね。《あらすじ》美人女子大生　聖山環菜（ひじりやまかんな）が美術講師の父親を刺殺。警察に逮捕されたとき、彼女は「動機はみつけてほしい」とつぶやいたとか。１児の母である臨床心理士　真壁由紀は出版社から彼女の本を書くように依頼されます。義弟で弁護士の庵野迦葉（あんのかしょう）と彼女の動機を探るべく、乗り出しますが、、、、、。　主要登場人物は真壁由紀とその夫　我聞、その息子　正親義弟で弁護士の庵野迦葉、加害者である聖山環菜とその母親です。以下、恒例のネタバレを含みます。未読の方はご注意下さい。本はなんの前知識もなく読んだ方が楽しめます。前回　受賞作　佐藤正午『月の満ちかけ』ほどではないですが、まっさらな状態で読んだ方がいいです。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　まず、美人女子大生が美術講師・画家の父親を殺害というと『高校教師』とか『カル』とか思い出しませんか？そうです。美しい娘に執着して虐待を加えた父親が返り討ちに遭うという、、、。これはさらっとかわされます。環菜の父親は実は義父。美人の母親が他の男性との間に作った子供。義父はそれを知りながら「君の子供ならきっときれいに違いない。もったいないから産みなさい」と説得して出産、戸籍に入れた訳です。これで義理の娘を女性として見てしまうというパターンはありますが、この作品ではそれもありません。愛情がなかった義父は環菜に厳しく当たります。母親は他の男性との子供ごと面倒を見てもらっているのですから義父のいいなり。娘のことを全く考えずに生きているんですね。この作品の新しいところはいろいろな形の「虐待」がある、、、と提示しているところ。たしかに、なかなか被害者の心情が理解されにくいですが様々な「性的虐待」はありますよね。。。。環菜は父親から「子供のモデルは手配できにくいから」という理由でデッサン教室のモデルを務めていたんです。着衣ですが、全裸の男性モデルと背中合わせで。それを生徒（全員男性）が黙々とデッサンしていたんですね。これは、、、、異常です。（私は実際に絵画モデルをしていた女性を知っていますが、女性が精神的な苦痛やセクハラを受けないように派遣する会社は神経を使っていたそうです。）いくら「娘」でも完全にもの扱い。そして教室の中には不真面目な生徒もいたようで。。。。ローティーンだった彼女を性的な目で見たり、実際に誘ったり。いつも母親と義父の顔色を見てびくびくしていた環菜は人に「いや」と言えず、我慢して笑いながら生活していたんです。そして耐えきれずにリストカット。このあたりがよく描けていますので実際に読んでみて下さい。　主人公　真壁由紀と庵野迦葉も辛い家族経験を抱えていて被害者に対し距離を保ちながらも見守っていくというのがリアルでした。真壁由紀・我聞・迦葉のちょっと陰がある三角関係が作品に深みを与えていますね。読んで損はない作品だと思います。ただ、、、、力量のある作家さんの作品だからこそ言いたいことはあります。私は少女漫画は好きですが（萩尾望都・山岸涼子・木原敏江・佐藤史緒・明智抄など偏っていますが。下手な文学作品よりいいものがあるのは確かです。）あまりにも少女漫画的だなあ、、、と思いました。それは近年の直木賞受賞作に言えることで桜庭一樹『私の男』も然り。いかにも女性が喜びそうな設定、凝った名前。登場人物の名前が「迦葉」って。。。。いえ、仏教用語というか仏弟子の名前だと言うことは作中でも説明されていますよ？一族で男子の名前が「我聞」と「迦葉」。熱心な仏教徒といわればそれまでですが、これ、佐野洋がご存命であれば『推理日記』で突っ込んでいますよ。「迦葉」の「迦」の字が人名に使えるようになったのは２００４年９月２７日以降。（もしくは戦前）なのでこの作品に出てくる３０代後半の登場人物はなんだ？？？？と。この手の難読人名が数多く出現するのは少女漫画にありがちなこと。最近は小説でもよくありますが、言葉や漢字に敏感な読者からすると退きます。。これが現代の風潮なんですかね。。私のような中年読者にはちょっとついていけません。　また、主人公の夫　真壁我聞。長身でイケメンの元報道カメラマン。今は主人公の仕事を支えるために家事･育児をこなしている妻の過去にもやたらと理解のある夫。それを喜んで見守る義理の両親。ありえんだろ！！！！！！！！！！！！！！！！　この作品を読んでいると男性の醜悪な部分を受け止めているのが聖山環菜、理想的な夢を体現しているのが真壁由紀と思えてくるんですよね。。。なんだか、予定調和というかご都合主義のいうか。。これもスルーするのが礼儀？？それが現代？？リアリティを犠牲にしても女性読者に気持ちよく読んでもらおう、とか？？私には理解不可能。まあ松本清張の『けものみち』みたいに全て女性に業を背負わせるのもいやですが。もう少しビターテイストでもいいんじゃないかなあ。娯楽小説に目くじらを立てるな、といわれればそれまでですが「虐待」という重いテーマを選び、成功しているだけに細部で首をひねらざるを得ない一冊でした。

  2018.07.20

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  思っていたより面白かったです　綿矢りさ『勝手にふるえてろ』

  勝手にふるえてろ【電子書籍】[ 綿矢りさ ]価格：494円 (2018/7/4時点)　久しぶりの更新です。ちょっと事情があって外に出ていたもので、、、、、。史上最年少で芥川賞を受賞した綿矢りさの作品、今まで読んだことはなかったんです。出版不況といわれる昨今（とはいえベストセラーを量産している出版社はあります）とにかく話題作り先行の文学賞。特に芥川賞・直木賞は文藝春秋社のお手盛りと揶揄されていた時代がありました。私が２０代の頃から「今は芥川賞をとるより、直木賞をとる方が名誉」と言われていました。受賞後、長く続けられる・いい作品を書き続けられる作家は直木賞の受賞作家が多いからという理由です。私も、好きな作家が直木賞をとることが多いので納得。あまり芥川賞に興味がなかったんです。　前置きは長くなりましたが、この本、割と面白かったです。『勝手にふるえてろ』　オタクで中学生の初恋を引きずっているヒロインが自分を慕う会社の同僚と理想との間で揺れ動く一風変わったラブストーリー。ストーリー自体より描写やユーモア感覚が面白くて一気読みしました。「ありがち」な話をいかにオリジナル要素を加えて読ませるか、のお手本のような小説。うーん、お若いのに上手いですね。　ラストには賛否両論あるようですが、私はヒロインが現実を受け入れていくという選択はいいと思いました。　ところでよく巷では「女性の恋は上書き保存、男性の恋はフォルダ保存」といいますが私の周囲では逆ですね。この小説のヒロインみたいに一番好きだった人を強く覚えている人が多いです。それは結婚をしても子供を産んでも消えることはなくてちょっと恐怖を感じることがあるくらいです。

  2018.07.04

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  久しぶりにミステリー。　ディヴァイン　『紙片は告発する』

  紙片は告発する （創元推理文庫） [ D・M・ディヴァイン ]価格：1188円（税込、送料無料) (2018/6/5時点)　私生活がバタバタしているので最近、あまり読書をしていません。正確に言えば不動産関係の本ばかり読んでいて文学書・娯楽書を読んでいませんでした。部屋には購入したまま、積まれた本の山が。。。ひとつひとつ片付けていかなければならないと思い、手に取りました。Ｄ・Ｍ・ディヴァインの『紙片は告発する』。１９７０年に書かれたものです。処女作をアガサ･クリスティに賞賛されたディヴァイン。人物描写が巧みです。私は『兄の殺人者』以来、殆ど読んでいます。確かに古いですが、読んでいて面白いんですよ。ミステリーのおもしろさというのは途中で犯人が分かっても関係ないんです。（整合性がとれている作品はミステリー愛読者には途中で分かって当然、という面があります）私は奇をてらった作品は、あまり好きではなく（それでも初期の島田荘司は面白かったです）人物描写が優れたものが好みですね。　この本、女性の描かれ方が良かったです。被害者で平凡なタイピストのルース、その姉のマーガレット、その友人で副書記官のジェニファー。　特にルースという人物が哀れで。。。外見は可愛いのに優秀な兄･姉の下で両親から期待されずに育ったルース。痩せていて（当時の価値観ではマイナス要因）存在感がありません。寄宿舎で教育を受けるもはかばかしい成績が上げられずにタイピストに。これも父親のコネです。職場ではみんなわかっているので彼女のスペル間違いを笑ったり、彼氏がいないことをからかったり。そんな彼女がある日、職場で燃やされている紙片を見つけてしまいます。日本のこの手のキャラクターなら黙ってしまっておくかもしれませんが、どうも欧米はいじめられっ子でも注目を浴びたがって墓穴を掘るパターンが多いです。ついつい職場で吹聴してしまい、命を落とす羽目になります。　この家族の対応とか父親の反応が非常にリアルで読んでいて辛くなりました。その分、快活な姉のマーガレットや優秀なキャリアウーマンのジェニファーが物語を救っています。　しかしまあ、70年代のイングランドはセクハラがひどいですね。ちょっと驚きました。　犯人は途中で分かったものの、登場人物に引っ張られて最後まで楽しめました。地味な題材でもいかに読ませるかのお手本的作品です。

  2018.06.05

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  気になっていた漫画を読んでみた　山本直樹　『レッド』全8巻

  レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ4巻【電子書籍】[ 山本直樹 ]価格：540円 (2018/5/7時点) 　連休が終わりましたね。 ほっと一息。 自営業出身だとどうも大型連休が苦手で、、。 マイナスのイメージしかありません。 で、外出したくないですし、 夫はインフルエンザでダウンしていたので 電子書籍で気になっていたものを読みあさっていました。 　今回は久しぶりに散財しました。 山本直樹の『レッド』全8巻と 続編の『レッド　最後の６０日　そしてあさま山荘へ』全４巻一気読み。 疲れました。 　1巻を読み終えた時点で Ｗｉｋｉｐｅｄｉａの登場人物紹介ページをプリントアウト。 その数　Ａ４の紙にして11枚。 これ、手元に置いて読んだ方がいいです。 　この作品は１９６９年から１９７２年の 日本共産党　神奈川委員会（劇中では革命者連盟） と赤軍派（劇中では赤色軍）が起こした事件を中心に描いてあります。 後半はこの二つのセクトが一緒になり 「連合赤軍」（劇中は赤色連盟）となってからの事件です。 登場人物の殆どにモデルがありますし、 ストーリーは9割　実際に起こったこと。（作者談） 彼らの日常生活から細かく描かれていて 説明が少ないです。 この時代に詳しい人でない限り 事前・事後にちょっとした勉強が必要になります。 2つの派閥の中でも 非合法と合法のメンバーでもめたり、 獄中組と獄外組で意見が対立したり、 対立が多くて、、、、面倒。 私は読み終えてからＹＯＵＴＵＢＥでいくつか動画を観たり、 本で調べたりしました。 （やっぱりテレビ番組は駄目ですね。 あまり踏み込んだ話が出来ないです） 　それにしても、、、わずか４６年前に こんな事が日本で起こっていたなんて、、、衝撃。 ハイジャック事件などは私が物心ついてからも ありましたが。。。 　今回、この作品を読んで 山本直樹は徹底的に調べているし、 年表を作ったり、現地に足を運んだり、 精力的に仕事をしたんだなあ、と感心しました。 　この作者はかなりリベラルな人だと思うのですが 連合赤軍や革マル、中核派の内ゲバや オウム真理教事件を通して 集団心理について考えるところがあったようです。 そこで新興宗教を題材にした『ビリーバース』を描き、 『レッド』を生み出すことになったということ。 読んでいて思ったのですが 事件発生直後から最近まで 悪魔化されてきた永田洋子（劇中では赤城）を「人間」として理解出来る地点まで 持ってくることがひとつの動機だったのかな、と。 ただの推察ですが。 彼女に関してはやたらと人間くさい描写が多くて その辺にいる体が弱くて独善的で感情的な女性、という印象を持ちました。 結構、流されやすい人。 　一方、赤軍リーダー格だった森恒夫（劇中は北盛夫）は カルト教祖っぽく描かれています。 　これほど登場人物が多い作品を描くのは 人間の描き分けが出来る漫画家にしかできません。 力作だな、、、と思いますね。 モデルに似せて描く努力が垣間見られるので 興味がある方は画像検索してみるといいと思います。 　「漫画作品」として白眉なのが 1巻の赤石が死ぬシーン、 あとは最初の同志殺人事件のシーンですかね。 後者はちょっと、、、頭に焼き付いて離れないです。 子供の頃に読んだら確実にトラウマ漫画館。 今まで数々の社会派作品や 文学作品を原作に描いたことのある著者ならではの作品。 　これ、同一主題の実写映画よりもずっとリアルで 深いので興味がある方にはおすすめです。

  2018.05.07

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  内容が濃すぎて購入することに、、長谷川熙『こんな朝日新聞に誰がした』

  こんな朝日新聞に誰がした？／長谷川煕／永栄潔【2500円以上送料無料】価格：993円（税込、送料別) (2018/3/24時点)　いや、面白い。めっちゃくちゃに面白い。こんなに面白い本を読んだのは『『週刊新潮』と『週刊文春』　闘うメディアの全内幕』以来、、ってつい最近ですが。このところ、内容が濃い本が沢山出ています。図書館で借りても、線を引きたくなって買うことしばしば。それにしてもこれはいいですよ。『こんな朝日新聞に誰がした』実は私は一度も朝日新聞を読んだことがありません。実家は書道をしている親戚に拝み倒されて毎日新聞をとっていたんです。でも、２５年前に紙面に怒って解約。以後、ずっと日経新聞でした。結婚後も日経新聞。特に日曜版が面白かったです。何でもランキング。生活のためになったんですよ。ですが、、、、、こちらも内容の劣化が激しく解約。いやあ、●流ドラマとか推されたらちょっとね、、、。　さて、私は１９７０年代生まれ。いつもストが起きるほど左傾化した時代だったんですが、中学・高校ともに社会や美術の教員は左派だったのですが、いわゆる「きれいな」左。なので「新聞は必ず２紙読むこと！　写真や見出しに騙されるな！」が口癖。特定の新聞を押しつけることは全くありませんでした。受験には朝日新聞の「天声人語」が出題されると聞いていてもみんなスルー。接する機会がなかったんです。　それが慰安婦誤報・吉田調書誤報があって日本語では一応、謝罪したものの海外版では訂正記事を出さず、日本を貶める記事ばかり量産しています。一体、社内はどうなっているの？？本当に知りたくて興味を持って読んでみました。するとさすがに以前は勤めたい企業ナンバーワンだった会社だけあって長谷川さんの知識が深い！！！この方は記者歴うん十年、朝日の名物記者だったんです。この本は対談形式ですが２人の朝日新聞OBが語り合っています。長谷川さん　　→　朝日新聞に批判的永栄さん　　　→　　好意的でバランスがいいと思います。長谷川さんは実は別の雑誌で記事を読んだことがあるんですが取材力と読書量が半端じゃないんです。もう、その辺の言論人とか蹴散らす勢い。その方がもし、ソ連のように●●●（楽天は厳しいから規制）が崩壊したら朝日新聞との関わりが明らかになる文書が出てくるかもしれない、、、といった見方をしていて怖かったです。まあ実際に新聞社にスパイが入っていたことがありますからね。恐ろしくも興味深い一冊でした。この方の本、全部読んでみたくなって図書館で取り寄せ。きっと全部買うことになるんでしょうね。。

  2018.03.24

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  激しく『ねじまき鳥クロニクル』な『騎士団長殺し』

  騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編 [ 村上 春樹 ]価格：1944円（税込、送料無料) (2018/3/13時点)　村上春樹の新作が1年以上経って手元に来ました。図書館から。　今回、あまり評判よくなかったのですが(前作も評判悪かったですが）まあ一応。　読んでいる間は面白いのですが既視感が半端ないです、はい。これ、、、、「ＴＶピーブル」と『ねじまき鳥クロニクル』を足して割ったような内容。所々、『海辺のカフカ』風味。よほどのファンでもない限り、買う必要はないですね。

  2018.03.13

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  １００％植物性のパン　白崎裕子のレシピがすごい！

  白崎茶会のかんたんパンレシピ [ 白崎裕子 ]価格：1512円（税込、送料無料) (2018/2/27時点)　最近、白崎裕子さんの本にはまっています。材料を揃えると使い切った方がいいですし、この方の本は割と同じ原材料を使うレシピが多いので楽しめます。　この方も昔はレシピに「オーガニックショートニング」なんて書いていた日があったのですが、今はココウェルのオイルがあるからでしょうか、本当にヘルシーなレシピに仕上がっています。私は時々、グルテンフリーにしているので『へたおやつ』『白崎茶会のあたらしいおやつ』『秘密のストックレシピ』の順で愛用しています。この本もいいですよ。『白崎茶会のかんたんパンレシピ』。小麦粉を使いますが、強力粉･薄力粉・はちみつ・メープルシロップ、豆乳、オイルで出来るから安全。（小さなお子さんにははちみつＮＧなのでメープルシロップ代用あり）書いてある通りに材料を練って、ポリ袋に入れて野菜室で発酵。食べたいときに好きな形にして二次発酵　→　焼くのでいつでも出来たて。私はロールパンと丸パンを作ってみました。家に自家製オレンジピールが沢山あるのでオレンジピール入り。美味しかったです。　最近、デパートで購入してもきちんと中身の生地がロールしているロールパンを売っていません。昔はこんなではありませんでした。私の親はなぜか？やたらとパンにうるさい人で１週間分、まとめて福岡の老舗パン屋で購入し、冷凍して食べていました。もう、４０年以上前のお話。その老舗のパン屋も今はなく、お弟子さんたちがそれぞれのお店で作っていますけどロールパンは師匠に及んでいません。残念。自分でロールパンを作ると中がしっかりくるくるっとしていていいです。これに１００％植物性の発酵バターをつけると美味。パンについてはもっと詳しい本を読んだ方がいいのかな？と思いますが普通のパンレシピってショートニングやスキムミルク、バター、卵がてんこ盛りですからね。未だにこれ、という本は探し切れていません。なので、今はこれで充分。

  2018.02.27

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  とにかく復帰おめでとうございます。森園みるくさん、頑張って下さい。

  まんがグリム童話　クレオパトラ氷の微笑　1巻【電子書籍】[ 森園みるく ]価格：648円 (2018/2/25時点)　昨日、ＡｍａｚｏｎのKindleショップでコミックを買いました。森園みるくの『私の夫はある日突然殺された』。２０１０年７月、漫画家の森園みるくさんのご主人でライターの村崎百郎さんがご自宅で殺害されるという痛ましい事件が起きました。　このニュース、本当にショックでした。私は当時、村崎百郎さんと唐沢俊一さんのネット談話『社会派くんがいく！』を読んでいたんです。結婚してバタバタして三面記事を読まなくなって、テレビがない生活をしている者としては１ヶ月の三面記事を総まとめにしたような内容がありがたかったです。　村崎･唐沢両氏はご自分たちのことを「鬼畜」「電波」「オタク」と散々に卑下していましたが、真っ当な考察や変わった角度からのツッコミが新鮮でした。　そんな中でこのニュースを知ったのでネタかなにかかと思ったら違って、あの時は本当に驚きました。　私にとって森園みるくさんはギャグ漫画を描いていた少女漫画家。それこそ、私の若くして亡くなった幼なじみが愛読していたので感慨もひとしお。　新婚でこんな事件が起きたら奥様は立ち直れないのでは、、、、と思っていたのでこの電子書籍を知ってすぐに購入しました。とにかく、仕事を再開できるようになってよかったです。　レビューを読んでいると森園さんが占い師に会ったり、ちょっと不思議な体験のことを描いたりしていることを揶揄まではいかなくともマイナスにとらえている人がいましたが、こんな時には何に頼ってでもいい、とにかく生きているだけですごいと思います。漫画のタッチが明るくて前向きだったのもほっとしました。　不慮の事故、事件が起きて表舞台からさるクリエーターの方が沢山いらっしゃいます。本当に復帰、おめでとうございます、と申し上げたいです。

  2018.02.25

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  うーん、売り方だけはうまかった　宿野かほる『ルビンの壺が割れた』

  ルビンの壺が割れた【電子書籍】[ 宿野かほる ]価格：1080円 (2018/2/20時点)　平昌五輪、日本人の活躍が素晴らしいですね。スピードスケートなんてスターターがひどかったのに新記録です。すごいの一言。　さて、図書館に予約していた本が届いたので読みました。昨年末、話題になった宿野かほるの『ルビンの壺が割れた』。新人さんの作品で、発売当初、一定期間は無料で読むことが出来るなど今までとは正反対の販売戦略で有名になったミステリーです。新潮の名物編集者さんや東京ＭＸテレビの後押しもあったようです。私はジャーナリスト有本香さんのコメントから興味を持って借りたのですが、その時点でＡｍａｚｏｎでは賛否両論。あえて、点数のみ確認して現物を手にしました。情報弱者なので出遅れ、私が知ったときには無料購読期間切れ。図書館では予約数はかなり多かったのですがＡｍａｚｏｎでレビュー５点をつけた人より１点をつけた人の方が多いと買えませんよね。で２ヶ月ほど待つことになりました。　さて、数時間で読了。うーん、激しく、買わなくてよかった！！！！！！！！！！！！と思いましたね、はい。ソーシャルネットワークを題材にしているのですがこれ、うまく使えているかというといまいち。まあ、住所も現在の名前も知らない昔の知り合いがやりとりできるというのはＳＮＳが発達した現代ならでは、ですが特性を活かしたどんでん返しがなく不完全燃焼のイメージ。　大学時代を共に送った初老の男女がやりとりをして行くうちに過去の真実が明らかになってくるという趣向ですが、これ、もしも連城三紀彦が生きていたらもっと上手に作っただろうな、と思います。手紙のやりとりだけで成立するどんでん返しミステリーがありましたしね。　これを読んで楽しめるのはミステリーの名作を読んだことのない人か折原一も連城三紀彦も知らない若い人か？？？？ああ、久しぶりに売り方だけ上手い本にだまされました。

  2018.02.20

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  読了。ジョアン･フルークの最新作『ダブルファッジ･ブラウニーが震えている』

  ダブルファッジ・ブラウニーが震えている （ヴィレッジブックス） [ ジョアン・フルーク ]価格：1058円（税込、送料無料) (2018/2/9時点)　新潟は連日の雪。もう、家の前は凍っているし、除雪車は絶対数が足りていないのでは？という事態。家の中でじっとしています。　で、読書です。コージーミステリーの中でもかなり「コージー」度が高いこのシリーズ。犯人は最初の数ページで分かるか、最後の数ページで分かるかの二択。ミステリーとしては、、、、、で絶対に『このミス』『週刊文春』ベストランキングに入らない作品。ですが、ミネソタ州の雰囲気を味わったり、アメリカ風の食文化を知ったり、主人公を取り巻く人間模様の予定調和が心地よかったりでなんか、、、、読んでいます。１８冊も。　この作品、レビューを読んでいるとラブストーリーとして読んでいる読者もいるみたいですが、私はこの方、女性を描く方が上手いと思います。私は主人公　ハンナの共同経営者リサと末の妹　ミシェルが好きですね。　女性が書くコージーミステリーというのは主人公と周囲の友人はえらく「いい子ちゃん」だったり、敵対する人達はみな悪人だったりするのですが、この作品は一ひねりあるんです。私が好きなリサは父親がアルツハイマーで学業を諦め、ハンナのクッキー店で働いていたのですがあまりに有能・働き者なので共同経営者になった女性。とても明るく可愛い正直者ですが、結婚した途端に、きわどいネタOKになるなど、リアル。(私の友人にもいました。このタイプ）末の妹ミシェルは母親譲りの美貌、ハンナと同じく頭がいいのですが、突飛なことをして周囲を驚かせるのが好きな女性。登場人物中、もっともバランス感覚が優れています。要領がよくてちゃっかりしているのに嫌味がなく書かれていて○です。　さて、今回、ハンナと姉妹は母親の再婚でてんやわんや。ラスベガスで挙式というのでなにかと準備が必要。ハンナの母親ドロレスがいい味だしているんです。美人で古い価値観に支配された女性でとにかく身綺麗にするのが趣味。ハンナたちの父親は彼女に惚れ込んで結婚。大きな商売をしていたので遺産はあるのですが全てドロレスが相続。ハンナ、アンドレア、ミシェルの三姉妹はそれぞれ自分の仕事を持って（学生のミシェルはアルバイト）生計を立てています。時々、娘や孫に気前のいいプレゼントをしますが、基本的にはケチ。人に使うより自分の洋服や美容整形に使う方が好きという分かりやすい人です。いや、本当にいますから。こんな母親。（日本では法で子供にも取り分が、、、、ありますが、生前に権利を移しておけば同様のことは可能。）それを三人ともあまり恨みに思わず（時々、思い出したように頭をよぎる描写が○）自分たちの技量で生活しているところがいいです。以下、恒例のちょっとネタバレ。未読の方はご注意下さい。あ、相変わらずミステリー要素はほぼ皆無なのでそこは書いていません。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ドロレスとドクがラスベガスで挙式。あちらの結婚式では介添人が必須。そこでハンナはある男性と再会。恋に落ちることとなります。以前、レイク･エデンで映画を撮ったロス。ハンナの学生時代の友人です。当時、ハンナは大学の准教授とロスはリンダという女性と交際していましたが、時は流れ、二人ともシングル。もともと、趣味や気が合うから友人だったわけで盛り上がるとなると早いです。はい。今までノーマンを選ぶかマイクを選ぶかで引っ張ってきたのですが、まあ、実際にこんなもんですよね。何年も決められなかった相手というのは所詮ＮＧで、結婚はタイミングとスピードだと思いますもん。実際。ノーマンは過去、婚約・婚約破棄までした相手がいてそれが再燃したこともあり、マイクに至っては結婚経験（配偶者が死去）あり、魅力的な女性がいると片っ端からデートするという男性。ハンナが別の相手を選んでも読者にそっぽを向かれない伏線は張り巡らされていたと思います。で、これは私の推測ですが、ロスにも後々、差し障りが出てきて包容力のあるノーマンとくっつくのではないかな～なんて思っています。　今回、本は厚め。料理のレシピがとても多いです。毎度の事ながら日本では入手困難な材料が多いですね。それにしても毎度ながら半加工品を沢山使っても「オリジナルレシピ」と銘打てるアメリカのおおらかさに笑いが出てきます。　下手したら粉類やチーズやバターから作る人がいる日本では考えられないですね。（確か、数年前の日本のお菓子レシピコンテストではチーズから作ったチーズケーキレシピが優勝していました）海外滞在経験のある知人が「日本って本当に一億総オタクよね～」と笑うのが分かる気がします。

  2018.02.09

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  おすすめのレシピ本！　白崎裕子『へたおやつ』

  へたおやつ　小麦粉を使わない 白崎茶会のはじめてレシピ [ 白崎裕子 ]価格：1512円（税込、送料無料) (2018/1/29時点)　今年は寒いです。寒いのでオーブンを使った調理をしています。外出できないときにはオーブン調理で気を紛らわせるのも一興。結婚する前、九州にいたときは実家に備え付けのガスオーブンがあって便利だったのですが結婚後はなく。。。耐えかねて電気オーブンを買いました。焼き上がりはガスには負けますがなんとかなります。最近、デロンギのコンベクションオーブンをもらいましたがこちらはパワーが強く、○。　さて、マクロビオティックの本や、卵・乳製品・白い砂糖を使わないレシピ本が増えていますね。私は有名どころでマーガリン･ショートニングを使わないレシピは目を通しています。ですが、、、なかなかこれ！といったものには出会えませんでした。有名なマクロビオティックの教室が出しているものでも私がよくても夫がＮＧを出すものが多くて。やっぱり、バターに慣れた人には難しいかな？と思っていました。ですが、夫は年をとってきて最近では「やっぱり、バターとか小麦粉とかそんなに毎日とれないよね。。」と言い出しました。体が疲れるんですね。そこでこの本。１００％植物性、しかもグルテンフリーのお菓子レシピを試してみました。もともと、この白崎裕子さんのレシピは発見が多くて好きだったんです。豆乳ヨーグルトと白玉粉で作るとろけるチーズとか絶品。私のように以前は乳製品ＯＫだったので舌が覚えている人間には代用品としてありがたい。『白崎茶会のあたらしいおやつ』は面倒なものが多かったですが、この『へたおやつ』は使う材料が少ないのでおすすめ。製菓用米粉、てんさい糖、アーモンドパウダー、ココナッツオイルなど、グルテンフリーレシピに必要な材料が揃っているお家ならその日に試すことが出来るレシピが盛りだくさん。濃厚ショートブレット、ふわふわカップケーキ、ジャムクッキーを作ってみましたが夫に好評。これならバターや卵を使っていなくても大丈夫と言われました。　ただし、タイトルは『へたおやつ』ですが普通のお菓子作りになれた人でないと難しい行程はあります。豆腐と溶かしたココナッツオイルを攪拌、乳化させるとき分離するんですね。これは普通のパウンドケーキを作ったことがある人ならおなじみのこと。卵とバターを混ぜるときによく起きます。こんな時にはボウルをあたためながらゆっくりと混ぜる、粉ものを少し加えると落ち着きます。そこが書いていないんです。それと保存方法、保存期間が書いていないところはちょっと減点ですが面白いレシピがたくさん入っているのでおすすめ。　グルテンフリー生活に挑戦している人やアレルギーの方にはおすすめです。ただし、ココナッツオイルが駄目な人には向きません。ナッツアレルギーの方のために代用方法が書いてありますので親切です。

  2018.01.29

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  最近、一番面白かった本　『『週刊文春』と『週刊新潮』　闘うメディアの全内幕』

  『週刊文春』と『週刊新潮』 闘うメディアの全内幕 （PHP新書） [ 花田紀凱 ]価格：950円（税込、送料無料) (2018/1/23時点)　これは最近読んだ本の中で５本の指に入るおもしろさでした。ページを繰る手が止まらず、眠る時間が惜しいほど。本を手にしたまま、寝ていたことがあります。ちなみに私はあまり週刊誌が好きではありません。自分で購入したことがあるのは数年前の『週刊文春』２冊くらい。しかも、年末ミステリーベスト１０が出るときだけ。今はそれすらも買いません。ここ数年の２紙は不倫やアイドルの恋愛などスキャンダルを報じるだけ、という印象。誌面が劣化しているからで、昔は新聞･テレビには出来ない仕事をしていたんだなあ、、と感心する内容でした。特に４０才以上の人は大事件のスクープや掲載小説を思い出したり、事件報道の裏側を知ったりすることが出来る本になること請け合い。いわゆる「ロス疑惑」を最初に報じたのは『週刊文春』、「イトマン事件」は『週刊新潮』のマネー欄だったとか。ああ、「一杯のかけそば」あったなあ、などなど。ちなみに私はあの話はどこに感動していいか理解出来ず、読んで泣いていた両親に？？？だったのですが。その後、著者の過去が『週刊新潮』で暴かれたというのもライバル同士、本気で争っていていいです。今の若い人は週刊誌のイメージが悪いでしょうから一度、後学のために読んでほしいです。本来、週刊誌には週刊誌にしか出来ない仕事があり、世界にも類を見ない総合週刊誌が、かつて日本にはあったのだと知っていただきたい。　この本は対談形式。『週刊文春』の売上を一気に上げた名編集長　花田紀凱さんと『週刊新潮』で数々のスクープをものにした、現ノンフィクション作家の門田隆将さん。週刊誌の裏も表も知り尽くしたお二人がスクープ、記者、戦略、訴訟、存在意義について語り尽くします。　私が面白かったのは訴訟について。正しいことを書いたから裁判で勝てるとは限らない―。週刊誌の記者は情報源を守る、これで裁判は殆ど負けてしまうと言うこと。裁判は判決文を全文読んで、解釈しないと駄目だなあと思いました。　ここ数年は、「文春砲」という言葉が定着していますが実は好戦的なのは『週刊新潮』だったというのは驚きました。朝○○○や創○○○や○日○聞　（自主規制。最近、ネットが何かと物騒なので）に正面から切り込む勇ましい週刊誌だったのだなあと。誌面に表れるように社内も、門田さんがいらっしゃるときには「訴訟上等！」で文藝春秋社よりも戦闘態勢だったといいます。ぜひ、初心に返って欲しいですね。　現在は出版業界が冬の時代。取材に以前ほどお金をかけられないそうですが存在意義を守るために頑張っていただきたいです。

  2018.01.23

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  楽しくて勉強になるエッセイ。田丸公美子『目からハム』

  目からハム　シモネッタのイタリア人間喜劇【電子書籍】[ 田丸公美子 ]価格：864円 (2017/12/11時点)　寒い日が続きますね。今年はもう、積雪がありましたし風が強いです。外出できない日が多く、冬型うつ病になりそうです。毎年、軽くなりますけどね。やたらと散らかしたり、使わない物を買い込んだりしてしまいます。今はKindleを持っているので更に怖いです。読みたいな、と思ったらつい「ポチッとな」ってしてしまいますからね。カードの請求書を観るのが怖い、、、、ってことになります。　こんな時には明るい本を読むのが一番です。私の好きなエッセイストはみなさん寡作。穂村弘、岸本佐知子、佐藤正午は本業が別ですしね。エッセイは本業を別に持っている人の方が面白い、これも鉄則です。今回、上に紹介した田丸公美子さんもその一人。本業はイタリア語通訳です。すでに何冊も本を出しています。今回は久しぶりの購入です。　才媛（私が勝手につけた形容です）田丸公美子さんも通訳について早　３８年！！！！！！イタリアや通訳業界の変わったこと、変わらないこと、今だから話せるお話、イタリア語の面白い俗語など軽い筆致で書かれています。これ、実は深刻な事態だったのでは？と思える話を読みやすくさらっと書くのがこの方の特徴。読後感がすごくいいんです。通訳さんは頭のよい人が多く、海外での経験、有名人との交流があるため読んでいるこちらがすみません、、、、、と言いたくなるほど上から目線で日本と日本人を切りまくる人が多いのですが、それがないのもいいですね。気持ちよく読ませてくれるプロ。きっと通訳としても超一流なんだろうな、と思わせるエッセイです。　『目からハム』というタイトルはイタリアの慣用句だとか。日本で言えば「目からうろこ」。あちらの生ハムはレースのように薄いものがあるので出てくる表現。お国柄ですね。

  2017.12.11

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  うーん、凝り過ぎ？　貴志祐介『ミステリー･クロック』

  ミステリークロック [ 貴志　祐介 ]価格：1836円（税込、送料無料) (2017/10/30時点)　貴志祐介は好きな作家さんです。仕事を辞めて、使えるお金が少なくなっても新刊が出たら必ず読んでいます。特にこの榎本＆青砥のシリーズは結構好きです。『鍵のかかった部屋』はドラマ化されましたね。私はその時まで大野智という人を知らず、勿論、嵐というアイドルグループも知りませんでした。（松本潤の名前と顔は知っていましたが、嵐というグループのメンバーだと言うことは、、、、、）でも、まあ大好きな佐藤浩市が出演しているから観てみたらめちゃくちゃよく出来ていて感心しました。原作は青砥弁護士がボケ、榎本がツッコミなんですが、こうしたコミカル要素はすべてドラマのオリジナルキャラクター佐藤浩市が演じる弁護士にまかせ、主人公たちは淡々としていたところがテレビドラマにぴったり。トリックが分かりやすく映像化されていて○でした。　さて、この新作は迷わず買ったのですが。。。一言、凝り過ぎ？？？まあ、あの、ミステリー作家さんたちはとても難しい職業で実行不可能なトリックは「荒唐無稽」「取材不足」とののしられ、実行可能だと「犯罪を助長する気か！」と責められるんですよね。ですから、そこも考慮するとこんな事になるのかな？というお手本のような短編集。どれも、実行は可能かもしれませんが金銭的にも、入手経路を考えても、難しい、、、、ものを考え出しています。さすが貴志祐介。すごい。。以下、ちょっとネタバレ　気になる方はスルーしてください。このシリーズの短編集でしたら前作の方が出来がいいと思います。それでも一定水準を保っていて素晴らしいです。いろいろと細かい数字が出てきますのでのけぞるような驚天動地のトリック（新本格派みたいな）を求める方には不向きでしょうが面白かったです。ただ、表題作について一言。あまりにも時計や時間を確認させられたらその時点で一般人でも「こいつ、なにか企んでいるんじゃあ、、、」って気付きますよね？？？私ならその時点で一人で部屋にこもっている人を見に行きますね。多分、１０人が１０人、そう考えるんじゃないかな？？

  2017.10.30

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  面白かったミステリー　水生大海『だからあなたは殺される』

  だからあなたは殺される【電子書籍】[ 水生大海 ]価格：1296円 (2017/10/29時点)　これは結構、面白かったです。初めて読んだ作家さんなのですが、伏線がしっかりしていてきちんと回収されていました。様々な視点から描かれていて章ごとに一人称で書かれているので普段読書をしない人にもおすすめ出来ます。　《あらすじ》野心家の若き刑事　正義は父親に育てられて大きくなりました。高校時代に両親は離婚。母親は１０才年下の妹　優羽（ゆう）を連れて家を出ました。母親が病気を苦に自殺し、天涯孤独になった妹。父親は冷酷で彼女を引き取る気がありません。正義は母親が住んでいたアパートに引っ越し、妹と共同生活。彼女を高校卒業まで保護者として見守ることにします。　そんなとき、近所で殺人事件が発生。被害者は読者モデルをしていた美貌の女子高生　紫苑。有名なエスカレーター式女子校に通うお金持ちのお嬢さん。成績抜群で派手なタイプでした。正義は手柄を立てるべく、妹の優羽は兄を助けるべく、独自の調査に乗り出します―。ここまでが本の紹介に載っている内容です。気になった方は図書館で借りるなり、本を購入するなりなさって下さい。セールストークとしては「二度読み　必須」。これで勘のいいミステリー読者であればああ、トリックは○○ね、、、でしょうね。タイトルから分かるように被害者の性格が問題？？？というのはミステリーに昔からあるテーマ。題名は伏せますが、アガサ･クリスティーは沢山、書いていますよね。ですが、これはひねりがきいていて楽しめました。ただ、私は４０代後半のおばさんなのでこの作品に描かれている女子高校生像がリアルかどうかは分かりません。複数のＬＩＮＥグループがあって情報をやりとりして、というのは私より上の年代でもしているようですが、、、。ジャンルとしては「イヤミス」でしょうか。あまり後味が良くないので体調や精神状態がいいときにおすすめします。私は貫井徳郎や貴志祐介が好きなので人物の内面描写はもっと掘り下げた方がいいと思いますが（偉そう。。）今年のミステリーランキングでもいいところまで行きそうだと思っています。以下、恒例のちょっとネタバレ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　勘の良い読者なら煽り文句やレビューで分かるように叙述トリックです。優羽は美人で賢く、家事が出来て友人が多い。殆ど他人同然に育った兄の仕事にも力を貸していて健気な少女に見えますが、実はとても自己中心的な人物。というか、経済的に苦しい環境に育ち、母親が大病を患い、せっぱつまっていたのです。特別に勉強しなくても進学校でトップの成績。どうして自分がいい大学に行って希望する職業に就けないの？と考えて行動していたわけです。そこで治療しても回復の見込みのない母親に手をかけ、天涯孤独な少女として父親に面倒を見てもらおうとしたのですが、かなわず。兄を頼ったわけです。ですが、この兄も父親にそっくり。野心家で計算高く、利己的。優羽は兄を出世させることが出来れば、自分は大学進学できると思って協力していたのです。が、どうもそうは行きそうにない。最後には兄の命も奪うことになります。タイトルの『だからあなたは殺される』は高校生モデルの紫苑だけを指すのではなく、優羽の母親や兄の正義も含まれているのです。様々な人に罠をしかけ、欲しいものを手に入れる主人公。被害者を装った加害者。ドラマになった『ヒトリシズカ』や佐藤青南の『ある少女にまつわる殺人の告白』を思い起こさせる作品でした。

  2017.10.29

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